二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.445 )
- 日時: 2014/02/24 20:42
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
超神星ペテルギウス・ファイナルキャノン 水文明 (6)
進化クリーチャー:フェニックス 15000
進化GV—自分のグレートメカオー、グランド・デビル、ポセイディア・ドラゴンのいずれか3体を重ねた上に置く。
自分の他のクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりにこのクリーチャーの下に置いてもよい。
メガメテオバーン6:このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを6枚、墓地に置いてもよい。そうした場合、相手はバトルゾーンにある自分自身のクリーチャーすべてとマナゾーンにあるカードすべてを手札に戻す。
T・ブレイカー
三体のグレートメカオーを吸収し、現れたのは、蘇りし不死鳥《超神星ペテルギウス・ファイナルキャノン》だった。
世界を滅ぼしかねない最終兵器の発射指令を下すのは彼女。彼女の意志一つで、すべては無へと還る。
「……まあでも、あと1ターンだけ待ってあげるよ。ターン終了」
圧倒的リードとがんじがらめに施した対策による自信の表れか、それとも別の理由か、このターンは攻撃せずに終了した。
「……随分と舐められたものです」
とはいえ、この状況で汐にできることなどたかが知れている。《ペテルギウス・ファイナルキャノン》は早く除去したいが、肝心の除去カードも、呪文なら《ゴーゴンシャック》三体のせいでコストが6も上昇している。まともに唱えられたものじゃない。
(しかし引いたのは、《デスライオス》ですか……)
汐のデッキは呪文だけでなく、除去ならクリーチャーでも行える。しかしその多くは《デスライオス》や《オルゼキア》などの、相手が選んで破壊する効果だ。なので数多くクリーチャーが並んでいる時や、《DJアフロ・スピーカー》のような除去耐性を持つクリーチャーがいるだけで、効果が存分には発揮されない。狙ったクリーチャーを破壊するには、やはり呪文の力が必要だ。
《ペテルギウス・ファイナルキャノン》を破壊したいのに、上手い具合にそれができないようになっている。これも、記の汐対策の一つだろう。
「……《死神の邪険デスライオス》を召喚です。こちらは《デスライオス》を破壊」
「じゃあ僕は《DJアフロ・スピーカー》を破壊、する代わりに手札のメカオーを捨てるね。捨てるのは《害悪のカルマ スタバック》だ」
手札に《サウンドシューター》がいるにもかかわらず、記が捨てたのは《スタバック》。《DJアフロ・スピーカー》は破壊されないが、クリーチャーや手札を増やそうとしない。
「もしかしたらこの期に及んで僕の山札切れでも狙ってるのかもしれないけど、そうはいかないよ。確かに僕のデッキはドローカードが多いから、調子に乗ってドローしてるとすぐに山札がなくなっちゃうよ? でも、墓地利用対策により軽い《埋め立てロボコンクリオン》ではなく《オリーブオイル》を入れているのは、ライブラリアウトを防ぐためでもあるし、もう手札も場も十分だから、これ以上増やす必要もない」
確かにその通りだ。そもそも《ペテルギウス・ファイナルキャノン》すらもこの状況ではオーバーキルの存在。この上にいくら増やしたところで、記の優勢は変わらない。
「というわけで僕のターン。《氷結カッチ・コチーン》を召喚して、《オルゼキア》をフリーズ」
《オルゼキア》に《カッチ・コチーン》の氷結弾が撃ち込まれ、がタップされる。さらに次のターン、アンタップもできない。
だが、やはりそんなことはどうでもいい、些末な問題だ。
次に現れる神を超える星の前では、塵以下のことである。
「《氷結カッチ・コチーン》と《騒音機装DJアフロ・スピーカー》二体を進化」
このターン召喚されたばかりの《カッチ・コチーン》と、二体の《DJアフロ・スピーカー》が氷結する。水晶のように透明で透き通った氷は、成長するように肥大し、三体を飲み込んだまま、神をも超える星となる。
「退魔呪文凍結魔導、術式詠唱、解禁。凍てつく世界は君のもの——《超神星マーキュリー・ギガブリザード》」
超神星マーキュリー・ギガブリザード 水文明 (5)
進化クリーチャー:フェニックス 15000
進化GV—自分のグレートメカオー、グランド・デビル、リキッド・ピープルのいずれか3体を重ねた上に置く。
メテオバーン—呪文の効果が実行される時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、その呪文は効果を失い、持ち主の墓地に置かれる。
T・ブレイカー
現れたのは、またしても不死鳥。全てを凍結させる、退魔の不死鳥、《マーキュリー・ギガブリザード》。
恐らく、《賢愚神話》に最も近いとされる、不死鳥だ。
「《ペテルギウス・ファイナルキャノン》に続き、《マーキュリー・ギガブリザード》まで……」
巨大なクリーチャー二体に囲まれ、本格的に汐の勝ち目がなくなってきた。場もマナも吹き飛ばす《ペテルギウス・ファイナルキャノン》だけではなく、呪文を無力化する《マーキュリー・ギガブリザード》まで出るとなると、もうどうしようもない。
「まだだよ、僕の逆襲はまだ準備段階だ。まずは《パトロール・ファンクション》と二体の《サウンドシューター》で、フリーズした《オルゼキア》に攻撃」
《オルゼキア》のパワーは6000、しかし《パトロール・ファンクション》はパワー2000、《サウンドシューター》は5000。攻撃しても破壊されるだけだ。
だが、その破壊は無意味ではない。
「《ペテルギウス・ファイナルキャノン》が……」
自分の他のクリーチャーが破壊される時、《ペテルギウス・ファイナルキャノン》はそのクリーチャーを自身の下に置く。
破壊されたグレートメカオーは、すべて《ペテルギウス・ファイナルキャノン》に吸収され、そして最終兵器発射の糧となるのだ。
「これで《ペテルギウス・ファイナルキャノン》の下にはカードが六枚。彼女の最終兵器発射のエネルギーには十分だ。じゃあ、ここからが本番、行くよ。《ペテルギウス・ファイナルキャノン》で攻撃——メガメテオバーン6発動!」
《ペテルギウス・ファイナルキャノン》の下に送り込まれた六体のグレートメカオーが墓地へと落ちる。同時に、最終兵器が解き放たれた。
「《オルゼキア》、マナも……」
一瞬で吹き飛ばされてしまった。
ここまでされれば、逆転はほぼ不可能。だが、それにしたってここまでのことをするために、わざわざとどめを刺すのを先延ばしにする必要があったのか、疑問は残る。
しかしその疑問は、すぐに氷解した。
「あははははははははっ! どうだい? 君が前に僕にやったことと同じことを返される気分は。まあでも僕は優しいからね。墓地じゃなくて手札に戻してあげるよ!」
以前、汐は《ドルバロム》で記の場、マナをすべて破壊して勝利を収めた。つまりこれは、記なりの意趣返しのようだ。
汐もその時の記同様、場もマナも、なにも残っていない。
「そして、次はTブレイクだ!」
勿論、《ペテルギウス・ファイナルキャノン》の攻撃は、メガメテオバーン6を発動させるだけではない。
ありあまるエネルギーをもって放たれたその一撃は、汐のシールドも容赦なく吹き飛ばす。
「っ、S・トリガー発動です……《地獄門デス・ゲート》」
割られた一枚目のシールドから、汐は呪文のS・トリガーを発動させる。呪文だが、S・トリガーならコストを支払う必要がないので、《ゴーゴンシャック》の影響は受けない。
そう、《ゴーゴンシャック》の、影響は。
「残念だけど、発動は無理だ。《マーキュリー・ギガブリザード》のメテオバーン、発動」
刹那、汐が発動しようとした《地獄門デス・ゲート》は、凍りつき、墓地へと落ちる。
当然、発動はしない。
「《マーキュリー・ギガブリザード》がいる限り、君が呪文を発動しようとも、彼女はそれを無力化する。安易な逆転なんてさせないよ。二枚目をブレイク!」
回数制限こそあるものの、《マーキュリー・ギガブリザード》でS・トリガー呪文は封じられてしまう。続けて二枚目のシールドが、ブレイクされる。
「S・トリガー……《フェアリー・ライフ》、です」
「それはスルーだ。一枚くらいいいよ、ほら、マナ増やせば?」
山札から1マナ加速させる汐。しかしたった1マナでは、この状況はどうにもならない。
これも、前回の反省を踏まえてのことだろう。あの時、記は《賢愚神話》で無力化するカードの選択を間違えたせいで敗北した。流石の汐も《フェアリー・ライフ》に対してメテオバーンを撃たれるとは思っていないが、それでも前回より慎重になっているように思える。
「ほら、三枚目だよ」
「……《デビル・ハンド》です」
「メテオバーンで無効」
三枚目もS・トリガーだが、これも無効化されてしまった。
(まずいです……)
このままだと殴り切られる。残った二枚のシールドに賭けるしかないが、それも呪文なら、一回は《マーキュリー・ギガブリザード》で無力にされる。
「さあ次だ《マーキュリー・ギガブリザード》で残りのシールドをブレイク!」
《マーキュリー・ギガブリザード》の放つ絶対零度の冷気が、汐のシールドを粉砕する。
「S・トリガー発動《プライマル・スクリーム》です」
「……それもスルーかな。《ハンゾウ》が手札に入っても、マナは足りないし」
記の言う通り、汐はこれで墓地に落ちた《威牙の幻ハンゾウ》を回収したが、マナゾーンのカードは一枚。ニンジャ・ストライクすら発動できない。
「じゃあ、最後のシールド、ブレイクだよ」
そして、汐の最後のシールドが、ブレイクされる。
「……S・トリガー発動です」
割られたシールドは、光の束となって収束する。汐はその光を掴み取り、そのカードを掲げた。
「……《デーモン・ハンド》、発動——」
「無理」
だが。
無数に伸びる悪魔の手は。
絶対零度の冷気で氷結してしまった。
「全部S・トリガーなんて、運がいいね……それを踏まえてのこの二体でもあったんだけど」
なんにせよ、汐にはもう、なにも残っていない。手札はあるがマナはない、ブロッカーどころかクリーチャーすらいない、彼女を守るシールドも、墓地も、なにも残っていなかった。
「何度も言うけど、僕は優しいからね。フェニックスでとどめを刺すような鬼畜な真似はしないさ」
そう言って、彼の命を受けた機装の機械が、発進する。
「《害悪のカルマ スタバック》でダイレクトアタック」
そして、無抵抗な少女に——とどめを刺す。