二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 幸災楽禍 (※泥中ノ蓮) 【シリアス・ギャグ】 ( No.4 )
- 日時: 2013/09/02 23:21
- 名前: べるりん ◆LL2ucVkJQE (ID: tzg9ExdF)
もう誰にも、傷ついてほしくないから。
第02訓 空気が重くなったときはとりあえず笑い飛ばせ
————死のうとしていました。
その返答に土方はうっと声を詰まらせた。他の五人も驚きで硬直している。一方そんな問題的発言をした女は、相も変わらずにニコニコと微笑んでいる。
「死のうとしてましたよ??
……おじいさんが」
「っておじいさんんんんんんんんんんん!?」
新八がいつもの調子を取り戻したようだ。そうなんですよ〜、と女は笑い続ける。
「いやですね、ある日の深夜橋を降りて川の近くに行ったらおじいさんがいまして。何してるんですか〜って声をかけたら『わしゃ死ぬんじゃァァァァ!!』って言ってきまして」
「声真似ウマァァッ!? 『わしゃ死ぬんじゃァァァ!!』の声真似ウマァァッ!!」
「それで止めようと思いまして、説得に取りかかってみたんですけどなかなか納得してくれませんでした。だからおじいさんが納得するか私が説得に成功するかで勝負ってたんです」
「イヤそんなことで勝負すんなァァァァァァ!!」
「それで説得すること数日、見事成功しました。おじいさんも死ぬことを諦めて帰ってくれたんです。さァ私も宿に帰ろうってなった時に……私、気づいたんです」
「な、何にですか??」
もう銀時なんかは話を聞いていない。鼻をホジホジしている。
他はまだ真剣に聞いている。土方なんかは明後日の方向を向いているが。
「…あ、お【ピー】したいなァって」
「おいィィィィィィィィィッッ!! 可愛い顔して何言ってるんですか!? そんな銀さんが常に使うような言葉を使っちゃダメですよ!?」
「オイぱっつぁんどう言う意味だァァァァァ!!」
「それで川の中に入ってたらバズーカドーンです。イタタタタタタ」
もうツッコみに疲れた新八はげっそりしている。なんだこの人、ツッコミどころありすぎでしょう。
まったくあのシリアスの雰囲気は何だったんだ。すっごく重い雰囲気になってたのに銀さんなんか鼻ほじってるよ、土方さんなんかマヨネーズすすってるよ。コレどうしようどうすればいい!?
新八はげんなりとしながら真剣に話を聞いていた三人の方を見た。どうせ銀さんたちと同じような感じだろ——
「そうかァァァァァァ!! 辛かったなァ、おねーさん!! お【ピー】しようとしたらバズーカだなんて……」
「ひでェ話でィ……。あ、犯人はあそこでマヨネーズすすってるやつですぜィ。通称マヨ菌」
「辛かったヨネ、おねーさん!! 大丈夫、あとで私がトイレ貸してあげルネ!! 任せておくヨロシ!!」
「って何でアンタら泣いてんだァァッ!! どこに泣ける部分があった!? どこに共感できる部分があったァァァ!?」
「何言ってるんだ、新八君! お【ピー】を耐え続けるなんて地獄同然の苦しみなんだぞ!!」
「それはアンタだけだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
何故か号泣している神楽・沖田・近藤。何だこいつらはと新八は心の底から思った。
ちょっと涙拭いてきまァァァァァすと近藤が出ていき、それに神楽と沖田も続いた。一気に静まり返る室内。女は相変わらずにっこにっこと微笑んでいる。
「……で??」
「へ?? なんでしょうか??」
「とぼけんな。——本当の理由はなんだ??」
「…………」
土方がマヨネーズを吸い終え、煙草を吸いながら尋ねた。
女の赤い瞳は一切揺るいでいない。口元だけがにっこりと笑っている。アルカイックスマイルというやつだろうか。
「やっぱりバレてましたか。ふふ、あの人達は純粋なのに」
「ってそれどう言う意味だー。俺らは純粋じゃないってかァァァ??」
「鼻ほじる人とマヨすすってる人に純粋な人がいるんですか??」
「「いやただ純粋にやりてェことをだな」」
「アンタら何でそんなとこだけ息ピッタリなんですか!?」
「……はっきり言わせてもらいます。——私に関わらないでください」
「ッ!!」
新八は思わず息を呑んだ。女の表情が先程までとはうって変わっていたからだ。
にこにこと笑みを浮かべていた顔から一変し、真剣な顔をしている。まっすぐに自分たちを見つめてくる大きな瞳。——呼吸をすることさえも忘れる程に強い、その視線。
「おい、何言って……」
「銀ちゃん。貴方ももう……私に関わらないでほしいの」
「ッオイ!!」
「だからあえて分からなかったフリもしたのに……。ね、お願い。もう私のこと……忘れて」
そう言ってゆっくりと立ち上がる女。体が痛むのか、苦痛に顔を歪める。
銀時がパシッとその手首を掴む。しかしそれさえも振り払い、女は部屋を出て行った。止めるもの——止められる者はいなかった。
(あんな辛そうなかおで言われると……口出しできないよ……)
しばらく同じ体勢で固まっていた三人。
その時銀時が立ち上がった。畳の上に置いていた木刀を腰にさして部屋を出る。新八も慌ててそれに続いた——が、いきなり銀時がとまった。
「銀さ……」
「——ここら辺で最近、妙な連中がウロウロしてやしてねィ」
突如聞こえた声にぎょっとする新八。ひょいっと銀時の肩ごしに前を見ると、沖田が腕組みをしながら壁にもたれかかっていた。
泣いてどこかに行ったはずじゃなかったのか。否、それはない。恐らく全ては演技だろう。このサディスト王子があんなキャラの訳がなかったのである。
「で……それにアイツが関係してる、っていいてぇのか」
「そう怒りやさんな、旦那ァ。まぁ、関係してるっていっても……“ソイツらに追われている”って言われた方が正しいかと思いやすがね」
「!! テンメェ……知っててアイツを外に行かせたのか?? 止めれただろーが!?」
「銀さん!」
銀時が沖田の胸ぐらを掴むのを止める新八。銀時のあまりの威圧感に思わず背筋に何かが走った。
——それほどまでに大きな存在なのだろう。坂田銀時にとってあの女とは、こうしてまでも気にかけるべき存在なのだ。
「ソイツぁ人聞きがわりーや、旦那。俺だって一応とめやしたぜィ。でもまァ気にもとめてもらえなかったんでさァ」
「とめる気がなかった、の間違いじゃねェのかよ」
「考えすぎですぜィ。とりあえず……俺ァ橋の下に行ってみまさァ。旦那とメガネは追ってやってくだせェ」
「分かりました。でも……どうして橋の下に??」
新八が尋ねると総悟は肩に鞘ごと刀を担ぎ、小さく微笑んだ。
「バズーカぶっぱなしちまったけど、まだ何か残ってるかもしれねェだろィ。あの女が何してたかの手がかり」
「沖田さん……」
「旦那の女に大量出血させちまったんだ。ま、一応協力はさせてもらいやす」
「……ったく」
銀時は頭を掻くと、走って屯所を出て行った。新八もそれに続く。
沖田はそれを見届けてから一度目を閉じ、視線だけを和室の方に向ける。
「さて……土方さん、行きやしょうか」
「……何で俺が」
「素直じゃねぇなァ。……土方さんも気になってるんじゃねェですかィ??」
「…………」
「あまりにも、あの人と似ている。いや……似すぎている」
————まさにあの人でィ。
どこか切なげな声でそう言った沖田に、土方は舌打ちをしてから立ち上がった。
◆ ◆ ◆
早く原作に入りてェと思う今日この頃(´・ω・`)
駄文ごめんなさい^p^グホッ