二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.561 )
日時: 2014/03/30 15:49
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

マントラ教皇 バラモン 光文明 (7)
クリーチャー:オラクル 8000+
W・ブレイカー
バトルゾーンにある自分の他のオラクル1体につき、このクリーチャーのパワーは+5000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。
このクリーチャーが破壊される時、かわりに自分の他のオラクルを1体、破壊してもよい。


 召喚されたのは《バラモン》自身。オラクルでありながら神々すらも超える力を持った神官《マントラ教皇 バラモン》だ。
『恐れ戦け! 惰弱な人間よ!』
「確かにやばいね、これ……」
 《バラモン》のパワーとブレイク数は、バトルゾーンにいる自分の他のオラクルの数だけ上昇する。《バラモン》の場にいるオラクルは、《提督のマントラ ヴォスラディッシュ》《転々のサトリ ラシャ》が二体ずつと、《封滅のマントラ ストロガノフ》《闇噛のファミリア ミョウガ》《血塗られた信徒 チリ》《信心深きコットン》が一体ずつ。合計八体のオラクルがいるのだ。
『即ち、私のパワーはプラス40000となり、48000! ブレイク数は十枚! 如何なるクリーチャーでさえも、今の私を止めることはできない! 貴様のシールドも、一瞬で吹き飛ばしてくれる!』
 パワー48000など、三体で覚醒リンクしたサイキック・スーパー・クリーチャーでも余裕で薙ぎ払えるレベルだ。ブレイク数十枚も、ほぼワールド・ブレイカーと同義と考えて差し支えはない。
「や、やばくないですか、ラトリさん……」
「このままじゃ……」
 心配そうにラトリを見上げるささみとうさみ。はっきり言って、ラトリも危機感を感じている。
「確かにやばいね……そろそろ向こうも攻めてくるっぽいし、反撃手段なり防御手段形を整えないと」
 とはいえ、ラトリの手札はまたもゼロ。《R・M・G》で増やしたとはいえ、たった二枚だ。二枚だけでは全然足らない。
「せめて《バラモン》だけでもどうにかできれば……ねぇ、ささちゃん、うさちゃん。このデッキ、除去カードって——」
 どのくらいある? と聞こうとしたが、言い切る前に双子は首を横に振った。ほとんど入っていないようだ。
「だよねぇ。《魂と記憶の盾》はもう使っちゃったし、白青緑の三色構成の時点で、除去は期待してないけど」
 光も水も自然も、除去を苦手とするカラーだ。シールドに埋めたり、手札に戻したりマナに送ったりすることはできるが、破壊はほぼ不可能。
「まあこの場合《バラモン》は破壊耐性もあるから、そっちの方がいいんだけど」
 と言いながらカードを引くラトリ。しかし除去カードは引けない。
「んー……とりえず、ブロッカーでも並べるかな。《五朗丸・G》を召喚」
 幸い《ニケ・M》がいるお陰で、ラトリのクリーチャーは今のところすべてブロッカーだ。《バラモン》の大量ブレイクは確かに脅威だが、ブロックしてしまえば問題ない。
 という考えは、些か甘すぎた。
『ブロッカーを並べるだけで、私を止められると思うな。《慈愛のマントラ フリル》を召喚。そして呪文!』
 ここで初めて、《バラモン》が呪文を唱えた。そしてその呪文は、ラトリたちにとっては最悪の呪文だ。
『《反撃のサイレント・スパーク》!』
「っ……!」
 次の瞬間、閃光が輝くと同時に、ラトリの場にいたクリーチャーはすべてタップ状態となってしまった。
『《サイレント・スパーク》の能力で、貴様のクリーチャーはすべてタップだ。これでブロッカーに阻まれることもない。だが、その前に』
 《バラモン》の場にいたオラクルたち——《ヴォスラディッシュ》《ラシャ》《ストロガノフ》——がそれぞれ《ロビー・R》《ニケ・M》《五朗丸・G》へと攻撃してきたのだ。
『そのエグザイルたちは、互いを強化するクリーチャーだ。今更、一枚や二枚のS・トリガーで私の攻撃を凌げるとは思えんが、念のために消しておくぞ。《ラシャ》で《R・M・G》も攻撃、《ストロガノフ》によって《ラシャ》はスレイヤーとなる!』
「っ、《R・M・G》……!」
 《ラシャ》が《R・M・G》と相打ちとなり、これでラトリの場にクリーチャーはゼロ。手札がないのでドロン・ゴーもできない。
『さあ、これで終わりだ! 《マントラ教皇 バラモン》で、シールドをブレイク!』
 二体の《ラシャ》がいなくなったので、合計ブレイク数は九枚に落ちたが、それでも十分すぎる。オーバーキルだ。
「くっ、うぅ……!」
 数多の信者から生み出される、信仰の力を得た《バラモン》の波動が、ラトリに襲い掛かる。《バラモン》の言う通り、一瞬でシールドは吹き飛ばされてしまう。
「っ……S・トリガー発動! 《フェアリー・シャワー》! 山札の上から二枚を見て……一枚をマナに、一枚を手札に!」
『今更そんなことをしても無駄だ! 残りのシールドと共に消え去るがいい!』
 《フェアリー・シャワー》がトリガーしたのは一枚目。二枚目、三枚目、四枚目と、次々とラトリのシールドが粉砕されていく。
 しかし、五枚目のシールドが割れる時——
「……S・トリガー!」
 ——時が止まった。そして、
「《終末の時計 ザ・クロック》!」
 加速する。
『!? なんだ、なにが起こった……!?』
「君のターンがスキップされただけだよ。私のターン」
 最後のシールドから飛び出したのはS・トリガーの《クロック》だった。登場時の能力で《バラモン》の残りのターンが飛ばされ、ダイレクトアタックは免れた。
『ぬぅ……よく分からんが、このターンに決まらなくとも、次のターンにはとどめを刺してやる。もうS・トリガーに期待することも出来んだろうしな』
 《バラモン》の言う通り、ラトリのターンは1ターン延命しただけに過ぎない。しかも《バラモン》が念のためと言ってラトリのクリーチャーを殲滅したことが効いている。クリーチャー《クロック》のみのこの状況では、逆転は困難を極めるだろう。
「……っ」
「ラトリさん……」
「…………」
 心配そうにラトリを見上げる双子。
 ラトリは二人と手札を見つめ、ゆっくりと目を閉じた。
 ゆっくりとカードを引くと、ゆっくりと目を開く。
 そして、

「……やってみるかな」