二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.606 )
- 日時: 2014/10/27 01:47
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: UrB7UrBs)
ラトリと《グレイテスト・グレート》のデュエルは、かなり《グレイテスト・グレート》の一方的な展開となっていた。
ラトリにはもうシールドがなく、場には《雷鳴の守護者ミスト・リエス》と、ガーディアンを指定した《光器ペトローバ》。
一方《グレイテスト・グレート》のシールドは五枚、場には自分自身である《「命」の頂 グレイテスト・グレート》と《神聖麒 シューゲイザー》そして《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》の四体だ。
「きっつい……私のターン。とりあえず《音感の精霊龍 エメラルーダ》を二体召喚。手札を二枚、シールドに加えるよ」
音感の精霊龍 エメラルーダ 光文明 (5)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 5500
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをひとつ、手札に加えてもよい。その後、自分の手札を1枚裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。(こうして手札に加えたシールドの「S・トリガー」を使ってもよい)
とりあえずシールドを回復させたラトリだが、もうマナがない。このターンはこれで終了するしかないようだ。
一応《グレイテスト・グレート》がなにもクリーチャーを召喚しなければ、ブロッカー二体とシールド二枚でなんとか乗り切れるが、
『《青銅の鎧》を召喚。《シューゲイザー》で攻撃、能力発動。マナより《黒神龍オンバシ・ラオーン》をバトルゾーンに』
当然そんな甘いプレイングをするわけもなく、場にはさらにクリーチャーが並ぶ。これで《ファルコン・ボンバー》の効果でスピードアタッカー化したクリーチャーがとどめを刺しに来るが、
「引っかかった! S・トリガー《DNA・スパーク》&《緊急再誕》!」
ラトリはあえて《シューゲイザー》の攻撃をブロックせず、《エメラルーダ》で仕込んだ二枚のS・トリガーを発動させる。
《DNA・スパーク》で《グレイテスト・グレート》のクリーチャーはすべてストップ。さらに《緊急再誕》で《エメラルーダ》を破壊し、
「《天運の精霊龍 ヴァールハイト》をバトルゾーンに! これでまたシールドが二枚だよ!」
しぶとく粘るラトリ。とはいえ《シューゲイザー》がいるので相手クリーチャーはこれからさらに増えるはず。このままではジリ貧だ。
「私のターン! 《エメラルーダ》召喚して、手札を一枚シールドに!」
これでシールドは三枚。さらに、
「呪文《母なる星域》! 《エメラルーダ》をマナゾーンへ!」
ここで発動するのは《母なる星域》。ラトリのデッキは進化クリーチャーがほとんどいないデッキだが、しかし進化クリーチャーが核となるデッキなのだ。
その進化クリーチャーというのが、
「アテナ! 行くよ!」
「了解しました、マスター」
《エメラルーダ》が星域の紋章に包まれると、それと入れ替わり、一体の進化クリーチャーが現れるのだ。
「守護の力を解き放て! 主を護る盾こそが、すべてを貫く矛となる! 神々よ、調和せよ! 進化MV——」
星域を経て、守護の力を内包した神話が、今ここに呼び起こされる——
「——《守護神話 エンパイアス・アテナ》!」
閃光の中より現れた、やや小柄な人型、それも女性型のクリーチャー。羽のような装飾、一枚布で縫製された衣服など、民族的な点が多数散見されるが、同時に目元を覆うバイザー、広範囲を防護する両腕のシールド、翼状に広がったアーマーなど、近代的デザインの装備も混ざっている。
「《アテナ》の能力発動! 私のシールドをすべてオープン!」
『神話カード』が持つ、CDと呼ばれる三段階に分かれた能力。《アテナ》が持つ三つの能力のうち、最も弱いCD4能力は、自身のすべてのシールドを開くこと。同時に相手の攻撃を誘導することもできる。
だが、無論彼女の力はそれだけではない。
『今回は光文明の進化元が《ミスト・リエス》《エメラルーダ》《ヴァールハイト》……コスト合計が17なので、すべてのCDが発動します』
「そっか。久し振りだね、君の全力が見られるのは……じゃあ、遠慮せずに行こうか! CD12、発動!」
守護神話 エンパイアス・アテナ 光文明 (8)
進化クリーチャー:メソロギィ/ガーディアン/ジャスティス・ウイング 17000
進化MV—自分のガーディアン一体と光のクリーチャー二体を重ねた上に置く。
コンセンテス・ディー(このクリーチャーの下にある、このクリーチャーと同じ文明のすべてのクリーチャーのコストの合計を数える。その後、その数字以下の次のCD能力を得る)
CD5:自分のシールドはすべて表向きになり、自分のシールドが相手クリーチャーにブレイクされる時、ブレイクされるシールドを自分で選ぶ。
CD9:自分のシールドがカードの効果でシールドゾーンから離れた時、手札、墓地にあるS・トリガーでないカードを一枚、または山札の上から一枚目を新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
CD12:自分のシールドゾーンからカードを使用してもよい(クリーチャーを召喚、呪文を唱える、クロスギアをジェネレート、城を要塞化してもよい)。この効果で使用するカードのコストは、自分のシールドひとつにつき1少なくしてもよい。ただしコストは1より少なくならない。
T・ブレイカー
刹那、ラトリのシールドが淡く発光する。
「《アテナ》の能力で、私はシールドから《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》を召喚! さらに私のシールドの数は三枚、その数だけコストを軽減するから、4マナで召喚するよ!」
淡く光るシールドから《ヴァルハラナイツ》が飛び出す。そしてその穴を埋めるように、山札の一番上がシールドとなった。
「さらにカードの効果で私のシールドが離れたから、今度はCD9発動! 山札の一番上をシールドに!」
これまでで、墓地やマナゾーンからクリーチャーを召喚したり、呪文を唱えたりするカードがいくつか存在している。しかし《アテナ》はマナゾーンや墓地には干渉しない。そこに干渉するのは、闇文明や自然文明の役目だ。
《アテナ》は《守護神話》。守護の力を司る神話。守護の力——それ即ちシールドだ。
だが、シールドをただ増やしたり、守る能力ではない。彼女はより多彩に、守護の力を多用に変質させる力がある。守る力ではなく、守りの力あらゆる力に変えることで操る。ゆえに彼女は《守護神話》と呼ばれているのだ。
「《ヴァルハラナイツ》の能力で《グレイテスト・グレート》をフリーズ! さらに今度は1マナで《超過の守護者イカ・イカガ》を召喚! 能力で手札から《時空の守護者ジル・ワーカ》をバトルゾーンに! 《アテナ》の能力で減ったシールドは、山札の一番上から補填するよ!」
さらにコスト3以下の光クリーチャーが出たことで《ヴァルハラナイツ》の能力が再び発動。《キリュー・ジルヴェス》と《オンバシ・ラオーン》をフリーズさせる。
「次、行くよ! 《アテナ》で《シューゲイザー》を攻撃! さらに《ペトローバ》で《ファルコン・ボンバー》を攻撃!」
『……《メッサダンジリ・ドラゴン》を召喚』
《グレイテスト・グレート》は勢いを増してきたラトリを止められない。ワンショットキルで決めるデッキゆえに、基本的に一度止められてしまうと、なかなか立て直せないのだ。しかも肝心の《シューゲイザー》がおらず、《シューゲイザー》の能力でマナも手札も消費してしまっている。
「どんどん行くよ! シールドから《ジル・ワーカ》を召喚! 墓地の《エメラルーダ》をシールドに戻してそのまま召喚! 手札をシールドに置いて、その置いた《ヴァールハイト》を召喚! さらに今度は手札から《束縛の守護者ユッパール》と《慈愛の守護者マモリ・タイハッピー》を召喚! 相手クリーチャーをフリーズ!」
気付けば、ラトリの場は圧倒的だった。1ターンで大量のクリーチャーを展開し、なおかつ相手の動きも封じている。
「《アテナ》で《グレイテスト・グレート》を攻撃! 相打ちだけど、《マモリ・タイハッピー》の能力で私のガーディアンはすべてウルトラ・セイバーだよ。《ユッパール》を代わりに破壊!」
破壊される《グレイテスト・グレート》。エターナル・Ωで手札に戻るが、
「《ジル・ワーカ》で《オンバシ・ラオーン》を破壊! 《イカ・イカガ》で《青銅の鎧》を破壊! 《ヴァルハラナイツ》で《メッサダンジリ》を破壊! 《ペトローバ》でシールドブレイク!」
これでグレイテスト・グレートの場は全滅。返しのターン、もはやなにもできない。なにをしたところで、もうどうにもならない。
「私のターン! 《ヴァルハラナイツ》でWブレイク! 《ヴァールハイト》でWブレイク!」
守るための力を変質させた、《守護神話》の圧倒的攻撃力。主を守るための盾が、相手を殺すための矛となり——
「《守護神話 エンパイアス・アテナ》で、ダイレクトアタック!」
——天頂の存在を、貫いたのだった。