二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【ミツバ編】 ( No.212 )
日時: 2013/12/19 23:28
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: 4/FhumS2)
プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11731812783.html

 
 Dr.クロ様

ナギの方は基本のんびりです…ごめんなさい(´Д`)


 Sora様

そ、そういっていただけると…!(´Д`)
このシーンの切なさを表現できない文才のなさに失望してたところだったので…。
そしておかえりなさいなのです(´∀`) ((2度目

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 静かに涙を流す兄を、栄蓮は隣で静かに見守っていた。
 栄蓮は涙を流さなかった。…本当に泣きたいのは自分じゃないから。


 86訓 真選組一番隊隊長


 屋上から移動して階下へと進めば、そこには八雲が立っていた。


「八雲…」
「…ご苦労様です、隊長」
「…八雲こそ」


 どこか改まった八雲の態度に、栄蓮は小さく笑みを零した。
 八雲も疲労に満ちた表情をしているようだ。


「…副長は?」
「あー…。ちょっと風に当たりたいってさ」
「…そうなんスか」
「うん」


 へらりと困った様に笑う栄蓮を見て、八雲も眉根をさげた。
 …ふっと八雲の表情が引き締まる。


「…ミツバさんからの、伝言があります」
「え…? …伝言…?」
「はい。…“そーちゃんをお願いします”とのことです」
「……」


 くしゃりと栄蓮の顔が泣きそうに歪んだ。ぐっとそれをこらえているようだ。
 それを見た八雲もつられて泣きそうになる。


「…そっか…。…っそっかァ…!」
「隊長……」
「ミツバが…私に…っ」
「…はい」
「……そっかぁ…」


 きっと…ミツバは分かっていたのだ。自分がどうなるかを。
 もうその時から、己の命の残量をはかっていたのだろう。


「バカタレ…伝言残すなっちゅーの…」
「…隊ちょ」
「ありがと、八雲」
「え…」
「伝言…伝えてくれて」
「……」


 “遺言”ではなく“伝言”。その言葉にまずどこか救われた。
 そしてその言葉を聞けて…自分が今からでも何ができるかを知れたのだ。


「あ……」
「ん…?」


 八雲が栄蓮の後ろを見ている。
 栄蓮もつられるように後ろを見れば、そこには総悟が立っていた。

 …その表情は暗い。


「…じゃ、俺ァお先に」
「…うん、有難う」


 そう言って去っていく八雲。その場にいるのは栄蓮と総悟のみだ。
 …真っ暗な廊下にいても分かるくらいに、総悟は俯ききっていた。


「……」
「……」
「…………」
「…………」
「…………そう」
「姉上は」


 言葉を発そうとした栄蓮を遮って総悟が声を発した。
 ほんの少しだけ彼は顔をあげる。その頬には何かが流れた筋あとがあった。


「…姉上は…笑ってたんでィ」
「……」
「オメーらバカ方兄妹にひでー目にあわされたのに…」
「……」
「……幸せだった、ってよ」
「え…?」


 ふっと総悟は微笑を栄蓮に見せてくれた。
 赤い瞳はどこか潤んでいる。


「姉上が幸せだったって言ってたんでィ。…オメーらと居られて」

「そう、なの…?」

「おう。ま、姉上が幸せだったって言ってんのに俺がネチネチ言っててもしょうがねェや。
 …もうオメェも土方も、引きずるんじゃねェぜィ」

「……っ」


 総悟なりのめいいっぱいの気遣い。
 本当は泣きたいだろうに。本当は八つ当たりでもしたい気分だろうに。  


「…なんつーカオしてんでィ。気持ち悪ィぜ?」
「だ、って…総悟…ッ、アンタが…!」
「何? オメー泣きそうなのかよィ? つーか泣いてねぇの?」
「は、はァ?!」
「オメーは一番に泣くと思ってたぜィ。こんの泣き虫バカ」
「う、うるさいわァァ…!」

(一番泣きたいのはアンタや兄さんだろーがァァァ…!)


 ぐぅぅぅっと必死に必死に栄蓮は涙をこらえている。
 そんな栄蓮を見て総悟は眉根を下げ、ゆっくりと栄蓮に歩み寄った。


「ななな、何」
「…泣きゃぁいい」
「…へ」
「気遣うこたァねェや。…姉上のために泣いてくれるんなら、俺ァ嬉しいぜィ」 


 ——いつからこの青年はここまで大人になっていたのだろう。
 
 今にも泣き出しそうな表情でそう言った総悟。
 栄蓮はぐぅっと俯いた。


「…っごめんね、総悟…!」
「え……」
「昔から傷つけてばかりで…本当に、ごめん」
「………」











『 え、私が三番隊?! …なんでそんな微妙な数ゥ?! 』
『 そこ?! いや確かに微妙だけれども! いや、あの…トシがな 』

『 へ? 兄さん? 』

『 やはり兄だ。お前をそこまで危険な目にはあわせたくないんだろう。 
  一番隊ならば常に最前線。…そこはどうしても避けたかったらしい 』


 カラカラと笑う近藤が、栄蓮の脳裏に甦った。


『 …と言っても実力は確かだからな。上からの命なんだ。…すまんな 』
『 ……。三番隊って…攘夷志士・浪士討伐専門…ですよね 』
『 ああ。…結局は危険な隊に就かせてしまった… 』
『 しょうがないですよ。上からの命令なら 』
『 …そうか。無茶はするなよ 』


 コクリと頷き、そして栄蓮はまだ近藤が何か言いたげにしている事に気がついたのだ。
 

『 近藤さん? …どうかしたんですか? 』

『 あ、いや…これ内緒だぞ? 言うなって言われてるから 』

『 ? はい、分かりました 』

『 イヤ…トシが直接上にお前を一番隊就任からは外して欲しいと頼んだんだ。
  だが…その時もうひとりいてな 』

『 もう、ひとり…? 』












「…“俺ァ栄蓮に勝らずとも劣らずの剣の実力は持っているつもりです。
 だから栄蓮を一番隊に就任させるつもりなら、代わりに俺が一番隊背負います”。

 …上の人たちに、そう言ってくれたんでしょう?」

「……チェッ。口滑らせたのは近藤さんあたりかねィ」


 真選組結成時。…まだ隊が決まっていない頃。
 
 その時とっつぁんがその剣の腕から栄蓮を一番隊隊長に推したのだ。
 …それを聞いた土方と総悟は上の者達にせめてでも一番隊からは外してくれと頼んだのだ。


 一番隊は最前線。そして一番隊隊長は斬り込み隊長でもある。
 …隊としては最も危険な位置だ。


「私をそんな危険から外そうとして…自分が就いてくれたんでしょう?」
「…と言っても、結局オメェは三番隊隊長。同等に危険な位置に就かされたけどねィ」
「違うの、総悟。…護ろうとしてくれて…有難う」
「…………」


 総悟が栄蓮を江戸に上京するのをとめたワケ。
 ただ姉のことを思って、というのもある。


 それ以前に、彼は栄蓮に危険な目にあってほしくなかったのだ。
 真選組の一員となれば危険は避けられないのだから。


 だから必死に武州にとどまることを推したのだ。真の理由を押し殺して。


「護ってくれて本当に有難う、総悟。
 …その代わりに総悟を傷つけて…本当にごめんなさい」

「…俺ァ傷ついてなんかいねーや。
 テメーみたいなバカが気にすんな。…オメーはいつも通り、笑ってりゃァいいんでィ」


 初めて聞けた総悟の本音に、栄蓮の瞳からついに涙が溢れた。
 嗚咽を漏らしながら栄蓮は総悟の頭に手を置く。


「ごめん…ッ、あり、がと…!」
「……」
「っ今度は! 私が護るから!」
「…もう充分に護られてまさァ」
「え、マジで?!」
「ウソ」
「マジか」


 いつも通りに、ヘラヘラと二人は笑い合う。

 ——その姿をこっそり見つめながら、八雲と銀時は顔を見合わせて笑ったのだった。



( 姉上 )
( ミツバ )
( 姉上の親友は絶対ェ俺が護るから )
( ミツバの願いに頑張って答えるから )

(( どうか、安らかに ))

 —


ミミミミミツバ編終了ォォ…!(´Д`) そして何このグダグダァァ…!


このお話は総悟の栄蓮への思いを明かすために書きたかった((


土方にミツバや近藤を連れて行かれたと感じていた幼き総悟。
そんな中でも栄蓮は逆に近づいてきて、バカやって遊びまくった仲。
だから総悟は栄蓮を護りたいと思った…って感じです。


栄蓮が三番隊になった理由は土方…的なノリで来ましたが実は総悟。


栄蓮自身は一番隊に匹敵する力を持っていたけど、総悟がそれを主に嫌がった。(危険性が最も高いから)
だから自分が一番隊隊長になった…とかいう設定に(爆)
でもやっぱり栄蓮は危険性の高い専門部隊に就かされたという結果オーライ←


プロローグで栄蓮が「ウチの馬鹿兄さんが〜」的な感じで総悟ではなく兄の名を出しているのは、
近藤に「俺が言った事は内緒」と言われてきたからです。


アレ…? でもプロローグぐらいでしか三という微妙な数字に触れてなくね…?((




ま、まァいいか…(´∀`) ミツバ編まで読んで下さり、有難う御座いました!


グダグダごめんなさい\(^p^)/