二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.92 )
- 日時: 2013/08/21 01:21
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
黒村形人、雀宮高校の現代社会の教師にして、夕陽たち一年四組の副担任。
だがその姿は彼本来の姿ではなく、正体は“ゲーム”について研究する組織【ミス・ラボラトリ】の観察者。その使命により、今まで夕陽たちを観察していた。
その今までの観察というものは遠くから眺めるだけ、そんな感じだったのだろう。しかし今回に至っては直接的に手を出して来た。その一つ目が、デュエル中でもないのにクリーチャーが実体化し、しかもそのクリーチャーがデュエルをするという現象に巻き込ませること。
二つ目は保険、本当なら二体のクリーチャーと夕陽を戦わせ、二戦分のデータを収集するはずだったが、それをたまたま場に居合わせたクロに妨害され、やむなく黒村自身が夕陽と戦うこととなった。
そのような経緯があり、夕陽と黒村のデュエル。先に動いたのは、先攻3ターン目の黒村だ。
「《福腹人形コダマンマ》を召喚。シールドを一枚手札に加え、ターン終了だ」
動いたと言っても、実際はただクリーチャーを召喚しただけ。《コダマンマ》の能力で手札補充をしているが、代償としてシールドを失った。
だがこれだけで、夕陽は黒村のデッキタイプがどのようなものか予測できた。
「シールドを減らす手札補充、そしてデスパペット。闇文明を絡めたビートダウンか……?」
「概ねそんなところだ。そう考えると霊崎の相手がガネージャーで良かった。コントロールのドルボランとビートダウンのガネージャー、二つのデッキタイプに対してお前がどう動くかを見るのが目的だからな。もしお前の相手がガネージャーだったら、俺はドルボランの代わりにコントロールデッキを使う羽目になっていた。コントロール重視のデッキは俺の性に合わないからな」
黒村の話を適当に聞き流し、夕陽はマナチャージでターンを終える。
(しかし早いターンで攻撃されるときついな。このデッキは3マナ溜まってから動くのが基本だから厳しくなりそうだ)
まったく対応できないわけではないが、それでも中盤まで攻めきらせないようにしなければ厳しいのは明らか。序盤にどれだけ守れるかが夕陽の勝利に繋がって来るだろう。
「俺のターンだ。《青銅の鎧》を召喚してマナチャージ、《コダマンマ》でシールドブレイク」
早速一枚割られた。S・トリガーはない。
「っ、でもまだまだ。ここから巻き返す! 《コッコ・ルピア》召喚!」
ドラゴンの召喚コストを下げるファイアー・バード。夕陽のデッキはここから始まる。
「やはりそう来るか。だが関係はない、このデッキにそこまで柔軟性はないからな。《コダマンマ》召喚、効果でシールドを手札に」
二体目の《コダマンマ》が現れ、シールドが三枚になった黒村。だが手札はなかなか減らない。
手札に加えたシールドをを見て、黒村はふっと呟く。
「こいつか……マナもある、早めに出しておいて損はない。《コダマンマ》進化、《奇術王エンドレス・パペット》」
奇術王エンドレス・パペット 闇文明 (3)
進化クリーチャー:デスパペット 5000
進化—自分のデスパペット1体の上に置く。
相手が自分自身の手札を捨てた時、その捨てられたカードと同じ枚数のカードを引いてもよい。
現れたのは、無数の人形を操る道化師。そしてその道化師本人も、どこからか糸で吊られている。
「やば、面倒なのが出た……」
《エンドレス・パペット》は能力も厄介だが、攻撃手が増えたという理由でも厄介だ。進化して召喚酔いもなく、アタッカーが三体並んだ状況となっている。
「《エンドレス・パペット》でシールドをブレイク」
まずは一撃目、《エンドレス・パペット》の操る人形にシールドを割られたが、そのシールドは光の束となって夕陽の手元に戻ってくる。
「S・トリガー発動! 《スーパー炎獄スクラッパー》!」
夕陽が引いたのは、速攻相手に有効なS・トリガー《スーパー炎獄スクラッパー》だった。
(二枚目でこいつを引けたのは良いけど、どうするか。《エンドレス・パペット》は厄介だし早く除去したいけど、そうすると他の二体でシールドがやられる。またトリガーを引ける保証もないし、流石に二枚も割られるのは痛いか)
結論をつけ、スクラッパーが《コダマンマ》と《青銅の鎧》の真上に出現する。
「《コダマンマ》と《青銅の鎧》を破壊だ! そして僕のターン!」
出来ればここで《エンドレス・パペット》を除去できるクリーチャーを引きたかったが、そう上手くは行かない。
「《ボルシャック・NEX》を召喚! 《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに!」
二体目の《コッコ・ルピア》が場に出る。これで夕陽のドラゴン召喚コストは4下がる。
「随分と召喚コストを減らすな、そんなにドラゴンを召喚したいか」
黒村は次のカードをドローしつつ、夕陽の場を眺めている。
「大型ドラゴンのコストを4も軽減されるのは痛手に繋がるが、そもそも召喚するドラゴンがいなければ意味はない。《特攻人形ジェニー》を召喚」
「な……っ!」
「効果で《ジェニー》を自爆し、お前の手札を一枚捨てる」
召喚されたのはカッターのような刃物を持った少女の人形。その人形は場に出るなり夕陽の手札に向かって突っ込み、うち一枚に手中のカッターを突き刺して自爆した。
「っ、《バベルギヌス》……!」
「お前の手札が捨てられたことで、《エンドレス・パペット》の効果発動。一枚ドローだ」
《エンドレス・パペット》の糸が黒村のデッキからカードを吊り、それが手札に加わる。さらに、
「《青銅の鎧》を召喚、マナを溜め《特攻人形ジェニー》を召喚。自爆して手札を破壊だ。そして一枚ドロー」
「くっそ、今度は《バルキリー・ラゴン》が……」
殴り返しを警戒してか、このターンは攻撃してこなかった黒村。妙に慎重だが、その判断は間違っていない。
「僕の、ターン……」
《エンドレス・パペット》の効果で手札がまったく切れていない黒村、対照的に夕陽の手札は既に残り二枚。手札補充の手段がそこまで多くないこのデッキで、これはきつい。
「でも、裏を返せばまだ二枚あるんだ。マナチャージして、二体目の《ボルシャック・NEX》を召喚! 次は《ダーク・ルピア》をバトルゾーンに出す! そして《ボルシャック・NEX》でW・ブレイクだ!」
《ボルシャック・NEX》の炎が黒村のシールドを二枚吹き飛ばすが、その二枚は渦巻く光となって黒村の手中に舞い戻る。
「……S・トリガー発動《プライマル・スクリーム》、山札の上四枚を墓地に送り、墓地から《盗掘人形モールス》を回収。さらにもう一枚のS・トリガー《地獄門デス・ゲート》、《コッコ・ルピア》を破壊して《幻緑の双月》を復活、手札からマナチャージ」
「っ……! ターンエンドだ……」
黒村のシールドは残り一枚。一気に押し切れるかと思ったがそうも行かず、勢いは削がれ墓地も肥やされてしまった。
そして、黒村のターン。
「墓地にクリーチャーは六体、G・ゼロで《盗掘人形モールス》をコストを支払わずに召喚だ。効果で墓地の《死神術士デスマーチ》を回収」
ぞわり、と。
夕陽の背筋に悪寒が走る。
「呪文《ボーンおどり・チャージャー》及び《プライマル・スクリーム》。山札の上二枚を墓地へ送り、そのままマナへ。さらに山札の上四枚を墓地へ送り《デスマーチ》を回収」
流れるようなプレイング、次々と墓地へ送られていくカード。
「G・ゼロ《モールス》を召喚し《デスマーチ》を回収。そして——」
黒村の墓地から黒い煙のような影が立ち込める。その影は段々と、人型を形成し、
「——墓地進化、《死神術士デスマーチ》を三体召喚」
三体の操り人形となって場に現れた。
「っ、アタッカーが……!」
わずか1ターンで黒村の場にはクリーチャーが合計八体に。しかもすぐに動けるアタッカーは六体、夕陽のシールドはわずか三枚。
「三体の《デスマーチ》で攻撃、シールドブレイク」
「く、っぅ……!」
夕陽のシールドはこれでゼロ。しかもS・トリガーは来なかった。
「善戦はしていたが、予想以上に呆気なかったな。《エンドレス・パペット》で、ダイレクトアタック」
最後にそんな言葉を投げかけ、黒村は奇術王に命ずる。《エンドレス・パペット》は傀儡の如く忠実に、その命を果たすのだった。