二次創作小説(紙ほか)
- デュエル・マスターズ Mythology オリキャラ募集 ( No.66 )
- 日時: 2013/07/25 20:16
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
奪われたデッキを取り返すために、【慈愛光神教】の教祖、金守深を倒す計画を練っていた夕陽らだが、彼らの計画はすぐに行き詰った。
理由はいくつかあるが、その最もたるものが、
「あいつらの拠点、全然見つかんねぇ……!」
初めて深と接触した公園に集まり、夕陽が呻く。
目的を達するに当たって最もシンプルな方法は、彼らの宗教団体、その総本部に直接殴り込むということだった。最も危険だが、分かりやすい。
だがその計画すらも頓挫しかけている。理由は夕陽が言うように、拠点の居場所がてんでつかめないのだ。
「パソコンで探しても、手掛かりすらつかめないなんて……これは、意図的に向こうが居場所を隠しているとしか思えないです」
「細々とした支部みたいなのは見つかるのに、無駄に徹底してやがる」
というわけで、相手がどこにいるかも分からない状況のため、デッキを奪い返す計画はほとんど進展していない。
「明日はもう土曜日です、時間をかけると私たちのデッキそのものが崩されて、教祖の手から離れる可能性も無視できないですよ」
「だよなぁ……兎にも角にも、奴らの拠点が分からなきゃ、動きようがない」
「誰か、知ってる人に教えてもらうとか、できないのかな?」
「流石に無理でしょう。私たちは敵視されているのですし、向こうがわざわざ不利益を被るような情報を提供するとは思えないです」
完全に行き詰まり、進展しなくなってしまった三人。汐の言うように時間はかけられず、かと言って何か出来ることもない。
完全に、手詰まりだ。
「……もうそろそろ、日が暮れる時間です。ここでグダグダしていてもなにも起きないですよ。とりあえず今日も、調べられるだけのことは調べてみるので、先輩方も——」
「分かってるよ。できる限りのことはやる」
「デッキを取られたまんまんなんて嫌だしね」
だが三人とも、薄々感づいていた。このままでは、何も動かないことを。
三人の中で唯一デッキを奪われていない夕陽だが、しかし『神話カード』に対する思い入れは三人の中で一番強い。無論、友人のデッキが奪われたことに対する怒りもあるが、《アポロン》を取り返したいという思いも、夕陽の原動力だった。
「——なんとしてでも取り返す。でも、どうすればいい……?」
家に帰る途中でも、思考を止めない夕陽。いくら考えても、ここでは無意味。しかしそれでも思考を停止しない。
やがて家に辿り着く。いつものように無意識的に郵便受けをチェックし、中身を取り出す。ふと視線を落とすと、沸々と怒りが込み上げてきた。
手元の紙面には、今正に夕陽たちが敵視している【慈愛光神教】のチラシがあった。
ほぼ反射的に、怒りに任せてそのチラシを破り捨てようとする夕陽。実際に半分ほど破いてしまったが、逆に言えば半分ほど破いたところで、手が止まった。
「あれ、これ……?」
止まった理由は、その紙面に見覚えのある物体が描かれていたからだ。それは、奇怪な偶像のような形をしており、そのすぐ横には救いの神具が云々と、非常に胡散臭いことが書かれている。
「これ、どこかで見たような……」
なにかが引っかかる。今までずっと夕陽の中で引っかかっていたものが、外れかかっている。欠けた最後のピースが、見つかりそうで見つからない。
しかし、今——見つかった。
「……そうだ、あれだ」
思い出した。そして夕陽の中の蟠りが消えていく。同時に、連鎖的に夕の中にあるものが次々と繋がれていく。
「もしかしたら……ちょっと気は引けるけど、今はなりふり構ってられない。やるしかない、か」
頭の中で、夕陽は明日にすべきことを再確認しながら、携帯でこのみと汐にメールを送る。明日は集まれないこと、そして、敵の拠点が分かるかもしれないということを。
メールを送信し、確認も終わり、次はデッキの組み替えに入る。
そして翌日、夕陽は光ヶ丘姫乃の家を訪れた。