二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.593 )
- 日時: 2014/07/18 20:09
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
栗須とスネーク・テイルコートのデュエル。
互いのシールドは五枚。栗須の場には《聖黒獣アシュライガー》が一体。スネーク・テイルコートの場には《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》が一体。
まだどちらも大きな動きは見せておらず、準備段階のようだが、先んじて栗須が動き出す。
「ふむ……いい感じにパーツが集まっているな。いきなり解決編を出してしまうのはいただけない演出だが、デュエマは別だ。《エメラル》を召喚」
まず最初に出て来るのは《エメラル》。その能力で手札とシールドのカードを入れ替え、残る3マナで、
「続けて呪文《クリスティ・ゲート》。選ぶシールドは、さっき《エメラル》で交換したシールドだ」
謎と神秘の門が開き、栗須のシールドから光の悪魔が降臨する。
「出でよ、《偽りの羅刹 アガサ・エルキュール》!」
クリスティ・ゲート 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
自分のシールドをひとつ見る。その中から、進化ではない光のデーモン・コマンドを1体、バトルゾーンに出してもよい。
カードを1枚引く。
偽りの羅刹(コードファイト) アガサ・エルキュール 光文明 (9)
クリーチャー:デーモン・コマンド/アンノウン 13500
相手がクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをすべて見て、その中から進化ではないデーモン・コマンドを1体選び、バトルゾーンに出してもよい。
相手が呪文を唱えた時、自分のシールドをすべて見て、その中から呪文を1枚選び、コストを支払わずに唱えてもよい。
T・ブレイカー
この早いターンに、パワー13500のTブレイカーが降臨した。クリーチャーや呪文の踏み倒し能力も強力だが、純粋に早い順目に高パワー高打点のクリーチャーが現れるだけでも相当脅威だ。
「ふむ、それで終わりなら、私のターンですぞ」
だが、対するスネーク・テイルコートは酷く落ち着いていた。
(なにか除去手段があるのか……?)
仮にそうだとしても、《アガサ・エルキュール》の能力は除去される前に発動する。すぐにやられても、最低限の役目は果たしてくれるはずだ。
「《ブラッディ・シャドウ》を、《拷問の魔黒スネーク・テイルコート》に進化!」
拷問の魔黒スネーク・テイルコート 闇文明 (5)
進化クリーチャー:ゴースト 8000
進化—自分のゴースト1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の手札を1枚捨ててもよい。そうした場合、そのカードよりコストが小さい相手のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー
返しのターン、《スネーク・テイルコート》は自身を呼び出すが、
「クリーチャーを召喚したな? 《アガサ・エルキュール》の能力発動だ」
相手クリーチャーの召喚に反応して、《アガサ・エルキュール》はシールドからクリーチャーを呼び出すのだ。
「ここは……《怪盗パクルパン》だ」
呼び出されたのは、コスト4の光のデーモン・コマンド。コストが低いので、下手をすれば《スネーク・テイルコート》に破壊されてしまいそうだが、むしろそれが狙いだ。
(《パクルパン》を破壊するためには《スネーク・テイルコート》で攻撃する必要がある……殴り掛かってきたところを、《アガサ・エルキュール》で殴り返す)
そんな算段を立てる栗須。しかし《スネーク・テイルコート》が取った行動は、栗須のさらに上を行く。
『私で攻撃、そして能力発動ですぞ! 手札のカードを一枚墓地へ』
そして、こうして墓地に送ったカードよりも低コストのクリーチャーを一体破壊する。破壊するのは、
『捨てるのは、コスト11の《白騎士の聖霊王ウルファス》』
「なに……っ!?」
『コスト9の《アガサ・エルキュール》を破壊ですぞ』
《スネーク・テイルコート》の背中から、蛇のような黒い影が伸びる。影は一瞬で《アガサ・エルキュール》を取り囲み、金色の身体を貫く。
「まさか《アガサ・エルキュール》が破壊されるとは……!」
栗須の失態は《アガサ・エルキュール》のコストを過信したことだ。確かに《アガサ・エルキュール》を破壊するためには、コスト10以上のカードを捨てなければならない。
しかし《スネーク・テイルコート》の能力を生かすのなら、高いコストのカードを組み込んでいてもおかしくはない。そして、コストが高くとも、低く扱えるカードも存在することを、彼は失念していた。
『Wブレイクですぞ!』
「くっ……!」
《クリスティ・ゲート》で《アガサ・エルキュール》を高速召喚した栗須だが、その弊害としてシールドが減っている。そのため、早くも残りシールドが一枚に。
「だが、まだ終わりじゃない。僕のターン。二体目の《アシュライガー》と、その二体でコストを4減らした《虚構の支配者メタフィクション》を召喚! 《パクルパン》でシールドブレイクだ!」
そしてこのターンの終わり、《パクルパン》の能力でシールドを追加。これで二枚だ。
『私のターン。《穿孔の影ノーテン・ドリル》を召喚。ガチンコ・ジャッジで勝てば、墓地からクリーチャーを二体回収できるのですぞ』
「勝てればな。僕のデッキは高コストのクリーチャーが多い。そう簡単に勝てると思うな」
そして、互いの山札が捲られる。
《スネーク・テイルコート》は、コスト8《優位の守護者サメンビー》。
栗須はコスト8《偽りの羅刹 ゼキア・エクス・マキナ》。
「く……っ」
『ガチンコ・ジャッジは私の勝ちですな。墓地の《ウルファス》と《ノーテン・ドリル》を回収し、二体目の《ノーテン・ドリル》を召喚ですぞ。ガチンコ・ジャッジ!』
《スネーク・テイルコート》はコスト7《風迅の精霊アイネスガゼル》、 栗須はコスト3《ロジック・スパーク》。
『余裕で私の勝利でしたな。墓地の《メリコミ・タマタマ》と《ウエスタン・バレル》を回収ですぞ。そして私で攻撃!』
再び、《スネーク・テイルコート》の毒牙が剥かれる。
『手札の《メリコミ・タマタマ》を捨て、《メタフィクション》を破壊! Wブレイクですぞ!』
「これでシールドゼロか……」
対戦前は微妙なクリーチャーだと称したが、こうして相対してみれば、なかなか厄介なクリーチャーだ。手札さえ整えられれば、こちらのクリーチャーがどんどん破壊されていく。
「なら……《悪魔聖霊アウゼス》と《アクア・スーパーエメラル》《メタフィクション》を召喚! 《パクルパン》で攻撃!」
自分のデーモン・コマンドが攻撃する時、《アウゼス》の能力が発動する。
「タップ状態の《スネーク・テイルコート》を破壊だ!」
そしてこのターンの終わりには、シールドがさらに一枚追加される。
《スネーク・テイルコート》の弱点は、能力発動に手札が必要なことと、一体ずつしか破壊できないこと。
今までは防御を考えてあまり攻めなかった栗須だが、《スネーク・テイルコート》がいなくなったことで、次のターンは凌げるはず。
そう、思ったが、
「甘いですなぁ……私のターン。《騒乱の影ウエスタン・バレル》を召喚。手札を一枚捨ててもらいますぞ」
「……っ」
《ウエスタン・バレル》の弾丸が、栗須の最後の手札も奪い取る。
しかし、それだけではない。
「さらに《ウエスタン・バレル》を私に進化ですぞ!」
「っ!」
これでアタッカーが三体。栗須にはブロッカーが二体、シールドが一枚あるが、
『私で攻撃する時に手札の《ウルファス》を捨て、《メタフィクション》を破壊ですぞ!』
《スネーク・テイルコート》の繰り出す影の蛇に《メタフィクション》が破壊されてしまう。
「くっ……《アクア・スーパーエメラル》でブロック!」
『ならば《ノーテン・ドリル》で最後のシールドをブレイク!』
栗須の最後のシールドが砕かれる。
これでS・トリガーがなければ、もう一体の《ノーテン・ドリル》にやられてしまう。
しかし、そのシールドは光の束となり収束する——
「——S・トリガー《クリスティ・ゲート》だ!」
『なにが出るかと思えば、《クリスティ・ゲート》ですか? シールドがなければ無意味ですぞ』
「無意味ではない。カードを引ける」
そう。《クリスティ・ゲート》は光のデーモン・コマンドをシールドから踏み倒す呪文だが、能力が不確定ゆえに、おまけとしてカードをドローする効果もある。
とはいえこんな状況でカードを引いたところで、どうしようもない。それが一般的な見解だ。
しかし栗須の推理では、別の答えが導き出される。
「……引いたぞ」
栗須は顔を伏せ、静かに微笑む。
そして、その引いたカードを捲った。
「今、僕が引いたカードはこれだ——《知識の破壊者デストルツィオーネ》」
知識の破壊者デストルツィオーネ 闇文明 (10)
クリーチャー:デーモン・コマンド 17000
このカードを山札から引く時、このカード以外に自分の手札が1枚もなければ、すべてのプレイヤーに見せてもよい。そうした場合、相手のクリーチャーを1体破壊する。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手は自身の手札をすべて捨てる。
T・ブレイカー
他に手札がない時にこのクリーチャーを引くことで、相手クリーチャーを破壊するという特殊な能力を持った悪魔《デストルツィオーネ》。
《クリスティ・ゲート》で引きこまれたかの悪魔は、まず最初に命を破壊する。
「《ノーテン・ドリル》を破壊! これでダイレクトアタックまでは届かないぞ」
『ぬぅ……!』
呻く《スネーク・テイルコート》。ここで決めきれなかったのは、かなり手痛いだろう。
そして次に、《デストルツィオーネ》は、その名を体現し、知識を破壊する。
「導き出せ、一筋の答えを。偽りの光の中にある唯一つの真実をここに打ち出せ。破壊せよ、あらゆる知識と知恵を。全てを白紙に戻せ。召喚——《知識の破壊者 デストルツィオーネ》」
刹那、《スネーク・テイルコート》の手札が消し飛んだ。
『な……っ!?』
「《デストルツィオーネ》の登場時能力で、貴様の手札はすべて墓地送りだ」
《スネーク・テイルコート》が握っていたのは《光牙忍ハヤブサマル》。栗須の場にはクリーチャーが並んでいるので一体や二体止めらても問題ないが、シールド次第では攻め切れないかもしれなかった。
「さらに《アウゼス》で残った《ノーテン・ドリル》を攻撃! 《アウゼス》自身の能力も発動し、《スネーク・テイルコート》も破壊だ! さらに《パクルパン》でシールドをブレイク!」
栗須は確実にとどめを刺すべく、クリーチャーを殲滅しつつシールドを増やす。相手のデッキは色からしてスピードアタッカーはいない。進化クリーチャーが出てもシールドは一枚ある。墓地進化などは危ないが、《スネーク・テイルコート》の能力を考えれば、比較的コストの低い墓地進化獣は積まれていそうにない。
以上の推理から、栗須は次のターンまではもつと判断し、ターンを終える。
「ぐぬぬ……私のターン! 《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》を召喚!」
シールドを増やしつつブロッカーを並べるスネーク・テイルコート。しかし、それも無意味だ。
「僕のターン。《コアクアンのおつかい》でカードを手札に加え……そのまま手札に加えた《凍結の魔天ダイイング・メッセージ》を召喚。《ブラッディ・シャドウ》をフリーズ。《アウゼス》で攻撃し、自身の能力で《ブラッディ・シャドウ》を破壊!」
「だ、だがS・トリガー《炸裂の影デス・サークル》を二体召喚! 自爆して、そちらのアンタップクリーチャーを二体破壊!」
「《アシュライラー》と《エメラル》を破壊……で、終わりか?」
「ぐぬぅ……!」
シールドを失い、クリーチャーを失い、手札も失った。もうスネーク・テイルコートにできることはなにもない。
後はただただ、破壊者の手によって、存在そのものを破壊されるのみ——
「《知識の破壊者デストルツィオーネ》で、ダイレクトアタック——」