二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.438 )
- 日時: 2014/02/23 11:23
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「すまない、負けてきた」
「いえ、大丈夫です。ノープロブレムです」
二戦目の流も負け、次は中堅、汐が出て来た。
「分かってはいたのですが、先輩との一戦、そしてこのみ先輩と水瀬さんとの二戦ではっきりしたです。やはりあの人は、アウトレイジの使い手ですね」
ならば、と汐はいつもと違うデッキケースから、デッキを取り出す。
「私も、アウトレイジで挑むとするですよ」
それは彼女の有するもう一つのデッキ。いつか、流とのデュエルで見せた無法のデッキだった。
「御舟汐……『神話カード』を使わず、ラトリも変な名前を付けないが、その実力は愉快な仲間たちの中でもトップ、だったか」
「その呼び方はやめて欲しいのですが……まあいいです。始めるですよ」
夕陽たちとルカとの五連戦も、ここが半ば。
第三戦が、始まる。
汐とルカのデュエル。
汐の場には《一撃奪取 ブラッドレイン》《豚魔槍 ブータン》。シールドは五枚。
ルカの場には《一撃奪取 トップギア》《正々堂々 ホルモン》《飛散する斧 プロメテウス》。こちらもシールド五枚。
「ほぅ、お前もアウトレイジを使うのか。聞いていた話とは違うな、面白い。お前とは仲良くできそうだ」
「デッキ一つでそんなこと言われても困るのですが。私のターン、呪文《ブータン転生》を発動です」
自身のクリーチャーを破壊する代わりに、山札からクリーチャーをサーチできる呪文。しかしそれは、《ディメンジョン・ゲート》などと比べて、自身のクリーチャーを破壊しなければならない点で劣る。
だが逆に言えば、自壊をメリットとすることができれば、それは《ディメンジョン・ゲート》を上回る性能となるのだ。
「破壊するのは《ブータン》です。山札からクリーチャーを一体手札に……そして、ドロン・ゴー発動です。《ブータン転生》で手札に加えた、このクリーチャーをバトルゾーンへ」
破壊された《ブータン》は転生し、新たな力を得て降臨する。
「統治せよ、地獄の国家。生きとし生ける者は死者への糧、魔槍の王の君臨です——《地獄魔槍 ブリティッシュ》」
「おぉ、やるなぁ……!」
ドロン・ゴーで呼び出された《ブリティッシュ》を見て、言葉を漏らすルカ。その表情は戦慄というよりは、歓喜のようであった。
「《ブリティッシュ》の能力で、あなたの手札を一枚見ないで選び墓地へ」
「おっ?」
ルカの手札が一枚、叩き落とされる。墓地へと落ちたのは、先ほど《プロメテウス》で回収した《侵入する電脳者 アリス》。
「そのカードがあなたのデッキにおけるコンボの核なのはお見通しです。クリーチャーが墓地へと落ちたので、《ブリティッシュ》の能力で一枚ドロー、ターン終了です」
「ふむ……お前は、今までの奴とは違う感じがするな。まあいい、俺のターンだ」
汐になにかしらを感じたようなルカだったが、あまり気にならないのか、そのままターンを進める。
「さて、あっちの《アリス》は潰されたが、このデッキの《アリス》は一体だけじゃない。《電脳決壊の魔女 アリス》を召喚!」
電脳決壊の魔女(カオス・ウィッチ) アリス 水文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジMAX 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚引いてもよい。そうした場合、自分の手札を2枚、山札の一番上または一番下、もしくはその両方に好きな順序で置く。
召喚されたのは、《侵入する電脳者 アリス》が力を解放した姿。あらゆる知識を擁する彼女は、強大な知識の渦で世界を包み込むことすら可能だが、その強すぎる力は彼女にとっても大きな負担となり、代償として肉体の力は衰え、その力も一回限りのものだ。
「《アリス》の効果で三枚ドロー! そして手札を二枚、山札の上に戻す。残ったマナで《一撃奪取 マイパッド》を召喚! これでターン終了だ」
何気にクリーチャーを並べているルカ。今回は攻めてこなかったが、もし一斉に攻撃されたら少々危ないかもしれない。
「ならば……《ローズ・キャッスル》を要塞化。これであなたのクリーチャーはすべてパワーがマイナス1000です」
「おぉ!?」
汐のシールドに茨の城が要塞化され、ルカのクリーチャーはすべて衰弱する。ルカの場にいたクリーチャーのパワーはすべて1000、五体のアウトレイジはまとめて薙ぎ払われてしまった。
「さらにクリーチャーが墓地に落ちたので《ブリティッシュ》の効果で五枚ドロー……《ブラッドレイン》の効果でコストを1下げて、《代打の消耗 テンメンジャン》を召喚です」
代打の消耗(ピンチヒッター・ロス) テンメンジャン 闇文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカ—
「そして《ブリティッシュ》で——」
とその時、汐は手を止め、ふと視線を上げる。ルカの手札はゼロ、マナゾーンには七枚のカード。
《ブリティッシュ》で攻撃してシールドを削ってもいいが、下手に手札を与えて逆転手に繋げられるのも嫌だ。ルカの場にはなにもいないので、手札ゼロではすぐに反撃することはできないだろう。
(私の手札には《ヴァーズ・ロマノフ》がいるですから、次のターンにはマナチャージして6マナ、《ブラッドレイン》でコストを下げ、墓地の《ブータン》を進化元にして召喚し、攻撃すれば、S・トリガーが出ない限りそのままとどめまで持って行けるはずです)
不用意に攻撃して手札を増やし、逆転される可能性を上げてしまうより、次のターンに打点を揃えて一気に攻め込むのが得策だろう。
「——ターン終了です」
「なにも仕掛けて来ないのか? なら遠慮なく行かせてもらうぞ、俺のターン!」
勢いよくカードをドローするルカ。
この時、汐の失敗はただ一つだけ。
「前のターンに《アリス》で仕込んだこいつを召喚だ!」
それは、《電脳決壊の魔女 アリス》で山札にカードを積み込んだ行為を、失念していたことだ。
「紺碧の魔術と変幻の呪法! 無法の術者よ、異星の力をも呼び起こせ! 《紺碧術者 フューチャー》!」
紺碧術者(メイジ・オブ・コバルト) フューチャー 水/火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
マナゾーンに置くとき、このカードはタップして置く。
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃するとき、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが呪文であれば、コストを支払わずに唱えてもよい。
W・ブレイカー
このクリーチャーが山札にあり、バトルゾーンに自分の《セブ・コアクマン》があれば、このクリーチャーの文明に光を追加する。
デックトップからほぼそのまま現れたのは、無法者の魔術師《紺碧術者 フューチャー》。
異星の力も借りることで、型破りかつ曲者揃いのアウトレイジの中でも、特に確固とした戦い方を確立しているクリーチャーだ。
「前のターン、《アリス》で仕込んだ……」
汐はというと、《フューチャー》の登場よりも、ルカが何気なく発した言葉の方に注意が向いていた。
ルカは確かにそう言った。もし《フューチャー》の仕込みが、手札整理のためではなく本当に仕込んだ、つまりは狙っていたものだとしたら。
嫌な感覚が、汐の全身を走り抜ける。
「行くぞ、スピードアタッカーの《フューチャー》で攻撃! そして、能力発動!」
《フューチャー》はアウトレイジの中でも珍しい、呪文の扱いに長けたクリーチャーだ。攻撃時に山札の一番上を墓地に置き、それが呪文であればコストを踏み倒して唱えられる。
「まさか……」
話を戻すが、ルカは《アリス》の能力で、山札の上二枚を仕込んでいた。もしルカが《アリス》の能力で、狙って《フューチャー》を仕込んでいたのだとしたら、二枚目に仕込んだカードは、即攻撃できる《フューチャー》で唱えられる、呪文のはず。
もっと言えば、わざわざコストを踏み倒したいような、さらに言えば、この盤面をひっくり返してしまうような、強大な呪文のはず。
「喰らいな! 《ティラノ・リンク・ノヴァ》!」
ティラノ・リンク・ノヴァ 火文明 (14)
呪文
シンパシー:ティラノ・ドレイクとブレイブ・スピリット
相手は、自分自身のシールドをすべて手札に加える。(相手はその「S・トリガー」を使うことができる)
「やはり、そう来るのですか……」
歯噛みする汐。
《ティラノ・リンク・ノヴァ》はすべてのシールドを吹き飛ばす呪文だ。これで汐のシールドは一瞬でゼロ枚に。そしてそのまま、《フューチャー》の攻撃が放たれる。
「《紺碧術者 フューチャー》で、ダイレクトアタック!」