二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【柳生編】 ( No.173 )
- 日時: 2013/11/26 21:04
- 名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: HSijQ0Up)
- プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11712639353.html
Sora様
こちらこそあざァァァァッすっ! もう本当に感謝しております!
有難う御座います! 頑張れそうな気がしてきました(←
もうねw柳生編はホントに下ネタ書きすぎましたよwナニとかウコン(←)とかw
そうですねェ…きっと八雲はホントは疲れてないのです←
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参照≒「誕生日ィィィ(´Д`)」アップ。栄蓮や八雲の誕生日決定です。
一応【>>02】にも追加しておきます。何か下半身燃えてる未確認生物は私です((
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真選組一行と神楽で門弟達を次々と倒していく。
そして——いよいよ大将戦が始まったようだ。…が。
69訓 自分の感情を押し殺してばかりいるといつかは限界がくる
「うわァッ?!」
「し…新八ッ!」
かなりの勢いで新八が九兵衛に押され、吹っ飛ばされた。
銀時は敏木斎と木刀を交じり合わせながらも新八の方を気にしているようだ。
「…大将撃沈。…これで終わりじゃ」
「バカ言ってんじゃねーよ。…じーさんよォ、アンタの孫を見ろ。
護りてー護りてーばかりでテメーが色んな奴に護られて生きていることにすら気づいちゃいねェよ。
そんな奴にゃ、誰一人として護ることなんてできやしねーよ」
「…アレ、兄ちゃん? 木刀は?」
いつの間にか木刀が無くなっている銀時に敏木斎は問う。
片手を上げ、銀時は棒読みの調子で言った。
「アレレ〜どこいっちゃったんだろ〜〜」
「——うおぉぉおぉおぉぉぉぉおおおぉぉッ!!!!」
「?!」
新八の叫び声と凄まじい音が聞こえ、敏木斎はそちらを見る。
眼鏡をかけ直した新八が見事に九兵衛を吹っ飛ばしていた。
「あー、やっと見つかった。…これでよく見える」
「チッ…! ……?!」
隙をつくらず、新八は九兵衛に向かって行く。
長期戦になれば実力差が出るからだ。思いっきり木刀を振りかざす新八。
(一気にカタを——ッ!)
新八と九兵衛の木刀先がピッタリ重なった。次の瞬間九兵衛は新八の木刀を蹴り上げる。
隙が出来てしまい慌てる新八。今度は九兵衛が木刀を振り上げた。
「終わりだ——ッう゛?!」
どこかからか木刀が飛んできて、九兵衛の持っていた木刀を木刀が弾き飛ばす。投げたのは銀時だ。
新八はその隙に木刀を振りかざす…が、その木刀も敏木斎の投げた木刀によって弾き飛ばされた。
「「「「っうおらァァァァァァァァァ!!」」」」
宙にある木刀二本に向かって四人は手を伸ばす。
そしてそれを掴んだ腕二本は…九兵衛と銀時だ。九兵衛は新八に、銀時は敏木斎に向かって木刀をかざす。
(僕が新八君を斬るが速いか…君がおじい様を斬るが速いか…。
——神速をうたわれる僕の剣に挑もうというのか!)
振りかざされる木刀。新八は目を丸くして、そして九兵衛の意図に気づいた。
(違う…! 僕じゃない…彼が狙うのは……!!)
(大将を狙い隙ができた…。危険なのは…君だァァァァ!!)
裏をかいて九兵衛は銀時の皿にむかって木刀を向ける。
完全にとった——と九兵衛が思った瞬間、ニヤァッと銀時が笑った。
(な…何ッ?!)
九兵衛の木刀を身を半回転させて避け、銀時はトンッと彼の皿を木刀でつく。
パァンッ、という音とともに九兵衛の皿が弾けた。
「っしゃァァァ! 大将撃沈んんん!」
「隊長ォォォッ! あっちの大将はあのおじいさんッスからァァァァッ!」
「マジでかァァ?!」
そんな声をどこか頼りがいあり気に聞きながら、銀時は木刀を取り返し、新八に投げる。
が、その瞬間。敏木斎が銀時の体をガシィッと掴んだ。
(一瞬で九兵衛の肚を読み、その皿を割るにとどまらず木刀を二本取り戻すとは見事…。
だが…言ったはずじゃ。この戦い…荷物を抱えて勝てる程、——甘くはないと!!)
——ガシャァァンッ!
と派手な音を立てて、銀時の皿が割られた。近くにあった石造りの物にぶつけられたのだ。
グッタリと地面に横たわる銀時。フン、と敏木斎は鼻であしらう。
(最後まであの小僧にこだわったのがぬしの敗因…。なにをそこまでこだわ…)
ゾッ、と言う感覚が敏木斎の背中に走る。
ギョッとして後ろを見れば、壊れた石造りの物の間から新八がこちらに木刀を向けている。
「…いけ、新八」
「うおおぉぉおおッ!!!」
——ドゴォッ!
物凄い勢いで敏木斎が吹っ飛ばされる。額につけてあった皿が弾けて飛んだ。
門弟達を倒していた一行も、お妙も、茫然とそちらを見た。
「…ゴメン、負けちった」
「かっ…勝ったァァァァ!」
「し…新八ィィィィ!」
敏木斎のつぶやきと同時に栄蓮達一行は声を上げる。
神楽と近藤、栄蓮と八雲が嬉しそうに新八の元へと駆け寄っていく。
「あんま調子に乗ってんじゃねーぞコルアァ! ほとんど銀ちゃんのおかげだろーが!」
「ちょ、チャイナ娘ェェ! 眼鏡充分凄かったじゃん! かっこよかったじゃん!」
「新八さん…。いや、大将ォ! 素晴らしい一突きだったッスよ!」
「ケホッ…。有難う御座います、栄蓮さん、八雲さん!」
ようやっと笑顔を見せる新八。栄蓮達も微笑んだ。
「何をやっているか! あんな勝負はハナから関係ないの!」
「…輿矩、もういい加減にせい。わしらの負けじゃ、退け」
「パパ上! 元から私は女同士の結婚なんぞ反対ですぞ!」
「…もう何も言うな」
「確かに男になれとは言ったがまさかそんなところまで…」
「…もう何も言うな。…すまんのう九兵衛。じゃが…これで良かったのかもしれん」
敏木斎は静かにつぶやく。
栄蓮がふとお妙の方を見れば、銀時と何か話しているようだ。
そして銀時が去れば…また俯いてしまった。栄蓮は静かに近づく。
「…お妙さん」
「栄…蓮、さん…」
「…行ってあげなよ」
クイクイッと横たわっている九兵衛の方を指す栄蓮。
「…お妙さんが行かないと意味ないよ。今、ちゃんと話さないと。
言葉飾る必要なんてない。…ありのままの思いを九兵衛さんに伝えてあげなよ」
「栄蓮さん…」
「きっと…今なら九兵衛さんも…自分の思い、話してくれるよ」
「……はい。…有難う、御座います」
お妙は微笑み、ゆっくりと九兵衛に近づく。九兵衛はただただ空を見ていた。
『 九…ちゃっ…! …めんなさいっ…ごめんなさい……っ!
私…っ、あなたの左目になる…! 』
——…知ってたはずだ。
『 九兵衛、強くなれ。この柳生家で生き残るために… 』
——…分かってた、はずだ。
『 みんな自分の護りたいもの守ろうとしただけだ。…それだけだ 』
——…なのに…どこで間違えたんだろう?
ザッ、と。九兵衛は自分の近くでお妙が止まるのが分かった。
お妙の方は見ずに、九兵衛は口を開いた。
「…あの男の言う通りだ。僕はみんな…知っていた。
勝手なマネをして君に重い枷をつけ…君の思いをしりつつも見て見ぬふりをした。君を側に置きたいばかりに…。
それでも君は僕を護ろうとしていたね…、僕の左目になるって…」
「……」
「父上やおじい様が僕を護らんとして男として育てたことも知ってる。
でも…どこかで恨んでた。僕を男でも女でもない存在にしたことを…。
僕がこうなったのは誰のせいでもない…自分自身の弱さのせいだ」
お妙は九兵衛の頭を膝の上に乗せながら聞く。悲しそうな、表情で。
「それでもみんな…僕を最後まで護ろうとしてくれた。
結局僕は…護られてばかりで前と何も変わらない。約束なんて…なんにも果たせちゃいなかったんだ。
——僕は……弱い」
「……」
「なんで…こんな風になっちゃったんだろ。…いつからこんな風に…。
僕も…ホントはみんなと一緒にままごとやあやとりしたかった。みんなみたいにキレイな着物で町を歩きたかった。
っ妙ちゃんみたいに…強くて、優しい女の子になりたかった…ッ!」
九兵衛の瞳に涙が滲む。ぐっ、とそれをこらえようとする九兵衛。
そんな九兵衛を見て、お妙が口を開いた。
「九ちゃん…。九ちゃんは、九ちゃんよ……。男も女も関係ない…私の大切な親友。
だから…泣かないで……っ」
「!」
「それでほォお侍はん…っ」
「妙、ちゃん…っ」
お妙の瞳から溢れた涙が九兵衛の頬に落ちる。
それを見てつられたかのように、九兵衛の瞳からも涙があふれた。
「…めんなさい…っ、ごめんなさい…っ!」
「っでも…、今日位…泣いたっていいよね…」
ぎゅうっ、と抱きしめ合うお妙と九兵衛。
二人の瞳からは涙が止まることを忘れたかのように流れる。
「だって…女の子だもの…っ!」
「た、えちゃ…っ!」
泣き崩れるお妙と九兵衛。遠くから見守っていた万事屋と真選組一行。
風に吹かれながら、栄蓮はそっと微笑んだのだった。
(泣きたい時には、泣けばいいんだよ)