二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.604 )
- 日時: 2014/10/26 16:15
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: UrB7UrBs)
黒村とアザミのデュエルは、まだ序盤も序盤。どちらもクリーチャーを出していない状態だった。
そんな中、先んじてアザミが動き出す。
「アタシのターン! 《倍返し アザミ》を召喚!」
黒と緑を基調とした民族的な意匠の、小柄なクリーチャーが現れる。炎を両手、そして側頭部で燃やしており、表情からして勝気な雰囲気が伝わってくる。
「……《ボーンおどり・チャージャー》を使い、ターン終了だ」
『それだけ? じゃあガンガン行くわよ! 《蛙跳び フロッグ》を召喚! アタシでシールドブレイク!』
見る限り《アザミ》のデッキはステロイドの速攻。あまり悠長に準備している暇はなさそうだ。
「俺のターン。《一撃奪取 ブラッドレイン》《西武人形ザビ・バレル》を召喚。《ザビ・バレル》の能力で手札を捨てろ」
《ザビ・バレル》が《アザミ》の残った手札を撃ち落とす。速攻相手なら一枚のハンデスでもかなり有効だ。さらにブロッカーも並んだため、パワーの低い《アザミ》や《フロッグ》なら返り討ちにできる。
『無駄無駄! アタシのターン! 呪文《父なる大地》で《ザビ・バレル》とマナゾーンの《無重力 ナイン》を入れ替える! そしてアンタのマナゾーンにカードが置かれたから、アタシの能力発動!』
倍返し(ヘビー・ベイビー)アザミ 火/自然文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手のマナゾーンに、手札以外のどこからでもカードが置かれた時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
アウトレイジは総じて型破りな能力を持つが、そのすべてがパワーアタッカー+100万やら、ターンを飛ばすやらの派手な能力とは限らない。《アザミ》の能力は地味ながらも堅実、そして強力な能力だ。
要するに相手のマナ加速に対してこちらもマナ加速をするという受動的な能力だが、本来マナ加速は相手より早く大型のカードを使うためにある。しかし、ただ《アザミ》がいるだけで相手の加速に追いつけるというのだから、相手の加速を躊躇わせることが、《アザミ》の強さの一つだ。
『《ザビ・バレル》一体がマナに行ったから、1マナ加速よ!』
とはいえ、マナ加速を用いないデッキも存在する。そういったデッキには効果がないように思われるが、《アザミ》の能力は手札以外からマナゾーンにカードが置かれた時に発動する。つまり、相手のカードを“こちらからマナ送りにすれば”それでも発動するのである。
『アタシと《フロッグ》でシールドをブレイク! ターン終了』
「ちぃ……!」
《アザミ》の連続攻撃で黒村のシールドは残り二枚。だんだんと追い詰められてきた。
「《ボーンおどり・チャージャー》を発動。さらに《白骨の守護者ホネンビー》を召喚。墓地を増やし、回収はしない。《ナイン》で《フロッグ》と相打ちだ」
『それだけ? だったらアタシのターン行くわよ! 《龍覇 ケロスケ》召喚! 超次元ゾーンから《革命槍 ジャンヌ・ミゼル》を装備! 《ジャンヌ・ミゼル》の能力で《ホネンビー》をタップして、アタシでシールドをブレイク!』
あくまでも攻め続ける《アザミ》は、ブロッカーを止めつつ残りシールドを一枚まで削っていく。
しかし、それもそろそろ潮時だ。
「……俺のターン。《ブラッドレイン》でコストを下げ、墓地からこいつを召喚するぞ」
墓地から不気味な唸り声が響く。地獄の底まで届くような、重苦しい声だ。
なにも無法の力を使うのは《アザミ》だけではない。黒村も、墓地というアウトレイジが得意とするゾーンを十全に使い、操るのだ。
「不死なる無法の帝よ、魂蠢く墓地より解放されろ——《不死帝 ブルース》!」
墓地から蘇ったのは、漆黒の姿に大鎌を携えた、死神のような無法者。闇文明の代表的アウトレイジ《不死帝 ブルース》だ。
『ぼ、墓地から召喚なんて……!』
「その程度で驚くな。《ブルース》が場に出た時、山札の上三枚を墓地へ送るぞ。そして《ブルース》の能力発動、墓地からデスパペットまたはアウトレイジを召喚する」
『で、でもマナはもう残ってないじゃない!』
「なら、マナを使わず召喚すればいい。俺の墓地にクリーチャーは六体以上いる、G・ゼロ発動《盗掘人形モールス》を召喚」
《ブルース》の呼び声に応じて、墓地から《モールス》が釣り上げられる。
「《モールス》の能力で、墓地から《威牙の幻ハンゾウ》を回収。さらにG・ゼロ、俺の場にアウトレイジがいるので《無重力 ナイン》を召喚」
気付けば、黒村の場にはクリーチャーが五体も並んでいた。一方、《アザミ》の場にはたった二体、手札もない状況だ。
「序盤で攻め切れなかったのが痛かったな。もっとお前が速ければ、また違っていたかもしれん」
『ぅ……! まだ、まだよ! まだ終わってない! 《霊騎ラグマール》を召喚! 互いのクリーチャーをマナに送る! 《ラグマール》をマナに送るわ!』
「《ナイン》をマナへ」
『アンタのカードが手札以外からマナに置かれたので、アタシの能力でマナを加速! 《ケロスケ》で攻撃、装備した《ジャンヌ・ミゼル》の能力で《ホネンビー》をタップ!』
《アザミ》のアタッカーは二体、ここでブロッカーを封じれば、黒村のシールドを割り切り、そのままとどめまで行けるが、
「ニンジャ・ストライク発動。《ハンゾウ》を召喚し、《ケロスケ》のパワーをマイナス6000。ドラグナーが破壊されれば、ドラグハートも超次元ゾーンに戻る……厄介な龍解はさせない」
『くぅ……!』
ここで《モールス》で回収した《ハンゾウ》が生きて来る。ターン終了時に装備クリーチャーがタップされていれば龍解する《ジャンヌ・ミゼル》を退かしつつ、《アザミ》の攻撃も止められた。
『あ、アタシでシールドブレイク!』
「……S・トリガーはない。が、それで終わりか?」
『…………』
終わりしかない。これ以上、彼女のできることはない。
「なら俺のターンだ。《ホネンビー》を召喚し、山札の上三枚を墓地へ。墓地から《光牙忍ハヤブサマル》を回収。さらに《ブルース》の能力で、墓地からアウトレイジを召喚する」
再び《ブルース》が雄叫びを上げ、墓地から死した無法者たちが蘇る。
「まずはこいつだ。G・ゼロ発動! 数多の屍を超え、百万の力を超越せよ——《百万超邪 クロスファイア》!」
黒村の墓地にクリーチャーは六体以上いるので、《クロスファイア》がコストの支払いなく蘇る。
だが、これだけでは終わらない。無法者は、《ブルース》の手でまだ復活を続けるのだ。
「帝の命により蘇り、無法者たちを蘇らせろ——《不死の猛者 シックス・センス》!」
不死の猛者(アンデッド・バンデット) シックス・センス 闇文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
W・ブレイカー
このクリーチャーを自分の墓地からバトルゾーンに出した時、コスト6以下の進化ではないアウトレイジまたはデスパペットを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
《ブルース》の力で蘇ったもう一体の無法者は、《ブルース》の腹心である《シックス・センス》。彼の臣下であるため、《シックス・センス》の能力も《ブルース》に近いものであり、また《ブルース》の力で最大限発揮される。
「《シックス・センス》が墓地からボトルゾーンに現れたので、能力発動。墓地から《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》をバトルゾーンに……これで終わりだ」
墓地から蘇ることで大量の並んだ無法者たちが、一斉に《アザミ》へと牙を剥く。
「《ファルコン・ボンバー》で攻撃、能力で《シックス・センス》をスピードアタッカーに! 続けて《クロスファイア》でWブレイク!」
『し、S・トリガー発動! 《大きくて小さな農園》! パワー3000以下のクリーチャーをすべてマナ送りよ! さらにアタシの能力で、その数だけマナを加速!』
「それがどうした。《シックス・センス》でWブレイク!」
黒村の怒涛の攻撃により、《アザミ》のシールドはゼロ。さらに、最後のシールドからも、これ以上S・トリガーは出ない。
地獄の帝が、大鎌を振りかざす。
「《不死帝 ブルース》で、ダイレクトアタック——!」