二次創作小説(紙ほか)
- Re: originalダンガンロンパ ( No.31 )
- 日時: 2013/07/08 08:59
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
「どう……探す?」
「そうだなー……おれ的には、みんなで手分けして探そうって考えてるんだけど、なんか他にいい案ある?」
頭を掻き、一度花月は皆の方をぐるりと見回す。
特に意見が出る気配がないので、とりあえずおれの意見を述べた。
「それでかまわないと思うが、人数は考えた方がいい。
せめて、3人以上で別れよう」
いくらこの寮が広いとはいえ、一カ所に十人も固まって捜すのは効率が悪い。
とは言え、ここが危険な場所だということを念頭におけば、ある程度の人数で分散させた方がいいだろう。
「そうだな。ここが危険な場所だということに変わりない。わたしも速水の意見に賛成だ」
「僕も賛成だ」
「わたしもーっ!」
「………賛成……です」
「おいも……賛成、だ」
「特にこの面子で苦手なやつがいるって訳でもないしな。
おれも賛成で」
「よし、決定っ」
賛成の声が過半数から出たところで、花月は締めとして、手をパンパンと鳴らす。
それから、彼は早速、提案を出した。
「それじゃ、三人か四人で別れようぜ
せっかくだから、まだあまり一緒にいたことのないやつと組むってのはどう?」
「そうね。じゃ、早速グループ分けをしましょうか」
アヤメの発言を合図に、周囲のメンバーを確認する。
確か、この中でおれがあまり会話を交わしていないのは大山、花月、篠田、石蕗、雅の五人だ。
さて、だれと組むか……。
おれが、そう思った矢先だった。
「せっちゃ〜んっ!!いこいこっ!」
「っ!?」
唐突に雅に腕をぐいぐい引っ張られ、危うくバランスを崩しそうになる。
それを踏みとどまってから、おれは思わず息をついた。
……どうやら、自動的に一人は決まったようだ。
「あとは、ツッチーねっ!」
「え、あ、あのっ?」
……どうも、二人目も自動的に決まりそうだ。
雅に右腕を掴まれたまま、おれは彼女に捕まった二人目、石蕗を見やる。
彼は雅の強引な勧誘に戸惑ってはいるものの、特に嫌がる様子はない。
「あら、両手に花ね」
「両手に花? 両手に男の子じゃなくて?」
「というか、それ使い方間違ってないか?
両手に花は男が女を二人って意味だろ?」
「両手に花の逆バージョンってとこだろ」
笹川が花月に説明してやり、他のグループを一度見渡す。
「ところで、おれもそっちに加わってもいいか?
おれは澪と、不本意ながらとーまとは散々話したんでな」
「笹川辰美、それはどういう意味だっ!!」
「言葉通りだよ。おかげで、刹那とはあんま話してないからな」
そういえば、おれとしても笹川と話をした記憶は薄い。
彼女とは行動はともにしているが、その大半、安積と米倉と話していた気がする。
誤解のないように付け加えると、彼女が悪いわけではない。
おれが口下手のせいだ。
「ってなわけで、いいか?」
「もっちろんっ!
人数は多い方が楽しいもんっ、タッツー、きてきて!」
「ありがとさん」
雅、おれ、石蕗、笹川……ずいぶん個性的なグループになったな。
改めてメンバーを確認し、他のメンバーたちに目を遣る。
どうやら、おれたち以外にも既にグループはできているようだ。
「えへへ、菊ちゃん、力也くん、眞弓ちゃん、よろしくね」
「は、はい……よろしく…です」
「こちらこそ、よろしくな」
「ああ…」
一つのグループは篠田、大山、東雲、米倉の穏やかなグループだ。
おどおどしていた東雲に、米倉が誘い、二人を守るようにして、大山と篠田が加わって今の状態になったらしい。
「では、花月京、アヤメ・ローゼン、よろしくたのむ」
「ええ。よろしく、ボクサーさん。歌舞伎役者さんもよろしくね」
「ああ。よろしくなっ!」
二つ目のグループは安積、アヤメ、花月の活動的なグループだ。
アヤメが二人を取り持ったのがきっかけで、このメンバーになったようだが……
先ほどのこともあって、どうにも不安だ。
二人とも、アヤメの標的にならなければいいが。
「それじゃ、わたしたちは小ホールに行くよっ!」
「では、僕たちが食堂に行こう」
「それなら、わたしたちは二階だな。東雲は被るが、いいか?」
「はい……かまいません……」
「じゃあ、早速探すぞっ。
あ、言い忘れてたけど、菊の鞠は赤いやつで、大体バレーボールくらいの大きさなんだ。
花とかきれいな模様が入ってるから、一目みて分かると思う」
「分かりました。見つけたらどうしますか?」
「見つかり次第、食堂に集合しよう。そのときは、見つけたメンバーが他のメンバーを呼びに行く。
これでどうだ?」
「オッケー。 じゃ、またあとでなっ!!」
「うん。刹那くん、辰美ちゃん、またねっ」
「ああ。何かおかしなことでもあったら、すぐ呼んでくれ」
「了解した。雅、変なやつに付いていくんじゃないぞ」
「ええ!? まゆゆん、わたしを子ども扱いしてない!?」
「まぁ、歌音なら実際ホイホイされそうだから、仕方ないだろ。
さ、早くしないと置いていっちまうぞ」
「あぁ〜っ、待ってよおぉ〜っ」
食堂を担当する花月たちのグループ、二階を担当する篠田のグループと離れ、
おれたちのグループは小ホールへと向かう。
確か…あそこは最初にアヤメ、北条、間宮が調べたところだったな。
三人の報告を信用していないわけではないが、やはり一度は自分で確認する必要がある。
もしかしたら、ドットのプレートのように、何か新しい発見があるかもしれない。
「よーしっ! 菊っぴの鞠探し大作戦開始〜っ!」
「こらこら。一人で突っ走ったら危ないだろっ!?
ったく、しゃーねーなーっ」
「雅さん、元気ですね」
「…そうだな」
廊下を一人で先走る雅を、笹川が追う。
そんな二人を遠目に眺めながら、おれと石蕗は彼女らに続いて、小ホールへ歩んでいった。
- Re: originalダンガンロンパ ( No.32 )
- 日時: 2013/07/11 09:45
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
「どう……探す?」
「そうだなー……おれ的には、みんなで手分けして探そうって考えてるんだけど、
なんか他にいい案ある?」
頭を掻き、一度花月は皆の方をぐるりと見回す。
特に意見が出る気配がないので、とりあえずおれの意見を述べた。
「それでかまわないと思うが、人数は考えた方がいい。せめて、3人以上で別れよう」
いくらこの寮が広いとはいえ、一カ所に十人も固まって捜すのは効率が悪い。
とは言え、ここが危険な場所だということを念頭におけば、ある程度の人数で分散させた方がいいだろう。
「そうだな。ここが危険な場所だということに変わりない。
わたしも速水の意見に賛成だ」
「僕も賛成だ」
「わたしもーっ!」
「………賛成……です」
「おいも……賛成、だ」
「特にこの面子で苦手なやつがいるって訳でもないしな。おれも賛成で」
「よし、決定っ」
賛成の声が過半数から出たところで、花月は締めとして、手をパンパンと鳴らす。
それから、彼は早速、提案を出した。
「それじゃ、三人か四人で別れようぜ
せっかくだから、まだあまり一緒にいたことのないやつと組むってのはどう?」
「そうね。じゃ、早速グループ分けをしましょうか」
アヤメの発言を合図に、周囲のメンバーを確認する。
確か、この中でおれがあまり会話を交わしていないのは大山、花月、篠田、石蕗、雅の五人だ。
さて、だれと組むか……。
おれが、そう思った矢先だった。
「せっちゃ〜んっ!!いこいこっ!」
「っ!?」
唐突に雅に腕をぐいぐい引っ張られ、危うくバランスを崩しそうになる。
それを踏みとどまってから、おれは思わず息をついた。
……どうやら、自動的に一人は決まったようだ。
「あとは、ツッチーねっ!」
「え、あ、あのっ?」
……どうも、二人目も自動的に決まりそうだ。
雅に右腕を掴まれたまま、おれは彼女に捕まった二人目、石蕗を見やる。
彼は雅の強引な勧誘に戸惑ってはいるものの、特に嫌がる様子はない。
「あら、両手に花ね」
「両手に花? 両手に男の子じゃなくて?」
「というか、それ使い方間違ってないか?
両手に花は男が女を二人って意味だろ?」
「両手に花の逆バージョンってとこだろ」
笹川が花月に説明してやり、他のグループを一度見渡す。
「ところで、おれもそっちに加わってもいいか?
おれは澪と、不本意ながらとーまとは散々話したんでな」
「笹川辰美、それはどういう意味だっ!!」
「言葉通りだよ。おかげで、刹那とはあんま話してないからな」
そういえば、おれとしても笹川と話をした記憶は薄い。
彼女とは行動はともにしているが、その大半、安積と米倉と話していた気がする。
誤解のないように付け加えると、彼女が悪いわけではない。
おれが口下手のせいだ。
「ってなわけで、いいか?」
「もっちろんっ! 人数は多い方が楽しいもんっ、タッツー、きてきて!」
「ありがとさん」
雅、おれ、石蕗、笹川……ずいぶん個性的なグループになったな。
改めてメンバーを確認し、他のメンバーたちに目を遣る。
どうやら、おれたち以外にも既にグループはできているようだ。
「えへへ、菊ちゃん、力也くん、眞弓ちゃん、よろしくね」
「は、はい……よろしく…です」
「こちらこそ、よろしくな」
「ああ…」
一つのグループは篠田、大山、東雲、米倉の穏やかなグループだ。
おどおどしていた東雲に、米倉が誘い、二人を守るようにして、大山と篠田が加わって今の状態になったらしい。
「では、花月京、アヤメ・ローゼン、よろしくたのむ」
「ええ。よろしく、ボクサーさん。歌舞伎役者さんもよろしくね」
「ああ。よろしくなっ!」
二つ目のグループは安積、アヤメ、花月の活動的なグループだ。
アヤメが二人を取り持ったのがきっかけで、このメンバーになったようだが……先ほどのこともあって、どうにも不安だ。
二人とも、アヤメの標的にならなければいいが。
「それじゃ、わたしたちは小ホールに行くよっ!」
「では、僕たちが食堂に行こう」
「それなら、わたしたちは二階だな。東雲は被るが、いいか?」
「はい……かまいません……」
「じゃあ、早速探すぞっ。
あ、言い忘れてたけど、菊の鞠は赤いやつで、大体バレーボールくらいの大きさなんだ。花とかきれいな模様が入ってるから、一目みて分かると思う」
「分かりました。見つけたらどうしますか?」
「見つかり次第、食堂に集合しよう。そのときは、見つけたメンバーが他のメンバーを呼びに行く。これでどうだ?」
「オッケー。 じゃ、またあとでなっ!!」
「うん。刹那くん、辰美ちゃん、またねっ」
「ああ。何かおかしなことでもあったら、すぐ呼んでくれ」
「了解した。雅、変なやつに付いていくんじゃないぞ」
「ええ!? まゆゆん、わたしを子ども扱いしてない!?」
「まぁ、歌音なら実際ホイホイされそうだから、仕方ないだろ。
さ、早くしないと置いていっちまうぞ」
「あぁ〜っ、待ってよおぉ〜っ」
食堂を担当する花月たちのグループ、二階を担当する篠田のグループと離れ、おれたちのグループは小ホールへと向かう。
確か…あそこは最初にアヤメ、北条、間宮が調べたところだったな。
三人の報告を信用していないわけではないが、やはり一度は自分で確認する必要がある。
もしかしたら、ドットのプレートのように、何か新しい発見があるかもしれない。
「よーしっ! 菊っぴの鞠探し大作戦開始〜っ!」
「こらこら。一人で突っ走ったら危ないだろっ!?
ったく、しゃーねーなーっ」
「雅さん、元気ですね」
「…そうだな」
廊下を一人で先走る雅を、笹川が追う。
そんな二人を遠目に眺めながら、おれと石蕗は彼女らに続いて、小ホールへ歩んでいった。
- Re: originalダンガンロンパ ( No.33 )
- 日時: 2013/07/11 09:47
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
小ホールに来たおれたちは、ひとまず各自、思い当たる場所を探すこととなった。
おれが今いる場所は、舞台の左側の袖…いわゆる下手、と呼ばれる場所だ。
(これは音響や照明を調節するものか……)
スペースを半分は占める黒い箱のような機械を眺め、おれは一人頷く。
スイッチに書かれた文字を見る限り、これで幕の開閉も行えるようだ。
他にも、このスペースには機械以外に、いくつかのパイプイスも壁に立てかけられている。
(……16脚?)
おれたち四人がここに来たときは、
とうに入寮式で並べられていたパイプイスと、下に敷かれた赤い絨毯はなくなっていた。
だとすると、ここのものが入寮式でおれたちが座ったものだろう。
しかし、考えてみるとあのときはみな座っていたが、パイプイスが余ったことはない。
つまり、パイプイスは15人分だけが出されていたということになる。
16。なぜか、引っかかる数字だ。
前にどこかで聞いた覚えがあるが………。
「刹那」
今までの出来事を振り返っている最中に話しかけられ、おれはそちらに顔だけを向ける。
「…笹川か。どうした?」
「いや、なんか思いつめた顔してるからさ。なんかあった?」
「ああ…少し、気になることがある」
「なに? おれでよかったら相談に乗るぜ。恋愛対象の攻略法とか?」
「攻略法?」
「いかにして意中の相手を手っ取り早く落とすか、とか」
「……すまない。意味がよく分からない」
「まぁ、要するに恋愛相談ってことさ」
恋愛相談……?
どう考えても、おれには何も関係のないことだと思うが……。
「刹那って、絶対モテると思うんだよな〜。
無口、無愛想、知的、冷静、紳士かつイケメンだろ。乙女ゲーでも滅多にない上物だぜ?」
「はぁ…」
そう言って笹川は腕を組み、鑑定でもするかのようにおれを見つめてくる。
おそらく、彼女からすればほめ言葉、なのだろう。
とりあえず、素直に受け取ることにした。
「よく分からないが……ありがとう」
「どーいたしまして。って、いやいや、嫌なら嫌って言えよ?
おれ、ほっとくと暴走しがちになるから」
「暴走?」
「なんかさー、自分の好きなものに関してテンション上がるってやつ。
あー…でも、刹那だったら、そんなのないよな」
「そうだな。…特に、思い当たることはない」
「やっぱそうか。でさ、話は戻るけど、気になることってなんだ?」
「ああ。笹川、16という数字になにか覚えはないか?」
「16? 16ねぇ…。あ、部屋の数とか?」
「っ。ああ、それだ」
”だれがどこか分かんねーけど、確か全部で16部屋あるんだっ。”
最初の報告会でそう花月と笹川が言ったはずだ。
「どうした急に?」
「いや…。あと一人、新入生がいるのでは、と思ってな……」
「まぁ、部屋も余ってるけど。でも、15人で確定じゃないか?」
「なぜ、そう思うんだ?」
「だって、電子生徒手帳には15人しかいないだろ?
なんか思い当たるふしでもあんの?」
「いや、少し…気になるんだ」
「気になる?」
電子生徒手帳には15人の生徒の情報。
それに、寮に収容できる人数が16人だから、パイプイスも16脚あって然るべきことだと思うかもしれない。
だが、おれにはそうは思えない。
なぜなら、79期生は全員で”16名”いるはずだからだ。
この怪奇的な状況下で忘れていたが、
おれがこの学園に来た目的の二つ目……”超高校級の怪盗”、パンドラの逮捕の件だ。
素性のまったく知られていない人物ではあるが、その人物も本来であれば、”超高校級の怪盗”として希望ヶ峰学園に入学することになっている。
だとすれば、16人がここにいても何もおかしくはない。
「なぁ、刹那。なにがそんなに気になってるわけ?」
「…いや、なんでもない。気にしないでくれ」
「いや、なんでもなくはないだろ。絶対なんか考えてたんだろ?
秘密にするから、教えてくれよ」
「…っ」
触れるか触れないか、と言ったところか。
笹川はおれの目前にまで迫り、にやりと口の端を上げる。
どうも、彼女は安積のように素直に引き下がることはないらしい。
好奇心に掻き立てられた子どもみたいに、目を輝かせている。
「…それはできない。余計なことは、言いたくない」
「そう言うなよ。別に言ったって減るもんじゃ」
「ああああ〜っ!! 浮気だ、浮気いぃ—————っ!!!」
まだ身を引かない笹川に、どうするべきか思慮したところに、雷鳴みたいな雅の叫び声が割って入る。
それは、途中であった笹川の声がかき消されるどころか、
背後から頭を鈍物で殴られたのではないかと錯覚する程の大声だったため、おれも雅の言っている内容をはっきりと理解したのは、彼女の足音が遠ざかってからだった。
「ツッチーきてきて〜っ! せっちゃんとタッツーが浮気してるーっ!!」
「いー…っ! な、なに言ってるんだよっ! おい、歌音、待てってのっ!!」
忙しい足音を残して消えていく笹川を見送り、おれはその場で肩を落とす。
雅のおかげで、笹川からは免れたが、なにやらおかしなことになったのは否めない。
「…浮気、か」
そう言うということは、アヤメが言ったように、
雅もおれが米倉と付き合っているように思っているのかもしれない。
だとしたら、これ以上事がややこしくなる前に、誤解を解いた方がいいだろう。
彼女に分かってもらえるのか、自信はないが……。
おれはひとまず、パンドラのことを隅に置き、どう説明するか思索を練る。
それから、まだ聞こえてくる轟くような悲鳴と笹川の怒鳴り声を頼りに、おれは雅の元へ向かっていった。