二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.412 )
日時: 2014/02/19 16:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 手札に入れた《ネプトゥーヌス》を山札に戻されてしまった流。だが、手札が入れ替えられたので違う手を打つことができる。
「呪文《ドンドン吸い込むナウ》。山札の上から五枚を見て、《母なる星域》を手札に加える。自然のカードが手に入ったので、《アクア・アタック<BAGOOON・パーンツァー>》をバウンスだ」
「また戻されちゃったよ」
 流のデッキは、挙動こそ違うものの、バウンス系のカードが多い。時間稼ぎにしかならないバウンスも、サイキック・クリーチャー相手なら効果的だ。
「さらに《電脳決壊の魔女 アリス》を召喚し、三枚ドロー。手札二枚を山札の上に戻し、ターン終了」
 布陣を固めていく流。《ネプトゥーヌス》は山札に戻されたが、まだ流の優勢は変わっていない。
「うーん、どうしょ。とりあえずG・ゼロで《妖精の裏技ラララ・ライフ》を発動してマナを加速させるね。さらに《超次元フェアリー・ホール》で《エイリアン・ファーザー<1曲いかが?>》をバトルゾーンに!」
 マナを増やしつつ、サイキックを呼び出すハスターは、さらに、
「続けて《超次元ドラヴィタ・ホール》! 墓地の《ラララ・ライフ》を回収して、超次元ゾーンから《マザー・エイリアン<よろこんで>》をバトルゾーンに!」
「っ、二体のサイキック・セルが揃った……!」
 これでは次のターンに覚醒リンクされてしまう。
 だが流の手札には除去カードがある。片方だけでもバウンスできれば、問題ない。そう思っていたが、
「まだまだ! さっき回収した《ラララ・ライフ》をもう一度G・ゼロで発動! マナを追加して、次は《超次元エクストラ・ホール》! 僕の墓地のカードを二枚デッキに戻して、《時空の喧嘩屋キル》をバトルゾーンに!」
「なんだと……!?」
 呼び出されたのは、よりによって《キル》。サイキック・クリーチャーにバウンス耐性をつけられてしまい、除去できない。
「くっ、まずい……!」
 カードをドローする流。しかし、サイキックを除去できるカードはない。
「……せめて、ブロッカーだけでも出しておくか。《アクア・スーパーエメラル》を召喚。手札を入れ替え、《キング・ケーレ》を召喚、《N・ワールド》をバウンス」
 さらに、今更手遅れな感はあるが、ここで流は攻め込む。
「《青銅の鎧》と《プロメテウス》でシールドをブレイク、ターン終了だ」
「……うん、じゃあぼくのターンでいいんだね?」
 ニヤリと微笑むハスター。
 ハスターのターンが訪れる。その瞬間、彼の場の二体のエイリアン、異次元の星の父と母が、光に包まれる。
「覚醒せよ、そしてリンクせよ! 《エイリアン・ファーザー<1曲いかが?>》《マザー・エイリアン<よろこんで>》を覚醒リンク!」

「——《魅惑のダンシング・エイリアン》!」


魅惑のダンシング・エイリアン 光/水/闇/火文明 (20)
サイキック・スーパー・クリーチャー:エイリアン 12000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のエイリアンを好きな数破壊してもよい。こうして破壊したエイリアン1体につき、相手のシールドをひとつ選んで持ち主の墓地に置く。
T・ブレイカー


 二体の父母は、一体となる。
 その姿は、愛し合うエイリアンの父と母による舞踊。この二体が舞い踊る時、エイリアンの内なる力が爆発し、敵を根絶やしにするのだ。
「《ダンシング・エイリアン》……だが、お前の場にエイリアンはいない」
 流の言う通り、ハスターの場にいるのは、他には《コートニー》とついさっき覚醒したばかりの《セツダン》だけだ。
 確かに《魅惑のダンシング・エイリアン》は強い、だが場にエイリアンがいなくては意味がない。
 しかし、
「心配しないで、お望み通りこれから出すよ。まずはマナ爆誕0で《陰陽の舞》を召喚!」
 マナゾーンからクリーチャーが飛び出す。だがそれも、エイリアンではない。
 マナ爆誕とは、端的に言えばマナゾーンからクリーチャーを召喚する能力だ。マナ爆誕持ちのクリーチャーは、マナ爆誕で召喚するためのコストを払うことで、マナゾーンから召喚できる。
 《陰陽の舞》のマナ爆誕のコストは0。つまりマナゾーンからタダで出せるわけだが、当然代償もある。この効果で召喚した場合、マナゾーンの自然のカードを一枚墓地に置かなければならないのだ。とはいえハスターのマナも結構溜まっているので、今更一枚削れたところで大した痛手にはならないだろうが。
「《陰陽の舞》……?」
 それよりも流が意識を向けるのは、《陰陽の舞》。この局面でそんなクリーチャーを出す理由が分からない。確かにマナゾーンのカードを一枚削るだけで出せるので便利だが、ビートダウンするわけでもなくエイリアンでもない。いまいちその登場の意義が見出せないでいた。
 だが、ハスターの場と今まで使用したカード、そしてマナゾーンのカードにふと目線を遣り、即座に理解する。
「《コートニー》《ラララ・ライフ》……! まさか……!」
「あ、気付いた? って言っても、気付くの遅すぎだけどね。っていうか君って、意外と井の中の蛙だよね。いや、単に無知なだけかな? このコンボ、かなり有名なんだけどなー」
 などと言いながら、ハスターは手札のカードを一枚、抜き取る。
「呪文《ヒラメキ・プログラム》。破壊するのは《陰陽の舞》だ」
 《陰陽の舞》はコスト5、なので山札から現れるのは、コスト6のクリーチャー。
「《サイバー・N・ワールド》はもう出しちゃったから、このデッキにあるコスト6のクリーチャーはあと一種類だけ。さあ、常勝の力を閃け! 《常勝ディス・オプティマス》!」


常勝ディス・オプティマス 光/水文明 (6)
クリーチャー:グレートメカオー/エイリアン 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スペース・チャージ:光/水
SC—光:呪文を1枚、自分の墓地から手札に戻す。
SC—水:自分のシールドを1枚、手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。その後、自分の手札を1枚裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加える。
W・ブレイカー


 《ヒラメキ・プログラム》で現れたのは、常勝と言われたエイリアンの名軍師《ディス・オプティマス》。このクリーチャーは強力なスペース・チャージ能力を持つ。
 光のカードがマナに置かれれば、墓地の呪文を回収。水のカードがマナに置かれれば、手札とシールドを入れ替えられる。この二つの能力を組み合わせれば、一度使用したS・トリガー呪文を再びシールドの仕込み、唱えることができるのだ。
 だが、ハスターはそんな受動的な使い方はしない。もっとアグレッシヴで、派手な使い道を選ぶ。
「最後はこれで仕上げだ! 《カラフル・ダンス》!」
 最後に唱えるのは、《カラフル・ダンス》だ。
「山札の上からカードを五枚マナゾーンへ! その後マナゾーンのカードを五枚墓地へ!」
 これで最大5マナ回復できるハスター。しかし、やはり彼が狙っているのは、そんな小さなことではない。
 ここで重要なのは、マナゾーンに置かれる五枚のカードはすべて、《薫風妖精コートニー》の能力ですべての文明を持っている、ということだ。
 スペース・チャージは多色カードを用いれば、一度に複数の能力を発動できる。だが今は、シールドの入れ替えなど必要ない。必要なのは、呪文の回収だった。
「《コートニー》のお陰でぼくがマナゾーンに置くカードはすべて全文明になる。つまりどんなカードが置かれても《ディス・オプティマス》のスペース・チャージが発動するのさ。というわけで、《カラフル・ダンス》でマナゾーンにカードが五枚落ちたから《ディス・オプティマス》のスペース・チャージを五回発動! 《カラフル・ダンス》で墓地に送った呪文を五枚回収!」
「っ……!」
 嫌な予感しかしない。そしてその予感は、十割以上の確率で、的中する。
「さらに、そのまま回収した《ラララ・ライフ》をG・ゼロで発動! マナを追加するよ。そしてこの時《ディス・オプティマス》のスペース・チャージが発動して、《ラララ・ライフ》を回収。もう一回、G・ゼロ! 《妖精の裏技ラララ・ライフ》!」
 分かっただろうか。
 《コートニー》と《ディス・オプティマス》そして《ラララ・ライフ》。
 この三枚のカードを組み合わせるだけで、ハスターは無限にマナを増やすことができる。
 まず《コートニー》の能力でマナに置かれるカードはすべての文明となる。《ディス・オプティマス》が場にいる状態で、場にはスノーフェアリーの《コートニー》がいればG・ゼロでコストを支払わず《ラララ・ライフ》を唱えられる。こうしてマナゾーンに置かれたカードは光文明でもあるので、《ディス・オプティマス》のスペース・チャージが発動し、《ラララ・ライフ》を回収する。そして再び《ラララ・ライフ》を唱える、というループコンボとなる。
「なんて奴だ……!」
 流は、ただただ見つめるしかなかった。
 ハスターが、自分を殺しにかかる準備を整える様を。