二次創作小説(紙ほか)

Re: 魔天使マテリアル×妖怪ナビ・ルナ  Ⅲ ( No.7 )
日時: 2013/08/10 09:45
名前: ルイ (ID: x2W/Uq33)

第一章〜出会って、別れて、出逢って〜


サーヤたちは悪魔の気配のするほうへ走っていく。
でも、痛み方が違うのは気のせいだろうか。
今までならば、電流が走るような痛み。
でも今は違かった。
奥底のほうから、殴られるような重い痛み。
息が苦しくなってくる。
「ここ、です・・・」
幸い、痛みはそう酷いわけでもなく、耐え切ることが出来た。

「あー・・・・ぁ・・・・」

茂みのほう。
掠れた声が聞こえた。

「光よ!」
レイヤがすぐさま反応し、矢を放つ。
暫く使っていなかったとはいえ、やはり鈍ることは無い。
「う・・・・ぅ・・・」
矢を放った方向から、ふらり、と人影が見える。
『!』
マテリアルたちは目を見開いた。
なぜなら、悪魔ではなかったから。
その証拠に、身体の何処にも黒い霧が付いていない。
「・・・・貴方は何者?」
サーヤは恐る恐る、人影に向かって問う。
人影はぴくりと身体を震わせると。
一歩、二歩、と歩を進める。
それに習って、サーヤたちの後退り。
「あ・・・・たし・・・・・・は・・・・・・あすか・・・・」
あすか
彼女は名をあすかと言った。
「何をしているの」
再び、問う。
「む・・・すめ・・・・を・・・・さがして・・・る・・・」
娘を探している? サーヤは心の中で大きな疑問を抱く。
こんなことを言うならば・・・悪魔ではないだろう。そして、妖怪でもないはず。

「紗綾さん、危険です!」
「サーヤ!」
後ろにいる皆に叫んで止められたが、サーヤはあすかに少しずつ近寄っていく。
あすかは一歩も動かなかった。
(違う・・・この人は・・・・悪魔でも、妖怪でもない・・・・・


      人間だ)
正しく言えば、死人。
冥界の者。
サーヤは気付くと、軽く後ろに跳ぶ。

「あのひと・・・・死んだ人・・・・亡霊、だよ」
「亡霊だあ!?」
「何・・・それ・・・・」
マテリアルたちは口々に驚きの言葉を漏らす。

何故、ここに冥界の者が?
あのひとは何故、娘を探しているのか?
「あの人、きっと・・・悪くない人だと思う・・・」
「何言ってるんだ、サーヤ!」
サーヤの言葉に、マテリアルたちが首を横に振りまくる。
「でも、でも・・・・子供を、捜してるんだよ?私が近づいても、動かなかった・・・・ううん、きっと・・・動けなかった・・・」
そう、あすかは動けなかった。
動かないわけではない。動けなかった。
サーヤが口元に手を当て、悲しそうな瞳をする。
そのときだった。
「あ・・・たし、の・・・・・・あたしの・・・・娘、返して・・・!返して!!!」
あすかが、叫びだす。
『!?』
マテリアルたちは一斉に構えた。
「あたし・・・・なんでこんな事に・・・・・こんなの・・・こんなの!!!」
言うなり、あすかからどす黒い何かが噴出する。
「何だ!?」
「亡霊なんでしょ!?実体あるの!?攻撃できないわよそれじゃ!」
雪乃の言葉に、レイヤが「あ」と言ってから皆に伝える。
「さっきの矢・・・アイツに当たったはあたったんだが、すり抜けたぞ」
「もっと先に言えっ!!!」
「悪い」
「って・・・・んなことしてる場合じゃなくて!!」
「私、やります。」
サーヤが、破魔の笛を取り出す。
矢は効かないと思ったのだろう。
「ごめんね・・・・」
サーヤは呟くと共に、笛を吹き始める。
久し振りに聞くその高い澄んだ音色は、何よりも優しくて何よりも強い。
「ああ・あああ・・・・あ・あ!」
あすかと名乗った亡霊は、序所に形を崩していく。
でも。
「ゆ・・・さ、ない・・・・ゆる・・・・ない・・・・・っゆるさない!!!」
マテリアルたちが気を抜いた瞬間。
「後ろ!?」
「うそっ!」
動けないと思っていたあすかが、一瞬で背後に回っていた。
とっさに、レイヤの壁で防御する。
「動けないと思ってたのに・・・・何よあれ、反則じゃん!!」
美羽が言った。
「多分・・・さっきまでは、本当に動けなかった・・・あの黒い何かが噴出してから、何か、変わった・・・」
誰かが呟く。
もう可能性はそれしかなく、あの悲しい母親を消すことしか選択はなかった。
「氷よ・・・」
雪乃が手をかざす。
無慈悲な眼をして、雪乃は呟いた。
「悪を凍らす吹雪となれ」
静かに、的確に。
サーヤが眼を覆ったのが解った。
でも。
「!?効かない!」
あすかの周りに漂う黒い空気で、雪乃の攻撃は無効。
焦るマテリアルたちにあすかが襲い掛かる。
いきなりのことにレイヤの反応も遅れ、全員、ダメージを覚悟した・・・・そのとき。
「ああああああああっ!!!」
目の前まで迫っていたあすかが、光りを撒き散らして消えていく。
何が何だか、パニック状態に陥っていたマテリアルたちにはわからなかった。
でも、何者かが攻撃したということは、わかる。
「誰が・・・・?」
その呟きは、今向こうから走ってくる少女たちが、答えた。
「サーヤちゃん、皆!!」
と。

『ルナ/ちゃん!!』

その後ろから、ゆっくり付いてくるのはタイとソラウ、ふうり。
今あすかに攻撃を食らわせたのはルナたちだったのだ。
思いがけない再会に、サーヤは満面の笑み。
「また、会えたね・・・!」
「うん!!」
マテリアルたちとルナたちは、再会に喜び、笑いあった。