二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.526 )
日時: 2014/03/13 13:38
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

『……《黙示賢者ソルハバキ》ヲ召喚。マナゾーンノ《フェアリー・ギフト》ヲ手札ニ。ソシテ手札ヲ一枚マナゾーンニ』
「2ターン目に《ソルハバキ》で《フェアリー・ギフト》を回収って……」
 夕陽とエール・ソニアスのデュエルは、まだ先攻夕陽の3ターン目が始まったところまでしか進んでいない。だが、その時点で夕陽は嫌な予感がしていた。
「《エコ・アイニー》を召喚。マナを追加して、ターン終了」
 とりあえずこの早い段階で6マナまで溜めたが、しかし夕陽の嫌な予感は見事に的中してしまう。
『……呪文《フェアリー・ギフト》。コストヲ3軽減シ《ソルハバキ》ヲ進化。《聖皇エール・ソニアス》』


聖皇(せいこう)エール・ソニアス 光文明 (5)
進化クリーチャー:グラディエーター 8000
進化—自分のグラディエーター1体の上に置く。
W・ブレイカー
相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。


「やっぱりギフト土偶かよ!」
 叫ぶ夕陽。現れたのは、巨大な土偶のような姿をしたグラディエーターの進化クリーチャー《エール・ソニアス》。
 ギフト土偶というのは、いわゆる俗称で、《エール・ソニアス》が土偶のような姿をしていることから名付けられている。
 一見するとふざけたような名前ではあるが、しかし《フェアリー・ギフト》で2マナとなった《エール・ソニアス》を最速3ターン目に繰り出すこの流れは驚異だ。
「この早い順目に、アンタッチャブルでパワー8000のWブレイカーとか、きつすぎる……!」
 夕陽のデッキは素早く《アポロン》を呼び出せるように構築されており、《エール・ソニアス》を一方的に殴り返せるようなクリーチャーは少ない。しかも選べないため、ただでさえ除去の少ない夕陽のデッキでは除去手段がかなり限られる。
『《エール・ソニアス》デ攻撃、Wブレイク』
「ぐっ……!」
 早速シールドを二枚持って行かれた。このまま殴られ続けるとまずい。
「これで7マナか。なら《コッコ・ルピア》と《ガイアール・アクセル》を召喚! 《エコ・アイニー》でシールドをブレイク!」
 本来なら殴り返しを恐れて攻撃しない《エコ・アイニー》だが、今はシールドをブレイクされる方がまずい。なので《エール・ソニアス》の攻撃対象が《エコ・アイニー》に向いてくれれば、生き残るターンが伸びると考えたのだが、
『S・トリガー発動《進化設計図》』
 山札の上から六枚を捲り、その中の進化クリーチャーをすべて手札に加える呪文《進化設計図》がトリガーする《エール・ソニアス》。そして捲れた六枚の中に、進化クリーチャーは二体。
『《エール・ソニアス》ト《超戦攻賢者アギラ》ヲ手札ニ』
「手札を増やされた……ターン終了」
 《フェアリー・ギフト》は大きくテンポアドバンテージを稼いでくれる呪文だが、その分手札消費も激しい。そう何体も《エール・ソニアス》が並ぶとは思っていないが、マナにするためのカードを補充されるだけでもきつい。
 そして《エール・ソニアス》のターン。
『《宣凶師ベルモーレ》ヲ召喚。続ケテ呪文《フェアリー・ギフト》、コストヲ3下ゲ《スベンガリィ・クロウラー》ヲ召喚』
「あぁ!?」


スベンガリィ・クロウラー 水文明 (4)
クリーチャー:アースイーター/オリジン 4000
自分のクリーチャーは、クリーチャーを攻撃することができない。
相手のクリーチャーは、バトルゾーンに出す時タップして置く。


「またうぜぇのが出やがった……どうすんだよ、これ……」
 召喚したクリーチャーがタップされるため、一気に攻撃速度を落とされる夕陽。踏んだり蹴ったりだ。
『《エール・ソニアス》デWブレイク』
 そしてさらに二枚のシールドを割られてしまう。これで残るシールドは一枚。いよいよ追い詰められてきた。
「こうなったら、こいつしかいないか……《不敗のダイハード・リュウセイ》を召喚!」
 召喚されるクリーチャーはすべてタップ状態だが、《スベンガリィ・クロウラー》のデメリット能力で殴り返しの心配はない。《ガイアール・アクセル》でスピードアタッカーを付加した意味もなくなったが。
「そして《ガイアール・アクセル》で攻撃! その時《ダイハード・リュウセイ》の能力でシールドを一枚墓地へ!」
『《ベルモーレ》デブロック』
「だったら《エコ・アイニー》と《コッコ・ルピア》もシールドをブレイクだ!」
 殴り返しの恐れがないので、いつもなら攻撃しないファイアー・バードたちも積極的に攻撃していく。これで《エール・ソニアス》のシールドも一枚になり、数では並ぶ——と思われたが、
『S・トリガー発動《DNA・スパーク》』
「っ、止められた……!」
 《コッコ・ルピア》はタップされ、シールドも二枚から三枚に回復されてしまい、結果的に《エール・ソニアス》一枚しかシールドを失っていないことになる。
『《宣凶師ベリックス》ヲ召喚。マナゾーンノ《フェアリー・ギフト》ヲ手札ニ。呪文《フェアリー・ギフト》』
 そして返しのターン、《エール・ソニアス》はブロッカーを並べつつ、またしても《フェアリー・ギフト》を回収する。そして、
『《スベンガリィ・クロウラー》ヲ進化、《超戦攻賢者アギラ》』


超戦攻賢者アギラ 光/水文明 (4)
進化クリーチャー:グラディエーター/アースイーター 5500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のグラディエーターまたはアースイーター1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のグラディエーターとアースイーターすべてのパワーは+2000される。
自分のグラディエーターまたはアースイーターがブロックした時、カードを1枚引いてもよい。


「今度はデュアル進化……本格的にやばいかもしれない——」
『《アギラ》デシールドヲブレイク』
 夕陽の言葉を遮るように、《アギラ》の攻撃が夕陽の最後のシールドを吹き飛ばす。これで夕陽のシールドはゼロに。
『《エール・ソニアス》デダイレクトアタック』
「っ、させるかよ! 《ダイハード・リュウセイ》を破壊!」
 最後のとどめを刺される瞬間、夕陽は《ダイハード・リュウセイ》を自壊させる。
「《ダイハード・リュウセイ》が破壊されたターン、僕はゲームに負けない! 僕のターンだ!」
 なんとか1ターンは生き延びられた夕陽。しかし相手の場にはブロッカーがおり、シールドも三枚ある。対して夕陽の場には《エコ・アイニー》と《コッコ・ルピア》そして《ガイアール・アクセル》の三体。
「……って、なんだよ、余裕じゃん。なぁ、アポロン」
「え? そうなのか?」
 さっきのシールドブレイクで手札に入ったアポロンに問いかけると、アポロンも聞き返す。
 いつもブロッカーに悩まされている夕陽は、ブロッカーと言う存在を少し重く考えていたかもしれない。
 これがもし姫乃を相手にしていたなら、相手の場には《パーフェクト・マドンナ》や《ジャンヌ・ダルク》が並んでいたことだろう。それらのクリーチャーを相手にしたら、流石に突破は無理だ。
 しかし《エール・ソニアス》の場には、《アギラ》で強化されてパワー5000にはなっているが、所詮ただのブロッカーだ。恐るるに足らない。
「《GENJI》とか《トルネードシヴァ》とかがいたらもっと楽だったんだけど……まあいいや。今回はアポロンを出すまでもない」

「《ボルシャック・NEX》を召喚! 山札から《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに! さらに《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を召喚! 山札から《永遠のリュウセイ・カイザー》をサーチして、そのまま召喚!」
 これで準備は整った。毎度のことオーバーキル気味だが、構うものか。足りないよりはよっぽどいい。
「最速で土偶が出た時にはちょっと冷や冷やしたけど、大した相手でもなかったな。行くぞ、《バルキリー・ラゴン》で攻撃! Wブレイク!」
 《バルキリー・ラゴン》の槍と刃が《エール・ソニアス》のシールドを切り裂く。その後に続くのは、二体のファイアー・バード。
「《エコ・アイニー》でもシールドブレイク!」
『《ベリックス》デブロック。《アギラ》ノ効果デ一枚ドロー』
「知ったことか! 《コッコ・ルピア》でシールドをブレイク!」
 《エコ・アイニー》はブロックされてやられたが、《コッコ・ルピア》が高速で飛び、《エール・ソニアス》の最後のシールドに迫る。
『ニンジャ・ストライク《光牙忍ハヤブサマル》ヲ召喚』
「召喚するのは勝手だけど、そいつは《リュウセイ・カイザー》の効果でタップされて出るから、ブロックできないよ」
 タップされた《ハヤブサマル》の横を通り過ぎ、《コッコ・ルピア》が最後のシールドを貫いた。
 《アギラ》の効果で引いてきたのだろう、《ハヤブサマル》を召喚して凌ごうとする《エール・ソニアス》だが、悪足掻きすらできず——
「これで終わりだ! 《永遠のリュウセイ・カイザー》で、ダイレクトアタック!」
 ——《エール・ソニアス》は、音もなく崩れ落ちるのだった。