二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.98 )
日時: 2013/08/09 13:23
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

 零佑とミウのデュエル、先に動き出したのはミウ。しかも、先攻1ターン目からだ。
「発動、呪文《ラッキー・ダーツ》」


ラッキー・ダーツ 光文明 (1)
呪文
自分のシールドを1枚相手に選ばせ、見る。それが呪文であればコストを支払わずにすぐ唱えてもよい。唱えない場合やそのカードが呪文でない場合、元の場所に戻す。


「《ラッキー・ダーツ》? サイキック中心のデッキか……?」
 パッと予想してみるが、《ラッキー・ダーツ》は殿堂入りしているため、一枚しかデッキに入れられない。ミウがそれを順守していることが前提だが、デッキを超次元呪文ばかりにしてもその引き金となるカードが一枚しかなければ安定性を損ねてしまうため、その予想が間違っている可能性も高い。
「一枚、選んで」
「なら……左端のそれだ!」
 ともかく零佑はミウのシールドを一枚選ばなければならない。ミウの正面に展開された五枚のシールドから一枚を選択し、それが公開される。
「……呪文。発動、《デ・バウラ・チャージャー》。《ラッキー・ダーツ》を、回収。チャージャー呪文の、効果で、発動後、マナへ」
「当たっちまったか。まあ、当たったのが《デ・バウラ・チャージャー》で良かったか。俺のターン」
 後攻2ターン目、零佑のターン。こちらの動きも早かった。
「こっちも初っ端から飛ばして行くぞ! 《海底鬼面城》を要塞化、ターンエンド!」


海底鬼面城 水文明 (1)

自分のターンのはじめに、相手はカードを1枚引いてもよい。その後、自分がカードを1枚引いてもよい。さらに、バトルゾーンに自分のサイバーロードがあれば、カードを1枚引いて、自分の手札を1枚山札の一番下に置いてもよい。


「……マナを、チャージ。ターン、終了」
「なにもしないのか? ならガンガン攻める! 《鬼面城》の効果で互いにドロー、そして1マナで《マリン・フラワー》召喚、残る1マナで進化《エンペラー・ティナ》!」
 1マナの軽量サイバーをすぐさま進化させ、攻めに出る零佑。見たところ、これが彼のスタイルのようだ。
「《ティナ》でシールドブレイク!」
「……S・トリガー、発動。《スパイラル・ゲート》」
 砕け散ったシールドの破片が光の束となり、ミウの下へと戻ってくる。そして次の瞬間、《ティナ》は激しい渦に飲み込まれ、零佑の手札へと帰っていった。
「くっ、戻されたか……ターンエンド」
 序盤から積極的に攻めていくのが零佑のの戦い方なのだが、初撃からその勢いを削がれてしまう。だが最初の《ラッキー・ダーツ》もあってミウのシールドはもう三枚だ。
「《魔光王機デ・バウラ伯》召喚。効果で、《スパイラル・ゲート》を、回収。ターン、終了」
 だがミウはそれに対抗するかのように、呪文を回収しながら守りを固める。
「ブロッカーか。飛ばすつもりが、出鼻を挫かれたぜ……《マリン・フラワー》と《電磁封魔オッキオ》を召喚。《ロッキオ》の効果で山札を操作し、ターンエンド」
「私の、ターン。発動、呪文《ポジトロン・サイン》」


ポジトロン・サイン 光文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から4枚を見る。その中から「S・トリガー」付きの呪文を1枚選んでもよい。残りを好きな順序で山札の一番下に戻し、選んだ呪文があればコストを支払わずに唱える。


 《ポジトロン・サイン》の効果でミウの山札の上四枚のカードが浮遊し、彼女の目の前に浮かぶ。そして、ミウの正面に光り輝く魔方陣が浮かび上がった。
「発動、呪文《スーパーバースト・ショット》」
「なぁ!?」
 《スーパーバースト・ショット》は、火文明のS・トリガー呪文。その効果は、相手のパワー2000以下のクリーチャーをすべて破壊するというもの。
 零佑の場にはパワー2000以下のクリーチャーしかないないため、まとめて一掃される。
「さらにG・ゼロ、《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》を、二体、召喚」
「またブロッカー、しかも二体かよ……!」
 呪文を唱えるとタダで召喚できる《ブラッディ・シャドウ》を二体並べ、ミウのターンは終わる。
(クリーチャーはまとめて除去されるし、ブロッカーは増えるし、踏んだり蹴ったりだ。《鬼面城》で相手にも手札を与える効果が裏目に出たか……)
 しかもおまけ程度とはいえ、零佑はまだ《鬼面城》の手札を入れ替える効果を使えていない。それだけ、クリーチャーが展開できていないということだ。
「俺のデッキのクリーチャーは軒並みパワーが低いしな、展開力で勝負できなきゃ話になんねえ」
 クリーチャーを出しても除去される。攻撃しようにもブロッカーが阻み、パワーも足りない。酷い状況だ。
「だが、こいつでどうだ! 《ツイート》召喚!」
 《ツイート》はそのままだと3マナでパワー1000のバニラだが、マナゾーンに水か無色のカードしかなければ、パワー5000、攻撃時に一枚ドローするクリーチャーに化ける。
 零佑は、返しのターンで《ツイート》が除去されなければこれを皮切りに攻めていくつもりのようだ。
「私の、ターン。発動、呪文《ヘブンズ・ゲート》」
「なにっ、大型ブロッカーで《ツイート》を止める気か?」
 普通ならそう考えるだろう。実際《ヘブンズ・ゲート》は大型ブロッカーを並べる手段として用いることが多い。だがこの時ミウが出したのは、《ツイート》を止められるほど大きなブロッカーではない。
「《神門の精霊エールフリート》を、二体、バトルゾーンに」


神門の精霊エールフリート 光文明 (5)
クリーチャー:エンジェル・コマンド 4500
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中から呪文を1枚選んで手札に加え、残りを自分の墓地に置く。


 出て来たのは山札から呪文を手に入れるエンジェル・コマンド、《エールフリート》。そのサイズに胸を撫で下ろす零佑だが、《エールフリート》は召喚されるだけではない。効果で山札の上から三枚公開し、うち一枚を手札に加える。この場合、二体いるので六枚公開し、二枚呪文を手札に入れられる。
 そして、零佑に大きな衝撃が襲い掛かる。
「!?」
 ミウの山札の上から《インフェルノ・サイン》《クルトの気合釣り》《大きくて小さな農園》の三枚が公開された。
「全部呪文……!?」
 驚愕する零佑をよそに、ミウは《クルトの気合釣り》を手札に加え、次の三枚が表向きとなる。次に公開されたのは《ヘブンズ・ゲート》《スーパー炎獄スクラッパー》《英知と追撃の宝剣》の三枚。
「《ヘブンズ・ゲート》を、手札に」
 コストが大きいだけでなく、文明もバラバラな六枚の呪文。それだけで零佑は、ミウのデッキがどのようなものかがほぼ判明した。
「最初に《ラッキー・ダーツ》を撃った時から思っていたが、デッキのほとんどを呪文で埋め尽くしてるのか……!」
 よく見ればミウのマナも呪文が多い。恐らく、デッキの半分以上は呪文だろう。
 デュエル・マスターズの花形と言えばクリーチャー。基本はクリーチャーが攻撃してシールドをブレイクを、とどめを刺す。なので普通のデッキならクリーチャーがメインとなり、デッキの多くはクリーチャーだ。
 そのため、使い捨ての呪文が過半数を占める、ミウのデッキはかなり異質だ。
「くっ、俺のターン! 《電磁封魔ルチアーノ》を召喚して進化! 《エンペラー・マリベル》! さらにG・ゼロで《パラダイス・アロマ》も召喚!」
 呪文が多く搭載されたデッキとはいえ、クリーチャーがいないわけではない。実際、零佑の行く手を阻む五体のブロッカーがいる。
「《ツイート》と《マリベル》で攻撃! 《ツイート》のアタックトリガーでカードをドロー! 《マリベル》のメテオバーンで《エールフリート》をバウンス! さらに墓地に置かれた《ルチアーノ》の効果でドローだ!」
「《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》で、《ツイート》を、《神門の精霊エールフリート》で、《エンペラー・マリベル》を、ブロック」
 破壊される《ブラッディ・シャドウ》と《マリベル》。《マリベル》を失ったのは小さくない損害だが、ブロッカーを減らさなければ攻撃は通らない。ミウは《鬼面城》でかなりの枚数のカードを引いており、また《エールフリート》の効果を発動すると山札切れになる恐れもある。
 そして迎えた、ミウのターン。
「……発動。呪文《ホーガン・ブラスター》」


ホーガン・ブラスター 水文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札をシャッフルし、上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せる。そのカードがクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。呪文であれば、コストを支払わずに唱えてもよい。


「っ、今度はなにが出るんだ……?」
 完全に運任せな《ホーガン・ブラスター》だが、零佑にはどうしても嫌な予感しかしない。そして不幸にも、その予感は的中してしまう。
 ミウのデッキがシャッフルされ、一番上のカードが捲られる。
 次の瞬間、激流と共に蒼き龍が飛び出す——

「——召喚《蒼の潮流スーパー・スペル・グレートブルー》」