二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 泥中ノ蓮 【シリアス・ギャグ】 ( No.3 )
日時: 2013/09/01 23:30
名前: べるりん ◆LL2ucVkJQE (ID: uFovKUbX)


             あれ?? 私、どうなったんだっけ??

 

        第01訓 悪いことをしたらきちんと謝る、これ常識です


 ——真選組屯所内にある一部屋の和室。朝、そこで女は目を覚ました。
 ひどく体が痛む。不思議に思い女が自分の体を見ると、包帯だらけだった。そっと頭に触れるとやはり包帯がまいてあった。何で自分はこんなことになっているのだろうか。
 その時部屋の襖が開いた。女がふっとそちらを見ると、銀時と沖田がいた。


「あ、目ェ覚めたみてーですねィ。良かったですねィ旦那ァ。バズーカもろに食らって奇跡的に生きてやすぜィ」 

「おー、良かったな。……ってちょっと待て沖田クン、何で俺がバズーカうったみたいな雰囲気出してんの??」

「え、だってそうじゃねぇですかィ。ほらほら旦那、きちんと謝んねぇとダメですぜィ」

「イヤイヤイヤイヤイヤイヤァァッ!? 何ナチュラルに人に罪をなすりつけてんだァァァァッ!!」


 ポカーンと言う言葉があう表情で女が二人を見ている。
 そんな視線に気づき咳払いをする銀時。ジーッと視線だけで沖田に訴え掛ける。沖田はひょうひょうとしながらそれを受け流していた。


「あの……ここは何処なんでしょう?? それに私、何があったのかいまいち覚えてなくて……」

「ったく……沖田君、説明よろしく」

「いやでさァ」

「じゃねーだろっ!! ちっとも自分のしたこと反省してねぇなァ!?」

「オレ、ナニカシヤシタッケ」

「読みにくいからァァァ!! そして何その片言!?」


 ブツブツ言いながらも銀時は女に説明する。
 女が幽霊だと思われていたこと。自分達はそれを確認しに行き、きちんと確認もせずに隣にいるサディスティック王子がバズーカをうったこと。それをもろに受け、大量出血していたこと。そして今は傷の手当を受け、この真選組屯所にいるということ。


「つまり……私はバズーカをくらったというわけですね」

「俺あんだけ丁寧に説明したのにそんな簡潔にまとめるぅぅぅ!? ま、まぁ、そう言うこった」

「実は真犯人は別室にいるんでさァ。今頃仕事しながらマヨネーズすすってらァ」

「ことごとく他人に罪をなすりつけてやがる。……で、なんだけど」

「?? 何ですかィ、旦那」

「ちょっとよ、このおねーさんと二人にしてくんね??」

「分かりやした。あとは二人で好きにヤってくだせェ」

「いや字の変換間違ってるからァァァァァァァッ!!!!!!」


 悲痛な銀時の叫び声も虚しく、沖田はニヤニヤ笑いながら出て行った。
 小さくため息を零す銀時。女はゆっくりと上半身だけを起こして銀時を見つめる。一切濁りのない赤い瞳だ。


「え、っと……は、はじめ……まして??」

「……何。オタクもしかして、俺のこと忘れてたりする??」

「あ、その……ごめんなさい」


 必死に思考を巡らせる。しかしこんな銀髪の二枚目さんは覚えにない。
 銀時は一瞬天から地に落ちたくらいの落胆に満ちた表情をみせた。わたわたと女が慌てているのが見えて、小さく微笑む。怪我をしているため、優しく優しくその頭を撫でてやる。


「ったく……名前つけてもらった人間のこと、普通忘れっか??」

「へ……?? あっ…も、もしかして……」


 女の瞳が見開かれる。思い出したか、と銀時は女を見つめた。


「もしかして……ヅラちゃん!?」

「なんでだァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!! 髪の色とかで分かれェェェェェェッ!!!!!」

「あ、じゃあ晋ちゃんッ!!」 

「あのヤローはこんな銀髪じゃねェだろがァァァァァァァァッ!!!!」

「えぇぇえっ!?」

「イヤそんな驚かれても逆に困るからァァァッ!!」



 泣いてもいいのか。コレは泣いてもいいのか。つか泣かせてくれ。
 完全にショックを受けた銀時はフラフラと立ち上がり、部屋を出ようとする。もう立ち直れる気がしない。



「——銀ちゃん」



 襖に手をかけようとした銀時の動きがピタリと止まった。
 ゆっくりと顔だけを後ろに向けると、大好きだった笑顔が自分を見ていた。否、「だった」ではない。大好きな笑顔がそこにあった。


「ったく、俺のこと分からないフリですかコノヤロー」

「いやゴメン、本当に分からなかったの」

「お先に失礼しまーす」

「ゴメンゴメンゴメンゴメンッ!! だってあの銀ちゃんがこんなに大きくなってるなんて思わなくって!!」

「何そのガキ扱い!? 泣いていい!? 銀さん泣いていい!?」


 とは言っても女には本当に悪気は無さそうだ。
 銀時はにっこりと微笑んでいる女の頬に手を当てる。真っ直ぐに真っ直ぐに視線がかちあった。


「……何であの日、勝手にいなくなった」

「……ごめん」

「いやそうじゃなくて。何で居なくなったんだよ??」

「……ごめん」

「だーかーらァァァァァ!!」

「……ごめん……ッ」


 視線を落とす目の前の女を見て、これ以上の追求はやめた方がいいと銀時は判断した。
 よほど嫌な思いをしたのだろうか。その肩は震えている。見ていて嫌になってきて、優しくその身を包み込んだ。


「もう……いなくなるんじゃねぇぞ」

「…わかんない」

「ハイと言えハイと。答えは『YESorはい』!!」

「どこの恋愛ゲーム??」


 あははっと女は笑う。元気になった様子を見て、そっと銀時は微笑んだ。

 その時いきなり部屋の襖が開いた。女を抱きしめたまま銀時はフリーズする。
 そこにいたのは神楽、新八、沖田に土方、そして近藤だった。無遠慮に襖を開けたのは冲田であり、ニヤァッと真っ黒に笑った。他はフリーズしている。


(こんの娥鬼ィィィィィ!! ぜってぇタイミングはかりやがったァァァァァッ!!)


「……銀ちゃん。怪我人襲うなんて男として最悪アルヨ!!」

「見損ないましたよ、銀さん……。沖田さんが『【ピー】してるかもねィ』って言ってて、まさかと思ってたのに……」

「【ピー】してなかったはいいケド……襲うなんてダメ人間アル!! 私そんな子に育てた覚えはないネ!!」

「ちょ、ちげェェェェェェェェェェッ!! お前からも弁解してくれ!!」


「チャイナちゃん、違いますよ。銀ちゃんは私が育てたんです!!」

「弁解するところがちげェェェェェェェェェェッ!!!!! つかまずテメーにも育てられてねェェェェェェェッ!!!!」


 銀時はバッと離れて必死に弁解している。
 ハァァァァ……と土方はため息をついた。全く話ができない。が、流されていてはダメなのだ。土方は女を見据えた。


「オイ、お前」

「なんでしょうか??」

「あんな深夜に、しかも川の中で連日何をしていやがった」


 威圧感のある土方の瞳。しかし全くそれに臆さず、女は微笑んだ。




「死のうとしていました」




 ——重たい沈黙がその部屋をつつんだ。