二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.525 )
日時: 2014/03/13 23:17
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 零佑とドン・グリルのデュエル、零佑は少々焦りを感じていた。
 零佑のシールドは五枚あり、場には《トロン》が二体、と《サイバー・B・バック》が一体の計三体。
 一方ドン・グリルのシールドは四枚。場には《ダンディ・ナスオ》《ジオ・ナスオ》《ジオ・ナスディーノ》《クリクリ・イガラーズ》《ケットウ・チューリップ》《聖騎士ミルキーウェイ》と、マナや手札を操作しつつ、かなりの数のクリーチャーを並べている。
『ワシのターン! 《セイント・キャッスル》を要塞化! さらに《ミルキーウェイ》を進化! 《超剛勇幻風ジャガスター》!』


超剛勇幻風ジャガスター 光/自然文明 (4)
進化クリーチャー:ワイルド・ベジーズ/レインボー・ファントム 5500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のワイルド・ベジーズまたはレインボー・ファントム1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のワイルド・ベジーズとレインボー・ファントムすべてのパワーは+2000される。
自分のターンの終わりに、バトルゾーンにある自分のワイルド・ベジーズとレインボー・ファントムを、好きな数アンタップしてもよい。


「うわ、やっべ……」
 ドン・グリルの展開するクリーチャーは軒並みパワーが低いので、《トロン》を並べておけば攻撃を躊躇わせることができると思っていた零佑だが、《セイント・キャッスル》に加えて《ジャガスター》まで出て来てしまったため、ドン・グリルのワイルド・ベジーズたちのパワーが3000も上がってしまった。
『さあ、一斉攻撃だ!』
 そしてパワーの上がったワイルド・ベージズたちが、一斉に襲い掛かってくる。
「くっ、せめて一体くらいは……ニンジャ・ストライク! 《斬隠テンサイ・ジャニット》を召喚して、《ジオ・ナスディーノ》を手札に戻す!」
 S・トリガーも出ず、五枚のシールドをすべて持って行かれた零佑。正直言って、かなりやばい状況だ。
『ターン終了、その時《ジャガスター》の能力でワシのワイルド・ベジーズをすべてアンタップ!』
 ドン・グリルのターンが終わると、《ジャガスター》の能力でワイルド・ベジーズがすべて起き上がる。《セイント・キャッスル》でドン・グリルのクリーチャーはすべてブロッカーになっているので、殴り返せないどころか、アタッカーを無視して攻撃を通すこともできない。
「やべぇ……こうなったら、こいつに賭ける! 《ヒラメキ・プログラム》で《サイバー・B・バック》を破壊! だが《サイバー・B・バック》は破壊される時、代わりに墓地のサイバーを三体山札に戻せば破壊されない!」
 墓地の《トロン》二体と《スーパーハッカー サイバー・クーン》を山札に戻し、破壊を免れる。
「《サイバー・B・バック》はコスト7、山札を捲り、コスト8のクリーチャーをバトルゾーンに! 出て来い《サイバー・G・ホーガン》! 激流連鎖!」
 零佑は山札の上二枚を捲る。二枚ともクリーチャー、そしてコストは8未満だった。
「うっし、《サイバー・J・シン》と《サイバー・N・ワールド》をバトルゾーンに!」
 しかも両方とも大型サイバー・コマンド。二体の登場時の能力が発動する。
「まずは《サイバー・J・シン》の能力で、山札の上から二枚を捲るぜ。捲れたのは《コーライル》と……《サイバー・W・スパイラル》か。《コーライル》をバトルゾーンに出し、《ジャガスター》を山札の上へ! 続けて《サイバー・N・ワールド》の能力で、互いの墓地と手札をリセット!」
 零佑とドン・グリルの手札、墓地がすべて山札へと戻り、その後お互い五枚ドロー。だが、手札が切れかかっていたドン・グリルは手札補充となり、元々手札の多かった零佑は手札の枚数で言えば損をしてしまっている。
「だが、クリーチャーを増やすためだ、仕方ねぇ。さらに《クゥリャン》《マリン・フラワー》も召喚! 《サイバー・B・バック》で攻撃!」
『《クリクリ・イガラーズ》でブロック!』
 クリーチャーの数も減らし、これだけクリーチャーが並べば、次のターンは凌げるはず。そして次のターンを凌げれば、返しのターンでとどめが刺せるはずだ。
 しかし、
『《ケットウ・チューリップ》を召喚! 続けて《ジオ・ナスディーノ》を召喚! マナゾーンの《湧水の光陣》を墓地に置き、1枚ドロー! さらに《ナスディーノ》を進化! 《ジャガスター》!』
 山札に戻したがまた戻って来た《ジャガスター》。さらに、それに続き、

『さらにさらに、ワシの場には四体以上のワイルド・ベジーズがいる! G・ゼロ! 《ケットウ・チューリップ》を進化! 《味頭領ドン・グリル》!』


味頭領ドン・グリル 自然文明 (5)
進化クリーチャー:ワイルド・ベジーズ 9000
進化—自分のワイルド・ベジーズ1体の上に置く。
G・ゼロ—バトルゾーンに自分のワイルド・ベジーズが4体以上あれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
W・ブレイカー


「アタッカーが五体!? やばい……!」
 このターン召喚した《ナスディーノ》と《ケットウ・チューリップ》が、それぞれ《ジャガスター》と《ドン・グリル》に進化し、このターンに攻撃できるクリーチャーは合計五体。
 零佑の場にブロッカーは三体、シールドはゼロ。どう見ても零佑はこの攻撃を防ぎ切れない。
「くっ、どうする……!?」
 零佑は自身の手札を見つめながら思考を働かせるが、《ドン・グリル》は待ってはくれない。
 攻撃準備が整うと、一斉に攻撃を仕掛けてくる。
『《ダンディ・ナスオ》《ジオ・ナスオ》《ジャガスター》で攻撃!』
「っ、《トロン》! 《マリン・フラワー》!」
 襲い来る三体のワイルド・ベジーズは、なんとかブロッカーで防ぐ。しかし、
『ならばワシでダイレクトアタック! これで終わりだ!』
 《ドン・グリル》が巨大な包丁を手に、襲い掛かる。もはや悩む時間すら、零佑には残されていない。
 だがよく考えれば、考える必要なんてなかったのだ。
「……選択肢は、これしかねぇよな。やるっきゃねぇ!」
 零佑は手札のカードを一枚抜き取り、投げつけるようにバトルゾーンへ解き放つ。
「ニンジャ・ストライク! 《斬隠オロチ》をバトルゾーンに! そして《オロチ》の能力で俺の《クゥリャン》を山札下へ!」
 《ドン・グリル》のクリーチャーを山札に戻しても、アタッカーは二体いるため無意味。なので零佑は、自身のクリーチャーに賭けた。
 《クゥリャン》が山札底に送られ、山札が捲られていき、転生する。そして現れたのは——
「——こいつだ! 《サイバー・W・スパイラル》! 《ドン・グリル》と《ケットウ・チューリップ》を山札に戻すぜ!」
 現れたのは、零助が最も必要としていたサイバー・コマンド《サイバー・W・スパイラル》。その能力で、《ドン・グリル》の残りのアタッカーがすべて山札に戻される。
「そして俺のターンだ! 《コーライル》を進化! 《超電磁マクスウェルZ》!」
 続けざまにサイバー・コマンドを呼び出す零佑。これで反撃準備は整った。
「いくぜ! 《サイバー・W・スパイラル》でシールドをWブレイクだ!」
『ぬぅ、《ジオ・ナスオ》でブロック!』
「そいつは無理だぜ。《サイバー・W・スパイラル》はブロックされない! そのまま《セイント・キャッスル》が要塞化されたシールドをブレイク!」
 ドン・グリルのシールドが二枚吹き飛ばされた。同時に《セイント・キャッスル》が剥がされ、ドン・グリルのクリーチャーはブロッカー能力を失う。
「さらに《サイバー・G・ホーガン》でWブレイク!」
 続けて《ホーガン》の砲丸が放たれ、残る二枚のシールドも砕け散る。
『ぐぬぅ、S・トリガー発動! 《DNA・スパーク》——』
「それも無理だ」
 ドン・グリルの最後のシールドはS・トリガーの《DNA・スパーク》。しかしその発動は《マクスウェルZ》の発生させる磁場により、封じられてしまった。
「《マクスウェルZ》がいる時、お互い墓地に存在する呪文と同じ文明の呪文は唱えられない!」
『なに……? だが、ワシは光の呪文など……』
「唱えてねえよなぁ。だが、お前の墓地をよく見てみろよ」
 ドン・グリルは自身の墓地を見遣る。《サイバー・N・ワールド》で一度リセットされているため、枚数こそ少ないが、そこには確かにあった。
 前のターン《ジオ・ナスディーノ》でマナゾーンから墓地の落とした、光文明の呪文《湧水の光陣》が。
『これは……!』
「墓地に落とすカードを間違えたな。これで終わりだ! 《マクスウェルZ》でダイレクトアタック!」
『ぬっ、ぐ、ぐあぁぁぁぁ!』
 とどめの一撃が繰り出される。
 《マクスウェルZ》の放つ光線に射抜かれたドン・グリルは、そのまま消滅していくのだった。