二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.590 )
- 日時: 2014/07/14 01:48
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
汐とスパイス・クィーンズの片割れ、聖邪のインガ ミントとのデュエル。
互いにシールドは五枚。汐の場には《希望の親衛隊ファンク》が一体。一方ミントの場には《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》が二体とリンクした《光器左神サマソニア》《真滅右神ラウドパーク》。
「私のターン。三体目の《スパイス・クィーンズ》を召喚。そしてコストを3下げ《霊騎右神ワイアード》も召喚します」
霊騎右神ワイアード 光文明 (5)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/アーク・セラフィム 5000+
自分の他のゴッドをバトルゾーンに出した時、自分の手札を1枚、裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに置いてもよい。
右G・リンク
「続けて《真滅右神ラウドパーク》を召喚。山札の上三枚を墓地に送り、墓地から《魔天聖邪ビッグディアウト》を回収します。さらに他のゴッドが出たので《ワイアード》の能力発動。手札を一枚シールドへ」
「クリーチャーが並んできたようですね」
リンクしているということを差し引いても、ミントの場にクリーチャーは七体、一方汐は一体だけ。
場数では圧倒的に負けている。
「ならば……《猛菌恐皇ビューティシャン》を召喚です。O・ドライブ発動で、私はカードを一枚引き、相手の手札を一枚墓地へ」
汐は返しに、《ラウドパーク》で回収した《ビッグディアウト》を速攻で墓地に送り返す。
「さらに呪文《インフェルノ・サイン》。墓地から《邪眼皇ロマノフⅠ世》を呼び戻し、山札から《スーパー・チェイン・スラッシュ》を墓地へ」
墓地に仕込むのは《スーパー・チェイン・スラッシュ》。見たところミントのデッキは同名カードが多い。なので次のターンから《ロマノフ》で墓地の呪文を唱え、場を壊滅させようという作戦だ。
しかし、その作戦はすぐさま瓦解する。
「私のターン。《悪魔右神メタモルフォーゼ》を召喚。《サマソニア》の能力でカードを引き、今引いた《堕天左神エレクトラグライド》も召喚します」
悪魔右神メタモルフォーゼ 闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/デーモン・コマンド 7000+
相手のクリーチャーが破壊された時、クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク
このクリーチャーがゴッドとリンクした時、自分の山札の上から2枚を墓地に置いてもよい。
堕天左神エレクトラグライド 闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/エンジェル・コマンド 7000+
このクリーチャーが攻撃する時、相手の墓地にある呪文を1枚、コストを支払わずに唱えてもよい。そうした場合、その後、相手はそのカードを自身の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがゴッドとリンクした時、相手の山札の上から2枚を墓地に置かせてもよい。
「ゴッドが二体……しかも……」
あろうことか、リンクしたのは《エレクトラグライド》と《メタモルフォーゼ》だ。まずリンク時の能力で、ミントと汐の山札が、二枚ずつ削られる。
そして、ここからが本番だ。なにも墓地を利用するのは汐だけではないし、利用する墓地は自分のものだけではない。
「《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》で攻撃、する時に能力発動。相手の墓地から呪文を唱えます。呪文《スーパー・チェイン・スラッシュ》」
リンクした《エレクトラグライド》の剣が怪しく輝いた。すると次の瞬間、剣の切っ先から魔術の光が迸る。
そのまた次の瞬間には、《ロマノフ》の身体には大穴が開いていた。
「《ロマノフ》を破壊。そして相手クリーチャーが破壊されたことで、今度は《メタモルフォーゼ》の能力が発動します。墓地から《ビッグディアウト》を回収し、《ロマノフ》を山札下へ。そしてWブレイクです」
《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》、双方の剣から衝撃波が放たれ、汐のシールドが二枚吹き飛ばされる。
「……とりあえず、今は耐えるしかないですか。下手に墓地を増やすのもまずいですし……O・ドライブで追加コストを支払い《ビューティシャン》を召喚。私はカードを引き、相手に手札を捨てさせるですよ」
さっき回収した《ビッグディアウト》をすぐさま叩き落とす汐。一気にクリーチャーを削る《ビッグディアウト》は出させたくない。
「さらに《豚乱舞 ブータン・ジャクソン》を召喚し、ターン終了です」
幸いにもゴッド・ノヴァ OMGはブレイク数が増えにくい。まだなんとか耐えられるはずだが、
「私のターン。呪文《スーパー・スパーク》」
「……っ」
刹那、眩い閃光がバトルゾーンを制する。
次に目を開いた時には、汐のクリーチャーはすべて倒れていた。
「あなたのクリーチャーはすべてタップされました。そして《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》で攻撃です」
最近は《DNA・スパーク》のような上位種の全体タップ呪文が多くあるので下火になっていたが、コストの低さゆえに、攻める際に相手を寝かせることができる《スーパー・スパーク》も、まだまだ捨てたものではない。
そして、
「《エレクトラグライド》の能力で、相手の墓地から呪文を唱えます。呪文《インフェルノ・サイン》、墓地から《霊騎左神ロラパルーザ》を呼び戻し、《ラウドパーク》とリンク。《ビューティシャン》をフリーズし、Wブレイクです」
再び《エレクトラグライド》の怪しい光が迸り、墓地から新たなゴッドが蘇る。さらに二つの斬撃が汐のシールドを切り裂いた。
「……S・トリガー発動、《デーモン・ハンド》《地獄門デス・ゲート》。《サマソニア&ラウドパーク》と《ロラパルーザ&ラウドパーク》を破壊し、《ビューティシャン》を復活です」
「《サマソニア》と《ロラパルーザ》を残し、《ワイアード》でシールドをブレイク」
「《ビューティシャン》でブロックです」
淡々とした攻防だが、汐はかなり追い詰められていた。今はなんとかミントの攻めを防げているが、まだ足りない。
「《メタモルフォーゼ》の能力で《ビッグディアウト》を回収。《サマソニア》で最後のシールドをブレイク」
汐の最後のシールドが破られる。次の攻撃を防げなければ、汐の負けだ。
しかし、その最後のシールドは、光の束となり収束する——
「——S・トリガー発動です……《デッドリー・ラブ》」
互いにクリーチャーを一体ずつ破壊する軽量除去呪文だ。スーサイド戦術は闇文明の十八番だが、しかし今の汐のに場は、ただの自壊以上の意味があるクリーチャーがいる。
「私の《ブータン・ジャクソン》を破壊し、そちらの《ロラパルーザ》も破壊です。そして《ブータン・ジャクソン》が破壊されたので——」
死した《ブータン・ジャクソン》の魂は、より強大な力を得て、転生する。
「狂喜せよ、無法の国家。自由な者たちは無限の騎士、魔槍の帝の来臨です——《凶槍乱舞 デスメタル・パンク》」
それは即ち、ドロン・ゴー。
《ブータン・ジャクソン》は、自らの持つドロン・ゴー能力で、《デスメタル・パンク》となった。
さらに《ロラパルーザ》も破壊され、汐へのとどめも防がれる。
「さあ、ここからが本番ですよ。呪文《超次元リバイヴ・ホール》で、墓地から《アルテミス》を回収し、超次元ゾーンより《ヴォルグ・サンダー》をバトルゾーンへ」
《ヴォルグ・サンダー》の放つ雷によって、ミントの山札が削られる。そして、
「《ファンク》と《ビューティシャン》、そして《ヴォルグ・サンダー》の三体を進化元に——」
先ほど回収した、《月影神話》の影が差す。
「蘇りし月影の力、禁断の魔術と共に闇夜の空を射抜け。神々よ、調和せよ。進化MV——《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》」
暗黒に閉ざされた三体のクリーチャー。その闇の中で、三つの生命を糧とし、《アルテミス》が美麗なる姿を現す。
『やっと私の出番ね……手札がないから、すぐに呪文は唱えられないけど』
「あなたがいるだけで十分ですよ。とりあえず行ってください、《アルテミス》」
『分かったわ』
首肯して《アルテミス》は、弓矢を構える。そしてその矢の先端に、暗い魔術の力が集まっていく。
「《アルテミス》で《サマソニア》に攻撃、能力発動です。墓地から呪文《デーモン・ハンド》と《超次元リバイヴ・ホール》を唱えるですよ」
集約した魔力が、矢の飛来と同時に解放される。
放たれた魔力は二つに散る。一つは悪魔の手となり、《スパイス・クィーンズ》を闇の底へと引きずり込む。もう一つは墓地と超次元の門へとアクセスし、新たな悪魔を降臨させた。
「《威牙の幻ハンゾウ》を回収し、《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》をバトルゾーンに。《ワイアード》を破壊です」
「っ……《スパイス・クィーンズ》でブロック」
「続けて《デスメタル・パンク》で《サマソニア》に攻撃、能力発動です」
《デスメタル・パンク》が咆哮する。その雄叫びの先にいるのは、《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》。
「《デスメタル・パンク》の能力で、パワーをマイナス無限大。神は死に絶えるのですよ」
ゴッドのパワーがみるみる下がっていき、やがて片方の神の存在を、維持できなくなる。
「なら、《エレクトラグライド》を残します……!」
「選択肢などないですよ。言ったはずです、神は死に絶えると」
パワーが無限にマイナスされるということは、リンク状態など関係ない。リンクが外れても、もう片方の神もパワーがゼロまで落とされ、最終的にはどちらの神も死滅するのだ。
「そ、そんな……《スパイス・クィーンズ》でブロック!」
なんとかアタッカーを残すミント。汐のシールドはゼロなのだから、早期に決着をつけたい。
「《ロラパルーザ》を召喚! 《アルテミス》をフリーズし、《サマソニア》でドロー! さらに呪文《スパイラル・ゲート》で、《デスメタル・パンク》を手札へ!」
「それも効かないですよ」
手札に戻される《デスメタル・パンク》。しかし次の瞬間、《デスメタル・パンク》がいたところに、彼の虚像が浮かび上がる。
「ウルトラ・ドロン・ゴー——《凶槍乱舞 デスメタル・パンク》をバトルゾーンへ」
「……!」
《デスメタル・パンク》が持つドロン・ゴーは、ただのドロン・ゴーではない。破壊だけではなく、“場を離れた時”に発動するドロン・ゴーだ。
マナに送られようが手札に戻されようが、ドロン・ゴーできる。しかもバウンスに至っては、ドロン・ゴー先が手札に戻るため、すぐさまバトルゾーンに舞い戻って来る。つまり実質的なバウンス耐性もあるのだ。
「な、う……《サマソニア》!」
「ニンジャ・ストライク、《ハンゾウ》を召喚です。《サマソニア》のパワーをマイナス6000して破壊です」
破れかぶれの攻撃も、《ハンゾウ》で返り討ちにされる。
とはいえ、ミントのシールドは《ワイアード》で増やしていたため、まだ七枚もある。ミントの攻撃を防ぎつつ、それをすべて破るのは難しい。
ならばどうすればいいか。簡単だ。シールドを割らずに、決着をつければいい。
「私のターンです。呪文《スパイラル・ゲート》、《アルテミス》をバウンス」
汐はフリーズされて動けない《アルテミス》を手札に戻す。そして再び、
「《ビューティシャン》を召喚。二体の《ビューティシャン》と《デスメタル・パンク》を進化元に、進化MV——《アルテミス》、もう一度お願いするですよ」
『出たり戻ったり、忙しないわね。でも、これが最後なんでしょう?』
「そうですね。では、これで決着です。《アルテミス》で攻撃、能力発動」
汐の墓地から、呪文が唱えられる。ただし、コスト12以下になるようになんて、大袈裟なことはしない。たった一枚の呪文で十分だ。
「——呪文《超次元ライデン・ホール》、コスト6以下の闇のサイキックをバトルゾーンへ」
雷鳴轟く超次元の扉が、《アルテミス》の弓によって開かれる。そこから現れたのは、《ヴォルグ・サンダー》。
「ところで、お気づきでしたか。あなたのデッキの枚数」
汐がそう問いかける。ミントは一瞬、疑問符を浮かべていたが、すぐにハッとなった。
そう、ミントのデッキは、残り二枚。度重なるドローや墓地肥やしで、相当数が削られていたのだ。
そしてそこに、《ヴォルグ・サンダー》の稲妻が轟く。その稲光は、知識の山を削り取る。即ち、山札の上から二枚が、墓地に送られる。
直後、ミントの山札へと雷光が迸ったのだった。
「《ヴォルグ・サンダー》の能力、発動です——」