二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.364 )
- 日時: 2014/01/26 10:11
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
聖忌祭(せいきまつ) レイヴ・ディアボロス 無色 (10)
進化クリーチャー:オラクリオン/ワールド・コマンド 23000
進化—自分のオラクリオン1体の上に置く
このクリーチャーが攻撃する時、相手の光のクリーチャー、水のクリーチャー、闇のクリーチャー、火のクリーチャー、自然のクリーチャーを1体ずつ破壊する。
Q・ブレイカー
エターナル・Ω
時代を終わらせる世紀末のオラクリオン。しかしその存在は、時代どころか世界すらも終わらせる、最凶の支配者の力を受け継いだ偽りの神。ただのオラクリオンや、他の進化オラクリオンにはない歴史がある。
クトゥルーが呼び出したのは、そんな存在だ。《聖忌祭 レイヴ・ディアボロス》——かの《時空の支配者ディアボロスΖ》そしてその覚醒した姿である《最凶の覚醒者デビル・ディアボロスΖ》の力を受け継いだオラクリオン。その力はオリジナルの《ディアボロス》と遜色ないものであり、また天頂の存在が有していた不滅の力をも取り込んでいる。
(まずい……!)
今までの悪寒が焦燥へと変換され、募っていく。この状況で《レイヴ・ディアボロス》は非常に厳しい。さらに、亜実のデッキにとってもこのクリーチャーはきつい。
まず亜実が理解したのは、前のターンの《プリンプリン》によるシールドブレイク。恐らくあの時点で、クトゥルーには《レイヴ・ディアボロス》を出すためのキーカードが概ね揃っていたのだろう。
《レイヴ・ディアボロス》はQブレイカー、一度に四枚のシールドをブレイクできる。即ち、その一撃で亜実のシールドがすべて割られてしまうのだ。
(一度の攻撃であたしのシールドを割り切るために《プリンプリン》でシールドを割ったのか……!)
さらに、《レイヴ・ディアボロス》は攻撃時に各文明の相手クリーチャーを一体ずつ破壊する。最大で五体ものクリーチャーを破壊する可能性があるが、五色デッキであっても五文明すべてが揃うことはそう多くないだろう。そもそも五体もクリーチャーが並ぶという状況が稀である。普通はそうなる前に除去するなりなんなり、手を打つものだ。ゆえに平均で破壊できる数は、二体か多くて三体といったところだろう。
そもそも《レイヴ・ディアボロス》の効果では相手のデッキに入っている文明以上の数は破壊できないのだ。亜実のデッキは三色、つまり最大三体は破壊できる。だが亜実のデッキの場合、《レイヴ・ディアボロス》によってクリーチャーを破壊されやすい構成となってしまっているのだ。
(あたしのデッキは多色クリーチャーが多い……だからこそ《レイヴ・ディアボロス》に引っかかりやすい……くそっ、こんな形でデッキの弱点を突いて来る奴は初めてだ)
恐らくそれは偶然だろうが、それはともかく。
亜実のデッキは、彼女自身が言うように多色カードが多い。三文明ともなると、単色カードばかりでは安定してデッキを回しづらくなってしまい、多色カードもわりと増えて来るのだが、亜実のデッキはそれ以上に多色カードに意味がある。
まず多色カードというのは、基本的に単色カードと比べてカードパワーが高い。単純にパワーが大きいというだけでなく、コストパフォーマンスが良かったり、能力が強力だったり、また複数の文明の特徴が表れているので、一枚で様々な役割を持てる。
状況に応じて様々な動きを見せる、というのが亜実のデッキの売りであるため、デッキ内のカードの種類が多い。一枚積みのカードも少なくはない。ハイランダー気味の構成を取っている。そのため、一枚で複数の能力を持つこともある多色カードは、彼女のデッキには都合がよいのだ。
他にもマナ基盤として役になったり、進化元としても優秀だ。たとえば《熱湯グレンニャー》は水と火の文明を持つクリーチャーなので《スタートダッシュ・リバイバー》と《カーリ・ガネージャー》、さらには多色なので《ジャック・ヴァルディ》と、三体の進化クリーチャーの進化元となれる。これが《ディス・メルニア》になれば、闇文明になるのでその三体に加え《デスマーチ》の墓地進化元としても運用可能だ。
このように多色カードは強力かつ様々な効果があるので、デッキスロットを圧縮するのに役立つ。そういった理由で、亜実のデッキは、事故が起こらないようにかなり気を配ってはいるものの、多色カードの枚数が多い。
(普段ならそれは利点となるはずだ。事故が起きやすいという問題は、多発しない程度に多色カードの投入を押さえて防止している。だが、こいつはそれを逆手に取りやがった……!)
多色カードは、一枚で複数の文明を持つカード。火と闇の多色クリーチャーなら、そのクリーチャーは火文明でもあり、闇文明でもある、ということだ。
普通ならそれは、大概は利点となる。しかし《レイヴ・ディアボロス》の前では欠点だ。
重ね重ね言うが《レイヴ・ディアボロス》は最大で五体破壊できるが、平均で見れば二、三体程度だ。もし相手が単色のデッキを使っていた場合は、一体しか破壊できない。複数の色が入ったデッキを使っていたとしても、単色カードが多ければ、複数の色を持つクリーチャーが場に並ばないこともある。
逆に言えば、多色クリーチャーが多いデッキなら、その選択肢は広がるのだ。火文明しか持たないクリーチャーは、火文明としてしか選べないが、火と闇の二文明を持つクリーチャーなら、火文明としても、闇文明としても選ぶことができる。
亜実の場にいるのは、水闇の《スタートダッシュ・リバイバー》、闇火の《ジャック・ヴァルディ》、そして闇の《デスマーチ》の三体。
そして、クトゥルーの静かな言葉が響き渡る。
「《レイヴ・ディアボロス》で攻撃」
亜実の焦燥を加速させるように、《レイヴ・ディアボロス》動き出した。同時に、その腕と背にある多数のエネルギー状の槍から、破滅の光線が放たれた。
「水の《スタートダッシュ・リバイバー》、火の《ジャック・ヴァルディ》、闇の《デスマーチ》を破壊」
「ぐ……っ!」
ブロッカーの《デスマーチ》は勿論、亜実のデッキにおける切り札級の進化クリーチャーまでもが破壊されてしまった。これで亜実の場にはなにも残らない。
クリーチャーどころか、シールドさえも、残らない。
そしてなにも残っていない亜実に、偽りの神が襲い掛かる。
「《神聖騎 オルタナティブ》でダイレクトアタック」