二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.403 )
- 日時: 2015/08/16 04:29
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
太陽神話 サンライズ・アポロン 火文明 (6)
進化クリーチャー:メソロギィ/ファイアー・バード/アーマード・ドラゴン 15000
進化MV—自分のファイアー・バード1体と火文明のクリーチャー2体を重ねた上に置く。
コンセンテス・ディー(このクリーチャーの下にある、このクリーチャーと同じ文明のクリーチャーのコストの合計を数える。その後、その数字以下の次のCD能力を得る)
CD6:自分のバトルゾーンにあるファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。
CD9:このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せてもよい。そのカードがファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。
CD12:このクリーチャーが攻撃する時、自分のマナゾーンにあるドラゴン、ファイアーバード、火文明のクリーチャーをそれぞれ1体ずつ選び墓地に置いてもよい。そうした場合、このクリーチャーは次の自分のターンの初めまで、パワー+15000され、「ワールド・ブレイカー」を得、相手はこのクリーチャーを選ぶ時、自分自身のマナゾーンにあるカードをすべて墓地に置く。
T・ブレイカー
爆炎の中から顕現するのは、神話となりし太陽の神。一閃の光を放ち、空高く昇天する、《太陽神話》——《太陽神話 サンライズ・アポロン》だ。
「……《アポロン》」
『この姿でも、久し振りだな、夕陽』
《アポロン》は、もはや小さな少年の姿ではなく、勇猛果敢な青年のような姿をしていた。その声も勇ましく、そして凛々しい。
「……やってくれるか、《アポロン》?」
『当然だ。俺はそのためにここにいるし、お前はそのために俺を呼んだんだろう?』
《アポロン》は背中の翼を羽ばたかせ、火の粉を散らす。
『行くぞ夕陽。ここはひまりの大切な場所だ。そこに土足で踏み入るあいつをぶっ飛ばす!』
「……ああ!」
力強く発せられる《アポロン》の言葉に、夕陽の最大限の力で応える。
現在、夕陽のシールドはゼロ、対するニャルラトホテプのシールドは二枚。
夕陽のバトルゾーンは《超天星バルガライゾウ》《インフィニティ・ドラゴン》《ボルバルザーク・エクス》《ポップ・ルビン》《偽りの名 バルキリー・ラゴン》《鬼カイザー「滅」》そして《太陽神話 サンライズ・アポロン》。
ニャルラトホテプのバトルゾーンには《凶星王ザビ・ヒドラ》《復活の祈祷師ザビ・ミラ》《ヤミノザビグライド》に、《時空のジキル ザビ・ガンマン》《舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ》が二体ずつ、そして《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》がいる。
「まずは《鬼カイザー「滅」》で攻撃! その時《鬼カイザー「滅」》の能力発動で、お前のサイキック・クリーチャーを一体破壊する! 《ザビ・ガンマン》を破壊!」
「ならば《ユリア・マティーナ》でブロックです!」
《鬼カイザー「滅」》の咆哮で《ザビ・ガンマン》は消滅し、《ユリア・マティーナ》も消し飛んだ。
「《ユリア・マティーナ》の効果で、シールドを追加……!」
一枚シールドを追加し、シールドが三枚になるニャルラトホテプだが、
「続けて《アポロン》で攻撃! 能力発動! コンセンテス・ディー9!」
『俺が攻撃する時、山札の一番上を捲り、それがファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーいずれかであれば、そのままバトルゾーンに出せる! 来い《フレイムバーン・ドラゴン》!』
《アポロン》の能力で捲られたのは、《フレイムバーン》。能力で《ザビ・ガンマン》が吹き飛ぶ。
「パワー負けする恐れのある《ザビ・ガンマン》を狙い撃ちとは……いくらシールドが増えても関係ないってことですか。《ユリア・マティーナ》でブロック!」
これでシールド四枚。だが、確かにこれでは意味はなさそうだ。
「次はコンセンテス・ディー6!」
『俺たちの場の、ファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーはすべてスピードアタッカーだ!』
「というわけで《ポップ・ルビン》のタップ・トリガー! 《アポロン》をアンタップ!」
《ポップ・ルビン》をタップし、代わりに《アポロン》が起き上がった。これで再び攻撃することができる。
「《アポロン》で攻撃! そしてコンセンテス・ディー12!」
『マナゾーンのファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーをそれぞれ一体ずつ墓地へ! そうすれば俺はパワーがプラス15000、選ばれればマナゾーンを焼き尽くす、ワールド・ブレイカーだ!』
《アポロン》の周りで旋回する小型太陽が勢いを増す。その力を受けた《アポロン》の放つ熱線は、凄まじい破壊力でニャルラトホテプへと飛んでいく。
「《ヤミノザビグライド》でブロック……!」
「《アポロン》の能力で山札からもう一体《ポップ・ルビン》をバトルゾーンに! 《ボルバルザーク・エクス》と《バルキリー・ラゴン》でそれぞれWブレイク!」
夕陽たちの勢いは止まらない。もうニャルラトホテプのバトルゾーンにブロッカーはおらず、二体のドラゴンが彼女のシールドを叩き割る。
「《ポップ・ルビン》のタップ・トリガーで、《アポロン》をアンタップ! 今度こそ行くぞ!」
『ああ!』
《アポロン》が飛翔する。同時に、再び周りの小型太陽が高速旋回を始め、その生み出されるエネルギーをひたすらに《アポロン》へ注いでいく。
ニャルラトホテプの場にはもう、ブロッカーがいない。シールドもゼロ。手札にシノビもいない。もはやどのような攻撃であっても、防ぐことができない。
《アポロン》は頭上に浮かぶ、周囲のものよりも一回り大きな太陽から、炎を受け取る。その炎を注がれたエネルギーにより膨張させ、爆炎とする。
『うおぉぉぉぉぉ!』
天高く飛翔した《アポロン》は、雄叫びを上げ、爆炎を巨大で絶大な波動として、凄まじい熱線を解き放つ。
「《太陽神話 サンライズ・アポロン》で、ダイレクトアタック——!」
神話空間が閉じられる。中から出て来たのは、全身ズタボロの少年と、全身焼け焦げた女の二人。どちらも傷を負っているが、明らかに大きなダメージを受けているのは女の方だった。
「かふっ……マジで死ぬかと思いました、『神話カード』でとどめ刺すとか、なに考えてるんですか……それにしても、やはり《太陽神話》、侮るなかれ、ですね。この身体ではダメでしたか、というより、この身体はもうダメそうです……早く新しい人を見つけないと」
ぶつぶつと非難がましいことも述べながら、息も絶え絶えにになって呟くニャルラトホテプ。木の幹に手を着き、本当に苦しそうだった。
「とにかく、流石にこれ以上戦うことも出来そうにないので、ここはさっさと逃げた方が良さ気……では、『昇天太陽』さん。また機会があれば、お会いしましょう」
夕陽の言葉など待たずに、ニャルラトホテプは転げ落ちるように山を下り、あっという間に逃げ去ってしまった。とはいえ夕陽も追いかけるつもりは毛頭ないが。
「……勝った、か」
『ああ、やったな、夕陽』
気付けば、そこにはまだ青年の姿の《アポロン》がいた。
「《アポロン》……お前、神話空間にいないでその姿のままでも実体化できるのか?」
『力の余剰分が残っていればな。もうすぐコンセンテス・ディー・ゼロに戻る。久し振りにこの姿になったから疲れた、やっぱりまだこちらの世界での実体化に慣れていないな』
と言うや否や、《アポロン》は炎に包まれていき、小さなアポロンが現れた。
「あ、戻った」
「力が切れちまったんだ。この姿でいるのも、少し辛いぜ……」
ふぅ、と溜息を吐くアポロン。
「……まぁ、それでも勝ってよかったな、夕陽!」
「ああ、そうだね」
夕陽はアポロンと、先ほど使ったデッキを見遣る。
「……アポロン、これからも、よろしく頼む。僕はひまり先輩の遺志を継ぐ。そのためにはお前の力が必要だ」
「ひまりの、敵討ちをするってことか?」
「違う」
アポロンの言葉を、夕陽は即座に否定した。
敵を討ちたい、ジークフリートに対する恨みというのも勿論、夕陽にはある。しかしそれは、ひまりの望んでいることではない気がする。
「ジークフリートは、いつか絶対に倒す。でも、先輩の遺志はそうじゃないと思うんだ。あの人が残してくれたものは、あの人の仇を討つためだけじゃ、ない気がする」
「じゃあ、なんだ……?」
「僕にも分からない。それは、これから少しずつ理解していくしかないよ」
だけど、と夕陽は続け、
「一つだけはっきりしていることがある。先輩がどんなことを思っても、それは僕一人じゃ成し遂げられないはず。このみや、光ヶ丘や、御舟や流、そしてお前が必要なんだ——《アポロン》」
真摯な夕陽の言葉。アポロンは少しだけ黙ったが、答えなんて決まり切っている。
「……あぁ、だったらとことん付き合ってやる! オイラの所有者は夕陽だ! 必要とされているなら、オイラの力、いくらでも使ってくれ!」
「ありがとう……じゃあ、とりあえず山を下り——」
夕陽が一歩踏み出したその時。
——夕陽の身体が、崩れ落ちた。