二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.382 )
日時: 2014/02/09 01:32
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ひまりとジークフリートのデュエル。
 ひまりのシールドは六枚。バトルゾーンには《龍聖大河・L・デストラーデ》《インフィニティ・ドラゴン》《コッコ・ルピア》《光神龍セブンス》《エコ・アイニー》《炎龍王子カイザー・プリンス》《閃光のメテオライト・リュウセイ》《暗黒GUY・ゼロ・ロマノフ》。
 ジークフリートのシールドは三枚。バトルゾーンには《悪魔右神ダフトパンク》《封魔右神リバティーンズ》とリンクした《霊騎右神ニルヴァーナ》《妖精左神パールジャム》《真滅右神ジーザス・メリーチェーン》とリンクした《神人類 ヨミ》。
 シールドの枚数でも場数でも圧倒的にひまりが勝っているが、しかしひまりは三体でリンクした《神人類 ヨミ》のせいで攻められない。
 その上、《ヨミ》のリンク解除で《リバティーンズ》のリンク時能力を使い回され、《インフィニティ》のパワーは8000も下げられた。
 つまり、今の《インフィニティ》のパワーはゼロを下回っている。その意味が分からないひまりでもないし、ジークフリートも分かってパワーを下げ続けた。
「さ、《インフィニティ》を破壊しな……何度破壊されるかは、分からねえがな」
 《インフィニティ》のパワーはゼロ以下となり、破壊される。破壊される時、《インフィニティ》の能力で山札の一番上が墓地へ。ドラゴンなので《インフィニティ》は生き残る。
 しかし生き残っても《インフィニティ》のパワーはゼロ。再び破壊され、山札の一番上が墓地へ。ファイアー・バードなので生き残るが、やはりパワーはゼロのままなのでまたも破壊される。それが、延々と続けられた。
 無限に生き残る龍は無限に殺され、力尽きるまで何度でも破壊される。
「う、うぅ……」
 物凄い勢いでひまりのデッキが墓地へと落ちていく。途中で《フォーエバー・プリンセス》が落ち、一度山札が回復。そこからまた何枚かドラゴンやファイアー・バードが落ちると、遂に呪文が捲れる。
「呪文だから、《インフィニティ・ドラゴン》は、破壊されるよ……」
 龍に無限の命を授ける《インフィニティ・ドラゴン》も、“破壊され続ける”ことに対しては耐性がない。殿堂の力でも、弱点はあるのだ。
「これでブロッカーはいねえな。三体神《ヨミ》でQブレイク!」
 Tブレイクに、《パールジャム》の追加ブレイクが加わり、一気にひまりの三枚のシールドが吹き飛ばされた。
「っ、S・トリガー! 《オドル・ニードル》をバトルゾーンに!」
 四枚目のシールドが光の束となって収束し、《オドル・ニードル》が飛び出す。これで少なくともこのターン、シールドをすべてブレイクされることはない。
「《オドル・ニードル》か。生かしておいて後で《ヨミ》が破壊されるのはまずい。ならば《リバティーンズ&ニルヴァーナ》で攻撃、破壊だ」
 ゴッドも《オドル・ニードル》の効果で破壊され、ジークフリートは《リバティーンズ》を残した。
「これだけクリーチャーがいるのに、攻撃が通らないなんて……困ったよ……」
 様々な文明を取り込んでいるため、今のひまりのデッキはそれなりに除去カードが多い。しかしドラゴンが主体のデッキなので、相手クリーチャーをピンポイントで確定除去できるカードは、案外少ないのだ。《ヘヴィ》《アバヨ・シャバヨ》のように相手が選ぶか、《GENJI》《ヤバスギル・スキル》のように破壊できるクリーチャーが限定される場合が多い。
「……《チッタ・ペロル》と《「勝利」の頂 バトル・ザ・クライマックス》を召喚」


「勝利」の頂 バトル・ザ・クライマックス 無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ゼニス/ハンター/エイリアン 12000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、そのターン、このクリーチャーは「スピードアタッカー」を得、すべてのバトルに勝つ。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップしてもよい。
T・ブレイカー
エターナル・Ω


 ここでひまりが召喚するのは、ゼニス。《「勝利」の頂 バトル・ザ・クライマックス》だ。
 バトルに勝てばアンタップし、無限に敵を破壊し尽くすゼニスだが、しかし如何にゼニスでも、三体神となった《ヨミ》のパワーには及ばない。勝利の頂点に立つ存在なのか、甚だ疑問を感じてしまうほど差がある。
「とりあえず……《メテオライト・リュウセイ》で《リバティーンズ》に攻撃。《カイザー・プリンス》の能力でシールドを追加して破壊するよ。続けて《バトル・ザ・クライマックス》で《ダフトパンク》を攻撃、こっちも破壊して、バトルに勝ったからアンタップ。最後に《カイザー・プリンス》で攻撃、シールドを追加」
 ゴッドを破壊しつつ、シールドを五枚にまで回復させるひまり。ドラゴンをアンタップキラーにする《チッタ・ペロル》と《バトル・ザ・クライマックス》なら、並大抵のクリーチャーは根こそぎ破壊できる。
 とにかく今は時間を稼ぎ、《ヨミ》を破壊する隙を窺うのだ。
「そんな隙、見せると思うか?」
 ひまりの心中を見透かしたような、ジークフリートの声が飛ぶ。
「まさかここまで粘って来るとは思わなかったぜ……舐めてたつもりはねえが、これほどとはな。流石、無敗の『太陽一閃サンシャイン』は違う」
 ひまりを称えるジークフリート。おだてるような口調ではない。純粋に、ひまりを強敵と認めた、ということだろう。
 しかし、
「だがな、無敗の称号はお前だけのものじゃねえ。俺だって、ほぼ無敗だ。今までロッテ以外に負けたことがねえ。そんでもって、“ゲーム”の参加期間で言ったら俺の方が遥かに長い。この意味、分かるよな?」
 ひまりと実力を認めた上で、自らの力を誇示する。それは決して高慢でも、自信過剰でもない。純然たる彼の力だ。
「G・ゼロ《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》。無色カードを三枚手に入れ、呪文《戦慄のプレリュード》。コストを5下げ《龍機左神オアシス》を召喚」
 同時に、パキンッと神の腕を繋ぐ紋章が割れる。
「《パールジャム》のリンクを外し、《オアシス》とG・リンク。《オアシス》の能力で《バトル・ザ・クライマックス》と強制バトルだ」
 左腕を《オアシス》に付け替えた《ヨミ》のパワーは28000。余裕で《バトル・ザ・クライマックス》は破壊された。
「くっ、ぅ……でも、エターナル・Ωで《バトル・ザ・クライマックス》は手札に戻る!」
「だからなんだ。バトルに勝利したので《ジーザス・メリーチェーン》の能力発動」
 ひまりはクリーチャーを一体破壊し、ジークフリートは墓地の無色カードを回収できる。
「……《エコ・アイニー》を破壊」
「俺は《プレリュード》を回収する。そしてそのまま《戦慄のプレリュード》、《精霊左神ジャスティス》を召喚。リンク解除、すべてのゴッドのリンクを外すぜ」
 ここでジークフリートは、不可解な行動に出る。
 《ジャスティス》が場に出て、腕を付け替える、リンク先を変更させるのはいいとして、しかしリンクを外すだけで新たにリンクしないのはどう考えてもおかしい。《ジャスティス》の能力で《プロジェクト・ゴッド》でも捲れ、新しくゴッドが出て来ればまたリンクできるとはいえ、それも確実ではない。
 だが時の流れはそんなことを考慮せず、山札上から五枚が捲られる。
 その中のカードを見て、ジークフリートは、今までにない、どこか凶悪で、しかし歓喜に満ちたような、そんな笑みを見せた。
「……来たぜ、最高だ。ここまで俺についてきたんだ、俺の切り札くらいは、見せてやらねえとな」
 ジークフリートはまず、捲られた五枚の中の呪文を唱える。
「《大地と永遠の神門》を発動。墓地、またはマナゾーンの、コスト7以下のゴッドを呼び出すぜ」
 刹那、世界が震撼する。空も、海も、陸も、宇宙や次元をも超えてすべてを飲み込むような絶対的な力が、ひまりに襲い掛かる。
 そして、立ち塞がる。

「《パールジャム》《オアシス》《ジーザス・メリーチェーン》……お前たちの命、俺が貰い受ける。そして、神の糧となれ!」
 腕を切り離された三体のゴッド・ノヴァが、神々しくも禍々しい光の中に取り込まれる。
「神と女神、合わせて神々——その片割れは、支配の神。信徒を従え、王国を築き、世界のすべてを我物とせん」
 神聖にして新星なる三体の神、しかしそれらの神も、神話の神々の前では、ただの種でしかない。
 太陽も、焦土も、萌芽も、賢愚も、慈愛も、海洋も、守護も、月影も、豊穣も、冥界も、生誕も——すべてを掌握し、支配せんとする神の前では、神であれ神話であれ、有象無象の塵芥同前。
 そして今、その神々の片割れが——
「神々よ、支配せよ! 進化MV!」
 ——降臨する。

「——《支配神話 キングダム・ユピテル》!」