二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.402 )
- 日時: 2014/02/16 01:07
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
夕陽とニャルラトホテプのデュエル。
夕陽のシールドは五枚。バトルゾーンには《超天星バルガライゾウ》と、その能力で出た《王龍ショパン》《インフィニティ・ドラゴン》《不敗のダイハード・リュウセイ》の四体。
ニャルラトホテプのシールドは二枚。バトルゾーンには《凶星王ザビ・ヒドラ》《復活の祈祷師ザビ・ミラ》《ヤミノザビグライド》《巨人の覚醒者セツダン》、《時空のジキル ザビ・ガンマン》と《舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ》がそれぞれ二体ずつ。そして、覚醒リンクした《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》。
マナもほとんど使い切り、遂にニャルラトホテプが攻めに出る。
「まずは《ザビ・ヒドラ》でWブレイク!」
先んじて攻撃を仕掛けてくるのは《ザビ・ヒドラ》。夕陽の二枚のシールドが粉砕される。S・トリガーはない。仮にあったとしても《死海竜》の効果で発動できないが。
「続けて行きますよ! 《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》で攻撃!」
刹那、《死海竜》がおぞましいほどの咆哮を上げる。同時に、《死海竜》の無数の牙が解き放たれた。
「《死海竜》の能力発動! 攻撃時、相手クリーチャーを二体バウンスします! 《インフィニティ・ドラゴン》と《不敗のダイハード・リュウセイ》をバウンス!」
(来た……!)
ここで、夕陽最大のギャンブルが到来する。
バウンスの順番は《インフィニティ》《ダイハード・リュウセイ》の順。バウンスは《インフィニティ》の能力で守ことができるが、仮に呪文でも出ようものならすぐさま消し飛ばされる。
先に《インフィニティ》が除去されれば、次の《ダイハード・リュウセイ》も確実に除去される。また《インフィニティ》が残っても、《ダイハード・リュウセイ》が手札に戻されれば自壊できない。そしてこの二体が守られても、《イニfニティ》の強制的に発動する能力で《ダイハード・リュウセイ》が自壊できなければ、このターンにダイレクトアタックを決められてしまう。
なので最初に二回はドラゴンかファイアー・バード、最後の一回だけは呪文、というのが理想的な流れ、いやさ生き残るための流れだ。
(このデッキに残ってるドラゴンとファイアー・バード以外のカードは、あとたった一枚。その一枚を、このデッキの三枚目で引かなくちゃいけない)
普通に考えれば絶望的な確率になるだろう。だがどれほど分の悪い賭けであっても、生き残る道がそれしかないのであれば、それに賭けるほかない。
「……《インフィニティ・ドラゴン》の能力発動!」
《死海竜》の咆哮を受ける《インフィニティ》。まず最初の能力解決。墓地へと落ちたのは、《エコ・アイニー》。続けて二度目の能力処理。次に落ちたのは《闘龍鬼ジャック・ライドウ》。
「ふぅむ、当たってしまいましたか……まあ確率的には当然ですか、いいでしょう。ですが、問題はここからですよね?」
あくまで夕陽が防いだのは《ダイハード・リュウセイ》の除去だ。《死海竜》の攻撃自体は止まらない。続くダイレクトアタックを止める手立てもない。
ただ《ダイハード・リュウセイ》を破壊できれば生き残れるが、破壊しようにも《インフィニティ》の能力が邪魔で、捲ったカードがドラゴンかファイアー・バード“以外”でなければならない。
「チャンスは残ってしまいましたが、そのチャンスも結局は運任せ。確率で考えれば、あなたが生き残る道は果てしなく狭き門です。さあ《死海竜》、消えゆく希望に縋る少年に、あなたの牙を授けなさい」
ニャルラトホテプの言葉の直後、解き放たれた《死海竜》の牙が夕陽に降り注ぐ。
「ぐ……っ!」
降り注ぐ牙は夕陽のシールドを根こそぎにする。これで夕陽のシールドはゼロ。彼を守るものは、なにもない。
そして、
「これでとどめです! 《ザビ・ミラ》でダイレクトアタック!」
《ザビ・ミラ》が放つ闇の波動が、夕陽に襲い掛かる。シールドもブロッカーもシノビもない夕陽に、その攻撃を防ぐ手立てはない。
「だけど……《ダイハード・リュウセイ》の能力発動! 《ダイハード・リュウセイ》を破壊!」
《ダイハード・リュウセイ》を破壊すれば、ダイレクトアタックを受けても負けはしない。だがそのためには、《ダイハード・リュウセイ》を破壊しなければならない。
ドラゴンが破壊される。だがそこに横槍を入れるのは《インフィニティ・ドラゴン》。
「《インフィニティ》の能力でドラゴン以外が捲れれば、《ダイハード・リュウセイ》を破壊できる」
「あなたのその一枚が引けますかね? 【太陽一閃】同様、あなたも龍と火の鳥に愛されたデュエリストではありますが、その性質が仇となりましたね。あなたが引くのはドラゴンかファイアー・バードですよ?」
「……くっ」
ニャルラトホテプの言葉には、残念ながら反論できない。
夕陽は今まで、このような状況でいつもドラゴンやファイアー・バードを引いてきた。それは事実だ。そうでなくても、このデッキのドラゴンとファイアー・バードの割合から考えて、引けるカードはそれらだろう。
デッキに手を添えたまま、カードを引きあぐねる夕陽。だが、
「夕陽!」
「アポロン……」
「諦めるな!」
デッキから飛び出したアポロンに叱咤される。短い言葉ではあるが、太陽の如く力のこもった声であった。
「ドラゴンもバードも、絶対お前に応える! あいつらを信じろ!」
信じろ、と言われても、出て来て欲しくない状況でそれもどうなのかと思うが、
「……そうだね。《インフィニティ・ドラゴン》の能力発動!」
夕陽は意を決し、山札のカードを捲り上げる。
なにも考える必要はない。今までそうしてきたように、このデッキを信じて、カードを引くだけだ。
そして捲れれたカードは——
——《メンデルスゾーン》だった。
「捲られたのは呪文! よって《ダイハード・リュウセイ》を破壊! 《ダイハード・リュウセイ》の能力発動!」
このターン、夕陽は負けない、不敗の存在となる。
《ザビ・ミラ》の波動は夕陽に直撃……するが、夕陽を包む淡い炎に取り込まれ、消えてゆく。
「……まだ来るか?」
「むむっ……あまり調子に乗らないでくださいよ。たかだか一度とどめを防がれた程度では、私の優位は揺るぎませんからね」
ニャルラトホテプの場にはブロッカーもいる。これらの防御網を突破しつつとどめまで持っていくのは難しいだろう。
「とりあえずここは安全運転です。《セツダン》で《GENJI》に攻撃、相打ちに!」
《セツダン》が《GENJI》に攻撃を仕掛け、相打ちとなり共に破壊される。ブロッカーを削られることを恐れてのことだろう。
「ターン終了です」
「なら、僕のターンだ」
デッキに手を置き、ゆっくりとカードを引く夕陽。引いてきたカードは、見るまでもない。
「夕陽! 来たぜ!」
「ああ、よく来てくれたよ、アポロン」
まだデフォルメ状態で実体化するアポロン。ブロッカーは多いが、突破口が見えてくる。
「シールドブレイクで手札も増えたし、一気に行くよ! まずは《コッコ・ルピア》を召喚! 続けて《ボルシャック・NEX》を召喚! 二体目の《コッコ・ルピア》を出して、《ボルバルザーク・エクス》も召喚!」
連続でファイアー・バードとドラゴンを並べ、《ボルバルザーク・エクス》でマナを回復。しかも《コッコ・ルピア》が二体いる状態で、だ。
「《ポップ・ルビン》を召喚! 《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を召喚! 山札から《鬼カイザー「滅」》をサーチしてそのまま召喚!」
大幅なコスト軽減から何体ものドラゴンが並ぶ。そしてこのドラゴンたちは、神話の神の糧となる。
「さあ、出番だよ! 《コッコ・ルピア》二体と《ボルシャック・NEX》を進化元に!」
二体の火の鳥と、一体の龍が炎の渦に包まれた。
「天空と閃光の太陽、受け継ぎし力を今ここに! 神々よ、調和せよ! 進化MV!」
そこに夕陽の放ったカードがその渦の中に飲み込まれ、三体のクリーチャーを取り込み、その姿を具現する。
——太陽の如く。
「——《太陽神話 サンライズ・アポロン》!」