二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【ミツバ編】 ( No.201 )
- 日時: 2013/12/14 00:10
- 名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: yJbSBs4g)
- プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11728715299.html
Dr.クロ様
遅くなりすいません…(´・ω・`)!
————————————————————————————————
「ん…ぅ?」
「あァ…。起きたか」
「………。ッギャァァァァァァァァァァァ?!」
82訓 第一印象に騙されちゃだめ
何やってんの?! なにやってんのこの人?! マジなにやってんの?!
「なんで私の部屋勝手に入ってんの?! なんで普通に居座ってんの?! 間に合ってますけど?!」
「何がだボケェェェェ! オメーが爆睡してたから起きるまで待ってたんだろーがァァァァァ!」
それにしても普通に部屋の中入って座ってるか?!
しかもタバコの煙くせェェェ! こんの馬鹿兄さんんんん! 煙草を吸うなァァァ!
「で、なに?! なんなの?! なんなんですか?!」
「何でそんな敵意むきだし?! …大事な話がある。どうする? ここで話すか?」
「ここじゃ兄さんのタバコ臭が満ちるから場所変える!」
「あっそ」
—
「うおりゃァァァァァァ!」
「グブォッ!」
はァい一本んんんんん! まーた私の勝ちィィィィィ!
場所変えようって言われて来たのは道場。で、今はちょっと軽く手合わせ中!
え? 絶対軽くねーだろって?
「テンメェェェ! 喋れねーだろうが! もうちょい加減しろォォォ!」
「いやァ〜ストレスがたまりにたまっててさァ。兄さんをボコ…じゃないや。
兄さんと手合わせして発散しようかな〜と思って!」
「オイいま最初“ボコ”って聞こえたんだけど? ボコるじゃねーよな? ボコるじゃねーよなァ?」
お察しの通り…イカンイカンイカン。そんなこと言ったら殺される…!
で…話ってなんなんだろう?
「…実はな」
「——おやおや、ふたりともお揃いかァ。一体何の話をしてるんでェ?」
「…! 総悟…」
竹刀を肩に置き構えた総悟が、私たちを見ていて。
…どうしたんだろ。ミツバは大丈夫なのかな。
「土方さん。…一手、ご教授してもらってもいいですかね」
「…………」
「ワリーね、栄蓮」
「あ、いや…大丈夫だよ」
うん、イヤな予感しかしねーぜ! 女の勘は結構当たるんだぜ!
そして兄さんと総悟の手合わせが始まった。ちなみに私は正座で見守ってます!
…にしても、兄さんも総悟も凄いなァ。一切無駄がなくて、気を抜けば一瞬でやられるって感じ。
「土方さん…っ。近頃…姉上の周りを嗅ぎ回らせてるようで…。
一体どーいうつもりなんですかね…?!」
「…………」
「これ以上…姉上の幸せブチ壊すのはやめてもらいてーんですが」
マジか。兄さんそんなことしてたのか。マジか。アイドンノーだったわ。
アレ? 何か兄さんこっち見てね? 話聞けってか? そんな感じだよね?
「…“転海屋”。不逞浪士と大量の武器を闇取引している嫌疑がかかっている」
「「!」」
転海屋…って、あの男の人だよね…?! ミツバの旦那さんだよね…?!
「密輸で仕入れた武器を浪士どもに高値で売りさばいてやがる。…ありゃ闇商人だ。
てめーの姉貴の旦那は…俺達の敵なんだよ」
「…………。土方さん。
攘夷浪士どもがどんな武器もとうと俺達が叩き斬りゃいいだけの話じゃねーですか。小せェ話だ」
「…………」
「栄蓮達三番隊も重傷を負った隊士はいたらしいが…命は無事なんだろ?」
「あ、うん」
でも…あんなの放っておくことはできないし…。でもミツバの旦那さんんんんん!
「清濁併せ呑むくらいの器量がなきゃ商売やっていけやせんよ。
それに…商売はともかく、あの人の人柄はアンタらも見たでしょう。
…あの人は心底姉上に惚れてますよ。きっと、幸せに…」
「…!」
あァ…。兄さんの目の色が…変わった…。
ねェ総悟…。それって…もしかしなくてもなんだけど、さ…。
「そいつァ俺に…。…俺達に奴を見逃せといっているのか」
「アラ、そう聞こえやせんでした?」
「既に三番隊も数名やられてんだ。栄蓮もこの件には深く関わってる。俺も栄蓮も無理だ」
「…………」
「今のは聞かなかったことにしてやる。…気が失せた、あとはひとりでやり——?!」
いきなり総悟が後ろから兄さんに向けて突きを見せた。
ぎりっぎりのところで兄さんは交わしたけど…総悟、本気だ…。
「まだ話は終わってませんぜ!」
「チッ…寝ぼけてんのかテメェ! よもやそんな悪党とくっついて姉貴が幸せになれると思っちゃ…」
「…?!」
——ガシャァンッ…
総悟が片手に強く強く握っていた竹刀を、スルリと落とした。
ポリポリと頭をかきながら。苦しそうにしながら。…涙を、滲ませながら。
ただただ、床を見つめてる。
「…ねーんですよ」
「…え…?」
「っもう…長ェこと、ねェみたいなんでさァ…」
初めて…ううん。久しぶりに見た、総悟の泣き出しそうな顔。
なんでだろう…罪悪感が、こみあげる。
「やってられねーよ…小さい頃から親の代わりに病弱な身体おして俺の世話ばかりでよォ…。
自分のこともほったらかしで…婚期も遅れちまって。ようやく幸せ手に掴んだと思ったら…」
「……」
「せめてよォ…死ぬ前に一時でも人並みの幸せ、味わわせてやりてーんですよ。
見逃せとは言わねェ…。ちょいとだけ時間を……」
総悟が私と兄さんに向かって、小さく頭をさげてくる。
あぁ…そんなに必死なんだ、総悟も。…大切なんだ、ミツバが。
「…土方さん、姉上がずっと結婚しなかったのは…アンタのこと…」
「……。…兄さ」
「取り引きは明日の晩だ」
「「!」」
「刀の手入れしとけ。…行くぞ、栄蓮」
「ちょ…兄さん!」
なんでそんな言い方しかできないんだよバカヤロォォォォォォ!
誰よりも総悟のこと思ってるくせにィィィィ! あァァ…もォォォ…!
「…わ…ねェ」
「そ、総悟」
「っ気に食わねェ…!!!!」
「!」
怒りきった、憎しみに染まりきった、総悟の瞳。
ちょ、コレ…ヤバイ…!
「そ、総悟。落ち着い」
「どけェ!!」
「わッ?! そっ…総悟!」
総悟が立ち去っていく兄さんに向かって走っていく。
そのまま思いっきり飛び上がって、大きく総悟は竹刀を振り上げた。
「ッ土方ァァアアァァアアァァ!!!!!!!」
「総悟…! 兄さん、危なっ…!」
「——うああぁぁあぁぁ!!!!」
『 みんな江戸で一旗あげるって…本当? 』
上京する前日、ミツバが土方に対して言った。
土方はチラリとミツバを見る。
『 …誰から聞いた 』
『 そーちゃんが…昨日意気揚々と…。それに…栄蓮のこともあって… 』
『 ……… 』
縁側に腰掛けているミツバと、立っている土方。
——そして木陰には総悟が、また別の場所には栄蓮がいた。偶然鉢合わせたのだ。
『 …私も 』
『 … 』
『 私も、連れて行って 』
頬を朱に染め、俯きがちになっているミツバ。それでも口は止まらない。
『 私は…そーちゃんの親代わりだもの。あの子には私がいないと…。
栄蓮も八雲さんのためにいくみたいだし…よく、考えたら…私も行けばいいんじゃないかと思って… 』
『 …… 』
『 それに…私、みんなの…。栄蓮の…。
——十四郎さんの傍にいたい 』
ずっと思っていた土方への告白。ミツバは拳を握り締める。
数秒間の沈黙が続いた。
そして土方は前を向いたまま、ミツバを一瞥もせずに、
『「しらねーよ」』
「……ッ」
『「知ったこっちゃねーんだよ…お前のことなんざ」』
「ちょっ、兄さん…!」
…一瞬で、総悟が兄さんにやられた。いつもなら有り得ないのだけど。
あんな精神状態でいけば…こうなることは、見えてた。
なんでそんなこと言えるの…。全然、そんなこと思ってないくせに…。
「…行くぞ、栄蓮」
「ちょ…ちょっと、兄さん?! 離してよ?! 総悟今ので怪我して…」
「…………」
「兄さん!!」
( 気に…食わ…ねェ…… )