二次創作小説(紙ほか)
- Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.63 )
- 日時: 2013/08/09 19:41
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
- プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html
「ふふふ…他の子達から聴き終わったようね」
石蕗の事情徴収を終えた直後、不意に背後から話しかけられ、おれは思わず身構えてから振り返った。
「……あんたか」
「あら、いけなかったかしら?」
紅い髪をかきあげ、彼女、アヤメは首を傾げると、クスクス笑ってみせる。
気配をまるで感じなかったのはさすが俳優といいたいところだが、切羽詰っている現状ではかなり心臓に悪い。
ヘタをすれば、肘打ちを食らわせるところだった。
「急に背後から話しかけないでくれ……。条件反射で手を出しかねない」
「あら、怖いわね。警察の人ってみんなそうなの?」
「………」
「ああ、悪い冗談だったわね。ごめんなさい」
「……本当に、勘弁してくれ」
おれは肩を落とし、ため息をつく。
どうにも、昨日のモノクマの一件をまだ引きずっているようだ。
情けないかもしれないが、どうしても警察を馬鹿にされる言葉を聞くと、どうにも…腹がたつ。
だが、いつまでも引きずっている訳にもいかないので、おれは本題に入ることにした。
「話を変えよう。捜査はどうだ?」
「残念ながら収穫なしよ」
「そうか……。ならば、それとは別に聞きたいことがあるんだが」
「あら、アリバイかしら」
「ああ。今朝から事件が起こるまで、何をしていたんだ?」
「そうね。速水と安積に呼ばれるまではシャワーを浴びてゆっくりしてたわ。
その後は間宮を連れて食堂まで来たのよ」
「それから、どうしたんだ?」
「そうね。もうみんなが準備をしてくれてるようだったから、花月や雅と一緒に話していたわ。
ホストさんとお嬢さんも後から来たわね」
「なるほど……。アヤメが食堂に来たとき、だれがいた?」
「石蕗と大山、笹川と米倉の四人ね。次に雅と篠田、その次が花月と東雲が来たわ。
その次は北条とホストさんだったかしら。お医者さんを除いたら、最後があなたたちだったわね」
「そうか。情報をありがとう」
「いえいえ。演技では捜査のシーンもやったことがあるけど、実際どうすればいいか分からないものね。
速水についていった方が早いかしら?」
「ついて…くる?」
「冗談よ。いずれ演じる時の参考にできるかと思って」
「……はぁ」
彼女の言葉は、どうにも本音か冗談か分かりにくい。
最も、今の言葉が本音だったとしても、断るつもりだったが……。
「では、おれはこれで」
「うふふ、分かったわ。またね、警察官さん」
これで食堂にいるメンバーからはアリバイを聞き終えた。
後は……気になる場所と、まだ話を聞いていないメンバーを探すことにしよう。
こうして、おれは食堂を後にした。
—階段前
食堂から出たおれは、ふと二階に続く階段に人影を見た。
モノクマを操る奴らかと思い慎重に近づいてみると、その人影は御剣だった。
「おおう…兄さんか……。随分怖い顔しているから、てっきり犯人かと」
「すまない……」
「全く、頼むよ。これ以上オレの寿命を縮めないでくれ」
カウボーイハットを下げ、安堵した様子で胸をなで下ろす。
花月の死が堪えているのか、照明のせいもあるのか、随分と顔色が悪く見えた。
「御剣、東雲は?」
「おう、速水。菊ちゃんは無事だぜ。今は眞弓ちゃんの部屋で横になってる」
「篠田の部屋か…目を覚ましたのか?」
「ああ。けどよ、花月が死んだせいか、生気のない目をしてるぜ。かわいそうなくらいな」
御剣はそこまで言うと、がっくりと肩を落とした。
「こういうときこそ、おれのトークで盛り上げてみるのに、眞弓ちゃんときたらオレを追い出してね。
で、歌音ちゃんはどっか行っちゃうし、オレ一人ここで待ちぼうけしてるんだよね」
「…そうか」
「兄さん、あんまり同情してないだろ」
「女性のことを気にしてる場合じゃないからな」
「そりゃそうだけどよぉっ。ちぇっ、やっぱあんたとは馬が合わないぜ」
……おれもな。
心の中で同じことを御剣に返すと、手短にアリバイを尋ねることにした。
「御剣、今朝から事件直前までの間で…」
「どうせアリバイだろ。オレは今朝昨日の手紙についてずーーっと悩んでたんだっ。
部屋から一歩も出ずにな。そんでお前さんたちに呼ばれて、嫌々来たって訳よ。
それからすぐにあれだよ……。本当、ついてないぜっ!!」
あーっと声を荒げ、御剣は地面を一度蹴る。
相当、機嫌が悪いのか、喚き散らす暴れ馬のようだ。
おれがそう思っていると、御剣は日頃たまった鬱憤を吐き出さんばかりに話しだした。
「けどな、オレは絶対、不動のやつが怪しいと思うんだっ」
「不動が? なぜそう思うんだ?」
「オレは見たんだ。昨日の晩、不動が一人で食堂に入っていくのを」
「それは…いつぐらいだ?」
「さあ…時計がなかったからな。部屋で小腹が空いたと思って時計を見たら八時半だったから、そこらへんじゃないか?」
「それで…不動を追いかけたのか?」
「冗談じゃないっ! あんなやつを追いかけて何がいいことあるんだよっ。オレが追いかけるのはレディだけだっ!」
「では、不動が中で何をしていたかまでは見ていないんだな」
「ああ。だが、あれは絶対毒に決まっている。あいつが入れたに違いないんだっ。だってどう考えても怪しすぎるだろっ!!」
どうも、御剣は完全に不動を犯人扱いしているようだ。
犯行時刻には不可能な時間帯だが、無実を晴らす意味でも不動にそのことを聞いたほうがいいかもしれない。
「分かった。考えておく」
「けっ。そうしてくれよ。絶対あの生意気な野郎の尻尾を掴んでやるっ」
御剣は事件の犯人というより、個人的な恨みで動いているようだ。
個人の先入観で決めつけては、正確な判断は望めないだろう。
- Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.64 )
- 日時: 2013/08/09 19:53
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
- プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html
御剣と別れ、彼の横を通って階段を上りきる。
確か、篠田の部屋はおれから二部屋離れたところ…御剣とアヤメの間にある。
そのため、階段を上ったおれが左に曲がろうとした、そのときだった。
「せっちゃ〜んっ!!」
「…雅?」
正面に見える三階に繋がる階段。その奥にある女子トイレから雅が飛び出してきた。
そのまま雅はおれのところまで駆け込み、
「あのね、わたしの毒入りの瓶知らない!?」
衝撃的な質問をぶつけてきた。
「毒入りの瓶?」
「うんっ。まーくんの言ってた毒の瓶なくしちゃったのっ!! どーしよどーしよっ!!」
「待て。落ち着いて話してくれ。どうしてそうなったんだ?」
「実はあれのこと毒の瓶だと思ってなくて、液体捨ててアクセサリーでもいれちゃおっかな〜、って思ってたの!」
「……それで、どうしてなくしたんだ?」
「昨日の夕方ぐらいにどこかに落としちゃったぁ……」
「………」
「あ〜っ! せっちゃん、今どうして落としたんだって絶対思っているでしょ〜っ!!」
「……そうだな。どこで落としたんだ?」
「ん〜、確か、トイレに行った後になくしたから、あそこに落っことしてきたと思うんだけど」
「なぜ二階のトイレに? 自室にもあるだろう?」
「それがうっかりでさ〜。部屋にいたんだけど、自分の部屋にトイレがあるってこと忘れてたんだよね〜……。
ほら、慌ててるとうっかり忘れちゃうってこと、あるでしょ?」
「まあ……そうかもしれないな」
慌てるくらいなら、まず自室の方に駆け込むと思うのだが……
かといって、雅が嘘をついているとは到底思えない。
ただ落とし物の件といい、前回の体育館での件といい、雅がせっかちなのは間違いないようだ。
今回は…それが裏目に出てしまったが。
「ところで、どうして毒が瓶だと知っていたんだ?」
「え? ああ、昨日の夜まーくんと会ったんだ。そしたら、教えてくれたの。
”飲料と間違えて飲むんじゃないぞ”って」
「夜? 何時くらいか分かるか?」
「九時かなぁ〜? ご飯適当に作って食べたんだけど、なんかお腹空いちゃって。
食堂にはお菓子もあるし、十時になると閉まっちゃうから行ったんだ」
九時とすれば……御剣が不動を見かけてすぐだな。
「一人で行ったのか?」
「うん。まゆゆん、随分落ち込んでたから、誘うに誘えなくって。で、まーくんがいたの。
まーくん優しかったよ〜。ご飯食べ終わるまで待っててくれたし、部屋まで送ってくれたんだ」
「不動が?」
「うんっ」
「部屋に戻ったのは何時なんだ?」
「十時だよ。モノクマアナウンスが鳴って帰ったから」
「その間、不動は何をしていた?」
「牛乳を飲んでたよ。なんかスプレーをかけたお鍋で牛乳をあっためて飲んでた。
あれじゃ、絶対お腹減ると思うんだけど……」
「食事は摂らなかったのか……」
「うん。牛乳だけ。せっかくツッチーのおいしいご飯があるのに、もったいないからわたしが食べちゃった!
おいしかった〜っ!」
昨日の石蕗の料理が美味しいかったのだろう。
雅はどことなく、うっとりとした様子だ。
しかし、不動が雅を送ったというのは、普段の様子からして想像できない。
雅が送ったと思っているだけなのか……?
「…ところで、今朝から事件が起こるまでは何をしていた?」
「はっ。ええ〜と……今朝は発声練習をして、お昼からまゆゆんと一緒に食堂にきたよっ。
久しぶりにツッチーの御飯食べたいと思ってたんだけど……」
雅がはあぁ〜と盛大にため息を漏らす。
当然だが、花月の事件があったため、おれたちも含め朝から何も食べていない。
おれの場合、仕事上、飲食ができないことも多いので、特に問題はない。
しかし、雅にはそれが耐えられないようだ。
現に、彼女の腹の虫がおれにまで聞こえるくらい鳴っている。
「うう〜お腹減ったぁ〜。なにか食べに行こうかな〜……。まゆゆんと菊っぴにも何か持っていこ。
それじゃあ、せっちゃん。またね〜っ!」
「雅、待て。一人じゃ………行ってしまったか」
おれの言うことも聞かず、雅は一目散に階段を下りていく。
御剣が近くにいるから大丈夫だろうが……それはそれで心配だ。
対象は主に御剣の方だが。
(篠田の苦労が、わかる気がする)
そう苦笑した後、残ったおれは女子トイレに入って探してみた(本来は入るべきでないことは理解しているが……捜査のために止むなく入った)が、特にそれらしいものは見つからなかった。
雅が知らないとなれば……だれかが持っていったのか?
凶器になりえる毒だ……。ありえない話ではないだろう。
余談になるが、男子トイレと同様に女子トイレにも監視カメラがあった。
もしかしたらモノクマなら…その毒を持っていった人物を知っているかもしれない。
事件に関係している可能性があるため、恐らく教えはしないだろうが、
聞くだけ聞いてみた方がいいだろう。
- Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.65 )
- 日時: 2013/08/09 19:56
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
- プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html
「速水速水〜っ!」
「なん…っ!?」
再び名前を呼ばれ、おれは声の聞こえてきたランドリーの方へ顔を向ける。
と同時に、おれは目を疑った。
目の前に頭からつま先までずぶぬれになっている間宮式が、何かを振りかざしながらこちらに来ている。
「見つけたっ。見つけたよ〜っ」
「分かった分かった。…落ち着いてくれ」
今にも目を輝かせておれに飛びつきそうな間宮をなだめ、なんとかやめさせる。
水を大量に浴びたのか、間宮のくせっ毛はしんなりとまっすぐに伸びていた。
傍から見ると、まるで米倉と変わらない、幼い少女のように見える。
声を聞かなければ、おれも間宮だと判断できなかっただろう。
彼は水分を含んだ白衣を重そうに持ち上げながら、ある物を見せてきた。
それは間宮が先ほど食堂で無いと言っていた物だった。
「これこれ、雑巾!」
「雑巾…?どこで見つけたんだ?」
「ランドリーで見つけたんだ〜。他にも一枚だけ布巾が洗濯されてたけど、それと一緒になってたんだね〜」
「……なるほど」
恐らく、間宮は雑巾を見つけた際、興奮のあまり洗濯機を回している途中にも関わらず、無理やりこじ開けたのだろう。
それで大量の水を浴びてずぶ濡れになった。
そう考えると、今の間宮の状態にも納得がいく。
決して、褒められることじゃないが……間宮なりに一生懸命がんばったのだろう。
褒めて褒めて、と言わんばかりに目を輝かせていた。
「ありがとう間宮、えらいな。とりあえず、着替えたほうがいいぞ……。
風邪をひくし、もうすぐ学級裁判が始まる」
「え〜。それじゃあ、石蕗に渡してからでいい〜?」
「ダメだ。食堂が濡れるだろう?」
「う〜そっか。分かった〜」
ずぶ濡れになった間宮の頭を撫でると、渋々と承諾する。
そうして、おれはずぶ濡れになった間宮を部屋に送った後、間宮が開けたというランドリーの方へ確認しにいった。
—篠田眞弓 部屋の前
ランドリーで間宮の言っていたことが正しいことを確認した後、おれは篠田の部屋を訪れていた。
「速水か……調査はどうだ?」
「だいぶな……篠田は?」
「すまない。東雲をさすがに一人にするのは」
「いや……それはわかっている」
「え?」
「気分は落ち着いたか?」
「あ…ああ。それは大丈夫だ。すまないな。今すぐ出るよ」
インターホン越しに話していた篠田に扉を開けてもらう。
部屋から出てきた彼女は花月の一件のせいか、あまり顔色は優れない。
アリバイを聞くにしろ、簡単にすませた方が良さそうだ。
「東雲の調子はどうだ?」
「それが、また気を失ってな。おかしなことを言って」
「おかしくなった…?」
「ああ……。一度、妾(わらわ)とか何かを言っていて……すぐに気を失ったんだが」
「”妾”?」
確か昔の武士の女性がよく使っていたという、わたしを意味する一人称だ。
普段の東雲の儚い印象からすると、雰囲気が随分異なる気がする。
篠田が戸惑うのも仕方ないだろう。
「そんなことがあったのか…。調子が悪いところで申し訳ないが、アリバイだけ聞いてもいいか?」
「ああ、かまわないぞ」
「では聞くが、今朝から事件前まで、何をしていた?」
「わたしは今朝、昨日の手紙のことで悩んでいたんだ……。
それでお前たちから話を聞いて、わたしも行かねばと……。結局、雅が誘ってくれるまでずっと部屋にいたんだがな。
それからは雅と一緒に食堂で他のやつと談笑していたら、花月が…目の前で………」
篠田はそこで拳を握りしめ、わなわなと震え始める。
それが怒りからくるものなのか、それとも悲しみからくるものなのか分からなかったが……彼女が何かしら後悔していることは伝わってきた。
「なあ…速水、聞かせてくれ。
速水はどんな手紙が来たんだ? やはりここから出たいと思わせるようなひどい内容だったのか?」
「……ああ」
彼女の容体の件もあるので、おれはできる限り簡潔に話す。
長年の相棒であった先輩から、助けてくれと言われたこと。
血痕から、おそらく先輩は既に死んでいること。
篠田は最初真剣に話を聞いていたが、やがて肩を落として呟いた。
「そうか……。そんなことが……。わたしだけじゃ、なかったんだな……」
彼女はそういい、しばらくの間無言になる。
おれに対する同情の視線もあったが、どこか安心したというのが伺えた。
こうやって話し合えたら殺人は起きなかったかもしれない。
いや、そもそもモノクマが動機というものを提示しなければ……。
おれがもっと冷静に行動できたら……こんなことにならなかったかもしれない。
心の底で自分の行動の遅さを悔いたそのときだった。
ピーンポーンパーンポーン……
「えー…ボクもいい加減、待ちくたびれたのでそろそろ始めちゃいましょうっ
みんなお待ちかね、学級裁判のお時間デースッ!! ではではオマエラ、一階に続く階段から、地下に続く階段を見つけて降りてください。
うぷぷぷ…それじゃ、またあとでね〜っ」
おれたちの間に割り込むように、モノクマのアナウンスがあたりに鳴り響く。
篠田と話している間に大分時間が経過していたのだろう。
篠田ははっとして頭を深く下げた。
「す、すまない速水っ。わたしのせいで」
「いや、もうほとんど調べた後だ。篠田は気にしなくていい」
「それでも……」
「東雲を看ていてもらったんだ。だれも責めないだろう」
「……あ、ありがとうっ」
学級裁判が始まるのは諦めるしかないとして…問題は東雲だ。
まさか、無理やり叩き起す訳にはいかない。
だが……モノクマのことだ。学級裁判には強制的に全員参加させるつもりだろう。
参加しなければ、罰を下すことも予想できる。
だとすれば……起こしたほうがいい。モノクマが来る前に。
「篠田、東雲を起こしてくれ。嫌な予感がする」
「分かった」
「その心配はア〜リマセンッ!!」
「わぁっ!?」
篠田が振り向いた先、篠田の部屋の中に、奇妙なイントネーションを発してモノクマが飛び出してくる。
部屋の中でも出てくるのか…あいつは。
「う〜ん。本当なら東雲さんを今すぐ叩き起こしたいんだけどねぇ。
でもボクは優しいクマ。みんなが来た後からボクが運んであげましょう。ささ、君たちは早く行くのです」
「あんたに手を患わせる必要もない。おれたちで東雲を起こす」
「だーめっ。せっかくの好意を無下にしないのっ。エクストリーム爆撃でも受けたいの?」
「………」
言い方も気に食わない……挙句にあんたが東雲を連れてくるというのか。
おれは言葉を押し殺して、モノクマの様子を伺う。
機嫌がいいのか、現在は殺気を感じないが、これ以上の反抗は許さないというオーラが漂っている。
「分かった……行こう、篠田」
「速水っ」
「……おれたちが、ここで死ぬわけにはいかない」
「っ……。そう、だな」
「うぷぷぷぷぷ、そう心配しなさんなって」
「もし東雲に何かあったら、ただじゃ済まないぞ…?」
「うわぉ、怖い怖い。ボクの可愛い生徒にそんなひどいことするわけないじゃない。
さ、いったいった」
モノクマが東雲の前でくるくると踊り始める。
かえって不安を煽るが……行くしかない。
一階から地下に続く階段……やつはそう言ったな。
「一階か……。速水、すぐに向かうぞ」
「ああ」
悔しそうに目を背け、篠田が一足先に階段の方へ向かう。
……行くしかない、か。
東雲のことが気がかりではあるが、おれも覚悟を決め、モノクマの言う地下へ向かった。
アヤメの証言:食堂に入ってきた順番
メモ:雅の毒の瓶がなくなった。無くした場所は二階の女子トイレ。
無くしたのが夕方頃のため、だれかが持っていった可能性あり。
雅の証言:昨晩、食堂で不動と会っていた。十時までいたと思われる。
間宮の証言:もう一枚の布巾と一緒に雑巾をランドリーで見つけた。