二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.618 )
日時: 2014/11/09 13:05
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

「あうぅ、まけちゃった……」
「今日はぼくの勝ちだな」
「でも、きのうはあたしがかったよ!」
「あれはおまえが三枚もシールド・トリガーだしたからだろ! うんがよかっただけじゃないか!」
「うんもじつりょくのうちだよ! 一枚もシールド・トリガーだせないゆーくんがわるい!」
「なんだと! ならもういっかいだ! つぎも勝ってやる!」
「じょーとー! うけてたつよ!」



 どういうわけか始まった、夕陽と流のデュエル。当然ながら神話空間内ではないので、クリーチャーが実体化するわけもない。
(久し振りだな、流とのデュエル……最後に対戦したのは夏休み以来だっけ)
 流と初めて出会った時以来だ。考えてみれば、それ以降はまったく対戦していなかった。
「俺のターン。《フェアリー・シャワー》を使い、山札の上二枚のうち、一枚を手札、一枚をマナに置き、ターン終了だ」
「じゃあ僕のターン。《エコ・アイニー》を召喚してターン終了」
 夕陽のデッキも流のデッキも、メインとなるクリーチャーが軒並み重く、序盤はマナ加速に努める。
「呪文《ドンドン吸い込むナウ》。山札から《再誕の社》を手札に加え、《エコ・アイニー》をバウンス」
「なら《エコ・アイニー》を再び召喚。さらに《コッコ・ルピア》も召喚だ」
 着実にマナを溜め、ドラゴンの召喚コストを下げていく夕陽。一方流は、そんな夕陽の動きを妨害する。
「俺のターン……《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を召喚。能力で墓地の《ドンドン吸い込むナウ》を発動。《母なる星域》を手札に加え、《コッコ・ルピア》をバウンス」
「う……でも、これだけマナが溜まれば《コッコ・ルピア》がいなくても、手出しで召喚できる」
 夕陽のマナは全部で9マナ。そのすべてを使い切り、

「《暴龍事変 ガイグレン》を召喚!」


暴龍事変 ガイグレン ≡V≡ 火文明 (9)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン/ヒューマノイド爆/ドラグナー 11000+
スピードアタッカー
マナ武装 9:このクリーチャーが攻撃する時、自分のマナゾーンに火のカードが9枚以上あれば、そのターン、このクリーチャーをアンタップしてパワー+3000する。
W・ブレイカー
相手がこのクリーチャーを選んだ時、このクリーチャーのパワー以下のパワーを持つ相手のクリーチャーをすべて破壊する。


「《ガイグレン》で攻撃! その時、マナ武装9発動!」
「マナ武装、9……?」
 《暴龍事変 ガイグレン》のマナ武装は、現時点で最も高いマナ武装9だ。しかも攻撃時に発動する。
 夕陽は火文明メインではあるが自然や闇も組み込んでいるため、マナゾーンのカード九枚全てが火文明ということは早々ない。しかし現在、夕陽のマナは多色を絡めてすべて火文明。マナ武装9を満たしている。
「攻撃する時にアンタップ、そしてパワー+3000! シールドをWブレイク!」
「……S・トリガーはない」
「ならもう一度、《ガイグレン》でシールドをWブレイク!」
 《ガイグレン》が立て続けにシールドをブレイクする。
 これが《ガイグレン》の最も強い能力だ。条件が厳しいマナ武装さえ満たしてしまえば、止まることのない無限の攻撃が可能となる。流はS・トリガーを引かなければ、このまま殴り切られてしまう。
「……S・トリガーだ。《ナチュラル・トラップ》と《スパイラル・ゲート》。《ナチュラル・トラップ》で《ガイグレン》をマナへ、《スパイラル・ゲート》で《エコ・アイニー》をバウンス」
「止められたけど……《ガイグレン》は選ばれた時、《ガイグレン》以下のパワーの相手クリーチャーをすべて破壊する!」
「《スペルサイクリカ》は山札の下へ行くぞ。俺のターン」
 なんとか《ガイグレン》の猛攻は止めたものの、流のシールドは一枚。クリーチャーも全滅。ここから巻き返すのは厳しいか。
「呪文《再誕の社》、墓地のカード二枚をマナゾーンへ。さらに《龍覇 メタルアベンジャー》を召喚。超次元ゾーンから《龍波動空母 エビデゴラス》をバトルゾーンへ。ターン終了だ」
「今度はドラグハートか。でも、もう一押しだし、大丈夫だな。《コッコ・ルピア》を二体召喚、さらに《爆竜勝利 バトライオウ》も召喚!」
 流のシールドが残り少ないということを考え、クリーチャーを展開して手数で攻めかかる夕陽。
 対して、流は、
「《エビデゴラス》の能力で一枚ドロー、そして通常ドロー。《飛散する斧 プロメテウス》を召喚し、2マナ追加、マナゾーンの《母なる星域》を回収。さらに《キング・ケーレ》を召喚、《バトライオウ》をバウンスだ」
 クリーチャーを並べ始める流に、どこか嫌な予感を覚える。残りシールドも少ないので、早く決めてしまいたいが、 
「スピードアタッカーが引ければいいんだけど……《バトライオウ》を二体召喚」
 引けたのは二体目の《バトライオウ》。仕方ないのでそのまま場に出す。
「ターン終了」
「俺のターンだ」
 流はスッと、流れるようにカードを引く。
「まずは《エビデゴラス》の能力で追加ドロー、そして通常ドローだ」
 一枚、二枚とカードを引き、スッと静かにマナゾーンへカードを置く。さらに、流は、
「《電脳決壊の魔女 アリス》を召喚」
「《アリス》……ってことは」
「そうだ。《アリス》の能力で三枚ドロー、手札二枚を山札に下へ」
 《電脳決壊の魔女 アリス》は召喚時に、手札を入れ替えることができる。その際には山札からカードをドローする。
「このドローで俺はこのターン、《エビデゴラス》の追加ドローで一枚、通常ドローで一枚、《アリス》の能力で三枚、合計五枚のカードを引いた」
 つまり、
「《エビデゴラス》の龍解条件を満たした……!」
 《龍波動空母 エビデゴラス》の龍解条件は、同一ターン内に五枚以上のカードを引くこと。流は今しがた、その条件を達成した。
 それにより、《エビデゴラス》が龍解する。

「《龍波動空母 エビデゴラス》龍解……《最終龍理 Q.E.D.+》」


最終龍理 Q.E.D.+ ≡V≡ 水文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 11000
自分のターンのはじめに自分の山札の上から5枚を見る。そのうちの1枚を山札の上に戻し、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。その後、カードを1枚引いてもよい。
自分の水のドラゴンはブロックされない。
W・ブレイカー
龍回避—このクリーチャーがバトルゾーンを離れるとき、バトルゾーンを離れるかわりに、フォートレス側に裏返す。


「龍解された……でも、手数で攻めれば、まだ——」
「そんな隙を与えるつもりはないがな。呪文《母なる星域》、《アリス》をマナへ」
 龍解に続き、《母なる星域》を唱える流。このタイミングでその呪文は、嫌な予感がする。
 と、いうよりも。以前にも感じたことのある、言い様もない巨大な気配が伝わってくる。荒れ狂う大波のように押し寄せる、強い力が感じられる。
「まさか……」
 目線を落とし、流のマナゾーンに目を向ける夕陽。今までもマナゾーンはチェックしていたが、この時点で初めて見るカードがあった。それはこのターン置かれたばかりのカード、そして——流の切り札であるカードだ。
「《キング・ケーレ》《メタルアベンジャー》《プロメテウス》の三体に重ね——」
 三体の水のクリーチャーが重ねられていく。その頂上にあるのはリヴァイアサン、そしてその上に、最後の一枚が置かれる。
「海神の怒り、三叉の槍と荒れ狂う嵐をもって、すべての大海を支配する! 神々よ、調和せよ! 進化MV!」
 そして、神話の海神が、降臨した——

「——《海洋神話 オーシャンズ・ネプトゥーヌス》!」

「っ……!」
 ただ普通にカードが出ただけだが、尋常ではない威圧感を感じる。神話空間内でなくとも、実際の対戦でこれほどの圧力を感じさせる『神話カード』の力を、改めて思い知る。
「《ネプトゥーヌス》のCD能力発動。まずは三枚ドロー」
『次に、貴様の盾と手札を拝見する』
「喋った……」
 デュエルの進行を気遣ってかカードのままだが、《ネプトゥーヌス》が声をあげる。
 よく考えてみれば、夕陽は流以上に《ネプトゥーヌス》のことを知らなかった。なにやら尊大な口調だが、一体どういう性格なのか。
『流、奴の盾に罠を見つけた』
「ああ。そのカードと、お前の手札を入れ替えてくれ」
「くっ、《バトクロス・バトル》が……」
「最後にCD12発動、お前のクリーチャーをすべて山札に戻す」
 《ネプトゥーヌス》の最後の力で、夕陽の場は一掃。S・トリガーを消され、デッキトップも固定。勝ち筋をほとんど潰された。
「さらに手札進化、《レジェンダリー・デスペラード》を召喚。《デスペラード》でWブレイク!」
「S・トリガーは……ない、よな……」
 《ネプトゥーヌス》ですべてピーピングされているので、この状況をひっくり返すようなカードが来るはずもなく、
「《ネプトゥーヌス》でTブレイク!」
 すべてのシールドを割られてしまった。
 そして、最後の一撃が放たれる。

「《Q.E.D.+》で、ダイレクトアタックだ!」