二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.471 )
日時: 2014/02/28 04:06
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 かくして始まった、夕陽と汐のデュエル。
 夕陽の場には《コッコ・ルピア》が一体、シールドは五枚。
 汐のシールドも五枚あり、場には《一撃奪取 ブラッドレイン》《豚魔槍 ブータン》《神豚 ブータンPOP》の三体。
「僕のターン」
 カードを引きつつ、夕陽は汐の場に目を向ける。
(海の家で流と戦った時と、昨日見た闇単色のアウトレイジデッキ……とは、違うな)


神(シェン)豚(トン) ブータンPOP(ポップ) 無色 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 4000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から3枚を見てもよい。そうした場合、そのうちの1枚を自分の手札に加え、残りを墓地に置く。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《神豚》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 闇単色ではなく、そこに無色カードも織り込んだ、準闇単色と言ったところか。さらに言うと、《ブータンPOP》の種族はアウトレイジとオラクル、その混合デッキとも言えるだろう。
(場数では結構差ができちゃってるし、エグザイルが二体ってのはきつい……早く決めたいけど、御舟はS・トリガーを多めに積む傾向があるからな……)
 速攻で決めるということは、とどめの一撃はギリギリの土壇場になる可能性が十分考えられる。そんなギリギリの状態でS・トリガーを踏んでしまえば、逆転される恐れもあるだろう。
 だが、
(下手に長引かせて、昨日の界長戦の二の舞は御免だ。オラクル入りとはいえ、アウトレイジはビートダウンが得意な種族。反撃準備を整えておくに越したことはない)
 幸い、まだ手札はある。手札破壊を受けたとしても、次のターンにもドラゴンを呼ぶ余裕くらいはあるだろう。なのでここは、
「《ガイアール・アクセル》を召喚! ターン終了だ」
 味方をサポートするドラゴンを呼び出す。次のターンから本格的に攻めるのだ。
「では、私のターンです。《神豚 ブータンPOP》で攻撃、能力発動です」
 《ブータンPOP》は攻撃時、山札の上三枚を見て、その中のカードを一枚手札に、残りを墓地に送る能力がある。攻撃しながら手札が増やせ、墓地も肥える。これでパワーもそれなりにあり、コストパフォーマンスに優れるゼロ文明らしいカードと言えるだろう。
「山札の上から三枚を見て、一枚を手札に加えるですよ。残りは墓地へ置き、そしてシールドブレイクです」
 《ブータンPOP》の槍が夕陽のシールドを突き破る。
 しかし、そのシールドは、光の束となり、顕現した。
「S・トリガー! 《王龍ショパン》!」
 夕陽の場には《ガイアール・アクセル》がいるので、《ショパン》はS・トリガーを得て召喚される。
「そして《ショパン》の能力発動!」
 相手クリーチャー一体と強制的にバトルを行う。つまり、疑似的な6000火力を放てるのだ。
 とはいえここでどのクリーチャーを破壊するかは、考え物だ。
(一番無難なのは《ブラッドレイン》だろうけど、《ブータンPOP》の効果は鬱陶しいし、《ブータン》の打点も馬鹿にはできない。でもこの二体はエグザイル、ドロン・ゴーされたら厄介だけど……)
 夕陽は汐の手札を見遣る。先ほど《ブータンPOP》で補充しているので、今は二枚。
(……前のターン、御舟は《ブータン》で攻撃しなかった。攻撃したら、次のターンで破壊される可能性があるけど、この早いターンで《コッコ・ルピア》を失うわけにはいかないし、自爆特攻は普通はない。でも《GENJI》とかが出ればそのまま殴り返せる)
 だがその殴り返しを考慮してなのか、《ブータン》で殴りに来なかったところを見ると、手札に《ブリティッシュ》はいないのかもしれない。
(勿論《ブータンPOP》で手札に入れられている可能性もあるけど、この早い順目で手札は二枚、ドロン・ゴーされる可能性は低いはず。《ブータンPOP》を皮切りにしてビートダウンに移行されるのも嫌だし、どうせそのうち対処しなければならないクリーチャーだ。ここは一か八か)
 破壊する。
「《ショパン》の能力で《ブータン》と強制バトル! 相打ちで破壊だ!」
 その巨体で《ショパン》は突貫し、《ブータン》も槍を構えて迎え撃つ。結果、パワーが同じ二体のクリーチャーはともに破壊された。
「……単純ですね、先輩は」
「なに?」
「こんな簡単なトラップにも引っかかるのですから、単純です。もっと二手三手先、裏の裏の裏までかかなければ、私は倒せないですよ」
 その時、汐は《ブータンPOP》で手札に“入れていない方”のカードを、抜き取った。
「統治せよ、地獄の国家。生きとし生ける者は死者への糧、魔槍の王の君臨です——《地獄魔槍 ブリティッシュ》」
「っ、出て来た《ブリティッシュ》……!」
 とんだ罠に掛かってしまった。
 どうやら汐は前のターン、破壊される可能性があり、ドロン・ゴーの準備を整えていたにもかかわらず、《ブータン》で攻撃せずに、破壊される機会もふいにした。
 このS・トリガーを読んでのことなのかは分からないが、少なくとも今回は、そのトラップに引っかかってしまった。
「《ブリティッシュ》が出た時の能力で、先輩の手札を一枚墓地へ」
「あ……《バルキリー・ラゴン》!」
 手札から落とされたのは《バルキリー・ラゴン》。後続のドラゴンに繋げるつもりだったのだが、潰されてしまった。
「クリーチャーが墓地に落ちたので一枚ドロー。さあ、私のターンは終了です」
 早速大型クリーチャーが出て来てしまい、一気に苦しくなる夕陽。だが、
「まだ僕の手が完全に消えたわけじゃない……《セルリアン・ダガー・ドラゴン》召喚! 僕の場にはドラゴンが二体いるから、二枚ドロー!」
 さらにこの《セルリアン・ダガー》は、《ガイアール・アクセル》の能力でスピードアタッカーだ。
「《セルリアン・ダガー》で攻撃、Wブレイク!」
「……S・トリガー発動です。《プライマル・スクリーム》で山札の上から四枚を墓地へ送り、《世界の果て ターミネーター》を回収です」
 二枚のシールドを割られる汐。《プライマル・スクリーム》をトリガーするも、夕陽の攻撃を捌くことはできない。
「よし、ならここは……《ガイアール・アクセル》でもWブレイク!」
 殴り返しの危険はあるが、夕陽の手札にはスピードアタッカーもいる。ここは削れるだけ削っておきたい。
 だが、
「S・トリガー発動です。呪文《デッドリー・ラブ》」
「なっ、やば……」
 ブレイクされた四枚目のシールドから現れたカードは《デッドリー・ラブ》。自身クリーチャー一体を代償に、相手クリーチャーを破壊する呪文。
「破壊するのは《ブータンPOP》、先輩は《コッコ・ルピア》を破壊してください」
「くそっ、《コッコ・ルピア》が……しかも……!」
 最後のシールドをブレイクする予定だった《コッコ・ルピア》が破壊されただけでなく、汐はここで《ブータンPOP》を破壊した。
 それは、つまり、
「《ブータンPOP》が破壊されたので、ドロン・ゴー発動です」
 死した《ブータンPOP》の魂が、新たな身体を得て転生する。オラクルになろうとアウトレイジでありエグザイルの《ブータンPOP》は、ゼロの力に染まりながらも、エグザイルだけに伝わる力を使うことができる。

「ドロン・ゴー——《神豚槍 ブリティッシュROCK》」


神(シェン)豚(トン)槍(ギヌス) ブリティッシュROCK(ロック) 無色 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 6000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。その後、自分の墓地にあるカードの枚数よりコストが小さい相手のクリーチャーを1体、破壊する。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 転生した《ブータンPOP》が新たに手に入れた身体も、ゼロの力に染まっていた。オラクルのそしてゼロの力を注ぎ込まれた《ブリティッシュ》は、アウトレイジでありオラクルでもあるゼロのエグザイル《ブリティッシュROCK》となる。
「こっちもドロン・ゴー……《ブリティッシュ》二体が揃い踏みかよ……!」
 どちらも元は《ブータン》で今は《ブリティッシュ》だが、エグザイルとして唯一存在できる名称は違うため、共存できる。
 それはそれとして、かなりまずいことになった。
(こっちのシールドは四枚、相手の場にはWブレイカーの《ブリティッシュ》が二体に《ブラッドレイン》が一体……)
 普通にこのまま、押し切られてしまうだけの戦力が揃ってしまった。
「では、私のターンですね」
 そしてこのターン。
 夕陽に、魔王の槍が襲い掛かる。