二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.567 )
- 日時: 2014/04/01 18:32
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「S・トリガーで《調和と繁栄の罠》を発動! 指定する文明は闇だよっ!」
姫乃の最後のシールドから飛び出したのは《調和と繁栄の罠》。それにより、次の姫乃のターンの初めまで、闇文明のクリーチャーは攻撃できなくなった。
「僕の場にいるこのターン攻撃可能なアタッカーはすべて闇絡み……《ジオ・ナスオ》を残しておけば、とどめまで行けたか……」
確かに唯一の自然文明である《ジオ・ナスオ》を残しておくことが結果的には正解だったのだが、今更悔いても遅い。それに《調和と繁栄の罠》などというマイナーなS・トリガーを警戒しろというのも、酷な話だ。
そもそもニャルラトホテプの場にはまだ、数多くのアタッカーがいる。たった1ターンでこの状況を切り抜けるのは困難だろう。
「でも、可能性はゼロじゃない。わたしのターン」
幸い、姫乃はこまめにマナチャージをしていたので、マナは十分にある。手札もさっきのシールドブレイクで増えた。
「この手なら、まだ生き残れる……っ。呪文《ヘブンズ・ゲート》! 手札から光のブロッカー二体をバトルゾーンに!」
天国の門が開き、そこから二体の天使が舞い降りる。
しかしそれは、ただの天使ではない。龍の力を宿す天使だ。
「《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》を二体、バトルゾーンに!」
支配の精霊龍 ヴァルハラ・ナイツ 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
ブロッカー
このクリーチャーまたは自分のコスト3以下の光のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。そのクリーチャーは、次の相手のターンのはじめにアンタップされない。
W・ブレイカー
「《ヴァルハラナイツ》? 厄介なクリーチャーだけど、《ヘブンズ・ゲート》を核にしたデッキじゃ、折り合い悪いんじゃないか……?」
「そんなことないよ。わたしのデッキはコスト3以下のクリーチャーもそこそこ入ってるし、《ヴァルハラナイツ》の能力も、《ヴァルハラナイツ》自身が出た時にも発動できる。というわけで、《ディス・イズ・大横綱》と《ダイキンボシ》をタップ! 次のターン、アンタップもできないよっ」
ニャルラトホテプの場にいる二体のクリーチャーがフリーズする。これで次のターン、とどめまでは刺されない。さらに、
「《束縛の守護者ユッパール》を召喚! 《ユッパール》の能力で《ニバイ・ニバーイ》をフリーズ! さらに《ユッパール》はコスト3の光のクリーチャー、だから二体の《ヴァルハラナイツ》の能力も発動して、《ザビ・クズトレイン》と《ディアブロスト》もフリーズするよっ」
「っ……面倒だな……!」
これでニャルラトホテプは、ほぼ確実に次のターンの攻撃を通すことができなくなってしまった。
「流石にこのターンに攻撃は通せないか……残りデッキ枚数も少ないし、下手にドローもできない。《ニバイ・ニバーイ》もいるからマナの心配はないし、《ダイキンボシ》も生きてる。だったらクリーチャーを並べて、手数で押し切る!」
《ヴァルハラナイツ》二体は確かに厄介だが、姫乃のデッキも3コスト以下のクリーチャーばかりではないし、動きを止めにも限界がある。《ディス・イズ・大横綱》がいるお陰でニャルラトホテプのエイリアンはすべてパワーが5000上がっているため、殴り返しの心配もいらない。
ならここは、姫乃が処理しきれなくなるまでクリーチャーを展開し、数で攻めるのが吉だと判断した。
「《ダイキンボシ》の能力で、墓地から《自爆屋ギル・メイワク》《魔刻の剣士ザビ・オルゼキア》を召喚! 手札からは《超次元ごっつぁん・ホール》を発動して、《巨人の覚醒者セツダン》をバトルゾーンに!」
一気にクリーチャーを三体呼び出すニャルラトホテプ。さらに《セツダン》でバウンス耐性までつけたので、あわよくば次のターンにはとどめまで行けるかもしれない。
彼に次のターンがあれば、だが。
「姫乃様!」
「ヴィーナス……」
「そろそろ反撃開始ですの!」
「うん……そうだね」
姫乃のターン。ここで彼女が引き当てたのは、ヴィーナス。
そのカードを見た瞬間、姫乃の表情が綻んだ。
「これなら行ける……まずは《光器ユリアーナ》を召喚!」
「《ユリーアナ》もコスト3の光のクリーチャーですの。《ヴァルハラナイツ》の能力が発動するんですの!」
「二体分の《ヴァルハラナイツ》の能力で、《サビ・バレル》二体をタップするよ」
ここでフリーズさせるのは、《ザビ・バレル》二体。ブロッカーだ。
つまり、姫乃はこのターンで決めるつもりなのだ。
「なんかやば気……」
姫乃の反撃の気配を察したニャルラトホテプの顔には、焦りのようなものが浮かんでいた。
「そして《ユリアーナ》の二体の《パーフェクト・マドンナ》を、進化MV!」
《ユリアーナ》と《パーフェクト・マドンナ》二体が光に包まれていく。慈しみの光の中で、三体の光の姫君は、神話の聖母へと姿を変える——
「——《慈愛神話 テンプル・ヴィーナス》!」
『これで打点は揃いましたわ。さあ姫乃様、ご指示を』
「うん……まずは《ヴァルハラナイツ》でシールドをWブレイク!」
最初に一体目の《ヴァルハラナイツ》がWブレイク。
「く……っ!」
「続けて《ヴィーナス》で攻撃、Tブレイクだよ!」
その後、続く《ヴィーナス》が光線を放ち、残った三枚のシールドをすべて焼き払った。
「っ……S・トリガーは、ないな……」
《ダイキンボシ》でエイリアンを使い回してアドバンテージを稼ぎ、《ディス・イズ・大横綱》と《ディアブロスト》のコンボで相手を殲滅するというスタイルで臨んでいるので、ニャルラトホテプのデッキはエイリアンと超次元呪文でデッキスペースが圧迫され、S・トリガーがほとんどない。本来なら《ディス・イズ・大横綱》で相手のクリーチャーをゼロにした後、《ダイキンボシ》などで後から出て来るクリーチャーも潰すはずだったのだが、《パーフェクト・マドンナ》が残ったのが痛手だった。
加えて《ヴァルハラナイツ》二体出しで動きを止められ、その隙に『神話カード』の召喚まで許してしまった。《ダイキンボシ》《ディス・イズ・大横綱》そして各種エイリアンで盤面を支配するはずが、1ターンとはいえ逆に支配されてしまったのだ。
《ヴァルハラナイツ》と《ヴィーナス》の攻撃で、ニャルラトホテプのシールドはゼロ。そして姫乃の場には、二体目の《ヴァルハラナイツ》がいる。
「……ここまでか」
ニャルラトホテプはゆっくりと目を閉じ、腕を下す。
最後は、龍となりし支配の精霊が、とどめを刺すだけだ。
「《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》で、ダイレクトアタック!」