二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.478 )
日時: 2014/03/03 20:16
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽のシールドは、一時すべてブレイクされたものの、二枚にまで回復。場にも《涙の卒業プリン》《炎龍王子カイザー・プリンス》に、二体の《勝利のプリンプリン》。
 ヒナタのシールドは、まだ五枚残っている。だが場にいるのは、《勝利のプリンプリン》で動きを封じられた《戦慄の取引 ビッグ・パルサー》が一体。
「呪文《スパイラル・ゲート》! 攻撃されながら動きを止められるのも困るし、ここは《涙の卒業プリン》をバウンス!」
 《勝利のプリンプリン》は一度出て来たらほとんど役目がなくなるが、《涙の卒業プリン》は攻撃しながら相手の動きを止める。恒久的に相手の動きを封じてしまうのだ。
 流石にそれはまずいと判断し、ヒナタは重い《カイザー・プリンス》ではなく、《涙の卒業プリン》を除去した。
「さらに《トップギア》を二体召喚! ……ターンエンド」
「まずは《超次元シャイニー・ホール》! 《トップギア》をタップして、《時空の喧嘩屋キル》《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》をバトルゾーンに! さらに呪文《ライフプラン・チャージャー》! チャージャーをマナに置いて……《不敗のダイハード・リュウセイ》を手札に!」
「嫌な奴が手札に入ったな……!」
 ドラゴンの攻撃と同時にシールドを焼却できる《ダイハード・リュウセイ》。しかも自身が負ける時に自壊し、破壊されたターンはゲームに負けなくなるため、非常に鬱陶しい。
 そろそろ夕陽も攻めて来るのかと気を引き締めるヒナタ。しかし、夕陽の攻撃パターンは変わらない。
「《プリンプリン》で《トップギア》を攻撃! 《カイザー・プリンス》の効果でシールドを追加!」
 夕陽はシールドを追加しながら《トップギア》を破壊するにとどまる。
「まだ攻めないのか……だが、チャンスだ。《疾封怒闘 キューブリック》を召喚! こいつは俺のマナに火のカードが三枚以上あればスピードアタッカーになる!」
 前のターン、夕陽は《プリン》系統のカードでヒナタの動きを封じなかった。《トップギア》は一体破壊されてしまったが、動きを封じられないのなら、攻められる。
「《キューブリック》で攻撃! Wブレイク!」
「《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》でブロック!」
「だったら《ビッグ・パルサー》で攻撃! この時《ビッグ・パルサー》の能力発動!」


戦慄の取引(トレード・サクション) ビッグ・パルサー 火文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジ 3000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の手札をすべて捨ててもよい。そうした場合、カードを2枚引く。


 攻撃時、手札をすべて捨てる代わりに二枚のカードを引ける《ビッグ・パルサー》。元の《禍々しき取引 パルサー》と比べ、重くなりアタックトリガーになったため即効性はないが、恒久的に能力を使うことができる。
 ただそれも、攻撃できなかったら意味はないのだが。
「俺の手札をすべて墓地へ! そして二枚ドローし、シールドをブレイク!」
 夕陽のデッキは、元々ブロッカーを積んでいない。いるにしても超次元ゾーンから呼び出せる《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》のみだ。
 なのでこの攻撃もすんなり通り、夕陽のシールドは割られたが、
「S・トリガー発動! 《DNA・スパーク》!」
 それはS・トリガー。ヒナタの《トップギア》はタップされてしまい、残り二枚になった夕陽は、再びシールドを三枚に回復させる。
「くっ、また攻められなかった……ターン終了だ」
 元から無理なことではあったが、このターンにヒナタが攻め切れなかったことは、返しの夕陽のターンで大きな意味を持つことになる。
 その意味とは、このデュエルの決着に、どちらが近づくかということだ。
「僕のターン! 《不敗のダイハード・リュウセイ》を召喚!」
 前のターンに手に入れていた《ダイハード・リュウセイ》を呼び出す夕陽。ここまではいい、ヒナタの予想通りだ。
 しかし、この先が問題だった。彼を窮地に立たせる、決着へ向かう龍が、立ちはだかる。
「僕のバトルゾーンには《リュウセイ》と《プリン》がいる。だから、G・ゼロ発動! 《炎龍王子カイザー・プリンス》を進化!」
 《リュウセイ》と《プリン》、二体の力を得て、《カイザー・プリンス》は、進化する。
 
「これで終わりだ! 《決着のリュウセイ・ジ・エンド》!」


決着のリュウセイ・ジ・エンド 水/火文明 (8)
進化クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 12000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
G・ゼロ—バトルゾーンに自分の、名前に《リュウセイ》とあるクリーチャーと《プリン》とあるクリーチャーがあれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
進化—自分の、サイキック・クリーチャーではないドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルする時、バトルするかわりに、相手クリーチャーを持ち主の手札に戻し、このクリーチャーをアンタップする。
T・ブレイカー


 《カイザー・プリンス》の進化した姿——次元の歪みから始まった大戦争。ハンターとエイリアン、アンノウン。果てはアウトレイジとオラクルの抗争にまで続くすべての戦いを終わらせる——《リュウセイ》の最終形態。その名も《決着のリュウセイ・ジ・エンド》。
 戦いを終わらせる彼は、戦いを起こさずに敵を支配する力で、戦いを終わらせる。
「《決着のリュウセイ・ジ・エンド》で《キューブリック》に攻撃! その時《ダイハード・リュウセイ》の能力発動!」
 ドラゴンが攻撃する時、相手のシールドを一枚、問答無用に墓地送りにする。
 ヒナタの裏向きになったシールドが、初めてゾーンを離れた。しかしそれは彼に手札ではなく、墓地へと落ちていく。
「さらに《決着のリュウセイ・ジ・エンド》と《キューブリック》がバトル、する代わりに、《キューブリック》を手札に戻し、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》をアンタップ!」
「っ、おいおい、これって……」
 夕陽の場には、バトルする代わりに相手をバウンスし、自身はアンタップする《決着のリュウセイ・ジ・エンド》、ドラゴンが攻撃するたびに相手のシールドを焼き払う《不敗のダイハード・リュウセイ》。
 対するヒナタの場には、タップされた《ビッグ・パルサー》と《トップギア》の二体。
「あと一体いれば確実に倒せたんだけど……まあ、仕方ないか。続けて《ビッグ・パルサー》を攻撃!」
 《決着のリュウセイ・ジ・エンド》の能力は、テキストこそ複雑だが、簡単に言えば攻撃可能な相手クリーチャーすべてを手札に戻してしまえる、という能力だ。
 ただそのバウンスは、バトルする代わりに発生するため、たとえば《パーフェクト・マドンナ》のような置換効果で場を離れないクリーチャーでも問答無用で手札に戻せる。
 さらに言うと、バトルを行うためには攻撃する必要がある。つまり、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》は相手の場にいるクリーチャーの数だけ攻撃できるクリーチャーとも言える。そこにドラゴンが攻撃するたびにシールド焼却を行う《不敗のダイハード・リュウセイ》が加われば、
「こっちのクリーチャーは全滅、シールドもまとめて焼き払われるってことかよ……!」
 ヒナタが呻く。その通りだった。
 バトルが発生しないためスレイヤーはおろか、手札に戻されるので破壊時能力も使えない。シールドも墓地送りにされ、S・トリガーは発動不可。
 シールド焼却でトリガーを封じられるのもきついが、バウンスで破壊時の能力を使えないのも、スーサイドや自壊といったアウトレイジならでは戦術を駆使するヒナタにとっては痛い。
「《ダイハード・リュウセイ》の能力でシールドを墓地へ! 《決着のリュウセイ・ジ・エンド》の能力で《ビッグ・パルサー》を手札へ! 再び《決着のリュウセイ・ジ・エンド》をアンタップ! 次は《トップギア》に攻撃!」
「ぐっ……!」
 ヒナタのクリーチャーが次々と手札に戻され、シールドも墓地へと落とされる。墓地送りにされるせいで、S・トリガーも使えない。
 今まで夕陽が攻撃してこなかったのは、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》と《不敗のダイハード・リュウセイ》によるこのコンボがあったからだ。相手のクリーチャー数に左右されるとはいえ、このコンボが決まってしまえば、ほぼ勝利が確定する。
 だが、忘れてはならない。
 このコンボは、“相手クリーチャーの数で確実性が左右される”。
 夕陽の最大の失敗は、そのことを失念していたことだ。