二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【ミツバ編】 ( No.197 )
日時: 2013/12/10 22:36
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: gUuaCkKN)
プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11726935642.html

 あずま様

ミツバ編は私自身書いてて苦しくなる時がありますww
そうですね…八雲絡みです(´∀`)そろそろ明かしたい…な!←
私の勘が正しければ、その台詞私も大好きなのでばっちり書きます!

そのイラストはそんな感じですね。いつもと違う栄蓮です。
感情移入は私もよくしちゃいます…( ´∀`)

栄蓮達にそのようなお言葉、有難う御座います! 滅茶苦茶幸せにしてやります!((←
更新頑張ります…!

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 参照≒「ミツバ編:沖田と栄蓮」。アップです(´∀`)

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 屋敷から屯所に帰った栄蓮達。
 自室に戻った栄蓮をふいに睡魔が襲い、そのまま栄蓮は眠りにおちた。


 79訓 友達は大切にしましょう


『 栄蓮ー! オイ、栄蓮んん! 』

『 ふんぬぐゥ?! ヤバい、総悟! 早く饅頭食べちゃって! 』
『 わわ分かってらァ…はむっ! んぐぐ…! オヴェッホォッ!! 』
『 ギィヤァァァァッ! 』

『 あ、見つけた栄れ…って何してんだァァ! 』


 ——まだ武州にいた頃の、穏やかな日々。 
 幼き栄蓮と総悟は今日も一応仲良く過ごしていた。無論その他も。


『 総悟ォ! オマッ、急ぎすぎて喉に饅頭詰まらせて吐くなァァ! 』
『 フッ…。近藤さん、饅頭が俺達を呼んでたんでさァ 』
『 分かりやすい嘘をつくなァァァァ! 』
『 ほらァ、やっぱ怒られたじゃねーかィ。栄蓮のせいでさァ 』
『 饅頭食べたいって言ったのは総悟じゃん?! 私付き合っただけじゃん?! 』
『 付き合った時点でアウトだろーがァァァ! 』


 ゴチィンッと言う鈍い音が響いた。
 総悟と栄蓮が頭を殴られたのだ。むっと二人は頭上を見上げる。


『 兄さんんん! 痛いから! ちょーう痛いからァァ! 』
『 テンメェェ土方ァァァ! 調子に乗ってんじゃねーぜィ! 』
『 上等だコルァ! 』
『 ギャァァァ! トシも混じってんじゃねェェェ! 』


 —


『 ミッツッバー! 』
『 あ、栄蓮! いらっしゃい。稽古お疲れ様 』


 稽古の合間にやってきた栄蓮に対して、ミツバは優しく微笑んだ。
 茶を出してやれば、礼を言って栄蓮は勢いよく茶を飲んだ。


『 プッハーァ! いっきかえった〜ァ! 』
『 ふふ。剣の調子はどうなの? 』
『 最高にいいよ! 今日も兄さんぶちのめしたった! 』
『 え?! と…十四郎さん?! 』


 明らかに動揺しているミツバ。ブッハハッと栄蓮は笑う。


『 じょーだん! 今日は兄さんとは手合わせしてないよ! 』
『 そ…そうなの? 』
『 うん! にしてもミツバ…ホント兄さんのこと好きだねェ 』
『 え…栄蓮ッ! 』
『 さっきも一気に顔色変わっちゃって〜。告白しないの? 』
『 も…もうっ 』
『 ぶはっ! ごめんごめん! 』


 頬を朱に染めて俯くミツバを見て、栄蓮は明るく笑った。
 そんな栄蓮につられてついついミツバも笑ってしまう。


『 …絶対うまくいくと思うんだけどなァ 』
『 え? 』
『 なーんでもないよ〜 』


 ミツバは微笑みながらじっと栄蓮を見つめ、そして小さく俯いた。
 その表情はどこか寂し気だ。


『 ねェ、栄蓮… 』
『 んー? 』
『 皆が一旗上げるとき…栄蓮も、行くの? 』
『 え? うん、その予定だけど… 』
『 ……。そっか。…そうよね! 御免なさい、変なこと聞いちゃって 』
『 …… 』


 困った様に笑うミツバを見て、栄蓮は眉根を下げた。
 ちょっと考える素振りを見せる。


『 ……。でも…ミツバと一緒に武州に残るのも、悪くないかもね 』
『 え…?! それホン—— 』
『 本当ですかィ?! 』
『『 わッ?! 』』


 ガササッと茂みから出てくる総悟。…どうやら盗み聞きしていたようだ。
 が、そんな事を気に止める様子もなく、総悟は子犬のように寄ってくる。


『 栄蓮、それ本当かィ?! 姉上の傍にいてくれんのかィ?! 』
『 イ、イヤ…。まだ分かんないけど… 』
『 じゃあ姉上の傍にいてくれよィ! 姉上、栄蓮に行って欲しくないって言ってたし! 』
『 そ、そーちゃんッ 』
『 え、マジでか 』


 きょとんとしてミツバを見る栄蓮。ミツバは俯き、そして頷いた。


『 な、なっ! いいだろィ、栄蓮! ちょいと考えてくれよィ! 』
『 …そうだね。総悟とミツバの頼みなら…ちょっと交渉してみようかね! 』
『 ほんとに? 』
『 もち! 』


 —


 ミツバと総悟の頼みということもあり、栄蓮は早速近藤と兄に相談してみた。
 ええっ、と大きな声を上げる近藤。


『 イ、イヤ…別にいいんだけどよ?! 栄蓮も一応女の子だし?! 』
『 近藤さん、一応ってなに? 』
『 でもお前刀振ってる方が得意だろーが。…いいのか? 』


 確かに栄蓮は家でおとなしくしているタイプではない。
 土方の言うことは確かである。…だが。


『 でも…ミツバが寂しそうに言ってきたから。それに総悟も… 』
『 まァ…俺達としてもミツバ殿の傍に栄蓮がいてくれた方が安心だが… 』
『 …いいんじゃねーか 』
『 トシ?! ンな簡単にでいいのか?! 』
『 栄蓮コイツがそうしたいんならそれでいいだろ 』


 きっぱりと言う土方。それは決して冷たい口調ではない。
 

『 まァ…それもいいかもしれんな。バラガキなんて呼ばれてるが…栄蓮も元はただの女の子だもんな 』
『 近藤さん、元はってなに? さっきから喧嘩売ってます? 』
『 ヨシ、とりあえずもうちょっと考えてみるから。一応刀稽古はしろよ? 』
『 はーいィッ! 』


 —


『 ——ミッツッブゥワァァ! 』
『 わッ?! も、もう! 驚かさないでよ…! 』
『 ごめんごめん! それよりね! 私、ミツバと一緒に居られそうだよ! 』
『 えっ…?! 』


 パァッとミツバの顔が明るくなった。栄蓮も笑う。


『 栄蓮…本当にずっとここにいてくれるの? 』
『 今のところそういう方向で話が進んでる! 近藤さんもそれもいいなって言ってくれてて! 』
『 ふふふっ…嬉しい…っ! 有難う、栄蓮…! 』
『 お礼なんて言わないで?! 』


 微笑ましい光景。稽古を終え、汗を拭っていた総悟。
 自らの姉の幸せそうな笑顔を見て、総悟も一人嬉しそうに微笑んだ。


 —


 数日たったある日、栄蓮は道場で稽古をしていた。


『 栄蓮。ちょっと来い 』
『 へ? どったの? 』


 栄蓮は兄に呼ばれ近づく。土方はポンと栄蓮の頭に手を置いた。


『 俺達ァあと5日後…江戸で一旗あげる 』

『 それって…いよいよ江戸に行くってこと?! 』

『 あぁ、そうだ。…これはまだ俺と近藤さんしか知らねェ。
  一応お前には最終確認のために言うが…誰にも言うなよ 』

『 お、おう 』

『 で、だ。…お前、本当に行かねーのか? 』


 真っ直ぐに射抜いてくる兄の視線。迷うことなく栄蓮は微笑んで頷く。


『 近藤さんも今のところ普通にオッケーしてくれてるし。…私はミツバの傍にいるよ 』

『 …そうか。じゃあマヨネーズ買ってこい 』

『 っはァァァ?! 今のとどう関係があったのォォォ?! 』

『 頼んだぞ。…そういや最近、巷で人斬りが出てる 』

『 …人斬りィ? 』

『 “蒼紫の化け物”っつーんだそうだ。聞いたことあんだろ。
  …なるべく早く帰ってこいよ 』


 そう言って去っていく兄を恨めしげに栄蓮は見送った。
 
 しぶしぶながらも栄蓮は道場を出て近くの店に向かう。
 その足取りはどこか軽い。


( これからはミツバと一緒だもんね〜。剣は捨てらんないけど。
  おっとっと! 早く行かねば… )


 兄の言葉を思いだし栄蓮は急ぎ足になる。
 
 マヨネーズを五本ほど買い占め、帰路につく栄蓮。
 その頭の中にあるのはミツバとのこれからの生活への期待だ。


( ミツバは兄さんにいつ告白するんだろーなァ…。
  兄さんにも仕送りとかしないとね…。あ、あと総悟と近藤さんにも… )


 その時だった。栄蓮の前方から多くの人間がこちらに向かってくる。
 ん、と栄蓮は顔を上げた。


『 うわァァ! 化け物だァァァッ! 』
『 ばッ…化け物だァァ! 噂の“蒼紫の化け物”だァァァァ! 』
『 に、逃げろッ! 化け物が! 化け物がこっちに来るぞォォォ! 』
『 こっ…殺される! 早く逃げろォォォ! 』
『 お嬢ちゃんも早くお逃げよ! 』


( ……? )
 

 栄蓮は疑問を抱く。

 確かに目の前に自分と同い年くらいの少年が立っている。
 少年の持つ刀からは血が流れ落ちている。人を斬ったのだろう。


( こんな泣きそうな目してるのに、“化け物”? )


 目の前の紫髪の少年を栄蓮はただただ見ていた。
 ——その瞳は、どこまでも堕ちた暗い瞳だったから。



( 悲しい目をした、少年 )