二次創作小説(紙ほか)
- デュエル・マスターズ Mythology オリキャラ募集 ( No.76 )
- 日時: 2013/07/29 20:50
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
光が収束する。貫かれた最後のシールドが、光を束ねて顕現する。
「S・トリガー、発動! 《調和と繁栄の罠》!」
調和と繁栄の罠 光/自然文明 (5)
呪文
S・トリガー
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
文明をひとつ選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、その文明のクリーチャーは自分を攻撃することができない。(この呪文を唱えた後にバトルゾーンに出たクリーチャーも含まれる)
「な……っ! 《調和と繁栄の罠》だと……!?」
姫乃の最後の切り札。その発動を目の当たりにし、深の表情が一瞬にして崩れる。
タップしても、除去しても無意味なのなら、攻撃そのものを止めればいい。簡単にできることではないが、このカード——《調和と繁栄の罠》なら、それができる。
深のデッキは、光が中心のコントロール系デッキ。闇の呪文はあるが、闇単色のクリーチャーは存在しない。ゆえに、彼の場のクリーチャーは、たった一つの言葉で全てを止めてしまう。
「……光」
小さく、呟いた。
刹那、神々しき閃光が放たれ、深のクリーチャーはすべて停止する。攻撃を止め、鋭く研がれた身も丸くなっていく。
姫乃を倒す刃となった光の壁たちは、その閃光でただの壁と成り果ててしまった。
「馬鹿か、まだそんなカードを入れていたのか……! 幼い時なら、まだファンデッキ気分で、レアリティが高いという理由だけで入れていて不思議はなかったが、まだ入れているのか……そんな、大した力もない、弱小なカードを!」
「その弱小なカードに止められたのはあなただよ、“深さん”」
懐かしい彼の名を呼びつつ、デッキからカードをドローする姫乃。どうせ彼はなにもできない、ターンを終える宣言をするのを待ってはいられない。
「くっ、だが! たかだか1ターン止められただけだ! 次の私のターンには、ダイレクトアタックが決まる!」
「じゃあなんで、そんなに狼狽えてるの? なんで、そんな慌ててるの?」
少しだけ、悪戯っぽい笑みを零す姫乃。
「それって、直感的に分かっているからだよね、深さん。このターンで、わたしがあなたを倒すだけの戦力を揃えられることを」
そして、手札からカードを抜き取っていく。
「まずは呪文《DNA・スパーク》」
「無駄だ! 《ヴィーナス》の能力で、私のクリーチャーはタップされない!」
知っている。だがこのカードの意味は、クリーチャーのタップではない。
「《DNA・スパーク》の効果で、シールドが二枚以下だからシールドを追加。さらに、マナ進化《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》」
密林の総督ハックル・キリンソーヤ 自然文明 (3)
進化クリーチャー:ドリームメイト 5000
マナ進化—自然のクリーチャーを1体自分のマナゾーンから選び、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。
シールド・フォース(このクリーチャーをバトルゾーンに出す時、自分のシールドを1枚選んでもよい。そのシールドがシールドゾーンにある間、このクリーチャーは次のSF能力を得る)
SF—自分のクリーチャーは、それよりパワーの小さいクリーチャーにブロックされない。
「なんだ……私のブロッカーを掻い潜って攻撃するつもりか? だが、お前のクリーチャーのパワーでは不可能だ!」
「まだ終わってない。次は呪文《母なる星域》。《緑神龍グレガリゴン》をマナに戻して——」
マナから、進化クリーチャーが飛び出す。
「——マナ進化GV《超天星バルガライゾウ》!」
超天星バルガライゾウ 自然文明 (9)
進化クリーチャー:アース・ドラゴン/フェニックス/サムライ 15000
マナ進化GV—ドラゴンを3体自分のマナゾーンから選び、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。
メテオバーン—このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを3枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から進化ではないドラゴンを好きな数、バトルゾーンに出してもよい。残りを墓地に置く。
T・ブレイカー
「……っ!」
遂に言葉を失った深。パワー15000など、深のクリーチャーで止められるパワーではない。そもそも、こちらの方がパワーが低いのなら《ハックル・キリンソーヤ》の能力ですり抜けられてしまう。
だがそれでも、深は落ち着きを取り戻そうとしていた。確かに《バルガライゾウ》の攻撃で深のシールドはすべて吹き飛ぶ。だが深のデッキにはそれなりに多くのS・トリガー呪文が搭載されているのだ、一枚でも出てくれば、このターンを凌げる。
だがそんな深の考えも、儚く散ることとなる。
「これで最後、呪文《魂の呼び声》でキング・コマンド・ドラゴンを山札の上にセット」
姫乃が山札の上に積み込んだ、たった一枚のカードを見て、まだ勝機を見出していた深の顔が絶望に沈む。
「行くよ……《超天星バルガライゾウ》で攻撃! そしてメテオバーン発動!」
《バルガライゾウ》メテオバーンで、進化元となった三体のドラゴンが墓地へと行く。それと同時に、山札の上から、三枚のカードが舞い降りた。
二枚は外れ、墓地へと着地する。しかし、残る一枚だけは——
「——出て来て、《偽りの王 ナンバーナイン》!」
偽りの王(コードキング) ナンバーナイン 光文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 9000
相手は呪文を唱えることができない。
W・ブレイカー
呪文を封じる、たった一つのシンプルな能力。それだけで、深の逆転の芽は完全に摘み取られた。
《バルガライゾウ》の息吹が深のシールドをすべて吹き飛ばす。皮肉なことに、三枚ともS・トリガー。しかし呪文だ。《ナンバーナイン》に封殺されてしまう。
「そして、これで終わり。《ジオグラバニス》は自分の他のタップされているクリーチャーのパワーを吸収する!」
緑神龍ジオグラバニス 自然文明 (7)
クリーチャー:アース・ドラゴン 6000+
攻撃中、バトルゾーンにあるタップされている自分の他のクリーチャーすべてのパワーを、このクリーチャーのパワーに加える。
W・ブレイカー
「くっ、ぐぅ……お前も、やはりお前も、結局は利己を追及するただの人間だ! 実利を求める現実と、救いを求める理想が我々の理念だ! 私の意志だ! それを、私の救いは——昔の天使のように純真で無垢なお前はどこへ消えた!?」
遂に気が狂ってしまったのか、当たり散らすように叫ぶ深。だが姫乃は、静かだった。
静かに、言葉を返す。
「だから変わったんだよ。それに、わたしは普通の人間だよ? ちょっと貧乏で、体弱いだけの、ね」
そして《ジオグラバニス》が動き出す。
攻撃中に限り、《ジオグラバニス》は《バルガライゾウ》のパワーを吸収する。深のブロッカーでは、止められない。
「《緑神龍ジオグラバニス》で、ダイレクトアタック——!」
初めて彼に勝てた。友人との約束を果たしたことよりも、姫乃としては、そちらの方が少しだけ嬉しかった。