二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.602 )
日時: 2014/10/26 11:34
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: UrB7UrBs)

 希野とトラトウルフのデュエル。
 互いにシールドは五枚。希野の場にはなにもないが、トラトウルフの場には《ポーク・ビーフ》と《白骨の守護者ホネンビー》が一体ずつ存在している。
 そして希野のターンが来たが、
「使えるカードがない……」
 序盤からの手札破壊を受けてマナ加速を妨害され、マナカーブが重い方へと偏りがちな希野デッキは、動きが著しく悪くなっていた。
「……ターン終了」
「ガルルルル……オレのターン」
 そしてトラトウルフのターンへと回る。刹那、どこからか雷鳴が轟いた。

「《雷鳴の悪魔龍 トラトウルフ》を召喚ッ!」


雷鳴の悪魔龍 トラトウルフ 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン 8000
このクリーチャーが攻撃する時、相手の手札を見ないで1枚選び、捨てさせる。その後、その捨てたカードよりコストが小さい闇のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


 暗い雷光の中から現れたのは、雷の力を操りし猛虎と餓狼が一体となった悪魔の龍。それが、新しい稲妻を放ち、この場へと君臨する。
「動かれた……!」
 先んじて切り札を呼び出され、ますます劣勢となる希野。
「あたしのターン……これに賭けるしかないか。呪文《スクランブル・タイフーン》!」
 希野は一気に山札を掘り進み、主要なカードを引き入れる。
「……さらに呪文《再誕の社》を使い、ターン終了」
『オレのターンッ!』
 《トラトウルフ》が吠えると、同時に稲光が放たれる。
『呪文《プライマル・スクリーム》! 墓地を増やし、その中から《爆弾魔 タイガマイト》を回収、そのまま召喚! マナ武装3発動! 手札を捨てろ!』
「また……」
 希野は渋々手札を捨てる。これで残り一枚となってしまったが、その一枚もすぐさま消し飛ばされてしまう。
『《トラトウルフ》で攻撃! その時、《トラトウルフ》の能力が発動するッ! さあ、残り一枚の手札も墓地送りだ!』
 雷鳴が轟き、希野最後の一枚となる手札が紫電の稲妻に貫かれる。貫かれたのは、《サイバー・N・ワールド》。
『ワァォォォォンッ! 《トラトウルフ》のもう一つ能力! 《トラトウルフ》の能力で手札を捨てた時、その捨てたカードよりもコストの小さい闇のクリーチャーを、墓地から蘇らせるッ! 復活せよ、《骨断の悪魔龍 ブッタギラー》!』
 《トラトウルフ》の咆哮で、墓地より悪魔龍が復活する。しかも、蘇ったのは《ブッタギラー》。
 これで希野は、クリーチャーを召喚してもすぐに殴らなければ、能力で破壊されてしまう。その分、《トラトウルフ》もクリーチャーを並べにくくなるが、しかしシールド枚数やクリーチャー数では圧倒的に負けているため、不利であることに違いはない。
『Wブレイクだッ!』
「っ……!」
 手札破壊にリアニメイト、その後にはシールドブレイク。今まで変動のなかったシールド枚数は、希野が先に減らすこととなってしまった。
「……あたしのターン。呪文《フェアリー・シャワー》! 山札の上から二枚を見て、一枚を手札へ、一枚をマナゾーンへ! そして《アクア・インテリジェンス 3rd G》を召喚!」
 とりあえずクリーチャーを並べるが、しかし一体では無意味だ。《トラトウルフ》の場には《ブッタギラー》がいる。
『オレのターンだッ! 呪文《復活のトリプル・リバイブ》! 蘇れ、死した雑兵ども!』
 ここで唱えられるのは《復活のトリプル・リバイブ》。復活されるのはコスト3以下の軽量クリーチャーだが、その数は三体。一気に数で不利を取られてしまう。
『蘇れ、復活せよッ! 《ポーク・ビーフ》《チューシャ・ジューシャ》《ボンバク・ボッボーン》!』
「う……!」
『さらに《トラトウルフ》で攻撃! 手札を破壊するぞッ!』
 またしても希野の手札が貫かれる。墓地に落ちたのは《ノーブル・エンフォーサー》。
『《特攻人形ジェニー》をバトルゾーンに出し、そのまま破壊! お前の残る手札も破壊だ! そして《ブッタギラー》で攻撃! その時、《チューシャ・ジューシャ》を破壊し、アンタップ状態の《アクア・インテリジェンス》も破壊! さらにさらに、《チューシャ・ジューシャ》が破壊されたことで、墓地の《特攻人形ジェニー》を回収! 最後にシールドブレイク!』
 《ブッタギラー》にぶった切られた《アクア・インテリジェンス》と希野シールド。これで、彼女のシールドはゼロだ。
 だが、まだ《トラトウルフ》の場にはクリーチャーが残っている。
『終わりだッ! 《タイガマイト》で、ダイレクト——』
「ストップ、S・トリガー発動! 《ドンドン吸い込むナウ》!」
『グルゥ……?』
「《ピクシー・ライフ》を手札に加えて、自然のカードを加えたから、《タイガマイト》をバウンス!」
 九死に一生を免れた希野ではあるが、まだ劣勢であることは変わらない。
「シールドはゼロ、クリーチャーもゼロ、手札は少ないし、相手クリーチャーは多数……」
 パッと見れば、絶望的な状況。この盤面をひっくり返すのは不可能だと、傍から見てそう思ってしまうのも無理はない場だ。
 しかし、
「それでも、あたしにはこの状況を打開するカードがある……まずは呪文《ピクシー・ライフ》。マナを追加して、マナゾーンから無色カードを回収」
 序盤にマナへと置いた切り札を回収するための呪文。ここで希野が手に入れるのは、彼女を勝利に導く天頂の存在。それは即ち、

「必勝を司る龍よ、その力を解き放ち、我らに勝利を——《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》!」

 金色と白銀の鎧に包まれた、頂に君臨せし龍。その力を得た者に“必勝”という二文字の言葉を授けるゼニス、《カイザー「刃鬼」》。
 このクリーチャーが出た時点で、ほぼ希野の勝利は絶対的なものへと変質していた。
「《カイザー「刃鬼」》の能力で、相手のシールドの枚数分ガチンコ・ジャッジを行うわ」
 《トラトウルフ》のシールドは、一枚もブレイクされていないため五枚。つまり、五回のガチンコ・ジャッジが行われる。
 一戦目。希野はコスト7《R.S.F.K.》、《トラトウルフ》はコスト3《ミラー怪人 ドテラバラ》。
 二戦目。希野はコスト2《霞み妖精ジャスミン》、《トラトウルフ》はコスト3《爆弾魔 タイガマイト》。
 三戦目。希野はコスト4《偉大なる恵み》、《トラトウルフ》はコスト4《裏切の悪魔龍 ウラギランド》。
 四戦目。希野はコスト3《セブンス・タワー》、《トラトウルフ》はコスト6《黒神龍オドル・ニードル》。
 五戦目。希野はコスト8《不敗のダイハード・リュウセイ》、《トラトウルフ》はコスト7《雷鳴の悪魔龍 トラトウルフ》。
「——五回中三回……ま、それでも十分ね。三体のハンターを、手札、墓地、マナゾーンから呼び出すわ」
 《「刃鬼」》の呼び声に呼応するかのように、傷を負った狩人たちが集う。それも、修羅場を幾度と潜り抜けた、歴戦のハンターたちだ。
「《永遠のリュウセイ・カイザー》! 《鬼カイザー「滅」》! 《真実の皇帝 アドレナリン・マックス》!」
 三体のドラゴンにしてハンターなクリーチャーが並び、しかも《リュウセイ・カイザー》の能力でそれらすべてがスピードアタッカーとなっている。
『グ、グルゥ……!』
 いくらクリーチャーを並べていても、《トラトウルフ》の場にいるのは小型クリーチャーばかり。一体一体が場を大きく動かすクリーチャーがこれだけ並んでしまえば、流石に太刀打ちできない。
「さあ、行きなさい! 《リュウセイ・カイザー》でWブレイク、《カイザー「刃鬼」》でシールドをTブレイク!」
『《カイザー「刃鬼」》は《ポーク・ビーフ》でブロック!』
「《鬼カイザー「滅」》でシールドをWブレイク!」
『ガウゥ……ぬぅ?』
 と、ここで《トラトウルフ》は気付いた。
 自身の場にブロッカーは残り二体。そして、希野の場にはアンタップ状態のアタッカーが一体。そして自分のシールドは一枚。
 凌げる、まだ生き残れる。よく考えてみたらブロッカーが三体も並んでいるのだ。スピードアタッカーが四体いても、とどめまで刺されることはない。
 ——ただし、そのアタッカーが、普通のアタッカーでなければ、その考えは瓦解する。
「最後に《アドレナリン・マックス》で攻撃! 能力発動! あたしのドラゴンはすべてアンタップする!」
『なんだと……!?』


真実の皇帝(トゥルーカイザー) アドレナリン・マックス 火文明 (9)
レッド・コマンド・ドラゴン/アンノウン/ハンター/エイリアン 12000
各ターン、このクリーチャーがはじめてタップしたとき、自分のドラゴンをすべてアンタップする。
T・ブレイカ


 《アドレナリン・マックス》の、真の皇帝としての咆哮により、希野の龍たちはすべて、再び起き上がる。
 《アドレナリン・マックス》の二連撃により、《トラトウルフ》のブロッカーはすべて薙ぎ倒され、残る一枚のシールドも《リュウセイ・カイザー》の剣に切り裂かれる。
 そして、最後の一撃。

「《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》で、ダイレクトアタック!」