二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 泥中ノ蓮 【プロローグ改訂*グロ注意】 ( No.2 )
- 日時: 2013/08/31 23:36
- 名前: べるりん ◆LL2ucVkJQE (ID: lFtbIZgG)
——幽霊って、信じる方ですか??
第00訓 白髪ってきいたら普通は老人だと思うよね
「銀さん、起きてますかー?? 銀さんってば、もう昼ですよ?? あとお客様来てますよ??」
「んだよ新八ィ……たまにはゆっくり寝かせろよ〜。気が利かねぇなぁ」
「いつもゆっくり寝てるだろうがァァァァ!!!! そんな事よりお客様です!! 早く起きてください!!」
寝巻き姿の銀時はゆっくりと立ち上がり、のろのろと服を着替える。正直今、何もかもがどうでもいい気分だ。
何故だろうかと考える。思い当たるのはただ一つ、先程まで見ていた夢のせいだろう。懐かしい感じのする夢だった。だけど何処か切ない気分にもなった。
誰かが泣いていたのだ。小さな小さな子供。こちらに背を向けてしゃがみこみ、俯いていた。声を出そうにも出せなかった。
「ったく……なんだってんだ。あ、そうか、糖分が足りてねぇのか。そうかそうか、そうと決まれば」
「銀さんんんん!! お客様だって言ってるでしょーがァァァァッ!!」
あ、忘れてた。銀時は急いで居間に向かった。
そこにいたのはどこにでもいそうな奥様方三人衆だった。全員化粧が濃い女ばかりである。銀時はどっこらしょっとソファに腰掛けて奥様方を見た。
「お待たせしてすいませんねぇ〜。で、依頼の方はなんですか??」
「実はねぇ……少し行ったところに橋があるじゃなぁい??」
「その橋の下にねぇ……いるのよ」
その奥様の言い方に、銀時は動きを止めた。
「い、いる……とは??」
「だから……そ、その、ね?? ゆ……幽霊ってヤツ??」
ギャアァアアアアアアアアアッ!!
と銀時は内心でおたけびを上げた。正直言ってそう言う依頼は却下である。幽霊とかは実際に見たことはないが、とにかく無理だ。
が、銀時は必死に平静を装った。そんな銀時の気も知らずに、新八と神楽は興味津々だ。
「幽霊って……どんな特徴なんですか??」
「ちょ、新八くーんッ!?」
「銀ちゃん、冷や汗がすごいネ。どうしたアルか?? もしかして……」
「べべべべべべべ別にっ、怖いとかじゃねェよォ!?」
「いや、私たちも信じたくないんだけどねぇ……そんな噂がたってるのよ」
「だから万事屋さんに確かめてほしくって……」
もちろん報酬はしっかり払います、と奥様方の一人が言った。
それと同時に銀時はガタッと立ち上がる。先程までとはうってかわり、その表情はキラキラしている。
「ぃよぉーしっ、新八ィ、神楽ァッ!! ちょーさ開始だーいっ!!」
「何ですかそのテンションの変わりようは!?」
「と言うか、こんな真昼間っから幽霊なんて出るアルか??」
「基本的にその幽霊が見られるのは深夜ですね……。特徴は白い髪と水色の着物らしいです」
(白い髪って……老人の幽霊かよォォォ……! いや、落ち着け俺! まだ幽霊って決まったわけじゃねぇんだ!)
——そんなこんなで夜がやってきた。
銀時、神楽、新八の三人は懐中電灯を片手に橋の近くまでやってきていた。あと少しで橋に到着する。
「……銀ちゃん、息が荒いネ。キモイアル」
「うっうるセエエエエエエッ!! アレだよ、なんつーか……アレなんだよ!!」
「何なんですか」
冷静な新八のツッコミを軽く流し、銀時は深呼吸をする。流石に緊張してきた。
その時だった。銀時は自分の肩に何かが乗ってきたことに気がついた。恐る恐る自分の肩を見る。何もない何もないと暗示をかけながら見ると、
————人の手が、のっていた。
「ギィィィィィヤアアァアァアアアアァァアァァァァッ!!!!!」
「どぅぉぉわあああぁあぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁっ!!!??」
二人の絶叫が響いた。キーンと耳が痛くなり、新八と神楽は耳をふさいだ。
一方銀時は放心状態である。そしてもう一人、真選組鬼の副長と恐れられる土方十四郎も。恐らく土方は銀時がいきなり叫んだことに驚いたのだろう。一緒に来ていた沖田総悟は銀時達に気がついたようだ。
「あれ、旦那じゃないですかィ。あとチャイナとメガネ」
「て、てめ、サド!! 何でこんなところに居るアルかァァァァァッ!!」
「お、落ち着いて、神楽ちゃん。こんばんは、沖田さん」
「どーも……。こんな深夜に、アンタら何してるんですかィ??」
「いえ、実は——」
新八はこれまでの過程を沖田に説明する。
我に返ってそれを聞いていた土方は、常日頃から開き気味の瞳孔をさらに開かせた。そして目の前で自分を睨みつけてきている銀時を見る。
「じゃあテメェらも幽霊を確認しに来たのかよ」
「何?? おたくも?? 警察はよっぽど暇なんですね〜??」
「るっせェ!! しょうがねぇだろ、住民から頼み込んできやがったんだ。ったく、こっちは忙しいってのに……」
「土方さん土方さん、土方さんの肩に白い手が……」
「○×■☆※&△♪◎◆ッ!?」
「嘘でさァ。と言うかそろそろ時間ですぜィ。行きやしょうか」
「てんめェェェ……総悟ォォォォ……」
プクククッと笑っている銀時と沖田を睨む土方。
後ろからそんな三人を見て溜息をつく神楽と新八。五人はのんびりと橋へと向かいながら、時間を確認した。
「そろそろだ……」
「何、多串君ビビってんの?? 瞳孔がいつもより開いてるけど??」
「るっせ……ェ……」
土方が橋の方を見てフリーズしている。四人もそちらを見た。
白い髪と水色の着物。そのような後ろ姿がボゥッと立っている。橋の下は浅い川となっており、川に入っているのか、それとも本当に幽霊なのか、足は見えない。
完全にフリーズしている四人。が、一人は違った。
「そーご、いっきやーすっ」
次の瞬間。深夜にも関わらず、ドカーンッという爆発音が辺りに響いた。
着物姿の人物がいたところはいまや黒煙におおわれていて見えない。四人はまた別の意味でフリーズした。
「そォォォォごォォォォォ!? なァにやってくれてんのお前ェェェェェッ!?」
「何って、バズーカうちやした」
「知ってらァァァァァッ!! 本当に幽霊かまだわかんねェだろォがァァァッ!! 人間だったらどーすんのォォォッ!?」
「だーいじょうぶですって(多分)」
「ちょ、その()なに!? ()の中の言葉言ってみ総悟!?」
黒煙がゆっくりと晴れていく。
ギギギギギ、という効果音がつきそうな感じで五人はそちらを見た。幽霊ならたっているはずだ。てゆうか立っていてくれェェェェェ!!
「「「「「あ」」」」」
爆発で川の中から川岸に飛ばされたのだろうか。
——ぐったりと川岸の地面に倒れている着物姿の人物が見えた。
そしてちょっと見えるあの赤い液体はなに?? なんかかなりたまってるけど何アレ?? あ、トマト?? トマト持ってたんじゃね??
「……そォォォォォォごォォォォォォッッッ!!!!!!!!」
「ひでーや土方さん。普通うちやすかィ??」
「テメェだろがこのボケェェェッ!! 何してくれてんだアアアアア!!」
「ちょっと……本当にマズくないですか、あれ」
——新八の言葉を合図に、全員が橋の下に飛び降りた。