二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.372 )
日時: 2014/02/02 13:03
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「ゆーくん!」
「空城君っ」
「先輩」
 ひまりとジークフリートが神話空間に飲み込まれてすぐのことだ。
 夕陽が連絡を入れると、このみ、姫乃、汐の三人はすぐに広場に駆けつけた。
「とりあえず連絡を受けたので来たのですが……これはどういう状況ですか」
「ひまり先輩は見つかったんだよね? とりあえず、そこはよかったよ……」
「それよりさ、あの子は誰? なんか、しだんちょーがどーとかこーとか言ってたけど」
「まとめて言うなよ。僕だって混乱してるんだ」
 師団長の登場、ひまりの登場、そしてその二人の対戦——その一部始終を見ていた夕陽だが、いまだに頭はついて来ない。
「まだいまいち飲み込めないけど……【師団】の師団長が来たんだよ。あの子は師団長補佐とか言ってたけど……それで、そこにひまり先輩も来て、師団長は先輩を狙ってたから、その流れで二人が……」
 自分でも要領の悪い説明だと思いつつ、なんとか状況を理解してもらおうとする。
 だがやはり、それ以上に気がかりだ。
(先輩……)

 ひまりとジークフリートの戦いが——



 ひまりとジークフリートのデュエル。
 シールドはお互い五枚。
 ひまりのバトルゾーンには《コッコ・ルピア》。
 ジークフリートのバトルゾーンには《ニヤリー》。
「さて、じゃあこっちから先に仕掛けさせてもらうぜ。呪文《戦慄のプレリュード》!」
 ジークフリートは、前のターンに《ニヤリー》で手に入れていた《戦慄のプレリュード》を唱える。
 これでこのターン、コスト6までの無色クリーチャーなら召喚できる。そして《ニヤリー》で手に入れていたのは、《プレリュード》だけではない。
「《妖精左神パールジャム》を召喚!」
 現れたのは、神の左腕たる《パールジャム》。その能力で、マナを一枚加速させる。
 先んじて大型クリーチャーを召喚されてしまったひまり。しかし、
「私のターン。《爆竜 GENJI・XX》を召喚!」
 こちらもドラゴンを繰り出し、
「《GENJI》で攻撃! Wブレイク!」
 そのままジークフリートのシールドを二枚、叩き割る。
「先手は貰ったよ」
 先んじてシールドをブレイクしたひまり。得意気という風でもないが、先に大型クリーチャーを呼び出したジークフリートに言い返す。
「……はっ、やるじゃねえか」
 そしてジークフリートも、そんなひまりのプレイングに口元を綻ばせた。
「プレイとしてはともかく、その意気込みは買うぜ。俺のターンだ。《戦攻右神マッシヴ・アタック》を召喚!」
 続いて今度は右のゴッド・ノヴァ《マッシヴ・アタック》を召喚するジークフリート。流れるようにして一対のゴッド・ノヴァが揃ってしまった。
「《パールジャム》と《マッシヴ・アタック》をG・リンク! 《マッシヴ・アタック》の召喚時、及びリンク時能力でカードを二枚ドロー。《パールジャム》リンク時能力でマナを追加!」
 《パールジャム》はマナを、《マッシヴ・アタック》は手札を増やすゴッド・ノヴァ。この二体はデュエル・マスターズにおける重要なアドバンテージを堅実に稼いでくれるため、序盤から繰り出せば有用に作用する。
 そして、一体となった神の一撃が放たれる。
「《パールジャム&マッシヴ・アタック》で《GENJI》を攻撃! 破壊だ!」
 神の右腕が細身の剣を振るう。《GENJI》も十字の刀を両手に構えてその斬撃を捌いていくが、左神の飛ばした剣が《GENJI》の身体を真っ二つに切り裂く。
「リンクすればゴッドのパワーは上がる。殴り返される可能性は考えなかったのか?」
「どうだろうね」
 《ニヤリー》では攻撃せずにターンを終えるジークフリート。そして、ひまりのターン。
「……《神託の王 ゴスペル》を召喚。登場時能力で、お互いの山札の一番上を捲るよ」
 捲られたカードは、ひまりが《コッコ・ルピア》。ジークフリートが《大地と永遠の神門》。
「ビンゴ! あなたのデッキから捲られたのは呪文だから、《ゴスペル》の能力でコストを支払わずに唱えさせてもらうよ。《大地と永遠の神門》を発動、マナゾーンからコスト7以下のゴッドをバトルゾーンに! 出て来て《龍神ヘヴィ》!」
 ひまりがマナゾーンから呼び出すのは《龍神ヘヴィ》。まずは《ゴスペル》の能力を解決させ、一枚ドロー。そして次に、《ヘヴィ》の能力で自身を破壊。
「そしてあなたも、クリーチャーを一体破壊して」
「ならば《ニヤリー》を破壊だ」
 登場すれば、互いに一体ずつクリーチャーを破壊する《龍神ヘヴィ》。最後にひまりは、カードをもう一枚ドロー。
「まさかお前のデッキにもゴッドがいるとはな……盲点だったぜ。俺のデッキのキーカードを使われるなんざ、なかなか粋なことするじゃねえか」
 自分が本来使うはずのカードを利用されたにも関わらず、ジークフリートは笑みを見せた。
「だが、このターンでゴッドを破壊できなかったのが残念だったな。今の俺の場にいるゴッドのパワーも、《ゴスペル》のパワーも同じだが、こっちは破壊されても片方は生き残る。お前とは除去耐性が違うんだ」
 ジークフリートの言う通りだ。ゴッドはリンクする手間がかかる、というのがデメリットだが、リンクした後はかなり強力なクリーチャーとなる。純粋にパワーが上がり、リンク時の能力が発動し、さらに破壊されても片方は生き残る。リンク先がフリーなゴッド・ノヴァだと特にそうだが、生き残った片方に再びリンクさせやすい。
「つーわけで、とりあえず《夢幻左神スクエア・プッシャー》を召喚。山札の上二枚を墓地に送り、《パールジャム&マッシヴ・アタック》で攻撃」
 そして、
「アタック・チャンス発動! 《黄泉秘伝トリプル・ZERO》!」
 バトルゾーンにはコスト6以上の無色クリーチャーがいるので、山札の上から一枚をシールドにした後、手札、マナもそれぞれ追加する。
「そんでTブレイク!」
「っ……!」
 先手を取ったはずのひまり。しかしシールドの枚数というアドバンテージも、あっさりと突き崩されてしまった。
「……いや、まだだよ。《偽りの名 ヤバスギル・スキル》を召喚!」


偽りの名(コードネーム) ヤバスギル・スキル 闇文明 (8)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ/アンノウン 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、ドラゴン・ゾンビまたはコスト7以上のクリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。そうした場合、相手のコスト6以下のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー


「《ヤバスギル・スキル》の効果で墓地の《ヘヴィ》を回収して、《スクエア・プッシャー》を破壊!」
「やるなぁ……だが、その程度じゃあリンクしたゴッドは潰せないぜ?」
「だったら直接殴る! 《ゴスペル》でリンクしたゴッドに攻撃!」
 《ゴスペル》のパワーとリンクした《パールジャム&マッシヴ・アタック》のパワーは同じ。相打ちになるが、ゴッドは破壊されても片方が生き残る。このままでは《ゴスペル》が一方的に破壊されるようなものだ。
 しかし、逆に言えば、ゴッドは破壊されたら片方だけが残るのだ。
「《ゴスペル》の効果発動! 互いの山札の一番上を捲る!」
 捲られたのは、ひまりが《ヤバスギル・ラップ》。ジークフリートが《双魔左神ディーヴォ》。


ヤバスギル・ラップ 闇文明 (4)
呪文
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。相手はそのクリーチャーを破壊してもよい。相手が破壊しなかった場合、自分はクリーチャーを1体、自分の手札または墓地からバトルゾーンに出してもよい。


「……運のいい奴だな」
 《ヤバスギル・ラップ》は二つの強力な効果がある。どちらの効果が発動するかは相手が決めるものの、どちらを選んでも得られるものは大きい。
「選択するのはリンクしたゴッド。さあ、破壊する? しない?」
 破壊すれば《ゴスペル》にやられるが、破壊せずともクリーチャーが飛び出す。ひまりは最低でも《ヘヴィ》を握っているので、どちらを選んでもリンクしたゴッドは二体とも破壊される。
「どうすっか。《ヘヴィ》を無駄撃ちさせたいが、そうすると《ヤバスギル・スキル》の弾が補填されんだよなぁ……ちっ、ままよ。ゴッドは破壊しないぜ」
「なら手札から《ヘヴィ》をバトルゾーンに出して即破壊。そっちもクリーチャーを一体選んで破壊して」
 とはいえ、破壊するクリーチャーはゴッドしかいない。ジークフリートは《パールジャム》を残したが、そちらも《ゴスペル》に破壊される。たった1ターンで三体ものゴッドを破壊されてしまった。