二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【紅桜編】 ( No.126 )
- 日時: 2013/10/31 23:15
- 名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: PfIgrp5a)
- プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11655042823.html
Sora様
そそそそそんなおおげさなw
最近栄蓮と八雲への愛がバッチリになってきました((
—
懸命に街中を巡り、様々な情報を得ようとする栄蓮。
気がつけばもう日は沈んでいた。
51訓 鎮魂歌を奏でましょう
「ホントですか?! その情報…確かですよね?!」
「あァ、そうだよ。紫色の髪の青年が二人組に運ばれてたねェ。
遠いし暗くてよくは見えなかったけど…何か船に連れ込まれてたよ。
大きい船でねェ…ここ最近よく見かけるよ」
「あ…ありがとうございます!」
いよォォし…! なんかすっごく参考になったァァァ…!
あとはコレを兄さん達に報告して…その船を見つけ出して…!
「……ん?」
…何かうずくまってる人がいるんですけども。
え、何? 右腕ないよ? 血ィボッタボッタ出てるよ?
早く帰りたい…けども! …ここは見逃せないよね…?
「あのー…えっと…大丈夫ですか?」
「……」
「あのー…」
「…誰だ?」
土方栄蓮と申しますけども何かァァ?!
…この人まさか辻斬りにやられたのかな?!
「真選組です」
「真選組…? …まさかアンタ…女隊長かい?」
「えェ、そうです。とりあえず病院に行きましょう。…立てますか?」
「ククッ…三番隊隊長さんは…随分とお優しいんだねェ……」
「え…?」
何で…私が三番隊隊長だって事…知ってんの?
一般人なんかがそんな事知ってるなんて…ごくまれ…なのに。
「あ、の…。……!」
——ガキィンッ!!
刃と刃のぶつかり合う音が夜の闇に響いた。
栄蓮は間一髪で抜刀し、男の左腕で振られた刀を受け止める。
「ぐ…ッ!」
「ほォ、今のは首をとったと思ったんだけどねェ。なかなかじゃないか?」
「ま、さか…アンタが……!!」
「おや…今頃お気づきか? お人好しも程々にしないとねェ…?」
(件の人斬り事件は…コイツの仕業か…ッ!)
ギチギチと刀と刀が音を立てる。
男は額に脂汗をにじませながらも立ち上がり、後ろにとんだ。
「ある人からのご命令でねェ…三番隊隊長を見つけたら殺せと言われているんだ」
「へーェ? もしかしなくても…高杉晋助オア風霧晴香でしょう?」
「おや…勘はいい方なのかねェ?」
「勘も何も…それくらいしか浮かばないんですよねェ」
栄蓮は冷や汗を流しながらもニッと笑う。
次の瞬間刀を両手に持ち替え、男に向かっていく。
刀と刀のぶつかり合う音が辺りに響く。
「ッ…片腕なくても…容赦…ないねェ…!
三番隊隊長さんは…相手が刀を抜かなければ自分も刀を抜かない…。
そんな性格だと聞いていたんだけどねェ…!」
「ハッ…!
自分の大事な人傷つけられて…しかもその傷つけた張本人が相手と来て…ッ!
容赦する甘ちゃんがいるかってーの…っ!」
「大事な人…? あァ…風霧八雲のことかい?」
「!」
栄蓮の瞳が一瞬見開かれ、すぐに鋭くなった。
刀にこめられる力がより一層強くなり、男は息を詰まらせる。
「八雲傷つけたからには…覚悟してよね…!」
「…あァ…安心するといいよ…、探す必要はない…!」
「は…ァッ?!」
「今頃その彼は…もう死んでいる」
「…!」
ニィッと笑う男に、栄蓮は驚愕の色を見せる。
しかしそれはすぐにおさまった。
「八雲は…死んでなんかない…ッ」
「ほォ…何故そう言える?」
「八雲は…ンな簡単にやられない…!!
皆…八雲を信じてる! だから…私も…八雲を信じる…ッ!」
再び距離を置く二人。互いに息が上がっている。
その時だ。愉快げに男が笑い始めた。栄蓮は訝しげな表情だ。
「なにが…おかしいの…?」
「いやァ…ついさっきねェ…? その台詞と同じ様な台詞を聞いたのさァ…。
“瞳孔女が八雲クン待ってんなら俺達も信じて待つだけだ”…だったかねェ?」
「…!」
そんな呼び方をするのはただ一人だ。
男はさらに笑い、腕のない右肩を指差した。血は先程よりも溢れている。
「この腕はねェ…そん時にやられたのさァ。
最初にやってた男…“銀サン”とか呼ばれてたかねェ? その男をやったらコレだ」
「なっ…?! 今…なんて…ッ?!」
「何度でも言おうかねェ…。その“銀サン”とか呼ばれてた男をやっ——」
——ガァンッ!!
男は近くの壁に頭をぶつける。物凄い勢いで吹っ飛ばされたようだ。
(殺気が…倍増したようだねェ……)
「…ナマ言わないでくれっかなァ…」
彼には見えない。だが、周囲の者が見れば恐らく逃げ出しているだろう。
鋭く光る漆黒の眼光。血濡れた刀を振るうその姿は、いつもの彼女ではない。
「アイツが…、アイツらが…アンタみたいなのにやられるわけない…」
「おやおや…随分と信頼してるんだねェ…。でも…紛れもない事実さ。
あァ…でも…ひとつだけ違うかねェ…」
「……?」
「彼をやったのは俺じゃなくてねェ…この刀さ。
…なァ? ——“紅桜”よ…」
「!」
男の右手に握られている紅色の刀。それを見た栄蓮は目を見開いた。
何てったってその“紅桜”が動いているのだ。
まるで融合したかのように、男の腕から触手の様な物と刀が繋がっている。
慌てて栄蓮は後方に飛び、距離をとろうとする。…が。
「ちょいと遅かったねェ」
「ッ! ガっ…!!」
腹に一発入れられ、栄蓮は目を見開く。
が、それにかまっている場合ではない。男はその刀を振りかざしてくる。
何とかそれを受け止める栄蓮だが、先程よりも男の力が増している。
「ちょいちょい…アンタそれ…ッ、ホントに…刀……?!
なんか…ッ、パワーがすんごい増してんだけど…!!」
「それもこの紅桜のおかげさァ。…でもアンタすごいよ?
この紅桜あいてにこれ程まで持ちこたえれるとは…拍手もんだァ」
「っはは…! 嬉しく…ねェェッ!!」
紅桜をはねのけ、男の腹を確実に狙う栄蓮。
タイミングてきには完璧だ。実際男も驚いた表情をしている。
が、次の瞬間、栄蓮の刀に何かが絡みついた。
「なッ…?! しょ、触手…ッ?!」
「言っただろう? あの男をやったのも…この刀だと…。
俺じゃないんだよ? ただこの刀が…反応してんのさァ…」
「——!」
マズイと栄蓮が察した時には遅い。
紅桜は目にも止まらぬ速さで、栄蓮の腹を斬りつける。
大量の血が栄蓮の腹から溢れ出した。
「ぐ…う、…!!」
「おや…なかなかいい具合だったんだけどねェ…?
やっぱり丸腰では厳しいかァ…? …なかなかいい刀だねェ」
触手が掴んだままの栄蓮の刀をなめるように見つめる男。
短い息をし、腹を押さえながらも何とか栄蓮は立ち上がる。
その際にボタボタッと大量の血が流れ落ちた。
「おや…まだ立てるかい? 死んで同然の傷の深さのはずなんだけどねェ…」
「か…、刀…、か…え、せ……!!」
「あァ…別にいいとも。ただし…君の息の根を止めてからだねェ」
「!」
次の瞬間、栄蓮の背から血が溢れ出す。そのまま栄蓮は崩れ落ちた。
男は先程よりも数倍は強くなっている紅桜を見つめる。
「運が悪かったようだね、女隊長サン…。今紅桜は絶好調のようだ…。
俺の右腕をなんなく補えるくらいにね…」
「…ッ…か、え…せ……」
「おや? 刀かな? いいだろう、すぐに——」
「や…くも……!! か…え、せ……ッ!!」
「…………。
いいだろう。同じところに送ってやる」
振りかざされる刀。それでも栄蓮は男を睨みつける。
にぃっと男が笑ったその時——二人の間にひとつの影が素早く入り込んできた。
刀がぶつかり合う。
まるで後ろに下がれと言わんばかりのソレに、思わず男は下がった。
現れた影は栄蓮に近寄り、上半身を支えている。
「オイ! オイ栄蓮! しっかりしろィ!!」
「そ…、ご……」
「すぐに屯所に連れて帰ってやりまさァ。絶対ェ持ちこたえろよィ。
…人斬りさんよォ、俺もこの女を死なせるわけにはいかねーんでねィ。
アンタも片腕のねェ状態。さらに栄蓮に傷を負わされてる。
…どうでィ、ここは互いにひかねーかィ?」
「…………」
「何なら…ざっと10名程度でテメーの相手するけどねィ」
「!!」
その瞬間男は自分に向けられる数十本の刀に気がついた。
どうやら囲まれているらしい。
「イヤ…流石にこれだけの相手をするのはキツそうだからねェ。
俺も今日はここまでとさせてもらうよ…」
そう言って去っていく男。静かにそれを見つめる沖田と隊士達。
「オイ! パトカーもってこい! 栄蓮連れて帰るぜェ!!」
「はい!」
グッタリと意識を失っている栄蓮。その顔には血色がない。
チッ、と沖田は舌打ちをした。
( 間に合ってくれよィ…! )