二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.439 )
日時: 2014/02/23 20:35
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 汐も敗北を喫し、空城夕陽と愉快な仲間たちの四番手、副将の姫乃の出番となる。
 ノリノリだった前三人と違い、姫乃はやや消極的なものの、しっかりと位置にはついている。
「……さて、始めるか」
「あれ? なんだか、わたしだけあっさりしてない?」
「お前にはさしたる興味がないからな」
 真正面からはっきりと言われてしまった。
「ラトリは違うところで気にしているみたいだが、俺としてはどうもな……まあ、俺の興味とデュエルの内容は別問題だがな」
「なんだか釈然としないよ……」
 しかしそんなことは考慮されない。
 第四戦目が、始まる。



 姫乃とルカのデュエル。
 姫乃の場には《封魔聖者シャックル・アーマ》。シールドは五枚。
 ルカの場には《一撃奪取 マイパッド》《日曜日よりの使者 メーテル》。こちらもシールドは五枚。
「俺のターン。まずは《メーテル》の効果を発動だ」


日曜日よりの使者(ビューティフル・サンデー) メーテル 水/火文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジ 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分がカードを1枚引く時、1枚のかわりに、2枚引いてから自分の手札を1枚捨ててもよい。


 《メーテル》の効果で二枚引き、代わりに手札を一枚墓地へと落とすルカ。手札の総数は増えないが、手札の質は良くなるうえに、墓地に干渉することの多いアウトレイジなら、墓地にカードが落ちることはさしたるデメリットではない。
「お、いいカードが来たな。《侵入する電脳者 アリス》を召喚、ターンエンドだ」
 まだ大きな動きこそないが、着実に準備を進めていくルカ。
 だが姫乃も、このターンから本格的に始動する。
「わたしのターン……わたしの場には《シャックル・アーマ》がいる。だからコストを1下げて、この呪文だよっ」


封魔聖者シャックル・アーマ 光/水文明 (4)
クリーチャー:グランド・デビル/イニシエート 4500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
自分の呪文を唱えるコストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
相手の呪文を唱えるコストは1多くなる。


 あの呪文を唱えるコストを上昇させる《封魔ゴーゴンシャック》と、呪文を唱えるコストを下降させる《王機聖者ミル・アーマ》が一体となったクリーチャー《シャックル・アーマ》。
 このクリーチャーは4コストなので、4マナ溜まったところで召喚できる。ならば3マナの《ミル・アーマ》でも良いように思えるが、ここで重要なのはマナカーブだ。《シャックル・アーマ》の方がパワーが高いので火力に強く、4マナある状態で出せれば次のターンには6マナの呪文が唱えられる。そして、姫乃のデッキでで6マナの呪文と言えば、
「《ヘブンズ・ゲート》! 手札から《光器パーフェクト・マドンナ》と《天国の女帝 テレジア》をバトルゾーンに!」
 前のターンに《コアクアンのおつかいで》手に入れた《ヘブンズ・ゲート》を唱え、同じく手に入れていた《パーフェクト・マドンナ》と《テレジア》を繰り出す。
「やったですの、姫乃様!」
 ヴィーナスがくるくると姫乃周りを回っている。
 場を離れない《マドンナ》とさらにブロッカーを呼び出す《テレジア》。どんなに巨大なアタッカーを出そうと《マドンナ》が止め、数で押してくるなら《テレジア》でこちらも展開。これでルカが一気に苦しくなると思われたが、
「ブロッカー程度じゃあ、俺は止まらないな。俺のターン、《メーテル》の効果で手札を入れ替える」
 カードを二枚引き、一枚捨てる。だがその捨てたカードが、墓地の中で光を放った。
「《キューブリック》の効果発動! 俺のマナゾーンに水のカードは三枚、どこからでも墓地へ送られた時、クリーチャーを手札に戻す! 戻れ《テレジア》!」
「あぅ……《テレジア》が……」
 これで次のターンからの展開が遅れてしまう。
「《プロメテウス》を召喚! マナを追加し、マナゾーンから《ジャッキー》を回収! ターンエンドだ」
「《ジャッキー》が手札に……《マイパッド》もいるし、次のターンには召喚されちゃう……」
 だが、姫乃のデッキは除去カードが非常に少ない。《ジャンヌ・ダルク》でもいれば話は変わってくるが、生憎手札にはいない。
「なら、とにかく時間を稼ぐ……もう一度《ヘブンズ・ゲート》だよ! 今度は《ロードリエス》と《マドンナ》をバトルゾーンに!」
 手札も補充しつつ、ブロッカーを並べる姫乃。《マドンナ》が二体いれば、かなりの時間が稼げるはずだ。カラー的にルカのデッキでは《マドンナ》を除去することもできないはずなので、とにかく長期戦に持ち込む。そうすればこちらが有利になる。
 無論それは、長期戦に持ち込めればの話だが。
「残念だったな、このターンで決めてやる」
「え?」
 言っている意味がよく分からない。
 確かにこのターンでルカは《ジャッキー》を呼び出せるが、それだけでは流石に姫乃の防御陣形を突破することはできないはずだ。
 だが、それを可能にするのが、ルカだった。
「《マドンナ》二体は生きてるし、耐えきれないことはないはず……」
「だったら耐えきれなくなるまで殴ってやるよ。《無限皇 ジャッキー》召喚! すかさず《ジャッキー》で攻撃だ!」
 その時《アリス》の能力が発動し、ルカはカードを引く。のだが、
「さらにこの時《メーテル》の効果も発動!」
「え……?」
 確かに《メーテル》の能力が発動するのはドローする時。《アリス》の能力でカードを引く際にも誘発する。
「アウトレイジの攻撃時《アリス》の効果でドローする枚数を《メーテル》の効果で二枚にするが、代わりに手札を捨てる。さらに《アリス》の二つ目の能力、コスト7以上のクリーチャーが攻撃する時、手札を一枚引くが、これも《メーテル》の能力で代わりに二枚引き、手札を捨てるぞ。それから手札を一枚山札の一番上に置き、最後に《ジャッキー》の能力発動だ!」
 《メーテル》の能力も合わせて四枚ものカードを引いたが、最終的に増えた手札は一枚。やたらと長々と続いたドローの末に、《ジャッキー》の咆哮で《アリス》によって仕込まれたアウトレイジが呼び出される。
「出て来い《ジャッキー》!」
「二体目の《ジャッキー》……!?」
 現れたのは、二体目の《ジャッキー》だった。直後、一体目の《ジャッキー》による攻撃が姫乃のシールドを粉砕する。
「そして今出て来た《ジャッキー》で攻撃! 《アリス》と《メーテル》の能力発動!」
 結果だけを言えば、山札の上から合計で四枚も引き、うち三枚は墓地へ、その中の一枚はバトルゾーンへと飛び出す。そうして出て来たのは、
「来い! 《ジャッキー》!」
「三体目……!?」
 驚く姫乃をよそに、《ジャッキー》の攻撃が姫乃のシールドを砕く。
「さらにこの《ジャッキー》でも攻撃だ! 能力発動!」
 勿論発動するのは《アリス》と《メーテル》からだ。
 ここに来て、姫乃は理解した。
(《アリス》と《メーテル》でデッキを掘り進んで、わたしにとどめを刺すまで《ジャッキー》を呼び続けるの……!?)
 デッキの枚数的に、《アリス》一体ではある程度《ジャッキー》を手札に溜めておかなければ実現しないだろうが、そこに《メーテル》を組み合わせて高速で山札を掘り進むことで、《ジャッキー》を引き込む確率を上げるコンボ。
 正に、無限の攻撃だった。
「さあ、四体目の《ジャッキー》だ! こいつでも攻撃!」
「で、でも、これで《ジャッキー》は全部出尽くしたはず……」
 デッキに入れられるカードは、基本的には最大四枚。なのでこの四体目の《ジャッキー》で、連続攻撃はストップされる。
 はずだった。
「《アリス》の効果だけを使用し、山札にこいつを置く。出て来い!」
 《ジャッキー》の咆哮で、また新たな無法者が呼び出される。

「二天の流と二刀の流! 無法の武士よ、皇の忠誠を燃え上がらせろ! 《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》!」


弐天炎明(バーニングハート) ガンリュウ・ムサシ 火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
スピードアタッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーで攻撃するかわりに、タップして次のTT能力を使ってもよい。
TT—バトルゾーンにある自分のアウトレイジを1体、アンタップする。


 現れたのは、《ジャッキー》の懐刀と呼ばれる無法の武士《ガンリュウ・ムサシ》。
 スピードアタッカーなのでこのターン攻撃できるが、このクリーチャーの本質は、このクリーチャーが《ジャッキー》の懐刀と呼ばれる由縁、ただ攻撃することではない。
「《ガンリュウ・ムサシ》のタップ時能力発動! 《ガンリュウ・ムサシ》をタップし、他のアウトレイジ——《ジャッキー》をアンタップ!」
「ってことは、まさか……」
 また、《ジャッキー》の攻撃が再開する。
「《ジャッキー》で攻撃! 《アリス》の能力発動!」
 デッキを消費しすぎて、もう残り数枚しかない。《アリス》の能力も、二つ目の能力しか使用していない状態だ。
 だがルカには十分な手札がある。それだけでも十分だ。
「二体目の《ガンリュウ・ムサシ》をバトルゾーンに!」
「っ、《マドンナ》でブロック!」
 四体目の《ジャッキー》と五回目の《ジャッキー》の攻撃は《マドンナ》で防いだが、もうもたない。
「《ガンリュウ・ムサシ》をタップし、《ジャッキー》をアンタップ! 《ジャッキー》で攻撃! 出て来い《ガンリュウ・ムサシ》!」
「《シャックル・アーマ》でブロック……!」
「まだまだ! 三体目の《ガンリュウ・ムサシ》をタップ! 《ジャッキー》をアンタップし攻撃! 《アリス》で仕込んだ《ガンリュウ・ムサシ》を《ジャッキー》の効果でバトルゾーンに!」
 いくら防いでも次々と現れる《ガンリュウ・ムサシ》、そして《ジャッキー》は無限に起き上がる。
「うっ、うぅ……ダメ、もう、耐え切れない……っ」
 《アリス》《メーテル》《ジャッキー》《ガンリュウ・ムサシ》による怒涛にして無限の攻撃。《ジャッキー》四体《ガンリュウ・ムサシ》四体が並んだところで、姫乃の最後のブロッカーである《ロードリエス》もいなくなり、彼女は無防備を晒す。

「《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》で、ダイレクトアタック!」