二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 生涯バラガキ 【真選組動乱編】 ( No.284 )
日時: 2014/01/28 21:00
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: PtJSydhi)
プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11758972044.html


 ベン、ベンベン、と心地よいリズムが夜の河川に響き渡る。
 船の中。布団に寝かせた晴香の傍で、高杉と万斉は二人語り合う。


 114訓 終わりよければ全て良し


「…そうかい。伊東は死に、真選組が生き残ったか。
 存外まだまだ幕府も丈夫じゃねーか」


 窓辺に腰掛けて高杉はどこか冷たく、静かに言った。
 そして向かいに座っている万斉に目をやる。


「いや…伊東がもろかったのか。それとも万斉、お前が弱かったのか」

「…元々今回の仕事は真選組の目を幕府中央から引き離すのが目的。
 “春雨”が無事密航し、中央との密約が成ったとなれば戦闘の必要もなし。
 牽制の意は果たしたでござる」

「…俺ァ真選組を潰すつもりでいけといったはずだ」

「何事にも重要なのはノリとリズムでござる。
 …これを欠けば何事もうまくいかぬ。ノれぬとあらば即座に引くが拙者のやり方」


 立ち上がり部屋を去ろうとする万斉に、高杉は“万斉”とその名を呼んだ。


「…俺の歌にはノれねーか」
「……。白夜叉が…俺の護るものは今も昔も何一つ変わらん…と。
 晋助…何かわかるか?」

「……」

「最後まで聞きたくなってしまったでござるよ。
 奴らの歌に聞きほれた拙者の負けでござる」


 フン、と高杉は鼻であしらう。万斉はふと高杉を見た。


「晴香はそれなりの傷を負っているらしいが…。
 …三日程で目を覚ますらしいでござるよ」
「…そうか。分ァった」


 パタン、と部屋を出て行った万斉。
 高杉はこんこんと眠る晴香の傍に腰掛け、その顔をじっと見つめた。


「…なァ、晴香よォ」


 ——…テメェは俺の歌にノってくれっか?

 そう囁くと、眠る晴香に届けと言わんばかりに、心地よい音を再び奏で始めた。 


 —


「ナームアーミダーブブー。ナームアーミダーブブーッ」


 …いや、泣けないよ。どうやって泣けと言うんだよ。
 葬式のはずなのに何これ? ブブーッっつってるよ? 

「……。…八雲、これお葬式だよね。ザキと三番隊隊士の」
「…そっスね」
「…イヤ、まず遺影からおかしくね?」


 なんでとっつぁんの犬の遺影が一番おっきいの?
 なんでザキはその十分の一くらいの小さい遺影なの?
 でもってなんでミロ(飲み物)が置かれてんの? ザキ好きだったのアレ?


「バカヤロォォォ! 年寄りより先にいっちまいやがってェェェ!」
「「!」」


 と…とっつぁん…ッ! そんなにザキや隊士のことを…ッ!!
 あ、雰囲気出てきた…ヤベェェェ泣きそォォォォ…!


「俺ァなァ…お前のこと本当の息子のように思ってッ…うぐっ…!
 っプー助ェェェェェ!! 俺を置いていかないでくれェェェェェェ!!」


 犬かよォォォォォォォォォォォッ! 犬なのかよォォォォォォォッ!
 プー助ェェェェ天国でお幸せにィィィィィ!


 つか葬式ってこんな泣けないものだっけか?
 あとちょっとで泣けそうなのに泣けねェェェっていう感覚味わうものだっけ?


「…そいや隊長。アンタあの刀の意味知ってたんスか?」
「…ん…?」
「だからその…白花を女性から男性に渡すことの意味」
「………」


 …実は近藤さんからひっそり教えてもらったり。
 イヤ自分があまりにも無知すぎてね。


「…さーァね」
「あ、なんスかソレェ。教えてくださいよ」
「なーいしょ」
「ケチ。…アレ? つか隊長、刀は?」
「白花?」
「えぇ」


 白花はねェ…。うーんとねェ…。そのねェ…。


「…折れた」
「……は?」
「いや…鞘におさめようと持ち上げたら、こう…バキンッと」


 笑いつつもダバダバと涙がでるゥゥゥ…!
 ポカーンと八雲は呆気にとられた後、フッと微笑んで。


「…持っていっちゃったんスね。伊東さんが」
「ん?」
「きっと…刀に込められたメッセージが嬉しかったんスよ」


 “だから剣ごと折って、己だけの隊長からの言葉にしたんじゃないんスか?”

 …とかなんとかいう八雲。何ソレ、ロマンチスト?
 

「…にしても人が良いっスね、アンタも。あんだけひでェ事言われたしやられたのに。
 最後はちゃーんと刀まで送って死に際見届けるなんて。態度急変ッスよ」

「いや…やられた時はそりゃこう…イラァッとしたよ?
 でも…その、仲間だし。刀を私のためにわざわざ白花を調達してくれたのも聞いてたし…」

「……ま、アンタらしーや」


 そういう八雲もボロボロなんですよ、皆さん。

 もとから腹やられてたのにさらにやられてるし。
 切り傷ヤバイし抉り傷ヤバイし包帯だらけだし。


「…でもね、八雲。…もうザキは戻ってこないんだ」
「……」
「っ隊士三名も…やられたん、だよね…」


 グ…ッ! なななっ、泣きそうじゃァァァ…!
 …私がもっとしっかりしてたら…みんなを…、


「それに…兄さんも、っ兄さんも…戻ってこない」
「…隊長…」
「責任感じてんのかな…」
「…………」


 …情けない妹だなァ。…何にもしてあげられなかった。
 何にも…これっぽっちも、支えになれなかった。


「アンタはちゃんとあの人の支えになってましたよ」
「……へ?」


 読心っすか。読心っすか八雲クン。


「アンタがいたからこそあの人は幾度か目覚めることができたんだ。
 アンタがいたからこそピンチの時あの人は護られたんだ。
 …立派な妹じゃないっスか」

「八雲…」


 そういえば、八雲は…晴香さんとどうだったんだろ…。
 …うん。あんまり…聞かない方がいいのかな。

 でも…いつの日にかは。


「それにね、隊長。アンタが思ってるような事にはならないッスよ」
「へぃ…?」



 ——ドゴォォォオォォオンッ!

 
 なんですかァァァいきなりの爆発ゥゥゥゥゥゥゥ?!
 って白装束着たザキが足元にィィィィィ!


「ザキィィィ化けて出たのかァァァァァァ!」
「栄蓮隊長ォォォご無事で——」

「局中法度十二条、マガジン以外の漫画、局内で読む事なかれ」


「「「!」」」


 …この声…。


「局中法度十七条、会議及び重要な式典の際は携帯の電源を切るべし。
 局中法度四十五条、死してなお化けて出る事なかれ。武士たる者潔く成仏すべし」

「……っ」

「てめーら全員士道不覚悟で切腹だァァァァァァァァァァ!!!!」


 に…兄さん。兄さんだ。兄さん。


「兄さァァァァァァァん!!」
「副長ォォォォォォ!!」
「ヤッター副長ガ戻ッテキタァー」
「八雲クン何その棒読み?!」



「「「栄蓮隊長ッ!」」」 


 …へ? へ? ………へ?


 私の目の前には伊東派に殺害されたとされていた隊士三人。
 あちこち包帯でグルグルだけど…元気、そうで。


 生き、てる。


「っあァァァァァァァッ!! 会いだがっだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「「「ぬおォォォォォッ?!」」」
「うぐォォォォォォォ…!」


 どういうことか分かんないけど生きてたァァァァァァァ!
 ああああああ涙がとまらないィィィィィィィ!


「…生きてたんスよ、ちゃんと。…皆。
 ったく、伊東派の早とちりには救われますね」
「うぐっ…ひっく…ぬぅおぉ…!」
「ギャハハハッ、栄蓮隊長マジ泣きじゃねぇかよ!」
「ほれ! 副長、ちゃんと慰めてあげてください!」
「「!」」


 …兄さん。…え、モノホンだよね? 飛びついていい?


「飛びついていい? 泣きそうだから飛びついていい?」
「イヤ既に泣いてんだろぶェッ!!」
「兄さんんんんん!」


 返事聞かずに飛びつきましたァァァァ! よかったァァァ!
 兄さんだァァァァッ! いつも通りの兄さんだァァァァァッ!


「よがっだァァ…兄さん戻ってよがっだァァァ…!!」
「んぎゃあああああ鼻水ゥゥゥゥゥ!」
「チッ…死ねよ副長…」
「八雲テンメェェェェェェ!」
「嫉妬でさァ」
「ちちっ違うもんね! 嫉妬じゃないもんね!」
「意地はんなよィ、八雲」
「おォォォマヨケチャコンビが揃ったぞォォォ!」
「バカコンビィィィ」
「「誰がバカじゃァァァァァ!!」」


 ああ…兄さん。良かった。…ホントに…良かった。
 ホントに…。


『プーリキューアッ プーリキュッアッ プーリキュッアッ
 ふーたりっはっ プリキュアァァアァ〜』


「「「「「「…………」」」」」」


「はいもしもし、土方でござる」


 だ…。…ッ大ッ嫌いじゃあああああああああ!!!!!



(万事屋さーん、お届け物でーす)
(((おっ)))
(苺牛乳と酢昆布一ヶ月分、あと眼鏡ふきふきスプレー一年分でーす)
((うおォォォ!))
(イヤ明らか僕だけしょぼくね?! なのに一番僕量多くね?!)


 —


動乱編終了ォォ…! オチはまぁそう言う感じで(笑)
ここまで読んで下さり有難う御座いました!