二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.480 )
日時: 2014/03/02 22:19
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 決着——即ち終わりが迫った、夕陽とヒナタのデュエル。
 夕陽のシールドは三枚。場には《勝利のプリンプリン》が二体、《時空の喧嘩屋キル》《不敗のダイハード・リュウセイ》そして《決着のリュウセイ・ジ・エンド》。
 ヒナタのシールドは《不敗のダイハード・リュウセイ》に焼き払われ、残り二枚。場は《決着のリュウセイ・ジ・エンド》の能力により全滅、すべて手札に戻されている。
 そして、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》による、最後の攻撃が放たれた。
「《決着のリュウセイ・ジ・エンド》で攻撃! その時《不敗のダイハード・リュウセイ》の効果でシールドを直接墓地に!」
 これで残りシールドは一枚。そのシールドも《決着のリュウセイ・ジ・エンド》でブレイクされ、その後にはヒナタにとどめを刺すべくサイキック・クリーチャーが襲い掛かるだろう。
 だが、
「っ、まだだ! 《疾封怒闘 キューブリック》の能力発動!」
「え……?」
 《キューブリック》は《決着のリュウセイ・ジ・エンド》で手札に戻したはず、と思った夕陽だが、そちらではない。《ダイハード・リュウセイ》の能力で、シールドから墓地に送られた《キューブリック》だ。
「《キューブリック》はどこからでも墓地に送られた時、マナゾーンに水のカードが三枚以上あれば、バトルゾーンのクリーチャーを一体手札に戻せる! 《ダイハード・リュウセイ》を手札に!」
「なに、その能力……!?」
 見たこともない能力に、また驚かされる夕陽。とはいえ、それだけではどうにもならない。
「《ダイハード・リュウセイ》はバウンスされたけど、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》の攻撃は止まってないし、僕の場には他にもアタッカーがいる。どの道このターンで終わりだよ! 《決着のリュウセイ・ジ・エンド》で、最後のシールドをブレイク!」
 ヒナタの残された最後のシールドが、初めてブレイクされる。
 そして、
「このターンで終わり? いいや、違うね。このターンが終わりだ!」
 時間は、加速する。
 夕焼けの日が沈むほどに。
「S・トリガー発動! 《終末の時計 ザ・クロック》! このターンの残りを飛ばして、お前のターンは終わりだ!」
 召喚時にターンの残りを飛ばす《終末の時計 ザ・クロック》。最後にブレイクされたシールドから飛び出し、夕陽のターンを強制終了させた。
「タ、ターンを飛ばす……!? そんな能力ありかよ!?」
 今までアウトレイジの一風変わった能力には驚かされてきた夕陽だが、流石に型破りが過ぎる。再三に渡る驚愕も、頂点に達したことだろう。
「俺のターンだ!」
 夕陽が沈んだ後にあるものと言えば、なんだろうか。夜——間違いではないが、その時間はとうに過ぎている。
 沈んだ後は、日が昇る。明け方——暁の時間だ。
「まずは呪文《エマージェンシー・タイフーン》! カードを二枚ドローし、手札を一枚墓地へ!」
 最初にヒナタが取った行動は、手札の入れ替え。手札に戻された《キューブリック》を捨て、《決着のリュウセイ・ジ・エンド》をバウンス。
 さらに、
「これで決めるぜ《ヒラメキ・プログラム》!」
 破壊するのは、S・トリガーで出た《クロック》。
 《クロック》のコストは3、つまりコスト4のクリーチャーが山札から飛び出すのだが、このデッキの4コストのクリーチャーは一体だけだ。
「さあ、出番だぜ! 《双拳銃 ドラポン》をバトルゾーンに!」
 このデュエルが始まってから真っ先に破壊された《ドラポン》が、ここで現れる。とはいえ、これだけでは夕陽を倒すには至らない。召喚酔いもあり、場数だって足りていないのだ。
 なので当然、これでは終わらない。
「もう一発! 《ヒラメキ・プログラム》!」
 ヒナタの次の手は、また《ヒラメキ・プログラム》。破壊するのは当然《ドラポン》。今度はコスト5のクリーチャーが現れる。
「出て来るのは……こいつだ! 《進軍する巨砲 クロムウェル》!」
 次に《クロムウェル》が出たがシールド・ゴーしていない、どころか《クロムウェル》自身も召喚酔いで動けないので、やはりこれではこのターンの攻撃はできない。
 だが、それとは別に気にするべきポイントはある。
 それは《ドラポン》が破壊されたことだ。それも夕陽がではなく、ヒナタが能動的、破壊した。
「行くぞ《ドラポン》! ドロン・ゴー!」
 それはつまり、唯一の無法者が、新たな力を得て転生するということだ。

「交差する魂、それを受け継ぎし無法者——エグザイル! 新たな姿は勝利を呼ぶ! 《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》!」


弐超(ガンガン)拳銃(ガンマン) ドラゴ・リボルバー 火文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
このクリーチャーが攻撃する時、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《拳銃》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《拳銃》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「これがドロン・ゴー……!」
 《ドラポン》が新たな姿《ドラゴ・リボルバー》となる。その唯一なる無法の力に戦慄する夕陽だが、
「でも、どの道その《ドラゴ・リボルバー》は召喚酔いで攻撃できないよ」
 仮になんらかのカードで《クロムウェル》を破壊すればシールド・ゴーでスピードアタッカーになるが、そうした場合、今度は打点が足りなくなる。
 しかしヒナタは、それで焦りを見せることはなかった。むしろ、勝利を確信しているような笑みを見せる。
「どーだか。まだ俺には手が残ってんだよ! これで最後だ! 《ヒラメキ・プログラム》!」
「っ! 《ヒラメキ・プログラム》三連打……!?」
 三度目の《ヒラメキ・プログラム》で《クロムウェル》が破壊される。《クロムウェル》は表向きのシールドとなり、ヒナタのクリーチャーはすべてスピードアタッカーに。
 そして、
「出て来い《新世界 シューマッハ》! 互いのプレイヤーは手札をすべて捨て、五枚ドロー!」
 次に閃かれたのは《シューマッハ》。これでヒナタは手札を五枚も手に入れたが、もうマナがない。しかも自身のクリーチャーがスピードアタッカーになったとはいえ、二回攻撃できる《クロムウェル》がいなくなったことで、今度は攻撃手が足りない。
 今のままでは、だが。
「俺の墓地にクリーチャーは六体以上いる……だから、G・ゼロ発動! 《百万超邪 クロスファイア》!」
 《シューマッハ》で手に入れた手札から現れた《クロスファイア》。さらに、
「このターン、俺はターン最初のドローで一枚、《シューマッハ》の効果で五枚、合計六枚のカードを引いた……こっちもG・ゼロ発動だ! 《天災超邪 クロスファイア 2nd》!」
 ヒナタの劣勢を救うかのように、彼の呼びかけに応えるかのように、次々とアウトレイジたちが集まってくる。その様には、ただのカードゲームを超えたなにかを感じる夕陽だが。
 普通にカードゲームとしてみても、この状況はやばい。
「クリーチャーが四体……まずい、防ぎ切れない……!」
 一応、一枚だけS・トリガーを仕込んでいるが、この数を相手にどうにかできるものではない。
 そして、ヒナタの元に集結したアウトレイジたちが、夕陽に襲い掛かる。
「《クロスファイア》でシールドをWブレイク! 続けて《クロスファイア 2nd》でシールドをブレイク!」
 アウトレイジを一気に展開したヒナタだが、彼とてこのターンで決めなければならないのだ。S・トリガーを気にしている余裕はない。脇目も振らず、一気に攻め立てる。
「うぅ……S・トリガー発動! 《超次元サプライズ・ホール》で、《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》をバトルゾーンに!」
 しかし、これではどうしようもない。
「《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》で攻撃! その時《ドラゴ・リボルバー》の効果で、パワー6000以下の《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》を破壊!」
 《シューマッハ》がいる上に、《ドラゴ・リボルバー》の効果で小型クリーチャーは破壊されるのだ。
 だが、《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》が破壊される、その時。
 夕陽の声に、銃声と叫び声が届く。
『邪魔だぁ! どきやがれ!』
「え……?」
 今、《ドラゴ・リボルバー》から声が——
 という前に、夕陽は《ドラゴ・リボルバー》の銃口を突き付けられる。
 それはつまり、夕陽の敗北を示していた。

「《ドラゴ・リボルバー》で、ダイレクトアタック——!」