二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【真選組動乱編】 ( No.279 )
日時: 2014/01/25 22:45
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: abkT6QGo)
プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11757716781.html

 Sora様

八雲「松菊隊長なんて全然平気ッスよ」
栄蓮「つーか八雲も十分バカだよね」
八雲「あ、すいませんけど俺一応頭は賢い設定なんで」
栄蓮「…頭は?」
八雲「行動は馬鹿ッスけど」
栄蓮「自分で言ったよ」

いやいやいやいやいや((
松菊様なんてもうかっこよすぎっすよホント。
虫類を見た時と通常時のギャップに私はいつも悶えてまs((黙
どっちもグッジョブですよマジで(`・ω・+´)

 —

 参照≒「表情.02」アップ。やはりそうなる。

 —


 僕が本当に欲しかったのは、
 地位や名誉でも成功や才能でも、才能を認めてくれる理解者でもなかった。


 僕はただ、誰かに隣にいて欲しかった。
 …ただ…、誰かに見て欲しかった。
 ただ……、一人が嫌だった。


 
 ただ、



「近藤ッ…?! お前…っ、自分が今何をしているか分かって…っ?!」
「っ先生…!!」



 なかまが、ほしかった。



 112訓 仲が悪いほど縁ってやつがある


「…近藤…。僕は君を殺そうとした裏切り者…そんな僕を…」
「謀反を起こされるは大将の罪だ」
「!」
「無能な大将につけば兵は命を失う。これを斬るは罪じゃねェ…。
 すまねェ…俺ァアンタの上に立つには足らねェ大将だった」


 伊東の手をがっしりと掴みながら悔しげな表情で言う近藤。
 その近藤の身を沖田や神楽、新八が連なって保っている。


「元々ガラじゃねーんだよ、大将なんて俺ァ。アンタの方がよっぽど大将に向いてらァ。
 俺は隊士が死んでいくのを黙って見てるなんざできねェよ。死兵なんて割り切ることはできねェ、やっぱり」

「…」

「先生。…俺ァ…、兵隊なんかじゃねェ。
 ただ肩付き合わせて酒をくみかわす友達としてアンタにいてほしかった」

「……」

「まだまだアンタにたくさん…色んな事教えてほしかったんだ、先生……」


 近藤の言葉に伊東のなかで全てが繋がっていく。
 自分が本当にほしかったもの。

 そしてそれは、もうとっくにあったことも。


「おらァァァァ!」
「「!」」
「何してやがる! さっさと逃げやがれェェェ!」
「…ッ土方!」
「…! っおおおおおおお!」


 土方がヘリに乗っている浪士を斬りつけ、思い切り飛び上がった。
 グッと手を伸ばしてくる土方に、伊東もグッと手を伸ばした。


 ガシッと掴まれる互いの手。


 引き上げられた伊東は電車の中へと土方をも引き込む。
 二人の目が合い、ニタリと笑いあう。


「…土方君。君に言いたい事が一つあったんだ」
「…奇遇だな。…俺もだ」


「「僕/俺は…君/お前が嫌いだ。いずれ殺してやる。
  だから…、こんな所で死ぬな」」


 見事に重なった言葉に、また二人はニタッと笑った。
 歪でもなんでも、これが“絆”なのだ。


 伊東のほしがっていた絆は、もうずっと前から。


 —


「ぐ…ッ!!」


 ギリギリと弦の糸が栄蓮の首を絞めている。
 それは手足にも絡みつき、栄蓮の動きを完全に封じている。


「あまり動かない方がいいでござろう。…死ぬぞ」
「ガッ…、…ん、じゃ、あ…ッ、弦、ほど、け、っての…ッ!」
「そしたらおぬしは加勢に行くでござろう」
「あ゛…ったり、まえ、ですけど…ッ」
「ならばここで消す」
「づ…っ」


 ギリッとさらに弦が絞まった。ギュウッと栄蓮は目を瞑る。
 これまでの経緯でほとんど体力の限界である。


 それでも、体がとまらないのだ。


「——おらァァァァァァ!!!!」
「!」


 ブンッと万斉めがけて木刀が振り下ろされた。
 素早いその動きに万斉はその場から移動し、それと同時に栄蓮から弦がほどける。


「オイ! 死んでるか、瞳孔女!」
「死んでる前提かコルァァァァ!」
「ヘッ…大丈夫そうじゃねーか」
「ゲホッ…おーよ」


 ニッと笑い合う銀時と栄蓮。そして真っ直ぐに二人は万斉を見た。


「そろそろ行かせてくれるかなァ、ござりん」
「「ござりん?!」」
「いやあの…語尾にござるついてるし…。あの、ちょっと可愛くしてみようかと」
「いやァ瞳孔女ァ、オメーのセンスには脱帽だわァ。ばーくーわーらァァ」
「拙者は結構気に入ったでござる」
「「マジでか」」


 どこかほのぼのとした雰囲気。…だが一瞬でそれは崩れた。
 栄蓮と銀時が別方向に走り出し、万斉は一瞬で反応する。


 次の瞬間銀時に弦が絡み、その動きを封じた。ハッと栄蓮が反応する。


「天パ!」
「行け!」
「んなの…っ」
「いいから行けっつってんだよ!! とっとと片付けてこい!! ッ早く!!」


 必死な銀時の様子に、栄蓮はコクリと頷いて駆け出した。

 しかし先ほどの弦でもその身にダメージを受けているのだろう。
 手足は血まみれで、首にも赤いあとが残っている。
 どこかおぼつかない足元だ。
 

 あまりにも痛々しいその様子に、銀時はチッと舌打ちした。


「くっそッ…」
「…あの体では厳しいでござろうな。ぬしもかなり鬼でござる。
 あんな体…もうとっくに限界を迎えているというのに一人で向かわせるとは」
「……」
「拙者以外にも攘夷浪士はこの先に溢れんばかりいる。果たしてたどり着けるか…」


 チッともう一度舌打ちをし、必死に銀時は手足を動かし始めた。
 栄蓮と同じような手足の状態になっていく。血が滲みはじめ、鋭い痛みが走った。


「無理はせぬがいい。手足がちぎれるでござるぞ。
 それに…今さら助けに行ったところでもう遅い」

「…ぐ…っ」

「ぬしもあの土方栄蓮もまだ仲間が生きていると思っているでござるか?
 たとえあの爆発の中を生き残っていようと、策は幾重にも弄してあるでござる」

「……っ」


「真選組は、消える」


 


『 僕は志村新八です! で、こっちが 』
『 坂田銀時だ。いいか、天然パーマに悪い奴はいねェんだぞ! 』
『 俺は三番隊副隊長、風霧八雲です。どーぞよろしく 』
『 土方栄蓮でーす 』


 …誰が、


『 旦那ァ、本当に反省してやすかィ? 』

『 してるしてる! もう何でもできる勢い! 』

『 そーか、分かりやした。
  じゃあコレ鼻から飲んでくだせェ 』

『 いだだだだだだだだだだだ!
  何コレ! なんか懐かしい感覚ゥ! 昔プールで溺れた時の感覚ゥゥ! 』


 …誰が、


『 2時17分、公務執行妨害で逮捕 』
『『『 え…マジで? 』』』
『 俺達が何したってんだァァァ?! 』
『 パレードの邪魔ァァ! あと仕事の邪魔ァァァァ!! 』




「誰が…、誰があんな連中助けにいきてーかよ…ッ」

「?」

「止まらねェんだよ…身体がいうこときかねェ…ッ。
 勝手に前に引き寄せられる…!」

「……」

「前からも後ろからも糸がからまって引っ張ってきやがる…。
 うっとーしくて仕方ねェ…!」


 ブチンッ、と弦が一本切れた。また一本、ブチッときれる。
 鉄の強度をほこる弦が次々と切れて万斉は目を見開く。


「手足の一本や二本…どうぞくれてやらァ…!
 んだが、肉は切れても…、っこの糸……、

 ッ腐れ縁!!! 切れるもんなら切ってみやがれェェェェ!!!!」


 ついに銀時に絡みついていた弦が全て切れた。
 同時に銀時は真選組一行がいるであろう電車に向かって走り出す。

 バッと万斉が飛び上がり、刀を振り上げた。


「——」


 ギンッ、と銀時の瞳が万斉をとらえた。


 —


「っはァ…はぁっ…!」
「「「死ねェェェ!」」」


 次々と襲いかかってくる敵を必死に斬りつけながら栄蓮は走る。
 腕を振った影響でその腕ごと取れるのではないかと思える程に腕が痛む。

 血が止まらない。足が震える。…それでも。


(行か、なきゃ)


「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 
「「「!」」」


 腕でもなんでも取れればいい。
 足でもなんでももげればいい。
 
 まるでどこかの誰かと同じような思考。
 当の本人達は知る由もないのだが。


 それでもその先に、自分の大切な者達がいるのなら。


「ッどけコラァァァァァ!!」
「「「ぐあぁアッ!」」」


 ブロロロロロ、というヘリの音が聞こえて栄蓮はバッと上を見た。
 そのヘリから男が身を出し、電車内に向かって大量発砲する。


「に…兄さん! 皆ァァァァァァ!!」


 ブチッと栄蓮のなかでおさえていた何かがキレた。
 足に渾身の力を込め、近くにいた浪士共の顔を蹴り上げて宙に飛ぶ。


 再び電車に向かって発砲しようとしている男にそのまま剣を振りかざした。
 同時に万斉と戦っていた銀時も、彼をそのヘリのフロントガラスにガシャンッとぶち当てた。


「「うおらァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」」



(( 赤と、黒 ))