二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.420 )
- 日時: 2014/02/20 15:59
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「行くよっ! あたしのターン!」
このみと葵のデュエル。
「《ヤッタレ・ピッピー》でコストを1下げて、《斬込の哲》召喚! 効果で1マナ加速させるよ!」
まだターンもあまり進んでいない。このみは2マナ溜まった時点で《ヤッタレ・ピッピー》を召喚し、続くこのターンで《斬込の鉄》も召喚する。ここまでで、葵はまだマナチャージしかしていない。
「攻めるよ! 《ヤッタレ・ピッピー》でシールドをブレイク!」
すぐさま攻撃。シールドをブレイクし、先手を取った。
「……私のターン。呪文《ガチンコ・ルーレット》!」
葵が使用するのは、流もよく使っていたマナ加速呪文《ガチンコ・ルーレット》。
「マナを追加し、ガチンコ・ジャッジです!」
葵が捲ったのはコスト6《無敵城シルヴァー・グローリー》、このみはコスト2《無頼勇騎タイガ》。
「ガチンコ・ジャッジに勝利したので《ガチンコ・ルーレット》を手札に戻し、G・ゼロで《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》を召喚します。ターンエンド」
速攻気味のこのみに対し、葵のデッキは起動が遅いのか、マナ加速しつつブロッカーを並べるだけでターンを終えた。
「このみちゃんのデッキは、ハンター軸のステロイド? 見た感じ、速攻寄りのビートダウンに見えるけど……」
意外と普通というか、このみらしいデッキで安心した。序盤の動きも悪くないので、このまま攻められればこのみが勝つかもしれない。
「ならあたしは、《俊足の政》を召喚! 山札の上から五枚を見て……《ザーク嵐》を手札に加えるよ」
クリーチャーを並べつつ、手札を補充して後続へと繋げようとするこのみ。
勿論、攻撃も忘れていない。
「《斬込の哲》で攻撃、シールドブレイク!」
「《ブラッディ・シャドウ》でブロックです」
「え?」
真っ先に攻撃してきた《斬込の哲》を、《ブラッディ・シャドウ》で相打ちに取る葵。
そのプレイングに、姫乃は声を上げる。
「じゃあ《斬込の哲》は破壊される代わりにマナゾーンに行くよ。さらに《ヤッタレ・ピッピー》でシールドをブレイク!」
破壊される《斬込の哲》は効果でマナゾーンへ。続けて《ヤッタレ・ピッピー》が二枚目のシールドを突き破る。
「なんで向田さんは《斬込の哲》をブロックしたんだろう……」
破壊されても《斬込の哲》はマナに行ってしまう。しかも場にブロッカーがいなくなるので、次の《ヤッタレ・ピッピー》の攻撃を牽制することもできない。葵の場にはもうクリーチャーがいないので、殴り返しもできない。
このみは特に気にしていないようだが、姫乃はそのプレイングに疑問を覚える。だがその答えは、次の葵のターンで明らかになった。
「私のターン、呪文《超次元リバイヴ・ホール》で墓地の《ブラッディ・シャドウ》を回収します。そして開け、超次元の門。《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》をバトルゾーンに!」
時空の凶兵ブラック・ガンヴィート 闇文明 (7)
サイキック・クリーチャー:デーモン・コマンド 5000
B・ソウル
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のタップされているクリーチャーを1体破壊する。
覚醒—相手のターンの終わりに、相手の手札が1枚もなければ、このクリーチャーをコストの大きいほうに裏返す。
現れたのは、超次元の力を得た《ガンヴィート》。時空を超えることで、新たな力に目覚めている。
「《ブラック・ガンヴィート》の能力発動、あなたのタップされているクリーチャー、《ヤッタレ・ピッピー》を破壊します!」
「っ……!」
《ブラック・ガンヴィート》の斬撃から放たれる衝撃波で、《ヤッタレ・ピッピー》が両断され、破壊される。
「さらにG・ゼロで《ブラッディ・シャドウ》を召喚し、ターンエンドです」
前のターン、葵が《斬込の哲》をブロックしたのは、このターン《ブラック・ガンヴィート》で《ヤッタレ・ピッピー》を破壊するためだった。しかも《リバイヴ・ホール》で《ブラッディ・シャドウ》も回収できたので、無駄がない。
先まで読んだプレイング。なんとなく空気で分かっていたが、向田葵というクラスメイトは、思っていた以上に強い。傍から見ているだけの姫乃でも、それはひしひしと感じられた。
一方、当の対戦相手であるこのみは、そんなことなど関係ないとでもいうような表情をしている。
「《ヤッタレ・ピッピー》が破壊されたのは痛いけど……あたしにはこの子がいるんだ!」
このみは今しがた引いてきたばかりのカードを掲げ、叫ぶ。さらにそのまま、そのカードを《俊足の政》の上に重ねて置いた。
「これがあたしの新エースだよ! 《俊足の政》進化! 《スーパー大番長「四つ牙」》!」
スーパー大番長「四つ牙」(クワトロ・ファング) 自然文明 (6)
進化クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 9000
進化—自分のビーストフォーク1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を自分のマナゾーンに置いてもよい。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を自分のマナゾーンに置いてもよい。
W・ブレイカー
《俊足の政》が進化したのは、純白の毛皮に覆われた獣の狩人。かの《大勇者「ふたつ牙」》がハンターとしての力を得た姿《スーパー大番長「四つ牙」》だ。
「まず《「四つ牙」》が場に出た能力で2マナ追加! 続けて《「四つ牙」》で攻撃、さらに1マナ追加!」
たった一体のクリーチャーで、3マナも加速してしまったこのみ。このターンのマナチャージも含めると4マナだ。
「Wブレイク!」
「その攻撃は《ブラッディ・シャドウ》でブロックします」
流石にWブレイクは受けられない。葵は《ブラッディ・シャドウ》で《「四つ牙」》の攻撃を防ぐ。
「じゃあこれでターン終了っ」
「手札は……一枚残っていますね」
《ブラック・ガンヴィート》を意識してなのかは分からないが、手札が残っていては覚醒できない。
「……では、私のターンですね。《ガチンコ・ルーレット》を唱えます」
マナを追加し、ガチンコ・ジャッジ。
葵はコスト4《邪魂創生》、このみはコスト2《ヤッタレ・ピッピー》。
ガチンコ・ジャッジに勝ったので《ガチンコ・ルーレット》を手札に戻しつつ、葵はさらに手札から二体のクリーチャーを召喚。
「《死神獣ヤミノストライク》を召喚、さらにG・ゼロで《ブラッディ・シャドウ》も召喚し、ターンエンド」
見ればわかるだろうが、葵のデッキは超次元も絡めたコントロールデッキ。殴れるからといって不用意に攻撃したりはせず、ターンを終える。
「あたしのターン! 《隻眼の鬼カイザー ザーク嵐》を召喚!」
隻眼の鬼カイザー ザーク嵐 火文明 (7)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からハンターをすべて手札に加え、その後、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
《ザーク嵐》の能力で、旋風が巻き起こり、このみのデッキの上三枚が捲られる。捲られたのは《若頭 鬼流院 刃》《堀師の銀》《アパッチ・ヒャッホー》の三枚。
「やった! 三枚ともハンターだから、全部手札に加えるよ! そんでもって《「四つ牙」》で攻撃! マナを追加してWブレイク!」
「っ……《ブラッディ・シャドウ》でブロック!」
止まらないこのみの勢い。なんとかブロッカーで粘っているが、それもそろそろ限界だろう。
マナは大量にあり、《ザーク嵐》で手札補充までしている。勢いに乗ったこのみを止めるのは至難の業だ。あの汐ですら手が付けられなくなる。
「このままだと、このみちゃんが勝ちそうだね」
「まだ分からないんですの。葵様も、マナと手札が多いんですの。逆転の可能性もあるんですの」
「このみー、がんばれー!」
観客三名は思い思いのことを口にしながら、デュエルの行く末を見守る。
「私のターン」
葵のターン。彼女は引いてきたそのカードを見て、少しだけ反応を示す。
そして、そのカードを使用した。
「……呪文《邪魂創生》。《ヤミノストライク》を破壊して三枚ドローします」
クリーチャー一体と引き換えに、三枚の手札を補充する葵。だが破壊したのは《ヤミノストライク》だ。タダでは死なない。いやさ、ただ死ぬだけではない。
「《ヤミノストライク》の破壊時能力発動! 手札からコスト7以下のデーモン・コマンドをバトルゾーンに!」
葵は先ほど《邪魂創生》で三枚もの手札を補充している。もしその中に、コスト7以下のデーモン・コマンドがいるとしたら——
そんな想像の通り、葵は最後に引いた三枚目のカードを、《ブラック・ガンヴィート》に重ねた。
「《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》進化! 《偽りの悪魔神 バロム・ミステリー》!」