二次創作小説(紙ほか)
- Re: 幽遊白書 - 光影の少女 - ( No.1 )
- 日時: 2013/08/17 13:15
- 名前: べるりん ◆LL2ucVkJQE (ID: v5Glb8/b)
+ プロローグ
「逃げたぞ!! 何処へ行った!?」
男の叫び声が響き渡る。部下達は屋敷内を捜しまわる。
彼らが探しているのは一人の少女。
それを逃せば自分たちが殺される——そんな思いだ。
「何処へ行ったァ!! 捜せ捜せェ!!」
「絶対に逃がすな! 意地でも捕まえろォ!」
「あ、——いたぞ!!!!!」
金色の髪がみえて部下の一人が叫んだ。
全員がそちらへと走る。
それと比例するように少女も走っていた。
(逃げなきゃ、殺される————!!!!!)
今にも泣き出しそうな表情で少女は走る。
屋敷の扉を思いっきり開けて走り続ける。
草木が少女の体を傷つける。
しかし少女はそれにさえも気づいていない。
「待て!!」
「とまらないと殺すぞ!!!!」
「待ちやがれ紫姫ィ!!!!!」
少女は——紫姫は叫びを無視して走る。
そんな時だった。
目の前に影が現れる。驚いて尻餅をつく紫姫。
「だ…、誰……?」
金色の冷たい双眸。なびく銀色の髪。
殺されそうなくらいの威圧感に紫姫は震えた。
男は紫姫を見下ろしながら言う。
「追われているのか?」
「は、は…い……」
「…………」
「いたぞ!! あそこだぁ!!」
「!!!」
追ってくる部下達の姿を見て紫姫は立ち上がる。
男に会釈をしてから走り出した紫姫。
その時——背後から、部下達の悲鳴が聞こえた。
「……え…?」
振り返って紫姫は仰天する。
部下達全員が血を流して倒れていたのだ。
そして返り血を浴びている銀髪の男。
「あ…、え、あ……」
冷たい双眸が紫姫を貫く。
思わずひっと息をのむ紫姫。
だが男は何もせず、紫姫に背をむけた。
「ついてこい」
それだけ言って男は歩き始める。
紫姫は最初頭に「?」を浮かべていたが、
返事をしてからすぐに男を追った。