二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.594 )
- 日時: 2014/07/21 06:08
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
『popple』から出たクロ、仄、葵の三人。クリーチャーがどこにいるのか分からないため、とりあえず手分けして捜索することとなった。
と、思った矢先。
三体のクリーチャーが『popple』の前に立ち塞がっていた。
「流石にこれはビックリ……さっきの界長とかいう人は、なにをやってたの……?」
「たぶん、あの人が出た後で出て来たクリーチャー……」
目の前に鎮座しているのは《守護聖天タース・ケルケルヨ》《レジェンダリー・バイロン》《ダイヤモンド・ブリザード》の三体。
「喫茶店の前にこの光景……些かシュール、ですね……」
「まあ、そんなこと言ってる場合でもないんだけど」
種族柄か、今はまだ大人しいが、このクリーチャーたちがいつ動き出すか分からない。
後手を踏んでもいいことなどはない。先手を取った方が有利になるのがこの世界。なんとなく、そんな意識だけは芽生えていた。
「……じゃあ」
「行こうか!」
「はい!」
三人は各々デッキを手にし、それぞれの敵と神話空間に入りこんでゆく。
クロの相手は、タース・ケルケルヨだった。
どちらもガーディアンを軸としたデッキで、シールドは双方五枚あり、どちらの動きも似通ったものだった。
クロは《時空の庭園》と各種チャージャー呪文で手札を切らさずマナを加速。タース・ケルケルヨも《時空の庭園》や《ジオ・ブロンズ・マジック》を《神託の守護者ミント・シュバール》で使い回してマナを溜めている。
「ワタシのターン。《ミント・シュバール》を進化。《守護聖天タース・ケルケルヨ》」
遂に現れた《タース・ケルケルヨ》本体。破壊された自分の他のガーディアンを自分の下に匿い、メテオバーンで再び射出することができる。
だがこのカードの真価は、ガーディアンを破壊から守ることではない。自身の下にあるクリーチャーなら、なんであってもコストを踏み倒せる点だ。
『呪文《時空の庭園》。マナを加速。マナゾーンの《真実の名 ワクワク・チャップルン》をワタシの下に。私で攻撃。能力発動』
《タース・ケルケルヨ》が砲撃を放つ直前、その下にあるクリーチャーが射出される。射出するのは、直前に《時空の庭園》で仕込んだ、あのクリーチャーだ。
『《真実の名 ワクワク・チャップルン》をバトルゾーンへ』
仄の相手は、レジェンダリー・バイロンだった。
現在、仄のシールドは四枚。場にクリーチャーはゼロ。
レジェンダリー・バイロンの場には《キング・クラーケン》《キング・ブルファング》の二体。こちらはまだ、シールドが五枚ある。
「大型リヴァイアサンのわりに、序盤から攻めて来るな……私のターン」
相手クリーチャーは大して強くないが、こちらは起動が遅い。そろそろブロッカーを出しておきたいところだ。
「《天門の精霊キバッテ・キャット》を召喚。山札の上から四枚を見て……《ヘブンズ・ゲート》を手札に。ターン終了」
《キバッテ・キャット》で《ヘブンズ・ゲート》を手に入れた仄。あと2マナ溜まれば、手札の大型ブロッカーを一気に展開できる。
とはいえ、相手の攻撃もなかなか緩まない。
「《キング・ケーレ》」
レジェンダリー・バイロンは《キング・ケーレ》を召喚し、《キバッテ・キャット》をバウンス。これで仄の場からクリーチャーが消えた。
「《キング・クラーケン》《キング・ブルファング》」
その呼びかけで、二体のリヴァイアサンが仄のシールドに突っ込んで来る。これで残りシールドは二枚。そろそろ危なくなってきた。
「私のターン。《知識の精霊ロードリエス》を召喚して、カードをドロー……ターン終了」
まだ大きくは動けない。しかし、そうやって手をこまねいているうちに、海の怪物は大波と共に押し寄せてくるのだ。
「《キング・ケーレ》——《レジェンダリー・バイロン》!」
葵の相手は、ダイヤモンド・ブリザードだった。
互いにまだシールドは五枚をキープしているが、やはり相手のデッキは速いビートダウンのようだ。前のターンに《蒼天の守護者ラ・ウラ・ギガ》と《冒険妖精ポレゴン》が相打ちになっている。
葵の場にクリーチャーはなし。ダイヤモンド・ブリザードには《希望の親衛隊クラップ》。
「私のターンです。《超過の守護者イカ・イカガ》を召喚。能力で手札からコスト3以下のブロッカー《光陣の使徒ムルムル》をバトルゾーンに出します!」
とにかくブロッカーを並べる葵。相手がビートダウンなら、今は耐えるしかない。《ムルムル》がいるので、最低でも《イカ・イカガ》は《クラップ》と相打ちに持ち込める。
はずだったが、
「わたしのターン! 呪文《火炎流星弾》で《ムルムル》を破壊!」
「っ!」
「さらに《無頼勇騎タイガ》召喚! 《クラップ》と《タイガ》でシールドブレイク!」
「《タイガ》は《イカ・イカガ》でブロック……!」
早速一枚割れてしまった。理想としては、次のターンまでシールドを割られない予定だったのだが、思ったより相手の攻めがきつい。
「くっ……私のターンです」
カードを引き、マナチャージ。
「やっと5マナ……呪文《超次元ドラヴィタ・ホール》で、墓地の《フェアリー・ライフ》を回収。そして超次元ゾーンより《時空の雷龍チャクラ》をバトルゾーンに!」
葵の切り札の一枚《時空の雷龍チャクラ》。それをなんとか呼び出すが、覚醒条件がホーリー・フィールド、つまりシールド数が相手以上でなければならないので、相手の攻撃を止めつつ、シールドを削らなければ覚醒はできない。
(しかし、一度でも覚醒すれば、後はこちらが一気に有利になれる……とにかく相手のシールドブレイクはできるだけ止めて、こっちも攻めにかかる……!)
かなり厳しい展開になりつつある葵だが、大型クリーチャーを出せれば形勢はこちらに傾くはずだ。
出せれば、だが。
「呪文《火炎流星弾》! 《チャクラ》を破壊!」
「っ、また……!」
「《クラップ》と《タイガ》でシールドをブレイク!」
《チャクラ》を破壊され、そのままさらにシールドを割られてしまう。これでは再び《チャクラ》を出したとしても、覚醒はかなり難しい。
「なかなか、厳しいですね……!」
ダイヤモンド・ブリザードの猛攻に堪える葵。彼女の防戦は、いつまで続くか——