二次創作小説(紙ほか)
- Re: originalダンガンロンパ キャラアンケート ( No.97 )
- 日時: 2013/09/19 17:41
- 名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
- プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html
次に、おれたちが訪れたのは視聴覚室の隣の部屋だった。
「……真っ暗だな」
「そうだな……」
開けてそうそう、鼻につく埃臭さと広がっている暗闇におれたちは目を細める。
どうやら、棚と思しきものが列を成しているようだが、何の部屋かはこれでは見当もつかない。
「これ、スイッチだね」
米倉が中に入り、入口隣にあった電源のスイッチを入れる。
スイッチの音が響いた直後、淡い橙色の光が点いた。
まず細かい埃が飛散している様子が目に入り、次にその埃が舞う世界でいくつもの段ボールが載った鉄製の棚が映る。
どうやら……この部屋は倉庫のようだ。
縦に並んだそれを見ておれは確信する。
「これは……倉庫、かな?」
「そうらしい。なにがあるか調べよう」
「よし、それじゃあ手前から調べていくぞっ」
それから、おれたちは段ボールを一つずつ下ろし、中身を確認し始めた。
もしかしたら脱出に役立つものがあるかもしれない。
そんな淡い期待をわずかに抱いたが、やはりそのような物をモノクマが用意しているはずがなく……調べて分かったことは、棚ごとで入れられているものが異なる、ということだった。
手前から左手側の列は、缶詰、レンジでできるご飯やレトルト食品といった保存食。
真ん中の列は体操着や小さな黒板、チョーク、ペンといった学校に関するもの。
右手側の列は大きめのビニール鞄、青いビニールシート、レインコート、懐中電灯といった日用品だ。
工具もこの部類のものらしく、工具箱が一箱置かれている。
「……普通のトンカチとノコギリと……これは物差しか? あとはペンチとドライバーだけだな」
「これで、あの扉や窓を開けるのは難しそうだね」
「……そうだな」
あの太いネジや鋼鉄の扉を開けようと思えば、この道具では歯が立たないだろう。
これらを用いて脱出、というのは諦めるしかない。
まだ完全に調べ終わってはいないが、時間もあるため、おれたちは次の部屋を探しにいった。
倉庫の隣の部屋に鍵がかかっていたため、今度は二階から三階に出て右手側にある細い廊下に入った。
こちらには左右に一つずつ扉があったが、左の方は施錠されていたため、鍵の開いていた右側の扉の方へ向かった。
「ここは……?」
「自習室じゃないか。ほら、問題集や大学の赤本が揃っている」
先に部屋に入った安積が興味深そうに周囲を見渡す。
ここにも監視カメラとモニターがあったが、三階廊下とは違い、部屋は緑色の光で照らされていた。
手前には、プラスチック製の四角テーブルとパイプ椅子、区切りがついた机で占められ、奥の方の棚には題名は分からないが、本がずらりと並んでいるのが見える。
「なるほど……。日本ではこういうところで自習をするのか」
「日本……? ああ、そういえば、君はアメリカで育ったんだな」
「刹那くんのところは、自習室ってないの?」
「自習室というものはないな……。静かに勉強ができる場所があれば、そこで自習するくらいだ」
「へええ。やっぱり、日本とは違うんだね」
「そうだな」
国が違えば、文化も違う。
当然ながら当然ではあるが、実際目の当たりにするとその差は大きいようだ。
「念のため、ここも調べよう」
「ああ。了解した」
安積が周囲を、米倉とおれは本棚を調べ、何か変わったところがないか探す。
本棚に入っているのは、参考書、大学受験用の問題集の他、記憶術といった啓発的なもので埋めつくされていた。
おれは試しに一冊を取り出し、本棚の奥を眺める。
だが、特に変わった場所は見当たらない。ただ冷たいアルミ板の板だけがそこにはあるだけだ。
「ん?これはなんだ?」
安積の疑問の声に、おれは手にとっていた本を元に戻して振り返る。
見ると、彼の手にはちょうどバレーボールより少し小さいくらいの赤いボールのようなものが握られていた。
よく確認すると、その球には上面には鮮やかな花の模様が、下面には三角形を組み合わせたような文様があしらわれている。
この球……どこかで聞いたことのある気がするが……。
おれが記憶を辿っている間、米倉が思いついたように言った。
「それ……もしかして、菊ちゃんの鞠じゃないかな?」
「こんなところに?」
「だが、確かに花月が言った通り、ボールみたいで花の模様が描いてある」
「そういえば……そうだが」
「届けてあげようよ。そうしたら、菊ちゃんのか、そうでないかも分かるし」
「それもそうだな」
結論が出たところで、自習室に掛けられていた時計を見遣る。
そろそろ、約束の時間だ。一度戻って報告するのがいいだろう。
「そろそろ戻ろう。もうすぐ約束の時間だ」
「そうか。では、一旦食堂へ戻ろう。他の二組が何か見つけているといいが……」
「そうだな」
希望ヶ峰学園生徒のコロシアイフィルムに東雲の鞠……。
大きな不安とかすかな期待を胸に、おれたちは自習室を出ていった。