二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.477 )
- 日時: 2014/03/02 20:29
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
一進一退の攻防……いや、攻めるヒナタと守る夕陽のデュエルは、やや膠着状態にあった。
夕陽のシールドは三枚。場には《スター・ピッピー》と《勝利のプリンプリン》に、《閃光娘々プリン》が二体。
ヒナタのシールドは五枚。場には《進軍する巨砲 クロムウェル》がいるが、《勝利のプリンプリン》で攻撃ができない状態にある。
そして迎えた、ヒナタのターン。
「俺のターン! 《蒼狼の始祖アマテラス》召喚! 山札からコスト4以下の呪文を唱えるぜ。唱えるのは《ドンドン吸い込むナウ》だ!」
ヒナタはデッキの上から五枚を見る。そして、目当てのカードがあったのか、その瞳を輝かせる。
「こいつだ! 《5000GT》を手札に! そんでもって、火のカードを手札に加えたから《スター・ピッピー》をバウンス!」
《スター・ピッピー》が手札に戻される。《クロムウェル》は《プリンプリン》の能力で動けないので、これでヒナタのターンは終わりだ。
「うーん、どうしようか……《超次元シャイニー・ホール》で《クロムウェル》をタップ、さらに超次元ゾーンから二体目の《勝利のプリンプリン》を呼び出して、《アマテラス》をロック。《閃光娘々プリン》二体の能力で二枚ドローするよ」
相手の動きを封じながら、少しずつ自分が有利になるように準備を整えていく。
「さらに《霞み妖精ジャスミン》を召喚して即破壊、マナを追加! 《プリンプリン》で《クロムウェル》に攻撃!」
「相打ちか……だが《クロムウェル》はタダじゃ死なねえよ。シールド・ゴー!」
死んだ《クロムウェル》の遺志はシールドとなり、自軍の進軍を促進させる。つまり、これでヒナタがこれから繰り出すクリーチャーはすべてスピードアタッカーを得るのだ。
《クロムウェル》がシールドにいる間は、だが。
「もう引っかからないよ。シールド・ゴーで表向きなったシールドは、ブレイクしたら墓地に行くんだよね? だったら《閃光娘々プリン》で《クロムウェル》のシールドをブレイクだ!」
「……だよなぁ」
薄々分かっていたことだ。いくら新カードの予備知識がない夕陽でも、そのデュエマ中に読んだテキストをそう簡単に忘れはしない。シールド・ゴーで表向きとなった《クロムウェル》は真っ先に狙われ、墓地へと落ちた。
だが、クリーチャーが墓地へと落ちたくらいでは、ヒナタが劣勢になったとは言えない。むしろ墓地にクリーチャーが溜まることは、けれにとってはプラスになる。
「残念だったな。これで俺の墓地にクリーチャーは六体だ。つーわけでマナコスト、マイナス6! さっき手に入れた《暴走龍 5000GT》を召喚!」
「え……っ!? いやでも、そいつ12マナ……」
「《5000GT》は墓地のクリーチャーの数だけ召喚コストが下がるんだよ! さらに召喚時、バトルゾーンのサイキック・クリーチャーとパワー5000以下のクリーチャーをすべて破壊する!」
刹那、《5000GT》の能力により、ヒナタの場の《アマテラス》は勿論、夕陽の場にいたクリーチャーが一掃された。
「嘘だろ……僕のクリーチャーが全滅……」
「しかも破壊するだけじゃない。《5000GT》がいる限り、お互いサイキック・クリーチャーとパワー5000以下のクリーチャーを召喚できない!」
「なんだよそれ、強すぎるだろ……!」
夕陽のデッキは、サイキック・クリーチャーと小型クリーチャーが多めに投入されている。そのため、この《5000GT》の存在は非常に厄介だった。
「そして《5000GT》で攻撃、Tブレイクだ!」
しかもスピードアタッカーにTブレイカー、この一撃で夕陽のシールドはすべて持って行かれた。
こんな状況ではまともにクリーチャーを出すことができない。シールドもなく、絶体絶命の危機に瀕した夕陽。だが、逆転の目はあった。
「……S・トリガー発動! 《ミステリー・キューブ》! 山札をシャッフルして、一番上のカードがクリーチャーならバトルゾーンへ!」
夕陽のデッキは決して大型クリーチャーが多いわけではないが、一枚だけあたったので、せっかくだからという理由で投入した《ミステリー・キューブ》。運頼みだが、こんな場面で役立つとは思わなかった。
「そして捲られたのは……《涙の卒業プリン》だ!」
涙の卒業(マイ・グラデュエイション)プリン 光/自然文明 (5)
クリーチャー:ハンター/エイリアン 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできない。
この効果で出て来るクリーチャーは召喚ではないので《5000GT》の影響は受けない。そのため、パワー5000以下であろうと問題なく場に出せる。
「《涙の卒業プリン》を出して、《5000GT》をロック!」
これで《5000GT》は、次のターンに攻撃することができない。しかし、
「なんとか凌いだけど……どうしよう……」
攻撃を止めただけで、除去したわけではないので《5000GT》は残る。そしてその規制能力は、夕陽に大きな打撃を与えていた。
「とりあえず《再誕の社》で、墓地のカードを二枚、マナゾーンに。《偉大なる恵み》も使用して、さらにマナを追加するよ」
とりあえずマナを溜めたが、それだけだ。攻撃もせず、夕陽はターンを終えた。
「じゃあ俺のターンだ! ……つっても、俺もなにもできねえんだよな……」
《5000GT》が禁止するのは相手だけでなく自分もだ。ヒナタのデッキには大型クリーチャーが多くないのか、マナチャージだけして、ターンを終えた。
そしてその隙は、夕陽にとっては絶好の好機であった。
「1ターン止められれば十分……僕のターン! 呪文《グローバル・ナビゲーション》!」
「げ……!」
「《5000GT》をマナゾーンへ!」
《グローバル・ナビゲーション》は、コストが下がり、マナ回収もできる《ナチュラル・トラップ》のようなカードだが、マナに送れる対象がアンタップクリーチャーだけなので、スピードアタッカーなどを相手にするとどうしてもマナに送りづらい。
だがここで《涙の卒業プリン》の能力が生きる。《涙の卒業プリン》や《勝利のプリンプリン》の能力で相手クリーチャーの攻撃を1ターン禁止にすれば、相手は返しのターン、なにかしらのカードの能力で自身のクリーチャーをタップしない限り、そのクリーチャーはアンタップ状態のままになる。
普段ならそれは特にはならないが、こうして《5000GT》をタップさせないことで、夕陽は返しのターンに《グローバル・ナビゲーション》で除去することができた。
「さらにマナゾーンから《カイザー・プリンス》を回収して……続けて呪文《超次元ホワイトグリーン・ホール》! 《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに!」
ヒナタの場にクリーチャーはいないので、登場時の能力は発動しない。だが《ホワイトグリーン・ホール》の能力は発動する。というより、それが目的だ。
「光のクリーチャーが出たから、手札を一枚シールドに! さらに《プリンプリン》は自然のクリーチャーでもあるから、マナゾーンの《ホワイト・レッドホール》を回収!」
シールドを増やし、マナゾーンのカードを回収。《5000GT》で一度は崩されたが、少しずつ夕陽が巻き返しを図る。
「くっそ、ここでなんとか攻められれば……《トップギア》と、《戦慄の取引 ビッグ・パルサー》召喚!」
手札はあるので、とにかくクリーチャーを並べようとするヒナタだが、
「《炎龍王子カイザー・プリンス》召喚! 続けて《超次元の手ホワイト・レッドホール》で《トップギア》をタップ! 《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに出して、《ビッグ・パルサー》をロック! 《プリンプリン》で《トップギア》を攻撃!」
そのクリーチャーたちもことごとく動きを止められてしまい、破壊される始末。
「さらに《カイザー・プリンス》の効果発動! 《プリン》と名のつくクリーチャーが攻撃したので、シールドを追加!」
これで夕陽のシールドは二枚。防御態勢まで固められてしまう。
「参ったな……全然攻撃できねえ……!」
いつもならもっと積極的に攻撃する夕陽だが、今は防御一辺倒。それもただブロッカーを並べるというものではなく、相手クリーチャーそのものに攻撃規制をかけるので、非常に対処しづらい。
そしてそんな状態でヒナタがまごまごしている間にも、夕陽は着実に、ヒナタを倒すための準備を進めていた。