二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【紅桜編】 ( No.132 )
- 日時: 2013/11/06 23:08
- 名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: rBpxuBxx)
- プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11671476337.html
参照≒「 八雲、返せ 」アップ。
血の表現あったり八雲グッタリしてたり栄蓮の目笑ってないので御注意。
Sora様
紅桜編では私も書いてて何か胸が詰まることがありますねw
何ていうかもう…八雲ごめんぬ的な←
そろそろ紅桜編も後半突入です(´∀`)!
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乗り込んできた栄蓮。口元だけは笑っているが、目は笑っていない。
いつの間にかかいていた冷や汗に気づき、晴香は自嘲気味に笑った。
54訓 人はみかけによらないって覚えておこう
「久しぶりねェ…蓮ちゃん。いえ…初めましての方がいいかしら?
真選組攘夷浪士討伐専門三番隊女隊長…土方栄蓮さん?」
「こちらこそ改めてはじめましてかなァ…ハルさん…じゃなくて。
鬼兵隊、高杉晋助の側近にして八雲のおねーさん…風霧晴香さん?」
互いにニコニコと笑いながら二人は言う。
しかしその光景は寒気が走るものだ。殺気が部屋中に溢れている。
「うちの副隊長、返してもらいに来ました」
「フフッ…ちょっと遅かったんじゃなァい?」
「…………」
無言で栄蓮は八雲に近寄る。晴香は微笑みながらそれを見つめている。
八雲の姿を見て、栄蓮は目を見開いた。あまりにも惨すぎる。
腹は血で真っ赤に染まっており、床も血の海状態なのだ。意識はない。
ゆっくりと栄蓮は手を伸ばし、八雲の首の脈に手を当てた。
「…………」
「……どう? まだ生きてる? それとも死んじゃった?」
「…………」
「ずーっと…貴女の事考えてたみたい——」
よ、という晴香の言葉は続かなかった。
栄蓮が晴香に斬りかかったのである。晴香も寸でのところで抜刀した。
「あらあら…もしかして…死んじゃった?」
「……ッ!」
「…図星、ね」
「例え、死んでても…八雲を…連れて帰る…」
「あらあら…素晴らしいわね?」
「ッやったのは…アンタか…!!」
視線だけで射殺されそうな程の、鋭い瞳。
ギチギチと音を立てている刀を見つめながら晴香は笑った。
「まァ…主にやったのは私かしら?」
「あァ…そう!!」
「……!!」
刀を押してくる力が上がった。晴香は思わず息を呑む。
「…強いのね」
「どーも」
「何でしたっけ…“バラガキ”だったかしら?」
「……!!」
「私も聞いたことあるのよ? 触れれば痛いイバラのような乱暴な悪童…でしたっけ?
そんな風には見えないんだけどねェ…? あァ…昔の話だった?」
ガキンッと音を立てて離れる栄蓮と晴香。
小さく笑っている晴香に対して、栄蓮はにんまりと嫌に笑った。
「……何? 何がおかしいの?」
「いやァ、なっつかしい呼び名だなァと思っちゃって」
「…………」
「昔の話…って言ったよね?」
「!」
ゴソリと、晴香は後ろで何かが動く気配を察した。
嫌な汗が背中を伝う。しかし視線は、目の前で笑う女から外せない。
「悪いですけどー…私ァ昔も今もなーんにも変わってないんでェ…。
生まれてから今まで…ずぅーっと…悪ガキなんですよねェ…?
——ねェ、八雲?」
「——そーっスね」
「!!」
ガキンッと晴香の刀が折られた。折ったのは八雲の刀。
にんまりと笑っている栄蓮を見て、晴香は苦笑した。
「なるほど…。迫真の演技ねェ…? 八雲が死んでるなんて大嘘を…。
とんだ悪ガキさんねェ?」
「そりゃどうもー。こちとら一生涯治りそうにないですよ〜」
「ハ…ッ。ま、ァ…隊、長は…性、悪の、極み、っスから、ね…!
つ、か…お、れと…目、ェ…あわ、せた…だけ、で…普通…作、戦…分か、るっスか…?」
「凄いでしょ? エスパーだよエスパー。
…ま、確実に晴香さんに攻撃加えるには私もそれしか浮かばなかったし」
「……。八雲…アンタも随分と迫真の演技じゃなくて?」
「はは、は…悪ィ、けど…俺、ァ…演技、でも…ねー、わ」
崩れ落ちる八雲の刀。最後の力を振り絞ったのだろう。
晴香は折られた刀を見つめる。対して八雲が握っている八雲自身の刀は傷一つないようだ。
栄蓮は八雲の肩に腕を回し、その身を支えて何とか立ち上がらせる。
「晴香さん…私は今日はアンタらを討伐しにきたんじゃないんですよ。
八雲をただ助けにきただけなので…失礼しますよ」
「……情けをかけているつもり? 甘いのね?」
「イヤ、マジ違うんで。ホントはぶった斬りたいんだけども」
栄蓮は今にも呼吸を止めてしまいそうな八雲を見る。
一応持っていた布で止血はしているものの、既に状態は限界を超えている。
そんな中でも生きているというのは、正しく奇跡だった。
「…次会ったら、八雲の借りを思いっきり返すんで」
「…そう。私も刀がなくなっちゃったから…お預けね」
「…………」
何処か寂しげにそう言う晴香を栄蓮は見つめた。
「…ねェ。普通だったらさ…どうにか手段を考えて私だけでも殺そうとするよね。
それをしないってことは…貴女…八雲のこと——」
——ドォォォォォォォォォン!
物凄い勢いで船が揺れた。うわッ、と栄蓮は倒れそうになる。
晴香は着物を翻して立ち去ろうとしながら、栄蓮の方を見た。
「——土方栄蓮さん」
「……?!」
「…八雲のこと、お願いね」
「なっ…! ちょっ、ちょっと!!」
部屋を出て行く晴香を呼び止めようとするが、彼女は振り向かない。
何なんだと栄蓮は困惑する。八雲を殺そうとしたり、自分に託したり。
ただ一つ言えることは…彼女がとても、悲しげな表情をしていたこと。
「っとと…私も行かないと……」
八雲の刀を鞘におさめ、彼の腰にさしといてやる。
栄蓮も自分の刀を鞘におさめると、腰に戻しておいた。
八雲を支えながら甲板に出ると、大量の天人がいた。
「な…ッ、何これ……ッ?!」
よくよく見れば銀時と桂が大量の天人共を斬っている。
その時、高台にいる高杉と栄蓮の目が合ってしまった。
「ヤバ…ッ! ふぬぉっ?!」
「大人しくしてろ!」
栄蓮は銀時に、八雲は桂に抱えられて走り出す。
そのまま船を飛び降りた。
銀時が栄蓮を抱えたまま桂をガシッと掴む。
その瞬間桂が準備していたパラシュートが開き、フヨフヨとゆっくり降りていく。
「桂ァァ! 何その短髪?! イメチェン?! イメチェンかコノヤロー!」
「そんな事を言っている場合か! 此奴貴様の隊の副隊長だろう!
血まみれではないか! 意識もないぞ! ぐったりしてるぞ!」
「瞳孔女ァァ! 八雲くん生きてんの?! つーかお前何で生きてんの?!」
「それどう言う意味?! 八雲はまだ息はある!」
「チッ、オメーが死んでたら罵ってやろうと思ってたのによォ…」
「どこでS発揮してんだァァァ! ぬぐほォォォ傷口がァァァ…!」
「馬鹿か貴様は!! ぬぐェェ!! お、俺も来たァァァ…!!」
「オメーも言えてねェだろぅがァァァァッ俺も来たァァァ…!!」
「…ぜ…ん、いん…ダメ、じゃ…ね、ェ…スか」
弱々しい声が聞こえて、三人は桂が支えている八雲を見る。
顔面蒼白で今にも事切れそうな表情をしながらも、彼は笑っている。
「馬鹿者、貴様が一番重傷ではないか」
「八雲くん、地上についたら俺らが速攻で病院連れてくからな。死ぬなよ?」
「ハ、ハ…し、んで……た、まる、かァァ…ッ、スよ…」
辛そうな表情を隠すかの様に笑う八雲。
銀時と栄蓮、敵ながら桂もつられて笑った。
「た、ぃ…ちょ…?」
「……ん?」
「…なん、でも…ねェ…ッス」
「プッ、何それ?」
( やっと、会えた )
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バラガキ発動(`・ω・´) ((黙
やっと栄蓮と八雲が出会えた…と私自身も安心。
シリアスは何だか疲れちゃいますね。私の属性ではないです((←
晴香が何故両親を斬ったのか。それはまたいずれ明かしたいです。
今回はグダグダ度が最高潮すぎて泣ける((
そろそろ紅桜編も終了…かな(´∀`)?
次回からは少しずつギャグ中心に戻っていきます(`・ω・´)!