二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.568 )
- 日時: 2014/04/03 23:00
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
夕陽とクロスオーバー・ヨミのデュエル。
まだお互いにシールドは五枚。
夕陽の場には《コッコ・ルピア》と《エコ・アイニー》が一体ずつ。
クロスオーバー・ヨミの場にはなにもないが、序盤からマナ加速を連打し、このターンでもう9マナになる。
つまり、
『ヴアァァァァァ——!』
新聖綺神 クロスオーバー・ヨミ 無色 (9)
クリーチャー:オラクリオン 12000
ブロッカー
T・ブレイカー
バトルゾーンにある自分のクリーチャーがこのクリーチャーだけであれば、このクリーチャーはブロックされず、バトルゾーンを離れる時、離れるかわりにとどまる。
自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
「出やがったな……!」
心を失い、孤独な神となった《ヨミ》の果ての姿。それが《新聖綺神 クロスオーバー・ヨミ》。
いかなる手段をもってしても彼を止めることはできず、彼はその衝動に従い、すべてを破壊し尽くすのだ。
「《クロスオーバー・ヨミ》は、自分のバトルゾーンにそのクリーチャーしかいない場合、バトルゾーンを離れなくなる……僕のデッキじゃ、除去は無理か」
見たところ《クロスオーバー・ヨミ》のデッキは、デッキの中身をほとんどすべてマナ加速やコスト軽減の呪文で埋め尽くしている。これ以上クリーチャーが並ぶことはないだろう。
「除去できないなら、あと3ターンで僕はお終いだ。その前に決めるしかない」
完全無欠に見える《クロスオーバー・ヨミ》にも弱点はある。そして幸いなことに、夕陽のデッキはその弱点を突くことが比較的容易な構築になっていた。
「まずは《ボルシャック・NEX》を召喚! 山札から《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに! 続けて《ボルバルザーク・エクス》を召喚! マナをすべてアンタップして、《セルリアン・ダガー・ドラゴン》も召喚!」
一気にクリーチャーを四体展開する夕陽。そのうち三体がドラゴン。
《クロスオーバー・ヨミ》の弱点は、《クロスオーバー・ヨミ》自身がバトルゾーンに一体しか存在できないことだ。より正確に言えば、《クロスオーバー・ヨミ》の能力を発動させるためには、《クロスオーバー・ヨミ》以外のクリーチャーは存在できない。
つまり、クリーチャーを大量展開し、手数で攻めれば、ブロッカーでもある《クロスオーバー・ヨミ》といえどもこちらの攻撃に対処しきれなくなる。
「さらにもう一体《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を召喚して四枚ドロー! ターン終了だ」
『ウゥゥ……アァァァ——!』
《クロスオーバー・ヨミ》にターンが回った途端、《クロスオーバー・ヨミ》は咆哮し、夕陽のシールド三枚を吹き飛ばした。
「流石に強烈だな……でも、次のターンには終わらせる。シールド三枚くらいならくれてやるよ」
夕陽は既に四体ものドラゴン、三体のファイアー・バードを並べている。これだけでも、《クロスオーバー・ヨミ》にとどめを刺すには十分だが、
「一応、S・トリガーとかシノビとかも警戒しとかないとな……《エコ・アイニー》を召喚、続けて《永遠のリュウセイ・カイザー》も召喚だ」
《永遠のリュウセイ・カイザー》がいれば、もしシノビが出て来ても即ブロックすることはできない。流石にS・トリガーまでは封じられないが、《クロスオーバー・ヨミ》のマナゾーンに見えるのは光と自然、そして無色。その色構成では、起こりうるのはスパーク呪文で動きを止めることぐらいだ。除去されるわけではないので、仮にこのターン止められても、次のターンにはとどめを刺すことが可能だ。
これを好機と見て、夕陽は一気に攻め込む。
「行くぞ、まずは《エコ・アイニー》でシールドブレイク!」
まず最初に、《エコ・アイニー》が突っ込んでシールドを一枚ブレイクする。S・トリガーはない。
「続けて《ボルバルザーク・エクス》でWブレイクだ!」
『グ、ウゥゥ……アァ……!』
《ボルバルザーク・エクス》が切り裂いたシールドのうち一枚が、光の束となって収束していった。S・トリガーだ。しかし、
「《五朗丸コミュニケーション》か……それなら、特に問題はないな」
《クロスオーバー・ヨミ》が手札に加えたのは《光牙王機ゼロカゲ》。だが《ゼロカゲ》が手札に加わったところで、《永遠のリュウセイ・カイザー》がいるため、ニンジャ・ストライクで出てもブロックすることはできない。
「《ボルシャック・NEX》で残り二枚のシールドをWブレイクだ!」
最後に《ボルシャック・NEX》が、残った《クロスオーバー・ヨミ》のシールドをすべて引き裂く。これで《クロスオーバー・ヨミ》のシールドはゼロ。ブロッカーは《クロスオーバー・ヨミ》一体だけ。手札にいくらシノビを握っていても、夕陽の場にはまだ四体のアタッカーが残っているのだ。止めきれるわけがない。
そう、思っていたが。
『グウゥゥゥ……アァ、ガァァァ——!』
《ボルシャック・NEX》の割った最後のシールドが、光の束となって収束する。
「S・トリガー……また《五朗丸コミュニケーション》? それとも《DNA・スパーク》みたいなスパーク呪文か……?」
軽くそう返す夕陽だが、しかしこの時出て来たS・トリガーは、夕陽にとっては最悪のカードであった。
刹那、バトルゾーンが吹き飛ばされる。
「っ!?」
爆風と熱気が夕陽に襲い掛かる。なにが起こったのか理解できない。目に見えたままをそのまま表現するのであれば、バトルゾーンが爆発した、ということくらいだ。
少しずつ頭が回転してくる。場の状況が、理解できるようになってくる。
次に夕陽がバトルゾーンを見た時、そこに存在していたのは、相手の《クロスオーバー・ヨミ》だけだった。つまり、《クロスオーバー・ヨミ》が最後に発動させたS・トリガーは、
「《アポカリプス・デイ》か……!」
バトルゾーンにクリーチャーが六体以上いれば、すべてのクリーチャーを破壊する呪文《アポカリプス・デイ》。
場をリセットする強力な能力だが、その破壊には自身のクリーチャーも巻き込んでしまう。しかし《クロスオーバー・ヨミ》は、バトルゾーンに自分一体しかいない場合、バトルゾーンを離れない。つまり、《アポカリプス・デイ》を喰らってもなお、ただ一人生き残っていられるのだ。
「っていうかこれ、かなりやばいんじゃ——」
次の瞬間。
《クロスオーバー・ヨミ》の攻撃が、夕陽のシールドに炸裂した。
「ぐぅ……S・トリガー! 《ジャジャーン・カイザー》を召喚!」
返しのターン、《クロスオーバー・ヨミ》のシールドブレイクにより、夕陽のシールドはゼロとなってしまう。
「やっぱりな……どうするよ、これ……」
夕陽の場には、運よくS・トリガーで出た《ジャジャーン・カイザー》が一体。《クロスオーバー・ヨミ》の場にも、彼自身が一体だけだが、《クロスオーバー・ヨミ》は、少なくとも一体はシノビを握っている。
「どう足掻いても《クロスオーバー・ヨミ》は場から離せないし、次のターンに決めないと僕の負けが確定する……!」
《クロスオーバー・ヨミ》は、場を離れなずブロックもされないクリーチャーだ。そのクリーチャーそのものに対処しようとするのは無謀だろう。
ゆえに夕陽が生き残るためには、次のターンに勝利しなければならない。
「勝利、か……」
手札を眺めつつ、ふと呟く夕陽。
「……いいよ」
そして、ゆっくりと顔を上げた。
「僕の勝利、お前の身体に刻み込んでやるよ——!」