二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.566 )
- 日時: 2014/06/10 20:57
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
姫乃とニャルラトホテプのデュエル。
互いにシールドは五枚あるが、戦力差は歴然としていた。
姫乃の場には《王機聖者ミル・アーマ》《光器パーフェクト・マドンナ》《知識の精霊ロードリエス》の三体。
対するニャルラトホテプの場には《最強国技ダイキンボシ》《小結 座美の花》《大関 地男の里》《封魔妖ザビ・クズトレイン》《死海秘宝ザビ・デモナ》《ジオ・ナスオ》、そして二体の《西武人形ザビ・バレル》。
「……《光器パーフェクト・マドンナ》を召喚。《ロードリエス》の効果で一枚引いて、呪文《クリスタル・メモリー》……ターン終了」
《ロードリエス》のお陰で後続を引くことができるが、序盤からのハンデスで手札が削られた姫乃の選択肢は限られている。
対するニャルラトホテプは、マナは十分にあり、《ダイキンボシ》の能力で墓地を手札のように扱えるため、選択の幅が広い。《ギル・メイワク》を空撃ちして得た手札を、十分に活用する。
「まずは《蒼黒の知将ディアブロスト》を召喚。続けて呪文《超次元ごっつぁん・ホーン》で、開け、超次元の門! 超次元ゾーンから《横綱 義留の富士》をバトルゾーンへ!」
蒼黒の知将ディアブロスト 闇文明 (5)
クリーチャー:デーモン・コマンド 6000
バトルゾーンにある相手のクリーチャーはすべて「ブロッカー」を得る。
W・ブレイカー
横綱 義留(ギル)の富士 火文明 (8)
サイキック・クリーチャー:フレイム・コマンド/エイリアン 7000
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップしてもよい。
W・ブレイカー
「これでサイキック・セルの三体目……だけど、《ディアブロスト》……?」
首を傾げる姫乃。この状況で、相手クリーチャーをブロッカーにする《ディアブロスト》を出す意味が分からない。
確かにこちらとしては、ブロッカーを引き続けられるとも限らないので、防御を考えるのならすべてのクリーチャーがブロッカーになるのは願ったり叶ったりだが、相手としてはそうではないはずだ。
「なんでだろ……?」
疑問符を浮かべつつ、姫乃は自身のターンを進める。
「……《コアクアンのおつかい》を発動。山札の上から三枚を捲って……《ハッチャキ》《ヘブンズ・ゲート》《ロイヤルティー》を手札に加えるよ。そしてそのまま《光機のイザナイ ロイヤルティー》を召喚」
この《ロイヤルティー》も《ディアブロスト》の能力でブロッカーだ。さらに次のターンに生き残れれば、最低でも一回は光臨を発動させることができる。
生き残れれば、だが。
姫乃は失念していたのだ。《小結 座美の花》《大関 地男の里》《横綱 義留の富士》の三体が揃えば、なにが出て来るかということを。
「ターン終了」
「いいのか? 僕のターンで。覚醒リンクが発動するよ」
「…………」
いいもなにも、今の姫乃にはその覚醒リンクを止める手立てがないのだから、仕方ない。もはや彼女には成り行きを見守ることしかできないのだ。
「なら、行くよ。《地男の里》の覚醒リンク発動。《小結 座美の花》《大関 地男の里》《横綱 義留の富士》の三体を覚醒、そしてリンク!」
三体のエイリアン力士たちが怪しげな炎と光に包み込まれていく。
「惰弱なものを押し飛ばし、力で異星の頂点となれ! これが——」
そしてその中で、三体は一体の巨大な龍となる——
「——《雲龍 ディス・イズ・大横綱》!」
雲龍 ディス・イズ・大横綱 闇/火/自然文明 (20)
サイキック・スーパー・クリーチャー:リキシ・コマンド・ドラゴン/エイリアン 20000
相手のクリーチャーは、可能であればブロックする。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップする。
バトルゾーンにある自分の他のエイリアンすべてのパワーは+5000される。
Q・ブレイカー
リンク解除
覚醒リンク前《横綱 義留の富士》(上)《大関 地男の里》(中)《小結 座美の花》(下)
それはエイリアンの特徴を受け継いだドラゴンだが、同時にその体格や構え、立ち姿は力士を彷彿とさせる。
これこそが力と技におけるエイリアンの頂点に立つ存在《雲龍 ディス・イズ・大横綱》だ。
「出て来ちゃった……でも、わたしにはまだブロッカーが——」
「ブロッカーなんていくらでも相手になるけどね。その前に、念のためだ。《ボーンおどり・チャージャー》を発動し、墓地に落ちた《不知火横綱ニバイ・ニバーイ》を《ダイキンボシ》の能力で召喚。《ニバイ・ニバーイ》がいれば、僕の生み出すマナは二倍になる。残った1マナをタップして《ギル・メイワク》を墓地から召喚、即破壊して《ザビ・クズトレイン》の能力で一枚ドロー」
このターンにできることを終え、遂にニャルラトホテプが攻撃に転じる。
「《雲龍 ディス・イズ・大横綱》で攻撃!」
「《ディス・イズ・大横綱》はQブレイカーだし、流石に受けられない……《パーフェクト・マドンナ》でブロック!」
《パーフェクト・マドンナ》が《ディス・イズ・大横綱》の張り手を受け、攻撃をブロックする。しかし、
「バトルに勝ったから《ディス・イズ・大横綱》はアンタップするよ。もう一度攻撃!」
「っ、そうだった……!」
《ディス・イズ・大横綱》はバトルに勝てばアンタップする能力があるため、ブロックしてもバトルに勝てなければ無意味なのだ。しかしパワー20000のクリーチャーに打ち勝てるブロッカーなど、そうはいない。
「さっきは失敗しちゃったけど、ブロックしても意味ないなら、ブロックはしない——」
「——わけにも、いかないんだよね」
《ディス・イズ・大横綱》に二度目の攻撃。二体目の《パーフェクト・マドンナ》が、その前に立ち塞がった。
「え……!?」
だが立ち塞がったところで《ディス・イズ・大横綱》の攻撃を止められるはずもなく、そのまま張り手で押し飛ばされた。さらにバトルに勝った《ディス・イズ・大横綱》は、再び起き上がる。
「《ディス・イズ・大横綱》が攻撃する時、相手ブロッカーにブロックを強要する。つまり《ディス・イズ・大横綱》よりもパワーの高いブロッカーがいないと、このクリーチャーは止まらない」
「そ、そんな……!」
パワー20000のクリーチャーなど、バトルで止められるはずがない。
さらにブロックを強要されるということは、姫乃のブロッカーは全滅するということだ。《パーフェクト・マドンナ》は場を離れないので破壊されなかったが、他のブロッカーはそうは行かない。
「さあ次の攻撃だ!」
「う……っ!」
三回目、四回目と、《ディス・イズ・大横綱》の攻撃は続き《ミル・アーマ》と《ロードリエス》が破壊されていく。
「まだ行くよ。《ディス・イズ・大横綱》で攻撃!」
《ディス・イズ・大横綱》の五回目の張り手が繰り出される。毎回シールドを狙っているはずなのに、姫乃の場はボロボロだ。
「今度こそシールドブレイク……Qブレイクは痛いけど、《ロイヤルティー》を残せたのは幸いかな……」
「おいおい、忘れてない? 僕の場には《ディアブロスト》がいるんだよ?」
「え……? ……あ!」
ハッと気づく姫乃。やっとニャルラトホテプが呼び出した《ディアボロス》の意義を見出せた。
今頃気付いても、もはや手遅れだが。
「そっか、《ディアブロスト》がいるから《ロイヤルティー》もブロッカーになるんだ……!」
「そういうこと。だから《ロイヤルティー》も強制ブロックで《ディス・イズ・大横綱》とバトルだ」
勿論、パワーで《ディス・イズ・大横綱》に敵わない《ロイヤルティー》はいとも容易く張り手で吹き飛ばされた。
これで姫乃の場に残ったのは《パーフェクト・マドンナ》二体のみ。
「さて、いよいよプレイヤーへの攻撃に移ろうか……《ディス・イズ・大横綱》でQブレイク!」
「……っ!」
一撃で四枚のシールドが吹き飛んだ。その中に、S・トリガーはない。
「S・トリガーはなしか。まあ、《スパーク》系の呪文ならともかく、《ヘブンズ・ゲート》が一枚や二枚出ても止めきれないだろうけどね。《ジオ・ナスオ》で最後のシールドをブレイクだ!」
姫乃の残る一枚のシールドが、《ジオ・ナスオ》によってブレイクされる。
これで姫乃のシールドはゼロ。しかし、
「……失敗したね」
姫乃はまだ、勝機を見失っていなかった。
「……? なにが?」
「ここで《ジオ・ナスオ》で攻撃したのは、あなたのミスだよ。もし他のクリーチャーで攻撃されてたら負けてたもん……」
「いや、わけ分かんない……どういうことだよ? S・トリガーでも出た?」
「その通りだよ。S・トリガー発動!」
姫乃の最後のシールドは、光の束となり収束する。
それは、調和と繁栄がもたらす、利得ではない弊害——
「——《調和と繁栄の罠》!」