二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.381 )
- 日時: 2014/02/08 20:32
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「——うん、もう着いたんだね、了解。じゃあ現地っていうか、例のポイントで落ち合おうか」
ピッ、と携帯の通話を切り、ラトリはそれを白衣のポケットに仕舞い込む。
「……そろそろ、か」
冬ならではの澄んだ空を見上げて、ラトリは誰に言うでもなく、呟いた。
「そういえば、三人が揃うのは、久し振りだな……」
ひまりとジークフリートのデュエル。
ひまりのシールドは三枚。バトルゾーンには《龍聖大河・L・デストラーデ》《インフィニティ・ドラゴン》《コッコ・ルピア》《光神龍セブンス》《エコ・アイニー》《無双竜機ボルグレス・バーズ》。
ジークフリートのシールドも三枚。バトルゾーンには《サイバー・N・ワールド》《神誕の大地ヘラクレス》《妖精左神パールジャム》とリンクした《真滅右神ジーザス・メリーチェーン》。
そして、
神人類 ヨミ 無色 (8)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/オラクル 12000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで引いてもよい。
T・ブレイカー
中央G・リンク
このクリーチャーがカード3枚でリンクしていれば、自分のシールドはブレイクされない。
「《神人類 ヨミ》……!」
ひまりは戦慄を覚える。このタイミングで、このクリーチャーはまずい。
「《プロジェクト・ゴッド》で出たから、召喚時の能力は使えねえが……リンク解除。《パールジャム》と《ジーザス・メリーチェーン》のリンクを外し、《ヨミ》とG・リンク!」
左腕に《パールジャム》右腕に《ジーザス・メリーチェーン》を装着した、オラクルの頂点に立つ者《神人類 ヨミ》。
《ヨミ》の力は、ゴッド・ノヴァ、ひいてはオラクルの中でも最上位に位置する。その中でも特筆すべきは、オラクル教団の教義に伝わる神話、その中オラクルが崇める天頂にして無情の神《シャングリラ》を雛形とした力だ。
「《神人類 ヨミ》が三体でリンクした時、俺のシールドはブレイクされない。お前はこの《ヨミ》を除去しない限り、俺へ攻撃を通すことができねえ」
しかし仮に《ヨミ》を除去したとしても、彼には二つの腕がある。その腕をもぎ取っても、また新しい腕が付け替えられるだけだろう。両腕を同時に破壊しても、そうかもしれない。
それは非常にまずい。さらに三体でリンクした《ヨミ》のパワーは27000、シールドブレイク数も実質四枚。加えて除去耐性や《ジーザス・メリーチェーン》の効果まであるのだから厄介だ。
「さて……じゃあ攻めるぜ。《ヘラクレス》でTブレイク!」
「っ! 《ボルグレス・バーズ》でブロック!」
《ヘラクレス》の攻撃を、《ボルグレス・バーズ》が身を挺して防御。《インフィニティ》の能力で……生き残らなかった。運の悪いことに、捲れたのは呪文だ。
「続けて三体神《ヨミ》で攻撃! Tブレイクだ!」
「《セブンス》でブロック……!」
今度はドラゴンが捲れ《セブンス》は生き残るが、このターンブロックできるブロッカーはいなくなった。
「バトルに勝ったので《ジーザス・メリーチェーン》の効果で、お前のクリーチャーを一体破壊しろ」
「《L・デストラーデ》を破壊。だけど、《インフィニティ》の能力で生き残るよ!」
「だったら俺は墓地の無色カードを回収させてもらう。さらに《サイバー・N・ワールド》でWブレイク!」
そして最後に《サイバー・N・ワールド》の攻撃を喰らう。これで残りシールドは一枚。
「くぅ……S・トリガー発動! 《インフェルノ・サイン》で墓地の《炎龍王子カイザー・プリンス》をバトルゾーンに!」
S・トリガーで《カイザー・プリンス》を呼び出し、ひまりは次のターンからシールドの回復を図る。今はまだ《セブンス》と《インフィニティ》で凌げているが、いつまでもつか分からない。シールドも増やしておくに越したことはないだろう。
「私のターン! 《閃光のメテオライト・リュウセイ》を召喚!」
閃光のメテオライト・リュウセイ 光/火文明 (8)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 9500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーをすべてタップする。
バトルゾーンにある自分のクリーチャーすべては「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
「さらに《暗黒GUY・ゼロ・ロマノフ》も召喚して、山札から《ヤバスギル・ラップ》を墓地へ! 《メテオライト・リュウセイ》の効果で私のクリーチャーはすべてスピードアタッカーだから、そのまま《メテオライト・リュウセイ》で《サイバー・N・ワールド》を攻撃! その時《カイザー・プリンス》の能力発動!」
炎龍王子カイザー・プリンス 光/火文明 (6)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分の光のドラゴンまたは名前に《プリン》とあるクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加える。
自分の火のドラゴンが攻撃する時、相手のシールドを1枚ブレイクする。
《メテオライト・リュウセイ》は火と光のドラゴンなので、《カイザー・プリンス》の能力は両方とも発動する。
「だが、《ヨミ》が三体でリンクしている今、俺のシールドはブレイクできないぜ」
「分かってるよ」
シールドをブレイクできないなら、せめて《ヨミ》のリンクが崩せるまで耐えるしかない。そのためにはシールドの追加で守りを固め、アタッカーもできる限り除去する。
「《ゼロ・ロマノフ》でも攻撃! その時、効果で墓地の《ヤバスギル・ラップ》を発動! 指定するのはリンクした《ヨミ》だよ!」
「破壊するわけねえだろ」
ひまりの破壊の意思は一蹴され、代わりに墓地から《ヘヴィ》が蘇った。
「《ヘヴィ》を破壊!」
「《ヘラクレス》を破壊」
そして《ゼロ・ロマノフ》の魔銃から放たれた弾丸がジークフリートのシールドに撃ち込まれたが、しかし《ヨミ》の発生させた結界により弾かれてしまう。
「……《カイザー・プリンス》と《セブンス》《L・デストラーデ》でもシールドをブレイク! 《カイザー・プリンス》の効果で、シールドを三枚追加!」
このターン、《L・デストラーテ》の能力も合わせて一気にシールドを六枚にまで回復させたひまり。相手には《ヨミ》がいるので油断はできないが、これだけシールドが増えれば、《セブンス》と《インフィニティ》もいるのでもうしばらく耐えられるだろう。
と思う、そんな余裕は甘かった。
「お前は、少し《インフィニティ》に甘えすぎだな」
ジークフリートのターン。彼はカードを引きつつ、そうひまりに指摘する。
「今までさんざそいつに助けられたみてえだが……それももうお終いだ。《封魔左神リバティーンズ》を召喚。《インフィニティ》のパワーをマイナス2000!」
《リバティーンズ》が召喚され、《インフィニティ》のパワーが下げられる。だがこれでもパワーは5000、まだ破壊されることはない。
しかし、《リバティーンズ》の召喚と同時に、パキンッとなにかが割れる音が響く。
「リンク解除。《パールジャム》のリンクを外し、《ヨミ》と《リバティーンズ》をG・リンク! 《インフィニティ》をさらにマイナス2000だ!」
《ヨミ》も《イズモ》と同じく中央G・リンクを持つため、リンク解除の能力を使うことができる。その能力で腕を付け替え、《リバティーンズ》のリンク時能力が発動。《インフィニティ》のパワーはさらに下げられ、これで3000。
「まだ終わらないぜ。《ジーザス・メリーチェーン》の能力で回収した《戦慄のプレリュード》を唱え、次は《悪魔右神ダフトパンク》を召喚! 再びリンク解除! 《ヨミ》に《パールジャム》をリンク! 《リバティーンズ》のリンクを外し、《ダフトパンク》とG・リンク! さらにマイナス2000!」
これで《インフィニティ》の残りパワーは、僅か1000。
「そして、これで終わりだ! 《ダフトパンク》の能力発動! 墓地の《ニルヴァーナ》を復活! またまたリンク解除! 《ダフトパンク》のリンクを外し、《リバティーンズ》と《ニルヴァーナ》をG・リンク! 《ニルヴァーナ》の能力で《エコ・アイニー》《コッコ・ルピア》をタップ! 《リバティーンズ》の能力で《インフィニティ》のパワーをマイナス2000だ!」
「あ、ぅ……」
弱ったような表情を見せるひまり。連続G・リンクにより限界までパワーを下げられた無限の龍の末路が、彼女には見えていた。
これから無限の龍は、無限に生き延び、無限に殺される運命を辿る。