二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.429 )
日時: 2014/03/26 20:54
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽とささみのデュエル。
 夕陽のシールドは五枚、場には《コッコ・ルピア》と《エコ・アイニー》。
 一方ささみのシールドも五枚、場には《一撃奪取 ブラッドレイン》《閻魔王子 クーマン》の二体がいる。


閻魔(ヘル)王子(プリンス) クーマン 闇文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 4000
このクリーチャーが攻撃する時、相手は自身の手札を1枚選び、捨てる。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「閻魔」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「クーマン」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「あたしのターンよ。《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》を召喚!」


突撃奪取(ロケットダッシュ) ファルコン・ボンバー 火文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジ 3000
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、そのターン、バトルゾーンにある自分の他のクリーチャー1体は「スピードアタッカー」を得る。


「スピードアタッカー……」
 しかもただのスピードアタッカーではない。《ファルコン・ボンバー》は、攻撃と同時に味方一体をスピードアタッカーにするアウトレイジだ。
 なにか嫌な予感がする。そんな夕陽の予感は、不幸なことに的中した。
「《閻魔王子 クーマン》で攻撃! そしてアタック・チャンス発動よ! 《EXカツトンファー》!」


EX(エグザイル)秘伝カツトンファー 火文明 (4)
呪文
アタック・チャンス—エグザイル・クリーチャー
このターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体のパワーは+6000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。そのクリーチャーがこのターン攻撃した場合、攻撃の後、そのクリーチャーを破壊してもよい。


「っ、やば……!」
 単純にブレイク数やパワーが上がるだけでも強力な呪文なのだが、このカードの真意はそこではない。
 エグザイル・クリーチャーのアタック・チャンスで唱えられたこの呪文の対象に選ばれるのは《クーマン》。《クーマン》はエグザイル秘伝のトンファーを構え、夕陽のシールドを二枚、叩き割った。
「まずは《クーマン》の能力発動! 手札を一枚捨てなさい」
「くっ……」
 夕陽は渋々手札のカードを墓地へ。さらに、これだけでは終わらない。
 《カツトンファー》の能力を得たクリーチャーは、攻撃後に破壊することができる。普通はクリーチャーを破壊しても、場数が減り、デメリットになるだけだが、エグザイル・クリーチャーの場合は話が変わってくる。
「《カツトンファー》の能力で《クーマン》を破壊! そして——」
 《クーマン》が破壊される。だがその命は、新たな身体を得て蘇るのだ。

「——ドロン・ゴー! 《百仙閻魔 マジックマ瀧》!」


百仙(バイト)閻魔(ヘル) マジックマたき 水/闇文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。このターン自分のアウトレイジはブロックされない。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「百仙」または「閻魔」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「マジックマ瀧」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「出やがった……!」
 薄々感づいてはいたが、遂に現れてしまった《マジックマ瀧》。巨大な熊が直立した、海賊か奇術師のような意匠。左手に持つ銛のような三叉の槍は、鋭く煌めいている。
 いつか汐も使用していたエグザイル・クリーチャーは、名前に共通の冠詞を持つクリーチャーが複数存在しており、破壊されるとドロン・ゴーという能力で同じ名称を持つエグザイルに転生することができる。
 そして《閻魔王子 クーマン》がドロン・ゴーしたのが、この《百仙閻魔 マジックマ瀧》だ。
「《瀧》はアタックトリガーが強烈だけど、スピードアタッカーじゃないから攻撃までにタイムラグがある。でも……」
 夕陽は、このターン召喚されたクリーチャーを見遣る。
「次よ! 《ファルコン・ボンバー》でシールドブレイク! その時、能力発動で《瀧》をスピードアタッカーに!」
「やっぱりか……!」
 アタックトリガー発動までにタイムラグがあるのなら、その隙を消してしまえばいい。それはどうすればいいのか。簡単だ、スピードアタッカーにしてしまえばいいのだ。
「さあ次! 《マジックマ瀧》で攻撃!」
 《ファルコン・ボンバー》の能力で、《マジックマ瀧》がスピードアタッカーを得た。これでこのターン、攻撃可能になる。そして、
「《瀧》の能力発動! あなたの手札を二枚墓地へ!」
 アタックトリガーによる二枚ハンデス。かの凶悪なプレミアム殿堂カード《スケルトン・バイス》を彷彿とさせる手札破壊だ。
 《マジックマ瀧》の右手が伸び、夕陽の手札を二枚、握り潰してしまう。
「そしてWブレイク! これであなたのシールドはゼロよ!」
「ぐぁ……!」
 続けて鋭い槍の一突きで、夕陽のシールドがすべて砕け散った。これでシールドはゼロ、しかし彼女の場にはまだ《ブラッドレイン》がいる。
「これでとどめよ! 《ブラッドレイン》でダイレクト——」
「待てよ」
 ささみが《ブラッドレイン》に手をかけた瞬間、夕陽はそれを制す。
「S・トリガー発動《黒神龍オドル・ニードル》だ。君のダイレクトアタックは通らない」
「……運がいいわね。だったら《ブラッドレイン》で《オドル・ニードル》に攻撃して、共に破壊するわ」
 ささみは《ブラッドレイン》で《オドル・ニードル》に道連れにされる。
 しかし、彼女には《ファルコン・ボンバー》と《マジックマ瀧》、二体のクリーチャーが残っているのだ。
「あたしのターンはこれで終わりよ。まあ、次のターンにはこのデュエルが終わるだろうけど」
 勝ち誇ったようにターンを終えるささみ。事実、今の盤面はささみ優勢、ここから巻き返すのは難しいだろう。
 だが、
「……この程度の逆境なら、大したことないな」
 夕陽は、ふっと呟く。
 こちらも、勝ち誇った笑みを浮かべながら。



 姫乃とうさみのデュエル。
 姫乃のシールドは五枚、場には《ハッチャキ》のみ。
 うさみのシールドも五枚、場には《一撃奪取 ケラサス》《羊頭駆逐 パール》の二体。
「わたしのターン」
 姫乃はカードを引きつつ、場を確認する。


羊頭駆逐(メリメリ・メリー) パール 光文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジ 1000+
自分のシールドが5つ以上あれば、このクリーチャーのパワーは+5000され、「W・ブレイカー」を得る。


(……《パール》の能力は、シールドが五枚以上の時に発動する。序盤からパワー6000のWブレイカーはちょっときついし、ここは少しだけ攻めておこう)
 次に手札のカードに視線を落としてから、姫乃は《ハッチャキ》に手をかける。
「《封魔聖者シャックル・アーマ》を召喚。そして《ハッチャキ》で攻撃! その時、効果で手札から《知識の精霊ロードリエス》をバトルゾーンに! そしてシールドブレイク!」
 出て来た《ロードリエス》の効果で手札も増やしつつ、うさみのシールドを一枚ブレイクする。これでうさみのシールドは四枚となり《パール》の能力は発動しない。
 だが、割られたシールドは、光の束となって収束する。
「っ、ご、ごめんさいっ! S・トリガー発動ですっ! 《秘拳カツドン破》!」


秘拳カツドン破 火文明 (7)
呪文
S・トリガー
コスト7以下のアウトレイジを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そうした場合、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、この2体をバトルさせる。その後、そのアウトレイジを破壊する。


「手札から《極太茸 菌次郎》をバトルゾーンに出して、《ハッチャキ》とバトル、させますっ!」


極太(ゴンブト)茸(マッシュ)菌次郎 自然文明 (3)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 2000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンにおいてもよい。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「極太」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「菌次郎」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 《菌次郎》も《ハッチャキ》もパワーは同じ、相打ちで共に破壊される。
 だが《菌次郎》はただでは破壊されない。《菌次郎》もまた、エグザイル・クリーチャーなのだ。死してもその魂は生き残り、新たな姿となって転生する。
「《菌次郎》が破壊されたので、えっと、すみません——」
 破壊された《菌次郎》。だがその命は、蘇る。

「——ドロン・ゴー! 《極太陽 シャイニング・キンジ》!」


極太陽(ゴンブト)(トレジャー) シャイニング・キンジ 光/自然文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から1枚を裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加え、もう1枚をマナゾーンに置く。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「極太」または「太陽」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「シャイニング・キンジ」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「わわ……っ」
 不幸にも踏んでしまったS・トリガーから現れたエグザイル《シャイニング・キンジ》。
 武人か冒険家のような意匠。盾と一体化した巨大な鍬、両脚から飛び出すのは、脚部を守るシールド。
 これが《極太茸 菌次郎》がドロン・ゴーした姿、《極太陽 シャイニング・キンジ》だ。
「で、では、わたしのターン、です。《キンジ》で攻撃しますっ!」
 その時、《シャイニング・キンジ》の能力が発動する。
「山札の上から二枚を見て、一枚をシールドに、一枚をマナゾーンに、置きます。そしてWブレイク、です。ごめんなさいっ!」
 ぺこぺこと謝るうさみとは対照的に《シャイニング・キンジ》は勢いよく鍬を振りかぶり、姫乃のシールドを二枚、容赦なく剥ぎ取る。
「そして、《キンジ》の効果でわたしのシールドが五枚に回復したので、《パール》もパワーが5000アップし、Wブレイカーです……こちらでも、すみません、Wブレイクですっ!」
「うぅ……っ!」
 1ターンで四枚ものシールドを失ってしまった姫乃。だが一方で、うさみのシールドはこれからも増え続けるだろう。
「でも、まだ……!」
 しかし姫乃は諦めない。
 このデュエルがなんのため、などということではない。気持ちの問題だ。ここで挫けていられはしないのだ。
 姫乃は気を強く持ち、収束する光を掴む。