二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.530 )
- 日時: 2014/03/15 06:41
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
黒村とトランスのデュエル。
黒村のシールドは三枚。場には《凶戦士ブレイズ・クロー》《闇戦士ザビ・クロー》《斬斬人形コダマンマ》の三体。
トランスのシールドは二枚。場には《ポッツーン》が一体。
『————』
黒村の速攻で押されているトランスは、ここで《戦慄のプレリュード》を唱える。そして召喚されるのは、
『——!』
神聖奇 トランス 無色 (7)
クリーチャー:オラクリオン/トライストーン 12000
T・ブレイカー
(ほぼ)すべてのトライストーンが融合したオラクリオン《神聖奇 トランス》。パワーも打点も高く、無色なので文明には囚われないが、それでもたかが準バニラ。正直、強いとは言えない。
『————』
《トランス》は《ポッツーン》で《コダマンマ》を殴り返してターンを終える。
「俺のターンだ……このターンで終わらせてやる」
そう宣言すると、黒村はマナをタップし手札のカードを抜き取る。
「《漆黒の猛虎 チェイサー》を召喚」
漆黒の猛虎(ダーク・タイガ) チェイサー 闇/火然文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 2000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが火のカードであれば、そのターン、このクリーチャーは「スピードアタッカー」を得る。
かの《無頼勇騎タイガ》がアウトレイジとなったクリーチャー。ただしスピードアタッカーは条件付きで、文明も火と自然ではなく、火と闇文明となっている。
「山札の一番上を墓地へ」
こうして墓地に落ちたのは、火文明の《デュアルショック・ドラゴン》。なので《チェイサー》はスピードアタッカーになり、このターンで《トランス》にとどめを刺せる戦力が揃った。
だが、黒村はダメ押しのようにもう一枚引き抜き、
「二体目の《チェイサー》を召喚。山札の一番上を墓地へ」
こうして墓地に置かれたのは、残念ながら闇文明の《福腹人形コダマンマ》だ。しかし、これはこれで構わない。
「墓地の《福腹人形コダマンマ》を墓地進化、《死神術士デスマーチ》」
闇文明のクリーチャーが落ちれば、そのまま墓地進化元にしてしまえばいいのだ。火文明ならスピードアタッカーですぐに殴れ、闇文明でも別の方向で活用する。無駄なく《チェイサー》の能力を使う黒村だった。
「《ブレイズ・クロー》と《ザビ・クロー》でシールドブレイクだ」
そして場にいた二体のクリーチャーでシールドを割る。これで《トランス》のシールドはゼロだ。
『……——! ——!』
だがここで《トランス》はS・トリガーを引く。《父なる大地》でスピードアタッカーを得た《チェイサー》がマナゾーンに送られ、マナゾーンからは《サビ・クロー》が出て来る。
しかし、ここで一体クリーチャーを除去しても、黒村は止まらない。彼の場にはまだ《デスマーチ》がいる。
「これで終わりだ」
『——!? !? ! ——! ……——! ——』
「消えろ。《デスマーチ》でダイレクトアタック」
「あ、終わりましたか黒村さん。早いですね」
神話空間から出た黒村は、とりあえず九頭龍の声を無視し、カードに戻った《神聖奇 トランス》を回収する。
「……無駄な時間を食ったな」
「黒村さんはかなり早いと思いますけどね。たぶん他の人はまだ戦ってますよ」
当然だ、黒村は今回、正真正銘の速攻デッキを使用していたのだ。遅いうえに、ほとんどバニラしか積んでいないような低級クリーチャーに負けるはずがない。
「これからどうします? 正直、所長は見失っちゃいましたし、この状況を見て見ぬ振りするのもまずいですし」
「そうだな……」
黒村は少し考え込むような仕草を見せてから、九頭龍に目を向ける。
「とりあえず、お前は先に行け」
「はい?」
「邪魔だから消えろと言っている」
九頭龍が聞き返すと、辛辣な言葉が飛んできた。
「……黒村さん、最近めっきり遠慮がなくなりましたよね」
別に構いませんけど、と付け加えてから、九頭龍は背を向ける。そしてそのまま、歩き去ってしまった。
黒村としては九頭龍を野放しにしたくはないのだが、流石にこの状況でふざけたことはしないだろう、と思っておく。一応、近くにラトリもいるのだから、下手なことはできないはずだ。
それはそれとして、とりあえず黒村はラトリを探し、接触することにした。遠くから監視するならともかく、そうなると近くに九頭龍は置いておきたくないので、九頭龍を離したのだ。邪魔だから消えろという言葉に、偽りはまったくない。本音本心をそのままぶつけただけだ。
「……さて、俺も行くか」
九頭龍が完全に消えるのを確認してから、黒村は彼があるて言った方向とは逆方向に歩を進める。
だが、一歩踏み出した瞬間、なにか違和感を感じた。
自分の家に、招かざる来客でも来たかのような、そんな感覚だ。唐突に何者かが侵入したような気配を感じた。
なぜ黒村には感じられたのか。後から考えれば、それは恐らく、自分がこの空間を作り出している神話を、一度だけ手にしたことがあるからだろう。たった一度だけだが、それほどに神話の影響力というものは強い。
「誰か、来たのか……?」
この神話空間に、という黒村の呟きは、また新たに出現したクリーチャーの咆哮で、かき消されたのだった。